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このページは私が気になったインドに関するニュースを個人的にまとめたものです。

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 2011年1月10日















◎下位カースト集団、優先採用枠求め鉄道占拠、インド西部(2010年12月28日、朝日新聞)
 【ニューデリー=武石英史郎】インド西部ラジャスタン州で、差別的身分制度カーストで下位に属する一部の集団が、公務員の優先採用枠の拡大を求めてデモを開始。幹線鉄道や道路を占拠し、首都ニューデリーと西部の商都ムンバイを結ぶ交通網が寸断されるなど混乱が広がっている。
 デモを始めたのは、「グジャール」と呼ばれるカースト集団。最低位の「指定カースト(旧不可触民)」の上に位置する「その他後進諸階級(OBC)」に属する。
 OBCに対しては、公務員採用や大学の入学枠などですでに21%の優先枠があるが、やや上位の別の有力カースト集団がOBCに編入され、OBC内の競争が激しくなると、07年以降、デモを活発化。OBCとは別に自分たちだけの専有枠5%を要求していた。
 ラジャスタン州政府は08年、グジャールの政治的圧力に押されて、新たに「特別後進諸階級」という区分を作り、優先枠を拡大する方針を決めた。しかし、見境のない優先枠の拡大に地元高裁が異議を唱えたため、新制度は完全には実行されず、怒ったグジャールが騒ぎ出した。
 占拠は26日で7日目に入り、その影響で、ニューデリー〜ムンバイ間の主要鉄道が一部で運休。デモ隊の一部は両都市を結ぶ幹線道路を占拠しようと、各地で治安部隊と小競り合いを続けている。
 足止めを食った乗客の中には空路に切り替える動きがあるが、インド北部では濃霧による欠航が相次いでおり、どの便もほとんど満席状態。航空会社の中には、運賃を倍に引き上げるなど、便乗値上げの動きが出始めている。

◎インドのロケット打ち上げ、また失敗(2010年12月27日、読売新聞)
 【ニューデリー支局】インドで25日、南部アンドラプラデシュ州スリハリコタの宇宙センターから通信衛星を搭載して打ち上げられた同国の大型主力ロケット「GSLV」が発射間もなく制御不能となり、高度約8000メートル付近で爆破された。
 ロイター通信などが伝えた。インドは4月にもロケット打ち上げに失敗している。
 通信衛星「GSAT―5P」を搭載していた。当初20日の打ち上げを予定していたが、ロシアの設計を取り入れたエンジンに問題が見つかり、25日に延期された。
 インドは、商業衛星打ち上げビジネスに力を入れていく方針で、同様に衛星打ち上げ市場への参入を目指す日本のライバル。
 2016年の有人宇宙飛行実現を掲げているが、インドの関係者の間では「今回の失敗で遅延は確実」との懸念も出ている。

◎豊田通商、インドにレアアース精製工場、来年半ばに稼動(2010年10月15日、朝日新聞)
 豊田通商が2011年半ばに、ハイブリッド車(HV)に不可欠なレアアース(希土類)の精製工場をインドで立ち上げることが14日、分かった。当初は10年中に稼働を始める計画だったが、用地取得が難航していた。年内に着工する予定だ。
 精製工場は、インドで採れた原料の鉱石から不純物を取り除き、純度の高いレアアースをつくる。新工場は、HV用の高性能モーターなどに使う磁石材料のネオジムとジスプロシウムを中心に年3千〜4千トンを供給。中国の輸出枠削減の影響で品薄感の出ている他のレアアースについても、生産が可能か検討する。
 豊田通商はHV増産を進めるトヨタの意向を受け、レアアースの供給能力の向上を目指している。インド産レアアースに関しては、販売権益を持つ国内の専門商社を買収。現地で精製して日本に輸出する計画だったが、インド側との交渉が遅れていた。
 豊田通商はこのほか、ベトナムでも12年末からの生産を計画中。13年には、インド、ベトナム両国から、国内需要(09年実績)の5分の1程度にあたる1万トン弱を供給することを目指している。
 レアアースをめぐっては、世界の9割を供給する中国が、今年の輸出枠を前年比で4割削減すると発表。9月以降は、日本向けの通関手続きが滞る問題もあり、価格が上昇している。自動車や電機をはじめとする国内製造業への影響が懸念されている。

◎住居ビル崩壊で61人死亡、生き埋め多数、インド(2010年11月16日、産経新聞)
 PTI通信によると、ニューデリー東部ラリタパーク地区で15日夜、住宅や店舗が入った4階建てのビルが崩壊し、保健当局などの情報では、少なくとも住民61人が死亡、80人が負傷した。多数が生き埋めになっており、死傷者はさらに増えるとみられる。
 救急隊員約250人と近所の住民らが手作業でがれきを取り除くなどしているが、夜間で電灯もなく重機も不足しているため、救出作業は難航している。
 デリー首都圏のディクシト首相は崩壊現場に急行した。
 ビルは築15年。崩壊原因は不明だが、6〜9月の雨期の雨が2カ月以上、地下部分にたまったままでビルの基礎がもろくなっていたとの説や、建て増し工事が崩壊を招いたとの情報もある。
 現場はニューデリーを流れるヤムナ川沿いの住宅密集地。低所得者層が多く、死傷者は建設労働者らが多いという.

◎インドの聖地、2つの宗教に分割判決、対立再燃も(2010年10月1日、朝日新聞)
 【ニューデリー=武石英史郎】ヒンドゥー教徒とイスラム教徒が所有権を主張し合い、宗教対立の火種となっているインド北部アヨディヤのモスク跡地をめぐり、同地に近いラクノウの高裁は30日、ヒンドゥー側が3分の2、イスラム側が3分の1を分割所有するよう命じる判決を言い渡した。判決をきっかけに対立が再燃する可能性があり、インド政府は全土で警戒態勢を敷いている。
 アヨディヤには、ムガール帝国時代の16世紀に建造されたモスクがあった。しかし、ヒンドゥー教徒は、叙事詩「ラーマーヤナ」の主人公ラーマ神(最高神ビシュヌの化身)が生まれた聖地だと主張。1950年以降、双方が所有権の確認を求めて民事訴訟を起こしていた。訴訟が長期化する中、ヒンドゥー原理主義者が92年、モスクの破壊を強行。それをきっかけに全土で宗教暴動が起き、2千人以上の死者を出した。
 判決は考古学的調査を基に、ヒンドゥー寺院の廃虚の上にモスクが建設されたと認定したうえで、ヒンドゥー教とイスラム教の団体にそれぞれ3分の1、聖地の核心部を含む3分の1をラーマ神という神格に分け与えるとした。
 判決後、ヒンドゥー原理主義団体は「ラーマ神の生誕地と認定された。壮大な寺院を再建しよう」と歓迎。イスラム側は判決への評価を避けつつ、最高裁に上告する意向を明らかにした。
 宗教対立の再燃を懸念する政府は、アヨディヤがあるウッタルプラデシュ州に約20万人の治安要員を動員。過去に大規模な暴動が起きた西部ムンバイでは、判決前に約7千人を予防拘禁した。扇動的なメールの送信を警戒して、全土で携帯電話メールの大量送信サービスを停止した。

◎インド、カシミール独立デモ激化(2010年9月17日、読売新聞)
 【ニューデリー=新居益】インド北部ジャム・カシミール州で、独立を求める反政府住民デモが激化している。
 インドにとって不安定なカシミール情勢は最大の懸案で、対応を誤れば「21世紀の大国」を目指す勢いをそがれかねない。パキスタンやイスラム武装組織を刺激する恐れもあり、シン政権は危機感を強めている。
 住民デモは今年6月11日、男子学生が催涙ガス弾の直撃で死亡したのを契機に激しさを増し、イスラム教徒が多数派のスリナガル周辺で連日のように起きている。
 AFP通信の集計によると、6月11日以降の死者数は16日、計94人に達した。
 若者が中心のデモには、女性や子供も参加し、治安部隊に石を投げて撤退を要求している。犠牲者が出ると、新たな抗議デモが起き、また犠牲者が出る悪循環に陥っている。

◎80年ぶりカースト調査、印、12億人聞き取り(2010年9月16日、読売新聞)
 【ニューデリー=新居益】インドのシン内閣は、約12億人の国民すべてを対象に、所属するカーストを調査することを決めた。
 来年6〜9月に面接員が全家庭を訪問し、聞き取り調査を行う。実現すれば、英領インド時代の1931年以来、80年ぶりの調査となる。身分制度のカーストはインド社会に多大な影響を与えているが、詳細な人口分布など不明な点も多く、全体像の解明に役立ちそうだ。
 カーストの身分は全国で数千もあるとされ、相互の関係は複雑だ。政府は低カーストに属する人たちの救済策として、国立大学や公務員の定員に低カーストの枠を設けている。一方で、この枠を利用するために、高カーストの人が政府に低カーストでの登録を求めるなど混乱も起きている。
 調査実施を要求してきたのは、低カースト層を支持基盤とする複数の小政党だ。低カーストの人口は伸び率が高いため、新しい調査結果を基に、枠の拡大を目指す思惑がある。
 一方、与党の国民会議派や、比較的高カーストの層を支持基盤とする最大野党のインド人民党には、「社会の分断が固定される」と調査に反対する声も強かった。しかし、国民会議派は、年末にかけて実施される州議会選挙で低カースト層にアピールする狙いもあり、調査実施を決めた。

◎インドの株式市場が急騰、低金利の先進国から資金流入(2010年9月15日、朝日新聞)
 【ニューデリー=高野弦】インドの株式市場が急騰している。ボンベイ証券取引所の代表的な株価指数「SENSEX(センセクス)」は13日に2年8カ月ぶりに1万9000台にのせ、14日も引き続き上昇した。市場では「低金利の先進国から運用先をさがして投機資金が流れ込み、株価を押し上げている」との見方が多い。
 14日の終値は前日終値より138.63ポイント高い19346.96となり、6営業日連続で上昇した。10日に発表された7月の鉱工業生産指数が前年同月比13.8%増と、再び高い伸びになったことなどを好感した。特に、外国人投資家が大きく買い越した。
 センセクスは2008年1月に2万の大台を超えて史上最高値をつけた後、リーマン・ショックをはさんで、09年3月には8160.40まで下落した。その後再び上昇してきたが、現在は企業の利益に比べて株価が割高の水準にあることから、「流動性の高い資金が流れ込んでいる以外に、株価の上昇を説明できない」との警戒感も出ている。
 アジアの株式市場では、13日にシンガポール市場が2年3カ月ぶりの高値をつけるなど上昇基調にある。

◎カシミールでデモ隊と治安部隊衝突、14人死亡(2010年9月14日、読売新聞)
 【ニューデリー=新居益】イスラム教徒住民が多いインド北部ジャム・カシミール州スリナガル周辺の数か所で13日、住民デモ隊と治安部隊が衝突し、AFP通信によると、住民13人と警官1人の計14人が死亡した。
 このうちスリナガル郊外の村では、米国で同時テロから9年となる11日にイスラム教聖典コーランが破られるなどしたとの報道に反発した住民が、「アメリカに死を」などと叫びながら行進し、キリスト教系の学校が放火された。
 6月中旬にスリナガル周辺で、カシミール地方の分離独立を要求するデモ隊と治安部隊の衝突が激化して以降、1日の死者としては最多。分離独立要求に加え、コーラン事件への憤りも当局に向けられる形となり、情勢悪化が懸念されている。

◎毎日のように死者、急成長インド、乗車率250%「殺人ラッシュ」(2010年8月25日、産経新聞)
 インド北部のウッタル・プラデシュ州で、混雑する列車の座席をめぐり乗客同士が口論となり、2歳の女児が走行中の列車から車外にほうり出されて死亡する事件があった。フランス通信(AFP)が伝えた。ラッシュ時の乗車率が250%を超えるインドでは、鉄道を舞台とした事件や事故が後を絶たず、平均して毎日10人以上が死亡している。鉄道事情から、著しい経済発展にインフラ整備が追いつかない現状が浮き彫りになっている。
 AFPが23日伝えたところによると、事件は、州都ラクノーから350キロ離れたラリトプル付近を走行中の列車内で起きた。死亡した女児と両親が1つの寝台を分け合っていたところ、4人組の男たちが近寄って同席を強く迫(せま)り、口論となった。
 男たちは激高してまず両親に暴力を振るい始め、突然、女児を抱え上げると、乗降口のドアを開けて外にほうり投げた。この間、ほかの乗客は誰一人、この家族と男たちとの争いに介入しなかったという。
 列車は緊急停止し、両親は急いで線路に下りて投げ出された女児のもとへ駆け戻ったが、即死だった。男たちは現場から逃走しており、警察が行方を追っている。
 インドの列車の自由席では、日常的に座席をめぐる争いが起きている。満席の車内は暑く、衛生状態も悪い。ウッタル・プラデシュ州では、過去にも走行中の列車から乗客が突き落とされる事件が度々起きている。
 人口が集中する都市部では、問題はさらに深刻だ。人口1800万の最大都市ムンバイでは連日、ニューヨークの地下鉄利用客の6倍にあたる650万人が鉄道を利用する。「激混み時間」(鉄道当局)と呼ばれる通勤通学のラッシュ時は、定員200人の車両に500人が詰め込まれる。
 警察の発表では、鉄道に関連する事件や事故で昨年は3997人が死亡、4307人が負傷した。今年は1〜4月ですでに1146人が死亡し、1395人が負傷している。毎日平均11人が死亡する計算で、「いつ命を落としてもおかしくない」状況にある。ちなみに、ニューヨーク地下鉄の年間平均死者数は8人という。
 死亡・負傷原因の多くは、混雑のため車両に乗り込めず、車両につかまった状態で無理やり乗車したものの、転落したというケース。鉄道当局は「乗客数を制限する手もあるが、どちらにしても人々は出勤しなければいけない。乗れなければ、人々は線路に座り込んで列車の運行を邪魔する」と話す。
 線路上を歩いていて列車にはねられるというケースも多い。鉄道当局はこうした違反者に罰金を科し、線路への侵入防止フェンスや陸橋の設置に加え、車両数や運行数を増やす努力もしている。
 インドでは、2015年までに世界銀行からの融資を含め20億ドル(約1700億円)が公共交通の整備に充てる計画だが、経済成長が続く中、その努力を上回るペースで乗客数は増加している。世界経済の牽引(けんいん)役を期待されるインドは、「世界一危険な鉄道」の汚名を返上できるのだろうか。

◎鉄鋼大手:インド進出加速、中国に次ぐ「収益源」に(2010年8月20日、毎日新聞)
 国内鉄鋼大手が急成長を続けるインドへの進出を本格化させている。日米欧の大手自動車メーカーの現地生産拡大や、経済発展に伴うインフラ整備を背景にインドで鉄鋼需要が急増しているためだ。JFEスチールが7月、インド鉄鋼大手「JSWスチール」と資本業務提携を発表。新日鉄も現地大手「タタ・スチール」と提携するなど、現地での生産・販売体制の整備を急ぐ。日本国内の需要が低迷する中、各社はインドを中国に次ぐ「収益源」に育てたい考えだ。【浜中慎哉】
 「国内需要の伸びが見込めない中、海外展開に活路を求めるしかない。成長市場のインドで(地場の)JSWが持たない鋼板を売っていきたい」。JFE幹部はインド鉄鋼大手、JSWに資本参加した狙いをこう説明する。
 JFEはJSWの第三者割当増資を引き受ける形で約900億円を出資(出資比率14.99%)。JSWはこの資金も元手に、インド国内に製鉄所を2カ所新設。粗鋼生産能力を現在の年780万トンから20年には4倍以上の年3200万トンに引き上げる計画だ。JFEは付加価値の高い鋼板などの製造技術も供与し、グループ化したJSWをインドでの生産拠点と位置付け、現地での販売拡大を目指す。
 一方、新日本製鉄は今年4月、タタ・スチールと自動車用鋼板を製造・販売する合弁事業を行うことで合意。12年度中に稼働する合弁会社は年60万トンの鋼板を生産し、日系自動車メーカー向けなどに供給する予定だ。
 このほか、神戸製鋼所は現地鉄鋼メーカー、エサールと包括提携、住友金属工業も昨年末、現地の鉄鋼メーカー、ブーシャンから鋼材のOEM(相手先ブランドによる受託生産)供給を受けることで合意するなど、インド事業拡大が加速している。
 背景には、経済成長と国民所得向上に伴う新車市場の急拡大や、インフラ整備のための公共事業増大でインドの鋼材消費量が急増していることがある。鋼材消費量は03年の3310万トンから09年には5530万トンと約1.6倍に増加。11年には7160万トンと03年比倍以上になる見込みだ。
 さらに、中国や日本に次ぐアジア3位の車大国に成長すると見込まれることから、トヨタ自動車や日産自動車、ホンダなど日本勢や、米ゼネラル・モーターズ(GM)、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)など世界の主要自動車メーカーがインドでファミリーカーなどの現地生産を本格化させている。
 日本経済の低迷による鉄鋼需要の伸び悩みに対して、新日鉄やJFEなど各社はこれまで主に中国向け供給を伸ばすことで収益拡大を図ってきた。しかし、景気減速懸念も出始めた中国では足元、「鋼材在庫が積み上がり、鉄鋼市場の先行き不透明感が強まっている」(神戸製鋼幹部)。供給過剰による中国向け輸出急減などショックに備えるには「インドを中心としたアジア戦略が重要」(住友金属の友野宏社長)で、インドでの販売・生産体制拡大は各社の今後の成長の大きなカギとなりそうだ。

◎耐性菌、医療ツーリズムで拡大?インドから欧州へ(2010年8月17日、朝日新聞)
 【ワシントン=勝田敏彦】ほとんどの抗生物質が効かない多剤耐性細菌がインド、パキスタンから欧州に広がっていることがわかった。安価な医療などを求めて世界を旅する「メディカルツーリズム」が拡大を助けたとみられる。英国、インド、パキスタンなどの国際チームが論文を発表したが、インドからは反発も出ている。
 英医学誌ランセットの伝染病専門姉妹誌に先週掲載された論文によると、チームはインド、パキスタン、英国の患者から分離された大腸菌などを分析。幅広い抗菌効果を示す抗生物質カルバペネムに対する耐性遺伝子「NDM1」を持つ細菌の試料をインド、パキスタンから計143例、英国で37例見つけた。
 カルバペネムは重症の感染症の治療の「最後のとりで」ともされる重要な薬。耐性菌の発生を防ぐため、乱用は強く戒められているが、論文によると、インドでは処方箋(せん)なしで大量に使われ、耐性遺伝子発生の温床になっているという。
 英国の患者の多くは、美容外科手術などを受けるために、医療費が安いインドやパキスタンに旅行していた。チームは、患者は現地で感染して帰国したとみている。
 今回見つかった細菌は病原性がそれほど高くないと見られるが、チームは、耐性遺伝子がほかの細菌へと飛び移って耐性が広がりやすい性質に注目。ほとんど抗生物質が効かない病原性の高い菌が生まれるおそれがあり、「世界的な医療問題になる可能性がある」と監視の必要性を訴えている。
 こうした指摘に対し、インドは反発している。
 耐性遺伝子の名前が首都ニューデリーにちなむこともあり、現地メディアによると、野党・インド人民党の幹部は「論文はインドがメディカルツーリズムの人気目的地となってきたタイミングで出ており、疑わしい」と述べた。AFP通信によると、パキスタンを旅行していたベルギー人男性が6月、この耐性遺伝子を持つ細菌に感染して死亡した。

◎ブラックベリー:インド政府、暗号化技術など改善を要求(2010年8月13日、毎日新聞)
 治安上の懸念を理由に高機能携帯電話(スマートフォン)「ブラックベリー」に対する規制導入の方針を示しているインド政府は12日、今月末までにデータ暗号化機能の技術的な改善が行われなければ、一部機能の利用を制限する方針を明らかにした。PTI通信などが伝えた。
 ブラックベリーはデータ通信の内容を暗号化し、国外のサーバーに送るため、インド政府は通信内容を当局が把握できず、テロリストなどの通信内容を特定できなくなることを懸念。当局が通信内容を監視できるよう改善を求めているとみられる。
 政府は同日、ブラックベリーを製造するカナダのリサーチ・イン・モーション(RIM)社に対し、早急に対応策を取るよう求めた。
 インドでは約100万人がブラックベリーを利用しているとされる。

◎インド北部の鉄砲水、行方不明者600人超す(2010年8月7日、朝日新聞)
 PTI通信などによると、インド北部ラダック地方で6日起きた鉄砲水による行方不明者数は600人を超えた。警察によると、これまでに130人の遺体を確認、負傷者数は370人以上に達した。大量の土砂で捜索は難航している。救援隊が入れていない村落が複数あり、死者数は500人以上に増える恐れがあるという。
 中心都市レーの空港では航空機の離着陸が再開して救援隊が現地入りしたが、被害の最も大きかったチョグルムサル村では依然、200人以上が行方不明になっている。

◎JFE、インド市場本格参入、現地鉄鋼大手の筆頭株主に(2010年7月28日、朝日新聞)
 JFEスチールは27日、インドの鉄鋼大手JSWスチールに14.99%出資し、筆頭株主になると発表した。高炉を持つインドの一貫製鉄会社に資本参加するのは、日本の大手鉄鋼メーカーとして初めて。内需の落ち込みを補うため、自動車向けなど鋼材需要が急増するインドの市場に本格的に打って出る。
 「内需の落ち込みは見えている。アジアを第2の内需圏と考え、海外事業に転換する」。27日東京都内で記者会見したJFEスチールの小倉滋常務執行役員はこう決意を語った。JFEは9月前半に第三者割当増資を引き受け、約900億円を投じる。株式を合わせ持つ創業一族に次ぐ持ち株比率になるという。
 JFEの輸出比率は45.6%。大手の中で最も高いが、現在主力の韓国、中国以外でも市場開拓を急ぐ。東南アジアの複数の鉄鋼メーカーとの資本提携を検討しており、最初に決まったのがインド。「うちが10%を超えて株を持つ会社は数少ない。巨大な兄弟会社が誕生する感じだ」と小倉常務執行役員は表現した。
 JSWは設立からわずか15年で連結売上高3800億円、税引き前利益400億円というインド有数の民間製鉄会社に成長した。南西部のビジャヤナガール製鉄所に建設中の第4高炉が始動すれば、粗鋼生産能力は年780万トンから1100万トンに増える。西ベンガル州などでも製鉄所の新設を計画しており、積極的に設備投資している。
 JFEには日系を含む各国の自動車工場が集まるインドで高級鋼材の生産拠点と販路を確保する狙いもある。非常勤取締役1人と、技術者や営業マンを派遣。配当以外に技術提供料も受け取る。持ち株比率をさらに高めることも検討したが、インドの法律では、15%を超える場合には35%分の取得を目指して株式公開買い付け(TOB)する必要があるため、株価が高騰するリスクなどを考慮して、15%弱にとどめたという。
 インドでは住友金属工業も地元鉄鋼会社と高炉建設を検討中。新日本製鉄は大手タタ・スチールと合弁会社を設立し、2012年度中に自動車用冷延鋼板の工場を立ち上げる。神戸製鋼所は提携するエッサール・スチールと自動車用鋼板事業などの具体化を進める。
 世界の鉄鋼生産が横ばいを続ける中、インド市場は拡大の一途だ。世界鉄鋼協会によると、09年のインドの粗鋼生産量は6280万トンで、04年からほぼ倍増。09年はロシア、米国を抜き、中国、日本に次ぐ世界3位に浮上した。鋼材消費量も今年は前年比13.9%増、11年は13.7%増える見通しだ。
 牽引(けんいん)するのは、毎年2割前後の勢いで伸び続ける自動車生産や、電力、道路などのインフラ投資だ。
 インド側が日本企業に期待するのは、自動車の外側部分に使われる鉄板(外板)の製造技術。軽くて強度があり、さびにくい鉄を造る技術は、欧州向けなどの輸出品には不可欠とされ、自動車輸出を加速させるインドで需要は増えている。JSWのジンダル社長はムンバイで会見し、「JFEとの提携で世界で最先端の技術を手に入れることができる」と語った。
 市場が拡大するインドでは世界の製鉄大手も相次いで一貫製鉄所の建設を打ち出している。最大手のアルセロール・ミッタルは東部オリッサ州などに1200万トンの製鉄所を2カ所計画、6月には南西部の州とも建設計画で合意した。韓国ポスコも1兆円以上を投入し、オリッサ州での一貫製鉄所を計画している。
 ただ、多くの計画は地元の反対で土地取得が難航している。JFEが、ポスコのように単独ではなく、地場大手に出資する形でインドに進出するのは、こうしたリスクを考慮してのことだ。

◎JFEスチール、インドの製鉄会社に1千億円規模出資へ(2010年7月25日、朝日新聞)
 鉄鋼2位のJFEスチールは23日、インドの民間最大手の製鉄会社JSWスチールに出資する方針を固めた。出資額は800億〜1千億円程度となる。両社は昨秋に戦略的包括提携を結んでいる。資本関係まで踏み込むことで、協力関係の強化を図る。
 JFEによる、高炉を持つ海外の製鉄会社への出資は約20年前に米国AKスチールに4%出資して以来。アジアでは初めてとなる。
 月内にも両社が発表する。JSW社の粗鋼生産能力は年780万トンで、インド最大の民間製鉄会社。2020年までにウエストベンガル州とジャルカンド州にそれぞれ年1千万トン規模の製鉄所を新設する計画を持っており、JFEスチールの粗鋼生産能力(11年度で3300万トン)に匹敵する水準となる見込み。
 日印の鉄鋼大手が提携強化に踏み込む背景にはインドの自動車市場の急成長がある。08年度の生産台数は225万台と6年前に比べて約2.4倍に拡大。今後も成長が見込まれている。
 日本の自動車メーカー各社もインドでの生産能力の増強を進めている。すでに、JFEは自動車用鋼材分野の製造技術をJSWに提供する方針を決めているが、今回の資本提携で、インドで自動車用鋼材を提供する鉄鋼メーカーとしての存在感を高めたい狙いだ。省エネや原料調達など協力分野の拡大も視野に入れている。
 JFEスチールはここ数年、中国、ベトナム、マレーシアなどで鋼管加工会社や自動車用鋼板会社に出資するなど、日本の内需の落ち込みをアジアを中心とする新興国の旺盛な需要で補う姿勢を鮮明にしている。(福山崇、高野弦=ムンバイ)

◎ニューデリーの国際空港、新ターミナル完成(2010年7月4日、読売新聞)
 【ニューデリー=新居益】インドの首都ニューデリーのインディラ・ガンジー国際空港の第3ターミナルが3日、完成した。
 床面積は約50万平方メートルで、同国で最大の規模。今月14日以降、既存の二つのターミナルから国際線と国内線の大半を移し、年間3400万人の利用客を見込む。完成記念式典で、シン首相は「新ターミナルはインドの経済発展の象徴だ」と述べた。

◎列車が正面衝突80人死亡、インドでテロか(2010年5月29日、読売新聞)
 【カトマンズ=新居益】インド東部の西ベンガル州ウエストミドナプールで28日、コルカタ発ムンバイ行きの寝台特急列車が脱線し、前から来た貨物列車と正面衝突、AFP通信によると少なくとも80人が死亡し、200人以上が負傷した。
 当局は、左翼過激派「インド共産党毛沢東主義派」の犯行とみている。
 現場周辺は、これまでも毛派の活動が最も活発な地域の一つで、事件後には毛派の宣伝文書も発見されたという。
 在コルカタ日本総領事館によると、列車の乗客に日本人はいなかった。
 バナジー鉄道相は、爆弾で線路が破壊された、と語った。レールの継ぎ目板が故意に外されていたため脱線したとの情報もある。
 毛派は、暴力革命を掲げて2004年頃から活動を大幅に強化し、鉄道や警察署など政府関連施設を襲撃したり、政府に協力的とみる人々を殺害したりするなどのテロ行為を繰り返している。
 インド政府は昨年末から警察部隊を動員して大規模な毛派掃討作戦を展開中だが、4月にはチャティスガル州で警察部隊の76人が毛派の襲撃で死亡したほか、5月17日にも同州で、バスに乗っていた警察部隊と民間人の計30人以上が、毛派の埋設した地雷で死亡している。

◎166人乗りインド機事故、8人を救出、機体真っ二つ(2010年5月23日、朝日新聞)
 【ニューデリー=武石英史郎】インド南部マンガロールの空港で22日朝、インド航空系列の旅客機が着陸に失敗し、大破、炎上した事故で、インド政府当局は乗客・乗員は166人で、うち8人を救出したと発表した。現地の救助隊は同日夕までに146人の遺体を収容。死者数は計158人に上るとみられている。乗客は全員インド人だった。
 同空港の滑走路は10日前に運用が開始されたばかり。PTI通信などによると、同機は滑走路上の着陸予定地点を大幅に飛び越して着地し、停止できないまま、滑走路脇の着陸誘導装置に衝突した後、空港敷地のフェンスを突き破って、200〜300メートル下のがけ下に転落した。機体は真っ二つに折れ、生存者は割れ目から自力で脱出したが、その直後に機体は火に包まれたという。

◎旅客機墜落、170人死亡か、インド南部(2010年5月22日、産経新聞)
 【カブール=田北真樹子】PTI通信によると、インド南部カルナタカ州マンガロールで22日午前、エア・インディア・エクスプレス機が着陸に失敗して大破、炎上した。同通信は、同機には乗員乗客合わせて173人が搭乗していたとしている。数人が地元住民に救出され、病院に搬送されたという報道もあるが、死者は相当数にのぼりそうだ。
 同機は同日未明にアラブ首長国連邦(UAE)ドバイを離陸し、午前6時ごろにマンガロールのバジペ空港に着陸する予定だった。同機は滑走路を外れ、空港から10キロほど離れた森林に突っ込んで炎上したという。
 現場は救助隊がたどり着くにも困難な場所のようで、救出作業は難航しそうだ。また、事故発生当時の現地は悪天候で視界が極めて不良だったとみられる。インドのテレビは、旅客機から煙が立ち上る映像を放映している。
 在ニューデリー日本大使館などは、乗客の中に日本人がいたかどうか確認を急いでいる。
 同機は、国営エア・インディアが運営する低価格航空会社エア・インディア・エクスプレスが運航。インド南部をベースに、インド人の利用客が多い東南アジアと中東間でサービスを展開している。

◎インドにインフレ懸念、食料品高騰、成長目標に黄色信号(2010年3月24日、朝日新聞)
 【ニューデリー=高野弦】経済危機からいち早く立ち直ったインドで、インフレ懸念が高まっている。物価上昇率は2けたに達する勢いで、足元で経済成長が減速するなか、中央銀行は19日に1年8カ月ぶりの利上げを決めた。世界経済の牽引役と期待されるインドだが、「2011年度に9%成長」という政府の目標には黄色信号がともっている。
 利上げが発表されたのはインド時間で19日夜。直後に始まった米株式市場では、ダウ工業株平均が9営業日ぶりに反落した。「インドの利上げが影響したため」。世界の主要メディアはこう伝えた。新興国の経済成長が鈍化すれば、米国の景気回復にも重荷になるとの思惑が広がった。
 インド中銀が4月の政策決定会合を待たずに政策金利の引き上げに踏み切ったのは、15日に発表された2月の卸売物価指数の上昇率が前年同月比で9.9%に達したからだ。昨夏の記録的な少雨の影響で、農作物などの食料品価格が急上昇し、直近でも16.3%増と高止まりを続けている。上昇は、工業品などにも広がり始めた。
 拍車をかけたのが、政府が2月末に打ち出した物品税の引き上げだ。景気対策で拡大した財政赤字に歯止めをかけるため、2%引き上げた。自動車最大手のスズキは最大で1万3千ルピー(約2万6千円)の値上げを発表、韓国LGなど家電業界でも値上げの動きが相次ぐ。市場では今後も政策金利の利上げが続くとの見通しが高まっている。
 足元のインドの実質国内総生産(GDP)の成長率は09年10〜12月が前年同期比6.0%と、前期の7.9%から減速。個人消費にかげりが見え始め、政府の最終消費支出の伸びもマイナスに転じた。このタイミングで利上げに踏み切ったのは、目先の経済成長より物価の安定を優先したからだ。20日には牛乳値上げに反対する大規模な抗議デモがニューデリーであり、警官隊との衝突で負傷者も出た。国民の不満は高まっている。
 一方、食料品価格に加えて、財政赤字もインフレ要因として台頭している。
 2月末に発表された10年度の当初予算案では、借り換えを含む市場からの政府の借入額は、今年度をさらに上回る見通し。税率引き上げなどにより歳入の確保をはかるものの、歳出規模は09年度の当初予算比で8.6%増となる見込みで、この1年ですでに1%ほど上昇した長期金利の行方が懸念されている。
 国立応用経済研究所のカナイヤ・シン上級研究員は「食料品価格は、天候次第でいずれ落ち着く可能性があるが、当面、インフレ圧力はおさまらない。中長期的な経済成長率は、良くても7.5%程度ではないか」と話す。
 第一生命経済研究所の西浜徹副主任エコノミストは「そもそも中国に比べ物価統制色が弱く、供給能力も限られているインドは、インフレが起きやすい体質にある。今年度末時点でGDP比86%程度と予想される公的債務残高も懸念材料だ」と話している。

◎インド中央銀行、利上げを発表、インフレ懸念に対応(2010年3月21日、朝日新聞)
 【ニューデリー=高野弦】インド準備銀行(中央銀行、RBI)は19日夜、政策金利を0.25%引き上げて5.0%にすると発表した。インフレ懸念が高まっているためで、利上げは08年7月以来。減速し始めた経済成長の行方に影響する可能性もある。
 即日実施。市中銀行が中央銀行に余剰資金を預け入れる際のリバース・レポ金利も0.25%引き上げて3.5%とした。RBIは声明で「最近の非食料品の価格上昇を考慮に入れれば、(金融危機時に導入した)低金利はインフレ期待を悪化させる可能性がある」と述べた。
 物価上昇の直接の引き金は、昨年の雨期(6月〜9月)の記録的な少雨だった。農産物の不作で食料品価格が上昇、直近では前年比16.3%に達した。RBIは物価上昇が、鉱工業生産の持ち直しやエネルギー価格の上昇と相まって、一般物価のインフレ期待にも影響を及ぼし始めたと分析。2月の卸売物価指数の上昇が9.9%に達し、RBI予想の8.5%を上回ったことに懸念を表明した。
 インドの昨年10月〜12月の実質国内総生産(GDP)成長率は前年同期比6.0%で、前期の7.9%から減速。RBIは1月の政策決定会合で「景気回復はなお確たるものになっていない」として利上げを見送っていた。
 G20を構成する主要国では、オーストラリアが昨年10月に経済危機後で初めて利上げに踏み切った。

◎露、インドに原子炉16基建設へ、戦略関係強化(2010年3月13日、読売新聞)
 【ニューデリー=新居益】インドを訪問したロシアのプーチン首相は12日、ニューデリーでシン首相と会談し、ロシア製空母の売却や原子炉16基の建設など、軍事・エネルギー分野を中心とした戦略関係の強化を確認した。
 インドのPTI通信によると、首脳が合意した取引総額は、100億ドル以上に達する見通し。
 シン首相は会談後に声明を発表し、「原発建設のロードマップ」で合意したことを明らかにした。AFP通信によると、プーチン首相に同行したロシアのイワノフ副首相は12日、ロシアがインドの3か所で16基の原子炉を建設することで合意した、と述べた。ロシアは現在、インド南部で原子炉2基を建設中。
 軍事面で両首相は露空母「アドミラル・ゴルシコフ」の売却額で合意に達し、ロイター通信によると、2012年末までに引き渡される。シン首相は、プーチン首相の訪印前の10日、内閣安全保障委員会で、この空母を約23億4000万ドル(約2114億円)で購入する承認を取り付けていた。この空母は04年、売却で基本合意したが、その後、決裂していた。このほか、ミグ29戦闘機29機などの売買でも合意した。
 インドは米印原子力協力協定(08年調印)を契機に、米国とのエネルギー協力、合同軍事演習、テロ情報交換などを活発化させ、戦略関係を拡大している。しかし、シン首相は昨年12月に訪露、冷戦期以来の友好国ロシアとも関係を強化し、多角的な外交関係の構築を図っている。

◎インドで女性議員3分の1法案が上院通過(2010年3月9日、産経新聞)
 【ニューデリー=田北真樹子】インド上院は9日、下院と各州議会で、それぞれ3分の1の議席を女性議員枠とする憲法改正法案を可決した。8日、上院は法案に反対する議員の議事妨害が相次ぎ休会に追い込まれていた。法案は下院に回される。

◎東芝、インド国営企業と合弁企業、電力事業拠点確保狙う(2010年2月20日、朝日新聞)
 東芝は、インド国営企業のバーラト重電機と、送変電・配電機器の製造販売で、合弁企業設立を検討する。6月の設立を目指す。経済成長に伴い電力需要が増えるインドに拠点を確保する狙い。インド外への機器販売も検討する。

◎レストランで爆弾テロ、9人死亡、インド西部(2010年2月15日、朝日新聞)
 【ニューデリー=武石英史郎】インド西部プネのレストランで13日夜、爆弾テロがあり、地元当局者によると9人が死亡し、60人が負傷した。このうち死者2人と負傷者12人は外国人だった。インドの大都市でのテロは、2008年11月に166人が死亡したムンバイの同時テロ以来、1年3カ月ぶり。
 現場は、欧米人に人気のヒンドゥー教道場や、ユダヤ教宗教施設が集まる一角にある「ジャーマン・ベーカリー」。多くの客で混雑する夕食時の店内で、従業員が持ち主不明の荷物を見つけ、開けようとした途端に爆発した。
 ムンバイのテロを首謀したとされるパキスタンのイスラム過激派ラシュカレトイバの構成員で米国籍の男が昨年10月、米連邦捜査局に逮捕され、調べから、ムンバイのほかにプネの現場周辺を下見していた疑いが浮上。インド治安当局が警戒を強めていた。
 印パ両国はムンバイ・テロ以来途絶えていた包括対話の再開に向け、外務次官級協議を今月25日に開催することで合意したばかり。事件を受けて14日、野党のインド人民党が協議再開に反対を表明しており、関係改善の動きに水を差す可能性がある。

◎新日鉄がインドで鋼板生産へ、鉄鋼大手で初、タタと合弁(2010年1月28日、産経新聞)
 新日本製鉄は28日、インド第2位の鉄鋼メーカー、タタ製鉄と共同出資で、自動車用の鋼板を生産する合弁会社を6月をめどに設立すると発表した。日本の鉄鋼大手4社でインドでの現地生産に乗り出すのは初めて。JFEスチールもインド鉄鋼大手との包括提携を昨年11月に決めており、急成長を続けるインドの需要を取り込む動きが加速しそうだ。

◎カシミール停戦ライン挟み印パ銃撃戦、インド兵1人死亡(2010年1月11日、朝日新聞)
 【ニューデリー=武石英史郎】インド北部ジャム・カシミール州プーンチ近郊で11日、停戦ラインを挟んだパキスタン側から銃撃があり、PTI通信によると、インド側の国境警備兵1人が死亡した。インド側は反撃し、銃撃戦は約30分間続いた。インド陸軍当局者はAP通信に対し「銃撃はパキスタン軍の詰め所からあった」と述べた。
 同ライン付近では、2003年に両国が停戦に合意しているが、散発的な衝突が続いていた。同州内では最近、パキスタン軍との関係が指摘されるイスラム過激派の活動が活発化しており、インドの治安当局は警戒を強めていた。

◎インド北部にヒマラヤから寒波、33人凍死(2010年1月4日、読売新聞)
 【ニューデリー=新居益】インド北部で年明け以降、平年を5〜10度下回る寒波が押し寄せ、PTI通信によると、最低気温が7度まで下がった北部ウッタルプラデシュ州では、防寒用具のない貧困層ら少なくとも33人が凍死した。
 ヒマラヤ山脈ふもとから平野部に冷たい風が吹き下ろしている。

◎インドで爆破事件の元受刑者ら逃走(2010年1月3日、産経新聞)
 3日付のインド紙ヒンドゥスタン・タイムズなどによると、インド国内で1999年に起きた爆破テロなどに関与したとして逮捕され、最近刑期を終えてパキスタンに追放される予定だったパキスタン国籍の男3人が1日、ニューデリーで行方をくらました。
 警察当局は3人を「非常に危険な人物」として顔写真を公開、拘束に結び付く有力情報には5万ルピー(約10万円)の懸賞金支払いを表明し、発見に全力を挙げている。
 警察当局によると、3人は1日、病院で診断を受けた後、道路脇の軽食堂で昼食を取ったあとに行方が分からなくなったという。3人には警官1人が付き添っていた。

◎建設中の橋崩落、9人死亡50人行方不明、インド西部(2009年12月26日、朝日新聞)
 【ニューデリー=武石英史郎】インド西部ラジャスタン州のコタ近郊で24日夜、建設中の橋が崩落し、PTI通信によると少なくとも9人が死亡、約50人が行方不明になっている。
 現地からの報道では、現場では100人近くが作業しており、多数ががれきの下に生き埋めになったり、川に流されたりしたとみられている。橋は全長1400メートルで、韓国の建設会社と地元企業が施工。地元当局は過失による事故とみて、現場責任者を拘束した。

◎インド南部の州分割、混乱回避狙い一時凍結(2009年12月24日、読売新聞)
 【ニューデリー=新居益】インドのチダムバラム内相は23日夜、声明を発表し、先に打ち出していた、南部のアンドラプラデシュ州北西部を州に昇格させて同州を分割させる政府方針を一時凍結すると明らかにした。
 内相は声明で「状況は変わった。州内すべての政党と幅広い協議を行う必要がある」と述べ、凍結によって、分割反対派の暴動などによる混乱が続く事態の沈静化を図る考えを示した。
 ただ、分割推進派は内相声明を「裏切り」と非難しており、23日夜には暴動で数人が死傷した。24日からは2日間の日程でストが実施されるなど混乱はなお続いている。

◎ユニクロ、インド進出へ、2012年にも1号店(2009年12月18日、読売新聞)
 ユニクロを展開するファーストリテイリングは17日、インドに本格進出する方針を明らかにした。
 早ければ2012年にもユニクロ1号店を出店して商品を発売する。現地生産も大幅に拡充する。人口世界2位のインドを中国と並ぶアジアの生産・販売の拠点に育てる考えだ。
 インドは輸入衣料にかかる関税が高く、近隣国で生産した商品を販売するにはコストがかさむ。このため、ファーストリテイリングは08年末から現地メーカーに生産委託を始め、09年から衣料を出荷している。
 今のところ、インド製の商品は近隣国での販売用に限っているが、年明けから生産委託の拡大や合弁生産の検討に着手し、12〜14年をめどにインドの大都市に店舗を出す方針だ。
 ユニクロの海外出店は、01年の英国進出を皮切りに中国、香港、韓国、シンガポール、米国、フランスの7か国・地域に及ぶ。10年春にはモスクワ中心部に大型店を出店。タイ、インドネシア、オーストラリアなどへの出店も検討中だ。

◎インド南部の暴動、各地に飛び火、州分割めぐり大混乱(2009年12月15日、朝日新聞)
 【ニューデリー=武石英史郎】インド各地で地域主義が台頭している中、政府による州分割の動きに反発した市民が暴徒化する騒ぎが、各地で広がっている。一方、これに刺激された形で州からの分離を求める動きも活発化。多様な民族や言語に加え、富の分配や政治権力の拡大を狙った地域政党の再編の動きなどが絡み合い、世界最大の民主主義国家が揺れている。
 インド政府は15日夜、緊急の閣僚会議を招集し、事態の収拾策を協議する。
 発端となったのは、IT産業集積地ハイデラバードがある南部アンドラプラデシュ州の分割案。インド政府が、同州の一部を州に昇格させる手続きを始めたところ、反対派が一部で暴徒化した。
 州昇格の手続きが始まったのは同州北西部のテランガナ地方で、地元紙などによると、州昇格を求める地域政党の党首が11月末から断食を始め、10日目を過ぎたころから健康状態が悪化。支持者が騒ぎだし、混乱の拡大を恐れた中央政府は9日、州分割の手続き開始を発表した。
 これに対し、州分割に反対する他地域の住民は、鉄道駅を襲ったり、バスに放火したりして暴徒化し、3人が抗議の自殺を図った。反対派の国会議員が15日、抗議の断食を始め、州議会議員294人のうち130人以上が分割案に抗議して辞表を提出。14日から休会を余儀なくされた。
 同地方は州人口7600万人のうち3100万人を占め、州都ハイデラバードを除くと、開発から取り残された貧困人口が多い。独自の方言や文化があるとされ、1969年には、分離派と治安部隊が衝突し、約360人の死者を出した過去がある。
 同州の動きに触発され、西部マハラシュトラ州ナグプールでは「ビダルバ州」の分離を求める若者グループが14日、急行列車を乗っ取った。東部の西ベンガル州では「グルカランド州」の創設を求めるネパール系グルカ族が、観光都市ダージリン一帯の道路を一時封鎖。一部の活動家は無期限の断食を始めた。
 混乱に拍車をかけるように西ベンガル州で活動する反政府武装勢力・インド共産党毛沢東主義派が、同派の勢力下にある3地区の自治を要求すると発表した。北部ウッタルプラデシュ州でも、野党系の州首相が同州を3分割する案を中央政府に提案。これに対し、与党・国民会議派は「騒ぎに便乗して、混乱の火に油を注ごうとしている」と警戒感を強めている。
 インドには800以上の言語があるとされ、47年の独立後、言語圏に応じた州の再編が進み、現在28州がある。今年5月に開票された総選挙では、特定の州を基盤とした多数の地域政党が連合を組む動きを見せている。

◎化学世界3位買収、印石化大手が提案(2009年11月23日、日本経済新聞)
 【ニューヨーク=武類雅典】再建中の世界化学第3位ライオンデールバッセル・インダストリーズは21日、インドの財閥系石油化学大手リライアンス・インダストリーズから買収提案を受けたと発表した。買収金額など詳細は明らかにしていない。実現すれば、インド資本による化学業界の大型再編になる。
 ライオンデールバッセルは声明で「現金で経営権を買い取る申し出があった」と説明した。同社は欧州の化学大手バッセルが同業の米ライオンデール・ケミカルを買収して誕生したが、需要低迷や財務体質の悪化に直面。2009年1月に主要部門である米事業会社が米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請、再建計画の策定を急いでいる。
 ライオンデールバッセルの08年売上高は507億ドル(約4兆5000億円)だった。

◎インドのビザ厳格化、日本の大手にも飛び火(2009年10月29日、日本経済新聞)
 インドから大量の中国人労働者が帰国し始めた。インドには2万5000人の中国人が滞在していたが、そのほとんどが帰国しようとしている。このニュースを対岸の火事のように見ていたが、対岸ではなかった。前回のコラムの最後に触れたが、日本人技術者もインドを出国せざるを得なくなってきた。チェンナイでも、大手日系企業社員を中心に帰国が始まった。(竹田孝治)
 動きは今年の初めから起きていた。「第69回 日本を去るインドIT技術者と日本語教育の問題」でも書いたが、欧米の景気後退と、米国で2月に成立した景気対策法の一部として公的資金を受けた企業に米国人を優先的に採用することを課す規制が盛り込まれたことが発端である。

・「納税を企業が保証」が条件に
 景気対策法の影響がどれだけあったかはともかく、多くのインド人が米国から帰国せざるを得なくなった。世界同時不況による輸出の激減と欧米からの帰国により、大量のインド人技術者が仕事を失い、職を求めて列をなした。これに対しインド政府も、インドで働く外国人技術者を制限しだした。
 最初はインドに滞在する外国人の外国人登録やビザ延長の段階で厳しくなった。「日本人なら5万ルピー以上の給料をもらうのが当然だろう。給料が安いと、インド人でもできる仕事を奪うことになる」という論理である。何とか名目上の給料を増やし外国人登録事務所に日参してインドに残ることができた友人もいるが、日本に帰国せざるを得なかった友人もいた。
 次の段階では、就労ビザの発行そのものが厳しくなってきた。東京のインドビザセンターにおいても、従来どおりの書類を提出したのに認められないケースが続出しだした。前述の給料の問題に加えて、今度は新たに「納税を企業が保証すること」が追加された。その書類が提出されていないということでビザ発行が認められなくなった。

・中国人労働者の大量流入で方針転換
 日本人のビザだけではない。もっと厳しくなったのは中国人に対するビザ発給である。
 昨年初めのシン首相訪中に併せて、インド政府は中国人に対するビザ発給を緩和し、中国企業のインド進出が容易になった。しかし、中国企業は自国労働者を伴う形で海外進出をしている。
 その結果が2万5000人の中国人労働者の滞在である。他の国でも中国からの労働者流入に警戒感が広がっているが、インドでも自国の労働者の雇用になかなか結びつかない事態となった。
 そこでインド政府は今夏から方針を変更し、短期の商用ビザで繰り返し入国していた中国人労働者へのビザ発給を厳格化することを決めた。2万5000人のうち、就労ビザに切り替えることができた中国人労働者は3000人に過ぎず、2万人以上が帰国せざるを得なくなってきた。

・事件きっかけにさらに厳格化
 そのような状況のなかで、事件が発生した。9月23日、インド中部のチャッティスガル州で建設中の火力発電所の煙突が激しい雷雨の中で倒壊し、数十人の作業員が亡くなった。この発電所建設は中国・山東省の企業が受注し、中国から多くの技術者、労働者を連れてきていた。そのため事故に怒った住民がこれらの中国企業従業員を取り囲んだり、中国人従業員が逃げ出したりする騒ぎになった。
 この事件がインド政府のビザ発給厳格化を決定的にした。
 その飛び火は日系企業をも襲っている。大工場の立ち上げなどには、数百人規模の技術者がプロジェクトに参画するが、この「プロジェクト遂行」のための出張や滞在にも商用ビザではなく就労ビザが求められるようになった。
 一時的な問題ではあろうが、大変な騒ぎである。

・慣れない環境、サポート体制も課題
 日本企業のインド進出が急増するなかで、ビザ以外にも問題になっていることがある。こちらはインド政府の政策とは関係がない。商社マンなど海外勤務に慣れている人は別だろう、プロジェクト遂行のために短期で来る技術者にとっては生活環境が大変である。
 もちろん大企業は手厚いサポート体制を用意しているが、インドでは上手く機能しない。インドは東南アジアとは違う。東南アジアなら日本食を食べることも容易だし、リフレッシュする場所もある。しかしここでは三食とも慣れないインド食、リフレッシュする場所もない。
 筆者がやっている日本人技術者のインド研修でも、難しいのはこの2点である。食事は徹底してカレーを排除してインディアン中華をベースとする。キッチンの衛生状態を日々チェックする、薬用石けんによる手洗いの励行、1週間に1回は日本食を用意し、週末には必ず観光も入れる。
 それでも慣れない環境で落ち込む人もいるし、暑さで体調を壊す人もいる。体調を壊した場合には特別食の用意と病院である。インドでは日本の薬など無用の長物である。絶対に効かない。インドのウイルスにはインドの薬しか効かない。
 こういうサポート体制まで作れている日本企業は皆無であろう。日本の本社で対策を考えても、インド人スタッフが考えても、有効な対策は生まれない。しかし仕事は待ってくれない。体調を壊しても働かなければならない現実がある。

・韓国コンビニはなぜ酒を置ける?
 中国、日本ときたので、次は韓国企業のインド進出をみてみよう。チェンナイには現代自動車とサムスン電子という韓国を代表する企業の工場がある。チェンナイだけで3000人以上の韓国人が滞在していると聞く。インド全体における日本人とほぼ同数の韓国人がチェンナイという一都市に滞在している。
 先日、チェンナイの中心部で新しい韓国コンビニを偶然に見つけた。どんな商品を並べているのか、のぞいてみた。一般的な韓国食材が並んでいるが、一番上の棚を見て驚いた。堂々と韓国の焼酎が置かれている。
 ここタミール州は特に飲酒に関して厳しい。酒は国営企業でしか売ることができないし、レストランで飲酒できるのは3スター以上のホテルだけである。それが市内中心部のコンビニで堂々と酒を売っているのである。たしかに筆者が普段から通っている韓国レストランでも堂々と酒を飲める。こんなことは韓国レストランだけで、他のレストランがやればすぐに警察に摘発される。
 韓国コンビニや韓国レストランは賄賂でも使っている? そんなことはない。酒に関して賄賂は効かない。それでもタミール州政府も警察も、韓国コンビニとレストランを取り締まらない。

・強い韓国勢を支えるシステム
 実は韓国は、現地の韓国人をサポートするため官民を挙げた支援体制を敷いている。韓国政府高官は定期的に州政府を訪問し、大企業は部品を運ぶコンテナ船に韓国食材や酒を積んでくる。それがコンビニやレストランの棚に並ぶ。「自国民の飲食のため」という理由で堂々と運んでくる。これは密輸でも何でもない。出張者が自分で食べるための食材を持ってくるのと同じ扱いである。
 現代自動車はパトカーを警察に寄贈している。パトカーが現代製だから韓国レストランを取り締まれないということはないだろうが、現実はそうである。
 乗用車のシェアはインド全体ではスズキがトップだが、チェンナイでは現代の車が非常に目立つ。携帯電話ではノキアとサムスン電子が争っている。家電はサムスン電子がトップ。以前のコラムでも書いたが、LGエレクトロニクスの電気製品のサポート体制も素晴らしい。強い韓国勢を支えるシステムが出来上がっているようである。

・インド経済はあいかわらず好調
 さて、日本企業と中国企業には厳しいインドであるが、経済全体は相変わらず絶好調である。報道によると、10月第1週の卸売物価指数(WPI)は前年同期比0.92%上昇し、前週の0.7%上昇をさらに上回った。10年3月末までの上昇率は、インド準備銀行(中央銀行)が目標とする5%前後を上回り、最大8%にも達する可能性があるとのことである。
 スズキが24日発表した7〜9月期の純利益は、前年同期比92.5%増の57億ルピー(約113億円)だった。主力の小型車の国内販売が伸び、1月から本格化した輸出も好調。売上高は同46.7%増の704億9580万ルピーに伸びた。
 IT企業も回復しだしたようだ。前回のコラムではIT企業による従業員のアパート確保について書いたが、数字にも表れてきた。
 ソフトウエア輸出でインド2位のインフォシス・テクノロジーズの09年7〜9月(第2四半期)決算は、純利益が154億ルピーで前年同期比7.7%増の増益となった。手元にドル建ての数字がないので、ドル建てで増加しているかどうかはわからないが、10年3月期の予想売上高は、7月に示した44億5000万〜45億2000万ドルから46億〜46億2000万ドルへと上方修正された。
 最後になるが、先々週の17日土曜日は光の祭典、インドのお正月である「ディワリ」の祭りであった。弊社の子会社で働く日本人インターンシップ生にとっても初めてのディワリである。
 当日は、朝4時から爆竹で起こされたようだ。それから1日、爆竹と花火で悩まされることになる。とにかく360度どこを見ても花火と爆竹、それは圧巻である。日本企業もあやかりたいものである。

◎インド:豪雨で洪水、230人死亡、150万人が家失う(2009年10月5日、毎日新聞)
 【ニューデリー支局】インド南部で集中豪雨による洪水が発生している。AFP通信によると、5日までに230人以上が死亡、家屋を失った住民は150万人近くに上った。孤立した集落に軍の救援隊が向かうなど救助活動が続けられている。
 約20万軒の家屋が被災した最大の被災地カルナタカ州の災害対策担当者は「犠牲者の多くが倒壊家屋の下敷きになったり、洪水にのまれて水死した」と語った。同州では約100万人が家屋を失い、35万人以上が救援キャンプに避難している。被災者向けの食料や医薬品などの円滑な輸送が課題という。

◎牛の尿でインフル撃退、インドで人気(2009年9月5日、産経新聞)
 新型インフルエンザによる死者数が増加しているインドでは、政府が治療薬の流通を規制するなか、牛の尿の抽出物を用いた療法やギーと呼ばれる澄ましバター、ハーブ薬品などを求める人が増えている。何百年も昔から受け継がれてきたインドの伝統療法、「アーユルヴェーダ」で免疫力を強化し、感染を予防するためだ。
 8月3日、インド政府は同国南西部プーンで国内初の新型インフルエンザによる死者を報告し、現時点ですでに100人以上が死亡している。スイス製薬会社ロシュのインフルエンザ治療薬「タミフル」は、政府が地域感染時における病院での供給量を確保するため流通規制をかけており、国民は市場に出回っている未認可の医薬品に加え、アーユルヴェーダによる予防策を取り入れている。
 未認可の治療法が利用され始めたことで、医療福祉支出が下位50カ国に入るインドのインフルエンザ対策の難しさが浮き彫りとなった。同国保健・家族福祉省の下部委員会の調査によると、インドのアーユルヴェーダ治療薬の売上高は年間約16億ドル(約1481億円)に達し、年率12%の割合で伸びているという。
 同委員会は8月、インフルエンザの深刻な症状が現れた場合には指定病院で検査を受け、タミフルなど認可済み治療薬による治療を行うよう国民に呼びかけた。一方、軽症であるか症状が出ていない場合には、伝統的療法によって免疫力を高めることも有効であるとしている。
 アーユルヴェーダは身体、心、感情を調和させ、病気を事前に防ぐことを目的とした全体観的な療法だ。
 「牛を由来とする薬剤の研究を行う」インドのNPO(非営利法人)ゴーヴィギャン・アヌサンダン・ケンドラのアーユルヴェーダ専門医師、ゴパル・ヴォーラ氏は、インフルエンザ予防治療として牛の排泄(はいせつ)物からの抽出物や凝乳(カード)、牛乳、ギーなどを混合したものを使用しているという。
 またヨガの指導を行う団体ディアン・ファウンデーションでは、温めたギーを鼻から吸い込んだり、カラシ油で足をマッサージすることでインフルエンザに対する免疫力を強化するよう勧めている。
 ハーブ治療薬の製造やアーユルヴェーダ診療所の経営を行う有限会社、ケララ・アーユルヴェーダのエグゼクティブ・ディレクター、K.アニルクマール氏が先月話したところでは、インフルエンザの予防薬を求める患者数が2〜3週間で15〜20%増え、ハーブ治療薬の売上高も同時期1割ほど増加した。
 一方ニューデリーで8つの病院・診療所を経営するマックス・インディア傘下マックス・ヘルスケア病院の小児科部長、ラフール・ナグパル氏は、「アーユルヴェーダの治療薬に反対するわけではないが、患者に何らかの薬剤を処方する際には効能を示す十分な検証が必要だ」と語った。

◎インドの水爆「威力不十分、再実験が必要」、科学者証言(2009年8月27日、朝日新聞)
 【ニューデリー=武石英史郎】98年のインド地下核実験にかかわった幹部の科学者が27日、当時実施した5回の実験のうち、水爆実験について「威力は不十分だった」と証言した。インドは包括的核実験禁止条約(CTBT)への署名を拒否する一方、新たな核実験の凍結を表明しているが、国内で再実験を求める声が高まる可能性がある。
 証言したのは、核物理学者のK・サンタナム博士。核実験当時、国防省傘下の国防研究開発機構の代表として、インド西部ポカランの核実験場の準備を担当した。27日付の地元紙タイムズ・オブ・インディアに対し、「地震波の計測などから、熱核反応装置(水爆)の威力は、公表されたものより、かなり低いものだった」と証言した。
 98年の実験直後、インド政府は2日に分けて原水爆実験を計5回実施したと発表。このうちの1回は水爆で威力は43キロトンとしていた。当時から米国などの専門家の間で、その規模に疑問が出ていたが、インド側の当事者から裏付け証言が出たのは初めて。
 博士は朝日新聞の取材に証言内容を認め、「実験結果が不十分だったことは科学者の間で当時からよく知られており、再実験が必要だ。CTBT加盟をめぐる議論が高まる中、警鐘を鳴らしたかった」と述べた。
 CTBTをめぐっては、オバマ米大統領が今年4月、批准を拒否してきたブッシュ前政権の方針を転換し、「批准を目指す」と明言。7月の主要国首脳会議(G8)でも、早期発効に向け「努力を強化する」首脳声明が出され、インドに署名を促す国際的な圧力が強まっていた。

◎17億人の「自由貿易圏」誕生、ASEANとインド署名(2009年8月13日、朝日新聞)
 【バンコク=高野弦】インドと東南アジア諸国連合(ASEAN)は13日、自由貿易協定(FTA)に署名した。約17億人の人口を抱える巨大な「自由貿易圏」が誕生することになり、ASEAN地域に拠点を置く日本企業の対インド戦略にも影響しそうだ。
 協定の発効は10年1月。約5千の貿易品目のうち、71%の品目について13年までに関税を撤廃、9%を16年までに撤廃する。除外品目は489品で、うち農業関連が302、繊維が81、機械・自動車関連が52、化学製品が32を占めた。ラオスやカンボジアなど後発加盟4カ国には5年間の猶予がもうけられた。
 ASEANとインドの貿易総額は08年に約470億ドル(約4兆5千億円)だが、「協定発効の効果で600億ドルに達する」(ポーンティワー・タイ商務相)としている。
 ASEAN域内には、自動車や電機産業を中心に多くの日系企業が集積している。タイとインドが04年に先行して始めたFTA(アーリーハーベスト)では、工業製品を中心にタイからの輸出が大幅に拡大した。「内需が成長を牽引(けんいん)するインドに向けたモノの流れが加速する」(日本貿易振興機構アジア大洋州課の助川成也氏)とみられる。
 除外品目に機械・自動車部品などが含まれたが、交渉に同行しているインド商工会議所連盟のミトラ事務局長は朝日新聞に「この分野だけで100を超える項目があり、半分以上の項目は、関税削減の対象になる。日系企業にも当然便益が及ぶ」と話した。
 ASEANとインドとのFTA交渉は04年にスタートしたが、インド側が1414もの除外品目を要求し、交渉が長引いていた。しかし、インドには東アジアで進む自由貿易の流れに取り残されることへの危機感が強く、今年5月の総選挙で与党が圧勝したこともあって署名にこぎ着けた。インドは今月、韓国との署名も終えており、自由貿易の動きを加速させている。
 ASEANはすでに日本、中国、韓国、豪州、ニュージーランドと協定を締結。インドとの署名を終え、日本が「東アジア自由貿易圏」として提唱する国のすべてがASEANの締結対象となった。

◎世界的富豪兄弟がけんか、インド政府板挟み(2009年8月12日、読売新聞)
 【ニューデリー=永田和男】インド最大の財閥「リライアンス」を率い、米フォーブス誌の世界富豪十傑にそろって名を連ねる兄弟が、ベンガル湾の天然ガス開発を巡って対立を深め、間に入ったインド政府を当惑させている。
 リライアンスは、ディルバイ・アンバニ氏が一代で築いた、石油事業を中核とする巨大企業グループ。2002年の同氏死去後、長男ムケシュ(52)、次男アニル(50)両氏がことあるごとに対立、05年にグループは兄弟間で事実上二つに分割された。
 今回の2人の対立は、リライアンスが02年に発見した埋蔵量3000億立方メートルと言われる大型ガス田を巡るもの。兄弟間では04年、兄の企業が採掘するガスを、弟企業がインド北部ウッタルプラデシュ州で行う電力事業に供給することで合意。ところが、06年にインド政府が、このガス田で採掘されるガスにつき、兄弟間で合意した額の倍近い単価を設定。これを受け供給側の兄ムケシュ氏は、兄弟間合意を無効にして政府価格を適用すると主張し、弟との訴訟合戦に突入していた。
 政府はリライアンスには採掘権を与えただけとの立場から、国際相場より低い兄弟合意の価格が適用されれば国のガス田使用料収入が減ってしまうとして、新価格を提示したものだ。だが、ムンバイの高裁は6月、先に成立していた兄弟間合意の価格を有効と判断。兄ムケシュ氏と政府はそれぞれ最高裁に上訴したが、弟アニル氏は7月末、高裁判断に従わない政府は「兄に肩入れしている」と批判した。
 国会では、野党社会党がデオラ石油・天然ガス相の辞任を要求。同党は弟アニル氏が電力事業を計画するウッタルプラデシュ州が地盤。デオラ石油相は「介入は国の資源を守るため」と弁明したが、一方で左派共産党などは「ガス田を全面国有化しておけばトラブルもなかった」と、自由化路線と介入を行う現政権の矛盾を突くなど、国会は7日の閉幕まで兄弟対立による紛糾が続いた。

◎インドの雨不足、砂糖に打撃、28年ぶりの高値に(2009年8月12日、朝日新聞)
 【ニューデリー=高野弦】インドで農作物の育成に欠かせない降雨が足りず、国内外の経済に影響が広がり始めた。主要産品の粗糖(精製前の砂糖)の国際価格は28年ぶりの高値をつけ、日本内の精糖業者も砂糖の出荷価格の引き上げに動き出した。
 粗糖の値動きの指標になるニューヨーク先物の価格は、10日の取引時間中に1ポンドあたり22.44セントを記録。この2カ月で5割も値上がりし、1981年以来の水準になった。日本国内の精糖各社は1日から、砂糖の出荷価格を1キロ6円引き上げている。
 粗糖値上がりの最大の理由は、ブラジルに次ぐ世界2位の生産国インドが不作になるとの予想だ。インドでは例年6〜9月にモンスーン(雨期)を迎えるが、今年は雨が少なく、6月から8月5日時点までの降雨量は例年の4分の3にとどまっている。
 そもそもインドでは、昨年に高値をつけた小麦などへの転作がすすみ、サトウキビの需給が逼迫(ひっぱく)していた。そこに雨不足が追い打ちをかけた。市場関係者はさらに「投機マネーが流れ込み、価格を押し上げている」とも話す。
 雨不足は、世界経済の牽引役が期待されるインド経済全体にとっても懸念材料だ。農業は国内総生産(GDP)の2割弱を占め、就労人口の約6割が従事。すでにコメの作付けなどに影響がみられるという。有力シンクタンク「インド経済モニタリングセンター」は10日、雨不足などを理由に4〜6月期のGDP成長率が前年同期比4.7%増に減速するとの見通しを発表した。

◎インドの自動車販売3割増、都市部伸び「ナノ」効果も(2009年8月11日、朝日新聞)
 【ニューデリー=高野弦】インド自動車工業会が10日発表した7月の乗用車の国内販売台数は前年同月比約29%増の14万7642台だった。「世界最安」をうたう「ナノ」など新車が相次いで投入されたことに加え、リーマン・ショック以降低調だった都市部の販売が大きく伸びた。
 約50%の販売シェアがあるスズキは約28%増。5月に投入した「リッツ」(日本名スプラッシュ)など上級小型車が好調だった。「疲弊していた都市部の販売が戻ってきた。市場は本格的な回復基調に入った」(同社幹部)。
 7月17日に「ナノ」を売り出した地場最大手のタタ・モーターズは約25%の増で、4〜6月の累計約3%減から好転。ナノ販売台数は半月で2475台に達し、同社全体の1割強を占める。契約販売店のサンヤ自動車(ニューデリー)のビシット副社長は「銀行の貸し渋りが緩和され、販売が急速に回復している」と話す。
 また、企業の投資意欲を反映する商用車も7月は前年同月比約10%増の3万7624台で、4〜6月累計の約13%減からプラスに転じた。

◎韓国、インドと経済連携、日本に先駆け締結(2009年8月7日、朝日新聞)
 【ソウル=稲田清英】インドと韓国は7日、ソウルで包括的経済連携協定(CEPA)に正式署名した。発効後8年以内に、輸入額の8割前後の品目で互いに関税を撤廃するのが柱で、サービスや投資分野なども含む。インドと同様の交渉を進める日本に先駆けての締結になった。
 すでにインドは国内手続きを終えており、韓国国会の承認を経て来年1月の協定発効をめざす。
 締結により、インドは韓国からの輸入額の約75%にあたる品目で8年以内に関税を撤廃し、最大の輸入品の自動車部品は現行の12.5%から1〜5%に引き下げる。韓国は同様に約85%で関税を撤廃する。一方、農業への打撃を抑えるため、農産物の多くは開放対象から外した。
 また、サービス関連の専門人材の進出も相互に開放。コンピューター専門家などインドが競争力を持つIT人材の韓国への進出が拡大する可能性がある。
 CEPA締結により、韓国側は「競争相手の日本や中国、EU(欧州連合)などに先駆け、インド市場で特恵を受ける法的根拠を確保できた」(外交通商省)とし、輸出拡大に期待を寄せている。
 韓国は世界各国・地域との自由貿易協定(FTA)締結を積極的に推進中で、米国やEUともすでに合意している。

◎新田ゼラチン、インドに新工場建設、原料生産能力15%増に(2009年7月29日、日本経済新聞)
 ゼラチン製造で国内最大手の新田ゼラチン(大阪市、曽我憲道社長)は牛由来のゼラチン原料を生産する新工場をインドに建設する。約6億円を投じて2011年1月に稼働させ、原料の生産能力を約15%高める。医薬品のカプセルや食品のとろみ剤などで世界的にゼラチン需要が高まっているのに対応する。
 インドでの工場は3カ所目で、現地関連会社を通じて北西部のグジャラート州に建設する。牛の骨からゼラチンの原料となるたんぱく質「オセイン」を抽出し、インドと日本のゼラチン製造工場向けに出荷する。原料の年間生産能力は約2000トン増える見通しだ。
 常温で溶けやすいゼラチンは食品のとろみ剤や医薬品のカプセルなどに使われる。インドでは主に後発医薬品の生産増加でゼラチンの需要が拡大しており、日本でも総菜や介護食向けに引き合いが強まっているという。同社の売上高は09年3月期で205億円。

◎インド、初の国産ミサイル原潜「敵を滅ぼす者」(2009年7月26日、読売新聞)
 【バンコク=永田和男】インド初の国産原子力潜水艦「アリハント」の進水式が26日、シン首相が出席して南部アンドラプラデシュ州で行われた。
 国産原潜を開発したのは米、露、英、仏、中国に続き6か国目。
 「敵を滅ぼす者」を意味するアリハントは、試運転を経て2011年に就役する予定。核弾頭搭載可能なK15ミサイル(射程700キロ)が配備され、インドは小規模ながら、爆撃機、地上発射型弾道ミサイル、ミサイル原潜という核弾頭運搬の3本柱を手に入れる。インドの核政策では先制核攻撃を禁じており、地上のミサイル基地や航空戦力が全滅した後も潜行を続け報復攻撃を行える原潜の開発を重視していた。
 インドは、08年にK15の水中発射実験に成功し、後続のKX(射程3500キロ)も開発中だ。

◎インド、中国製品の輸入規制強化、アルミなどに高率関税(2009年7月19日、日本経済新聞)
 【ムンバイ=小谷洋司】インド政府が中国製品の輸入規制を強めている。輸入急増で国内企業が被害を受けているとして、一部のアルミ製品に最高30%の関税を導入。鉄鋼製品やタイヤの輸入規制も検討している。対中貿易赤字の急増や国内景気の減速が背景で、二大新興国の間で貿易摩擦が高まりかねない情勢だ。
 インド政府は6月、建設資材や各種容器などに使うアルミ鋼板とアルミ箔を対象に、特別セーフガード(緊急輸入制限)措置として最大30%の関税を課した。「国内産業に混乱をもたらしている」(財務省)と判断した。期間は2011年3月まで。国内アルミ最大手などが規制を求めていた。

◎インド、2028年に中国抜き人口世界一に=統計庁(2009年7月11日、朝鮮日報)
・韓国は2050年に641万人減の4234万人
 2028年からはインドが中国を抜き、世界で最も人口の多い国になるという見通しが発表された。一方、韓国の人口は2050年までに641万人減り、人口の順位が現在より20段階も下がるものと予想されている。統計庁は今月11日の「人口の日」にちなみ、報告書「世界および韓国の人口現況統計」で、「2028年にインドの人口は14億6400万人に達し、中国の人口14億6000万人を抜き、世界一の人口大国になるだろう」という展望を明らかにした。
 今年の中国の人口は13億4600万人で、世界一だ。次いでインド(11億9800万人)、米国(3億1500万人)、インドネシア(2億3000万人)となっている。しかし、2028年から中国とインドの人口が逆転し始め、2050年になるとインドの人口は16億1400万人に達し、中国の14億1700万人よりも約2億人多くなると推測されている。
 統計庁のチョン・ベックン人口動向課長は「中国は出産抑制政策を施行し、インドより出産率が低いため」と説明している。2005〜10年のインドの合計特殊出生率(一人の女性が一生に産む子供の数)は2.76人だが、中国は1.77人だ。
 韓国でも少子高齢化が早く進み、現在の人口4875万人が2050年には4234万人へと641万人減少する、と統計庁では予想している。これほどの人口減少幅は、経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国のうち、日本(2550万人)、ドイツ(1166万人)に続き3番目に多い。このため、韓国の人口順位は2009年の26位から2025年には32位、2050年には46位へと下がり続けるものとみられている。また、韓国における65歳以上の高齢者人口比をみると、2010年は11.0%でOECD加盟国中27位だが、2050年には38.1%で1位になる見通しだ。

◎「同性愛は犯罪でない」植民地以来の刑法解釈覆す、インド(2009年7月2日、読売新聞)
 【ニューデリー=永田和男】インドのデリー高裁は2日、同国内では初めて、成人間の合意に基づく同性愛行為は犯罪に問えないとの判決を下した。
 英植民地時代から150年近く続くインド刑法には、「自然の秩序に反する肉体的交合」は違法との条文があり、訴追されれば罰金と10年以下の禁固刑が科せられる。判決は、条文は当事者間の合意がない場合や未成年者(18歳未満)との行為にのみ適用されるとし、同性愛行為はすべて違法とした従来の解釈を覆した。
 実際に訴追されたケースはまれだが、国内の人権団体は2001年以来、成人間の合意に基づく行為は合法と認めるよう訴えを起こしていた。判決を受け、今後は国会で刑法条文の見直しが始まる見通しだ。民間活動団体(NGO)「人権ウオッチ」は判決を歓迎し、「同性愛を犯罪とする法律は植民地主義の名残だ」と条文の撤廃を求めた。
 同団体によると、かつて英植民地だったアジアとアフリカの少なくとも35か国・地域で、同性愛を違法とする植民地時代の法律がなお存続している。

◎インド自動車大手タタ赤字転落、買収のジャガー不振響く(2009年6月27日、読売新聞)
 【シンガポール=実森出】インド自動車大手のタタ自動車が26日発表した2009年3月期連結決算は、税引き後利益が250億ルピー(495億円)の赤字に転落した。
 前期は216億ルピー(427億円)の黒字。タタの税引き後赤字は02年3月期以来7年ぶりとなる。
 世界的に自動車販売が減速する中で、08年6月に23億ドルで買収し、連結対象となった英高級車ブランド「ジャガー」「ランド・ローバー」の不振が響いた。タタはすでに2000人を削減したが、さらなる人員削減と工場の閉鎖を検討しているという。

◎インド少雨、消費支える農村に影、日系企業も懸念(2009年6月27日、朝日新聞)
 【ニューデリー=高野弦】インドで農産物の収穫をもたらす雨期の到来が遅れ、懸念が広がっている。農業はインドの国内総生産(GDP)の2割弱を占め、経済活動に占める比重は大きい。農村消費の恩恵を受ける日用品や二輪車のメーカーを中心に、株式市場にも影響が出始めた。
 インドでは例年、6月初旬に南部で降雨をもたらすモンスーン(季節風)が始まり、徐々に北上して9月まで続く。コメなどの収穫を左右する。ところが、今年は大幅に遅れ、気象庁は24日、同日までの全国の降雨量が例年の半分程度に過ぎないと発表した。
 これを受けて、25日のムンバイ株式市場は下落。二輪車や日用品メーカーなどの落ち込みが目立った。二輪車で5割のシェアがあるホンダの現地法人「ヒーロー・ホンダ」の中川敏彰社長は「販売への影響は避けられないとみている。最近は地方の販売の伸びが大きく、どの程度の影響が出るのか心配だ」と話す。
 インドでは、就労人口の6割が農民のうえ、灌漑(かんがい)設備が未整備のため、天候が経済活動に与える影響は大きい。過去4年は雨に恵まれ、世界的な経済危機の中でも、活発な内需を支える要因になってきた。

◎モンスーンが来ない、干上がるインド、物価高騰を危惧(2009年6月24日、産経新聞)
 【ニューデリー=田北真樹子】例年6月ごろから9月まで、酷暑のインドを潤すモンスーン(雨期)の到来が遅れており、深刻な水不足への懸念が強まっている。政府は24日、モンスーンによる降水量は例年を下回るとの見通しを発表した。雨水に依存する農産物が影響を受けるのは必至で、不作による物価高騰が危惧(きぐ)される。景気回復の足かせになりかねないだけに、シン政権もモンスーン前線の動きを注視している。
 地元紙では、ここ数日、雨ごいの儀式を行う農民の写真が一面を飾っている。南から北上し、この時期、インドの大半を覆うはずのモンスーンは、今年は6月下旬になっても、西部マハラシュトラ州の一部から北東に向けたベンガル湾沿いの一部にしか到達しておらず、国土のほとんどを干上がらせている。
 インド気象庁によると、6月前半の全国の降水量は39.5ミリで、例年(72.5ミリ)の約45%減だった。北部のパンジャブやウッタルプラデシュなど8州では例年の6〜9割減という。
 インドは国土のほぼ半分が農地で、そのうち6割が雨水に依存する。農業はインドのGDP(国内総生産)の約2割を占め、農作物の不作はGDPを2%下げるといわれる。このため、今年の雨不足は経済に深刻な影響を与えそうだ。
 一方、北部や中部では、気温が例年を大幅に上回り、45度近くに達する日が続いている。生活飲料水の確保をめぐって住民同士の衝突も発生している。

◎「政府も警察もいらぬ」インドの農村、武装し自治宣言(2009年6月22日、朝日新聞)
 インド東部の貧困地域で、反政府武装組織インド共産党毛沢東主義派(毛派)に扇動された農民が、警官や政府職員を追い出し、自治を宣言した。「解放区」は250の村々に広がり、インド政府は対応に苦慮している。
 乾期のため耕す者のない荒れ果てた田園地帯。一本道が突然、行き止まりになった。インド東部の中心都市コルカタから車で約4時間。深さ1メートルほどの溝が何者かによって掘られ、先に進めない。さらに1時間ほど歩き、アンダルジョラ村にたどり着いた。
 家々は戸を閉め切り、静まりかえっている。見張り役の男に声をかけると、「みんな出てこい」と叫んだ。
 あっという間に男女約300人に取り囲まれた。鎌やくわ、キツネ狩りに使う弓矢、棒きれを手に武装している。「警官は手当たり次第、村人を逮捕しては、カネをせびる」「政府も警察もない方がましだ」と気勢を上げた。
 地元の西ベンガル州政府と村々の対立が始まったのは昨年11月。近くで起きた州政府首相を乗せた車列を狙った爆弾テロがきっかけだった。03年ごろから一帯に浸透を図っていた毛派の犯行とみられ、警察は深夜、民家を急襲したり、村人に暴行を加えたり、手荒い捜査活動をした。
 村人の反発に毛派が目を付けた。毛派の指導のもと「警察の残虐行為に対抗する人民委員会」が結成され、アンダルジョラを含む州内の250村に支部が作られた。
 中心集落ラルガルでは、毛派最高幹部の一人「キシャンジ」という人物が指揮、州政府関係者の暗殺を繰り返し、村人を扇動して警察施設や政府職員の住宅を襲わせた。アンダルジョラ村でも2週間前、州政府の駐在員を村人が追い出し、立ち木を倒して道路を寸断。自警団を結成し、警察の進入を拒んだ。
 背景には、貧困を解消できない当局の無策がある。村に通じる道沿いに古びた電柱が何本も立つが、電線はない。村人の一人は「選挙のたび州政府は電気を通すと約束するが、それっきりだ」と話す。
 事実上の「解放区」に危機感を抱いた州政府は18日から、大量の治安部隊を投入して毛派掃討作戦を開始。ラルガルの警察署を奪い返したものの、「毛派とともに生きる」と誓う村人に守られてゲリラ攻撃はなお続く。
 地元テレビによると、毛派が拠点を置く中部チャティスガル州で20日夜、毛派が仕掛けたとみられる地雷を警察車両が踏み、警官ら少なくとも12人が死亡した。(アンダルジョラ〈インド東部〉=武石英史郎)

◎第2次シン連立政権が発足、インド(2009年5月22日、朝日新聞)
 【ニューデリー=高野弦】インド総選挙で圧勝した国民会議派のシン首相は22日夜、大統領官邸で宣誓式を行い、首相に正式に就任した。閣僚となる19人も発表された。近く正式にポストが割り振られ、14年まで任期とする第2次シン連立政権が発足する。
 閣僚には、第1次政権のムカジー外務兼財務相、チダムバラム内相、アントニー国防相、ナート商工相らが含まれた。19人の具体的なポストや、ほかの閣僚メンバーについても間もなく決まる見通し。シン首相は16日の会見で、国民会議派のソニア・ガンジー総裁の長男ラフル・ガンジー氏(38)を入閣させる意思を示していたが、後継首相候補として党の支持基盤拡大に専念するため、入閣しない可能性が高まっている。
 安定した議会勢力を背景に、新政権は外資規制の緩和をはじめとした経済改革、国営企業株の売却などに取り組む方針。財政赤字が拡大する中で貧困層にも配慮した成長戦略をどう描くか、昨年11月のムンバイでのテロ以降冷え込んでいるパキスタンとの関係をどう再構築するかなどが当面の課題となる。

◎インド総選挙、殺人罪で拘束のマフィア対エリート博士(2009年4月18日、朝日新聞)
 有権者が7億人を超すインドの総選挙の投票が順次始まった。インド国民会議派とインド人民党(BJP)という全国区の2大政党の争いに加え、2大政党の経済成長路線から取り残された貧困層などを支持基盤にする「第3の勢力」が勢いを増している。2大政党と第3勢力が激突し、16日に投票があったヒンドゥー教の聖地バラナシで選挙戦を見た。
 今月13日午後9時すぎ。停電で真っ暗な貧民街の広場は、異様な熱気に包まれていた。「ムクタル・アンサリ候補を当選させれば、停電はなくなる。停電の責任を取らない電力会社の担当者は、すぐに絞首刑だ」。弁士が声を張り上げて過激な主張をすると、千人近い聴衆が「アンサリ万歳」と叫び始めた。
 4人の有力候補が争うバラナシ選挙区は「マフィアのボスと博士の戦い」と呼ばれた。地元マフィアの顔役と、2大政党が擁立するエリートの対決を例えたものだ。
 アンサリ氏はマフィアの1人。殺人などの罪状で起訴され拘束中。それでも「彼は庶民に薬をくれる」「娘の結婚資金を出してくれた」と支持者は感謝の言葉を口にする。
 警察・司法が末端では公正と言い切れないインドでは、マフィアが庶民のトラブルを解決することが珍しくない。同候補を擁立したのは、カースト最底辺のダリット(不可触民)を支持基盤にする、ウッタルプラデシュ州が地盤の大衆社会党(BSP)のマヤワティ党首だ。同党は、2大政党の貧困対策の不備を批判し、「第3勢力」の中心として台風の目になりつつある。
 インドでは、現連立与党を率いるインド国民会議派と、ヒンドゥー至上主義の前政権党、インド人民党(BJP)の全国政党が政権を争ってきたが、今回、両党とも単独過半数には届かない情勢だ。
 両党は経済成長を実現したが、その恩恵が貧困層に及んでいないことが背景にある。底辺層の不満を吸い上げて特定カーストや地方組織の支持を伸ばす小政党が第3勢力だ。
 2大政党は第3勢力の台頭を抑え込もうと必死だ。選挙戦最終日、ヒンドゥー教徒が水浴するガンジス川の水面に約30隻の船団が現れた。「博士候補」の1人、国民会議派の現職ミシュラ候補陣営の遊説だ。水運業を生業とする低位カーストの優遇策を公約して水運業界を取り込んだ。船団は業界が仕立てた。
 インド社会はカーストや宗教で細かく分断されている。選挙はこうした無数の社会集団の争奪戦だ。低位カーストの支持を集める「マフィア系」候補たちに対し、ミシュラ候補やBJPのジョシ候補は、上位カースト層で競合する。国民会議派が水運業界の懐柔に動いたのは第3勢力への危機感の表れとみられる。
 地方小政党間の争いも激しい。投票日3日前、アンサリ候補の中傷ビラが新聞に折り込まれた。少数派イスラム教徒の同候補が刀を持ってヒンドゥー寺院を襲う絵が描かれていた。ヒンドゥー至上主義の顔役で社会党から立候補したアジャイ・ライ候補陣営の仕業だと疑われている。宗教間憎悪をあおってBSPからヒンドゥー教徒を引きはがす狙いが透けて見える。
 開票は5月16日に全国一斉に行われる。第3勢力が選挙後の連立政権づくりでキャスチングボートを握るのではないか、との見方が強まっている。(バラナシ〈インド中部〉=武石英史郎)

〈インドの総選挙〉 下院545議席のうち、大統領が任命する2議席を除いた543議席を小選挙区制で争う。治安確保のため投票日を複数回に分けるのが一般的で、今回は4月16日の第1回投票から5月13日までの約1カ月の間に5回に分けて地域別に行われる。同月16日に一斉開票される。任期は5年。登録有権者数は約7億1400万人。

◎イメルダ夫人もびっくり? 豪華生活の印IT前会長(2009年2月6日、産経新聞)
 スーツは1000着、靴は320足−。巨額の粉飾決算発覚で逮捕されたインドの情報技術(IT)大手サティヤム・コンピュータ・サービスのラマリンガ・ラジュ前会長に対する警察の調べで、前会長は高級ブランドのスーツや靴、時計などを極めて多数所有していたことが分かり、話題になっている。
 同社社員の大量解雇も懸念される中、高価な靴や宝飾品を集めていたフィリピンのイメルダ・元マルコス大統領夫人も顔負けの「並外れて豪華な私生活」(タイムズ・オブ・インディア紙)に批判の声が上がっている。
 同紙によると、ラジュ前会長はスーツや靴以外にベルト310本を持ち、ブレスレットや指輪、時計の総額は数十億ルピー(1ルピーは約2円)に上る。1000万ルピー以上の望遠鏡を所有し、世界63カ国に豪華な家や別荘を持っていることも判明。一方、地元のヒンズー教寺院には計2トンの金を寄付していた。

◎インド:1800円パソコン開発、政府、IT教育推進で(2009年2月3日、毎日新聞)
 2日付の英紙フィナンシャル・タイムズは、インド政府が学生の情報技術(IT)教育のため、約20ドル(約1800円)のラップトップ型低価格パソコンの開発を進めていると報じた。
 米マサチューセッツ工科大のグループが途上国の子供向けに開発した100ドルパソコンの約5分の1。半年後には市販される見通しという。ただ、一般市場に普及するかどうか疑問を投げ掛けるアナリストもいる。
 インドではタタ自動車が昨年、10万ルビー(約18万円)の超低価格車「ナノ」を初公開。経済成長に伴い、中間層や教育水準の底上げが課題となっている。

◎「女性飲酒は文化に反する」、インドのパブ襲撃でヒンズー過激派(2009年2月2日、産経新聞)
 【ニューデリー=田北真樹子】インド南部カルナタカ州で1月下旬、ヒンズー過激派団体のメンバーとされるグループが「女性の飲酒行為などはインド文化に反する」として、パブを襲撃した事件をきっかけに、女性の飲酒やパブの是非をめぐって議論が起こっている。背景には宗教と政治が複雑にからんでおり、経済成長による急速な都市化に戸惑うインドの姿を改めて浮かび上がらせている。
 事件は1月24日、「インドのシリコンバレー」として有名なバンガロールから西へ約300キロ離れた、アラビア海沿いにあるマンガロールの中心街で起きた。パブ「アムネシア」に十数人の男が現れ、店内にいた女性客らを引きずり出すなどの暴行を加えた。
 犯行の動機について犯人グループは「パブで女性が飲酒したり、男性と踊ってわいせつな行為に興じたりしている」と主張し、自らを“インド文化の保護者”として事件を正当化した。
 国内メディアは、女性への暴力と、暴力で伝統的価値観を押しつけようとする行為を一斉に非難したが、タイムズ・オブ・インディア紙は今回の事件について、「伝統を捨てて都市化するインドと、保守的な精神の拠りどころに執着するインド」という「2つのインド」が浮かび上がったと指摘する。
 欧米文化が当然のように身近に存在するニューデリーやムンバイの大都市では、「女性がパブで飲酒して何が悪いのか」(ニューデリー在住の30代女性会社員)といった意見は多い。
 しかし、ヒンズー至上主義団体を支持母体にもつ最大野党、インド人民党(BJP)からは「パブはインド文化ではない」として、男性と同じ場所で女性が飲酒することや踊ることを批判する声も上がる。都市化とパブ文化の浸透によって女性の飲酒が進み、「良き母として家庭を守る」という保守的な道徳観が薄れるという考えが根強いのだ。
 カルナタカ州は、このBJPが州政権を握る。バンガロールのような国際都市を抱える一方で、これまでも「ヒンズー・ナショナリズム」を背景とした暴力事件が起こっている。
 マンガロールはヒンズー教徒が7割を占めるとされるが、他宗教と共存してきた。しかしヒンズー至上主義グループ、民族義勇団(RSS)が60年以上前から活動している土地柄で、RSSは、州政権を握るBJPの支持母体でもあるため、州政府はこうしたヒンズー至上主義団体の過激な行動に厳しく対応できないとみられている。
 今回の事件でも、州当局は犯人グループが所属するとされる「スリラーマ・セナ」(SRS)の代表の逮捕に躊躇(ちゅうちょ)した経緯がある。SRSを非合法化すべきだとの声にも、同州のイエドラッパ首相は消極的な姿勢を示したほか、「パブ文化はこれ以上、広がるべきではない」と述べるなどSRSに理解を示す発言さえしている。
 一方、今回の事件について中央政府のレヌカ・チョードリー女性・児童担当相は、女性の権利を認めないイスラム原理主義勢力タリバンを引き合いに、「インドのタリバン化だ」と強く非難している。とはいっても、「女性は男性のように飲酒できる権利をもつ」と声高に主張する公人はいないのが現実だ。

◎インド携帯に外資参入続く、成長市場に足場(2009年2月2日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=小谷洋司】インドの携帯電話サービスに外資企業の参入ラッシュが起きている。バーレーンなど中東勢のほかノルウェー大手のテレノールやNTTドコモも現地企業に対する買収や出資を決めた。印景気は減速しているが、携帯市場は毎月1000万件もの新規加入を集めて膨らみ続けている。外資各社はM&A(合併・買収)で一気に足場を築き、同国を成長戦略に取り込む。
 バーレーン大手のバテルコは南部チェンナイに本拠を置く新規事業者エス・テルに49%出資する。出資額は2億2500万ドル(約200億円)。エス・テルは印北東部と北西部の各州で携帯サービスの事業認可を受けており、今年半ばにもサービスを始める。

◎インド「鉄鋼」で保護措置、日本からの輸出停止の懸念(2009年1月25日、読売新聞)
 【シンガポール=実森出】インド政府が自国の鉄鋼業界を保護するため、インド独自の規格を満たさない鉄鋼製品の輸入を認めない措置を打ち出し、日本のインド向け輸出がストップする懸念があることが24日、明らかになった。
 日本の鉄鋼メーカーは「規格の取得が間に合わない」として、適用を1年延期するよう申し入れているが、最悪の場合、インドで操業する日本の自動車メーカーの生産が一部停止する可能性もある。
 インド工業規格(BIS)と呼ばれる独自規格は2000年に導入され、昨年11月に棒鉄など6品目の鉄鋼製品が対象となった。2月12日からは、自動車の車体などに使われる「圧延鋼板」、エンジンに使われる「炭素鋼」など11品目が追加される。中国から流入する安価な鉄鋼製品の急増に歯止めをかけることが最大の狙いとされる。
 BIS取得には、インド人検査官による日本国内の高炉への立ち入り検査などの手続きが必要で、半年から1年程度かかるという。
 鉄鋼のインド向け輸出は年間77万トン(07年度)。年々増加しており、主な取引先はインドに進出した日本の自動車大手とされる。日本の鉄鋼製品がインドに輸出できなくなれば、日本メーカーが代替品を見つけるのも困難と見られ、生産への影響も懸念される。

◎インド:超音速ミサイルの発射実験に成功(2009年1月21日、毎日新聞)
 PTI通信によると、インド国防省は20日、パキスタンに隣接するインド西部ラジャスタン州で超音速巡航ミサイル「ブラモス」の発射実験を実施、成功したと発表した。
 アントニー国防相は「特定の国を標的にした実験ではない」と述べたが、昨年11月の西部ムンバイでの同時テロ後、パキスタンとの緊張が高まっており、同州での実験はパキスタンへの示威行動と受け取られそうだ。
 ブラモスは射程約300キロで、パキスタンが射程内に入る。インドは昨年12月にもベンガル湾からブラモスの発射実験を行った

◎印サティヤム粉飾問題「監査意見は不正確」、監査法人認める(2009年1月14日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=小谷洋司】粉飾決算が発覚したインドIT(情報技術)大手サティヤム・コンピュータ・サービスの監査法人プライスウォーターハウスは14日、「(サティヤムの財務諸表に対する)監査意見は不正確で信頼できない恐れがある」と粉飾を見抜けなかった事実を認めた。
 印証券取引委員会などにあてた書簡で表明した。粉飾問題で浮き彫りになった企業統治に対する疑念に加え、会計不信が広がる恐れがある。
 粉飾問題の発覚以降、市場関係者などから監査法人の責任を問う声があがっている。地元メディアによると捜査当局は13日、プライスウォーターハウスの現地事務所を家宅捜索した。

◎インドIT大手のラジュ会長兄弟、詐欺容疑で逮捕(2009年1月11日、読売新聞)
 【ニューデリー支局】インド有力紙ヒンズー(電子版)などによると、同国南部アンドラプラデシュ州警察は9日夜(日本時間10日未明)、粉飾決算を告白した同国IT(情報技術)ビジネス大手「サティヤム・コンピュータ・サービス」のラマリンガ・ラジュ会長ら2人を詐欺や偽造などの容疑で逮捕した。
 同社は、インドの経済発展を象徴するIT企業の代表的な会社の一つで、日本を含む世界各国に顧客を持つ。今回の逮捕で、取引先などが影響を受ける可能性もある。
 会長とともに逮捕されたのは、弟のラマ・ラジュ同社社長。創業者でもある会長は今月7日、過去数年にわたって約10億ドル(約900億円)の架空利益を計上していたことなどを突然告白、辞意を表明していた。
 サティヤムは1987年に設立、日本を含む約60か国に進出している。本社があるアンドラプラデシュ州は、州都ハイデラバードを中心にITなどハイテク産業の一大拠点として注目を集めている。

◎粉飾決算の印IT大手、詐欺の疑いで会長ら逮捕(2009年1月10日、日本経済新聞)
 インド南部アンドラプラデシュ州警察は9日夜(日本時間10日未明)、粉飾決算が明るみに出た現地IT(情報技術)サービス4位、サティヤム・コンピュータ・サービスの創業会長のラマリンガ・ラジュ容疑者ら2人を詐欺、文書偽造などの疑いで逮捕した。印企業のコーポレートガバナンス(企業統治)への不信感が広がっており、インド株式相場は急落している。
 有力紙タイムズ・オブ・インディア(電子版)などが伝えた。一緒に逮捕されたのはラジュ容疑者の弟で社長のラマ・ラジュ容疑者。同国の経済発展の象徴といえるIT業界を代表する会社のトップ2人が逮捕される異例の事態となった。

◎インド国営航空、「肥満」を理由に客室乗務員を解雇(2009年1月7日、産経新聞)
 インド国営の航空会社エア・インディアのスポークスマンは6日、ロイターに対し「極めて太りすぎ」であることを理由に10人の女性客室乗務員を解雇したことを明らかにした。
 解雇された乗務員らは、医療委員会から業務遂行に適さないと公表された後、数年間にわたり地上勤務となっていた。エア・インディア側は、乗務員らには体重減量のために十分な機会が与えられていたとしている。
 同スポークスマンによると、解雇された乗務員の一部は高等裁判所に提訴したが、訴えはその後棄却されたという。また、太りすぎによる従業員解雇は今回が初めてではないとつけ加えた。

◎インド中銀、政策金利を100bp引き下げ(2009年1月2日、朝日新聞)
 インド準備銀行(中央銀行)は2日、政策金利を100ベーシスポイント(bp)引き下げると発表した。予想以上のペースで鈍化している景気を支えることが狙い、としている。
 中央銀行が銀行に資金供給する際のレポレートは6.5%から5.5%に、中央銀行が過剰流動性を吸収する際に用いられるリバース・レポレートは5.0%から4.0%に引き下げられる。
 また、預金準備率も50bp引き下げ、5%とする。
 利下げは即日、預金準備率の引き下げは17日付けで実施される。

◎インド、国営銀行に資本注入、政策金利は引き下げ(2009年1月2日、朝日新聞)
 インド政府は2日、すべての国営銀行を対象に、今後2年間で計2千億ルピー(3800億円)の資本を注入すると発表した。世界的な金融危機を背景にイン ドでも信用収縮が深刻化しているため。景気刺激策として、社会資本整備のため政府機関に新たに3千億ルピー(5700億円)の起債を認める方針も明らかに した。
 一方、中央銀行(RBI)は主要な政策金利を1%引き下げると発表した。インドの国内総生産(GDP)成長率は08年7〜9月期に前年同期比7.6%に減速し、景気停滞感が強まっている。

◎パキスタン軍インド国境へ、2万人規模が移動(2008年12月28日、朝日新聞)
 【イスラマバード=山本大輔】パキスタン各紙は27日、テロとの戦いでアフガニスタン国境近くの部族地域に展開していたパキスタン軍の一部が、インド国境へ移動を始めたと報じた。インド・ムンバイでのテロで両国の緊張が高まる中での「最低限の警戒措置」(軍高官)としている。
 報道によると、部族地域で後方支援などをしていた約2万人が26日に移動を始め、東部ラホールの周辺に再配置されるとみられる。
 英字紙ドーンによると、パキスタン軍はムンバイのテロから1カ月になる26日以降のインドの軍事行動を懸念し、兵士の休暇を先送りして警戒を強化しているという。
 ギラニ首相は27日、「我々が攻撃することはないが、攻撃されたら反撃しなければならない」と記者団に述べた。

◎印パ対立:テロ後、続く緊張、両国軍、国境集結も(2008年12月27日、毎日新聞)
 【ニューデリー栗田慎一】ムンバイ同時多発テロ事件をめぐる、インドとパキスタンの非難合戦がエスカレート。両国軍が国境へ兵士を集結させる動きを見せ、軍事的緊張が高まっている。両政府とも「戦争」の可能性には否定的で、核兵器を保有する両国軍の全面衝突という事態は考えられないが、今後、国境付近で小規模な交戦などが発生する恐れがある。

◇小規模交戦の恐れ
 「これが最後通告だ」。インドのムカジー外相は24日、パキスタン政府が「全過激派の撲滅」に乗り出さなければ、軍事行動を辞さないとの構えを示した。地元メディアは25日、同国西部ラジャスタン州のパキスタン国境に、軍の戦闘部隊2部隊5万人が配備されたと報じた。
 これに対しパキスタン軍幹部は、毎日新聞に「アフガニスタン国境で対テロ戦に当たる部隊約12万5000人の半数を、東側(インド国境側)に持っていく計画だ」と発言。インド国境に近い東部ラホール住民によると、市内を通過して東側に向かう軍部隊の長い車列が目撃された。カシミール地方での目撃情報もあり、各地の国境線へ分散しているとみられる。
 インドは当初、ムンバイ事件の実行組織を「パキスタン側カシミールの過激派組織ラシュカレ・タイバ」とした。だがパキスタンが同組織の最高指導者を軟禁したうえでインド側に「証拠の提示」を求めると、「パキスタンが自ら明らかにすべきだ」と主張。その後、「(パキスタン国内の)全過激派勢力の解体」へと要求をエスカレートさせた。
 インドの強硬姿勢の背景には、来春の総選挙を前に、最大野党のインド人民党が「ムンバイの事件は政府のテロ対策の失敗が原因」と非難し支持を急拡大させていることがある。シン首相と与党・国民会議派には、パキスタン関与を強調し非難の矛先をかわす狙いが垣間見える。
 一方、パキスタンでは昨年夏発足したザルダリ政権下で、経済や治安が極度に悪化。政権は失望する国民に「有事に強い政府」であることを示して、威信を回復したい意向がある。
 パキスタンのギラニ首相は25日、記者団に「インドはテロ対策の失敗をパキスタンに転嫁している。インド軍が国境を越えてパキスタン側に侵攻すれば、同じことを行う権利がある」と語った。

◇印パ対立
 両国は1947年の両国独立以来、北部カシミール領有権をめぐり対立。同年と65年、71年には3度の全面戦争を経験し、いずれも国力に勝るインドが勝利した。01年のイスラム過激派によるインド国会襲撃事件後には、両国は国境に合わせて100万人の兵士を集結させ「核兵器保有国同士の全面戦争一歩手前」といわれるまでに緊張が高まったが、04年から緊張緩和へ向けた対話がスタートした。

◎世界最大の製油所稼働、インドのリライアンスが増強工事終える(2008年12月26日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=小谷洋司】インド大手財閥傘下の石油精製大手リライアンス・ペトロリアムは25日、北西部グジャラート州ジャムナガールに持つ製油所の増強工事を終え、新設備を稼働させたと発表した。処理能力は従来の2倍近い年6200万トンと単一の製油所で世界最大となった。
 リライアンスは2005年8月に約60億ドルの増強投資を表明していた。製油所はインド政府が輸出産業の振興を狙って制度化した経済特区(SEZ)の指定を受けており、全量を欧米などに輸出する計画だ。

◎インドの貧困層、失業者急増、繊維産業の減速が直撃(2008年12月21日、朝日新聞)
 金融危機をきっかけとする世界経済の減速が、繊維産業で働くインドの貧困層を直撃している。欧米などへの輸出の急減で失業者が急増。政府が支援に乗り出したが、効果は限定的で、毎週のようにデモが起きるなど社会不安を増幅しかねない状況だ。パキスタンやスリランカなど、アジアの他の途上国にも危機は広がっている。
 「仕事がありません。以下の者は、今日から工場にこなくて結構です」
 インド北部のハリヤナ州パニパットに住むラムカランさん(38)は4カ月前の朝、工場の入り口の張り紙を見て愕然(がく・ぜん)とした。自分を含む103人の名があった。カーペットやベッドカバーを生産するこの工場で18年間、手作業で綿の糸を作ってきた。
 20歳の時に隣のウッタルプラデシュ州の農村から出てきた。故郷には3人兄弟で0.5エーカー(2千平方メートル)の土地しかなく、3人の子持ちとなった今は戻る場所はない。解雇から1週間後、小さな屋台を借り、スラムでインドの軽食サモサを売り始めた。
 月収は約1500ルピー(約3千円)と、約3分の1に減った。生活苦で9月以降、街の金貸しからすでに1万2千ルピーを借りた。年利は24%。「返せる見込みはないが、ほかに生きるすべがない」
 パニパットはインド有数の繊維製品の産地だが、約30万人の繊維労働者のうち、この半年ですでに約10万人が職を失った。労働者の8割はインドでも最貧州とされる東部のビハール州、ウッタルプラデシュ州からの出稼ぎ。全インド商業労働組合の地元支部によると、多くは食べていけないことを承知で故郷の農村に戻った。
 インドには従業員を簡単に解雇できない厳しい労働法があるが、30万人のうち対象となるのは、約4万人の正規社員だけだ。
 「受注量は去年に比べ4割減。仕事がない以上、解雇は仕方がない」とパニパット輸出業協会のグプタ会長。繊維輸出の半分を占める米国向けが急減し、欧州や日本向けも減った。この3〜4カ月の落ち込みがひどく、加盟約200社のうちすでに10社前後が工場を閉鎖した。
 政府は、輸出企業が銀行から資金を借りる際の利子を軽減するなどの支援策に乗り出したが、「焼け石に水」(グプタ会長)の状況だ。
 インドの繊維産業は国内総生産(GDP)の4〜5%を占める。その約半分が輸出用だが、最大の輸出先である米国の繊維輸入額は06年、07年の増加基調から、08年1〜8月には前年同期比で3.7%の減少に転じた。消費の低迷に加え、9月の米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)など一連の金融危機が、市場動向をさらに悪化させ続けているようだ。
 最近の経済成長を引っ張ってきた印象があるIT産業もGDPの約5%だが、雇用は160万人程度。これに対し、国内の繊維労働者は3500万人おり、比較にならない規模だ。
 インド商工省は11月、この半年で繊維労働者70万人がすでに解雇され、来年3月までにさらに50万人が職を失う可能性があると指摘。パニパットでは毎週のように、解雇された労働者らによる抗議デモが起きている。
 繊維を主要産業とするアジアの他の途上国でも事情は同じだ。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、輸出の約4割を繊維が占めるスリランカでは、今年1〜7月の繊維の対米輸出が7.7%減少した。政情不安が続くパキスタンでも、繊維を中心とする対米輸出額が07年度にすでに11.1%減少し、今年に入ってすでに数万人が職を失ったとも伝えられる。
 インドの著名なエコノミストのパナディカール氏は「過剰な人口を抱える農村から都市部の工場などへの労働者の移動は、南アジアの経済発展には欠かせないが、今は逆のことが起きている。このままでは社会不安が急激に広がりかねない」と指摘する。(パニパット〈インド北部〉=高野弦)

◎インド南部、ロシア製原発4基増設、首脳会談で合意(2008年12月5日、朝日新聞)
 【ニューデリー=小暮哲夫】ロシアのメドベージェフ大統領は5日、ニューデリーを訪れ、インドのシン首相と会談した。両首脳は、両国の民生用の原子力協力協定に署名。インド・ムンバイのテロを受けて、テロ対策の多国間協力の必要性も確認した。
 原子力協定は、原子力供給国グループ(NSG、日本など45カ国)が9月、指針を改正し、核不拡散条約(NPT)非加盟のインドへの核関連輸出を解禁したため、締結が可能になった。
 両首脳は、インド南部クダンクラムなどにロシア製原子炉4基を増設することで合意した。ロシアは「92年のNSGの指針策定前に両国が建設に合意していた」として、同所で01年からすでに2基の原子炉建設を進めているが、さらに加えるもの。インドとの原子力協定は米国、フランスに次いで3番目だが、原発市場への進出では一歩先んじた。
 会談後の共同宣言では、ムンバイのテロ捜査について「すべての国に協力を呼びかける」と表明した。両国はマネーロンダリング(資金洗浄)などテロリストの資金源の捜査について協力する協定も結んだ。
 また共同宣言は、金融危機について、「世界経済の新たな現実に適応するための国際的な金融、経済機構の改革が必要だ」と強調。中印ロの3カ国の対話枠組みの重要性にも触れた。多極化する世界の新興国として、国際社会での存在感を示していく狙いを鮮明にした。
 両首脳はまた、インドが目指している有人宇宙飛行計画へのロシアの協力でも合意。両国間の貿易高を、現在の70億ドル(約6400億円)から10年には100億ドルに増やすことも確認した。

◎インド同時テロ:印・パキスタン緊張、「国境に軍展開」(2008年12月1日、産経新聞)
 【バンコク栗田慎一】インド西部ムンバイで起きた同時多発テロ事件で、パキスタン非難を強めるインド政府にパキスタン側が猛反発。双方が軍部隊の国境への移動に言及するなど緊張が高まっている。現時点では両国とも、強硬姿勢をアピールする狙いとみられるが、01年のイスラム過激派によるインド国会襲撃事件後には、両国が国境線に計100万人の軍部隊を集結させる一触即発の事態を招いた。今後、感情的な対立が高まれば、両国関係は危険な水域に入りかねない。
 インド与党国民会議派は29日、ニューデリーで緊急幹部会を招集。来春の総選挙を前に、野党勢力が「政府のテロ対策の不十分さ」を攻撃し始めたことへの対応が議題だった。
 関係者によると、この中で一部閣僚から「事件の黒幕はパキスタンに違いない。軍部隊を国境に集めて圧力をかけるべきだ」との強硬論が出た。結論は持ち越されたが、やり取りが地元記者に伝わり、「政府が近く重大決定をするようだ」との情報が広まった。
 パキスタンでは29日、シン印首相がパキスタン軍情報機関(ISI)長官のインド派遣を求めたことに軍内部は猛反発していた。軍関係者によると、キヤニ陸軍参謀長は同日、ISI長官やギラニ首相ら政府幹部と緊急会談。「インド政府が国内批判の目をパキスタンに向けようとしている」との意見が続出。「パキスタンへの非難が続くならば、軍はアフガニスタン国境線でのテロとの戦いを中断し、軍部隊をインド国境に展開する可能性もある」との考えで一致した。
 その上で、「(アフガニスタンでの対テロ戦を主導する)米国や北大西洋条約機構(NATO)に対し、我が国の意向を伝えてインドに冷静な対応を求める」ことを確認。軍幹部は毎日新聞などに対し、「最終決定ではない」と前置きした上で、この方針を明らかにした。
 今回の事件でインド当局は、パキスタンを拠点とするイスラム過激派の関与は濃厚とみているが、公式にはISIなどパキスタン政府・軍の関連にまでは言及していない。一足飛びに強まったパキスタン非難については、最大野党「インド人民党」からも、「政府の責任逃れだ」(党幹部)との批判も出ている。

◆最近のインド・パキスタン関係◆
98年5月 両国が核実験
99年5月 両国が領有を争うカシミール地方北部で軍事衝突。2カ月半の戦闘で千数百人が死亡。71年の第3次印パ戦争以来の大規模衝突に(カルギル紛争)
01年12月 インド国会にイスラム過激派が突入を図り十数人死亡。インド側はパキスタン関与を主張。翌年夏にかけ、両国国境に両軍計約100万人が集結し、「核保有国同士の全面戦争の危機」に
03年4月 バジパイ印首相(当時)が対話を呼びかけ、関係改善がスタート
04年1月 バジパイ首相がイスラマバードを訪問しムシャラフ大統領(当時)と会談。和平対話開始で合意
06年7月 ムンバイ連続列車爆弾テロで和平対話が一時中断
08年11月 ムンバイ同時多発テロで、緊張高まる

◎インド同時テロ:目的は大量殺害、拘束の男「5千人予定」(2008年12月1日、産経新聞)
 【ムンバイ(インド西部)矢野純一】インド西部ムンバイで起きた同時多発テロ事件で、3カ所のホテルに立てこもった武装グループは、宿泊客を人質として取らず、手当たり次第に殺害していたことが治安当局の話で分かった。当初から死を覚悟したうえで、できるだけ多くの人を殺害するのが目的だったとみられる。
 治安当局によると、武装グループは襲撃の際、銃を乱射。ホテル内でも次々と場所を移しながら宿泊客を捜し回り、人影を見つけると、すぐさま発砲していたという。
 身柄拘束されたパキスタン出身とされる武装グループの男(21)は当局の調べに対し「5000人を殺す予定だった」と供述。パキスタン国内で3カ月間武装訓練を積んだ後、襲撃直前に1カ月半の休暇をもらっていたとも話しているという。26日夜、身柄拘束された際、小銃で自殺を図ろうとしていたことなどから、死を覚悟した上で、襲撃場所をあらかじめ選定するなど周到な準備をしていたと見られる。
 一方、タイムズ・オブ・インディア紙(電子版)によると、テロ制圧作戦を指揮した治安部隊のJ・K・ダット隊長が30日、ニューデリーで会見し「テロリストから要求は一切なかった。1人でも多く殺することが唯一の目的だったようだ」と話した。武装グループは、ホテル内で放火することで消防隊を現場に入れ、治安当局が銃撃を控えるうちに移動を繰り返した。部屋の配置も正確に把握し、袋小路に追い込まれることを避けたという。
 また、同紙によるとテロ発生直後の26日、高性能爆薬RDX(ヘキソーゲン)8キロを含む爆発装置2個がタージマハル・ホテル近くで見つかり、警察が時限装置を解除した。オベロイ、トライデント両ホテル近くでも同様の装置が見つかり爆破処理した。

◎インド同時テロ、58時間経て鎮圧、死者150人超す(2008年11月29日、朝日新聞)
 【ムンバイ=奥寺淳、ニューデリー=高野弦】インド西部ムンバイで起きた同時多発テロ事件は29日朝、最後までテロ実行犯が立てこもっていたタージマハルホテルを治安部隊が制圧した。激しい銃撃戦が行われたトライデントホテルとユダヤ教の関連施設も同日未明までに制圧され、150人を超える犠牲者を出した事件は、58時間ぶりに終結した。
 100人を超える治安部隊が投入されたタージマハルホテルでは、午前7時半(日本時間午前11時)ごろから、断続的に続いていた銃撃戦がさらに激しくなった。爆発音とともに1階部分から炎があがり、建物一帯が黒い煙に包まれた。100メートルほど離れた場所にいる取材陣は、治安部隊から身をかがめるように命じられた。午前8時過ぎになってようやく銃声がやみ、消防車による消火活動が始まった。
 午前9時から会見した治安部隊の幹部は「3人のテロ実行犯を射殺した。建物の中に残っている者がいないかどうか現在確認中だ」と話した。
 地元メディアは、一連の事件の犠牲者が154人にのぼったと伝えた。少なくとも13人の外国人が死亡、AP通信によると、国籍は日本、米国、イスラエル、オーストラリア、イタリア、フランス、カナダ、英国、ドイツ、シンガポール。インド内務相は28日夜、「最終的な死者が200人に達する可能性がある」と語った。犯行グループのうち、少なくとも8人は交戦中に殺害された。
 AFP通信は、インドの情報当局の話として、事件の4日前にトライデントホテルにチェックインした犯行グループの1人が、大量の爆発物を部屋の中に隠していたと報じた。拘束された容疑者はパキスタンに拠点を置くイスラム過激派「ラシュカレトイバ」に所属している、と供述しているという。

◎ミタル社:鉄鋼世界最大手、従業員を最大9000人削減(2008年11月28日、産経新聞)
 【ロンドン藤好陽太郎】鉄鋼世界最大手のアルセロール・ミタルは27日、世界的な景気減速を受け、従業員を最大9000人削減すると発表した。世界60カ国、32万6000人の従業員の約2.8%に当たる。
 総務や販売などの部門のコストを10億ドル(960億円)削減するのが目的。同社の07年の粗鋼生産量は1億1600万トンで世界の10%を占めるが、すでに需要減退で粗鋼生産量を前年同期比35%削減する方針を示している。

◎インド同時テロ、治安部隊が制圧作戦に着手(2008年11月27日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=小谷洋司】インド西部の商都ムンバイで26日夜(日本時間27日未明)、イスラム武装勢力を名のる集団が中心部の高級ホテルや駅などをほぼ同時に襲うテロが発生、銃の乱射や爆弾などで外国人6人を含む101人が死亡した。日本人で三井丸紅液化ガス社員の津田尚志さん(38)の死亡も判明した。治安部隊は27日、武装集団が立てこもる高級ホテルの制圧作戦に着手し、タージ・マハル・ホテルでは宿泊客らが脱出したが、武装集団は依然、抵抗を続けているもようで緊迫した状況が続いている。
 日本の外務省は津田さんの死亡と、別の邦人1人が負傷したことを把握。27日夕には、ムンバイ総領事館に在留届を出している邦人268人全員と、出張者30人のうち死傷した2人を除く28人の計296人の安全を確認した。新たに負傷者が出たとの連絡もないという。ただ、邦人宿泊客ら計10人は武装集団が立てこもる2つのホテルにとどまっており、外に出られない状態が続いている。同省はこの10人の安全も確認している。

◎ホテルに立てこもった犯人グループ、軍部隊との銃撃戦続く(2008年11月27日、読売新聞)
 【ムンバイ=永田和男】小銃や手投げ弾で武装した犯行グループの襲撃を受けたムンバイでは、事件発生から一夜明けた27日も、繁華街の高級ホテルに犯人らが立てこもり、爆発音や銃声が断続的に鳴り響き、治安当局との銃撃戦が続いた。
 日本人男性1人が銃撃を受けて死亡したトライデントホテルでは、軍部隊が建物に突入し、制圧作戦を続けている。兵士や警官が周辺を取り囲み、警戒に当たっている。
 地元テレビなどの報道によると、犯行グループは26日夜、同ホテルのロビーに侵入して銃を乱射。宿泊客が銃弾を受けて倒れ、フロアは血まみれになった。レストランでは20歳代前半とみられる犯行グループの男が「おまえはアメリカ人か」などと叫んで客を一人ずつ尋問、人質として連れ去ろうとしたという。
 一方、もう一つの標的となったタージマハールホテルでは、国際会議出席で宿泊中の欧州議会の英国人議員がAFP通信に対し、「突然、銃声が聞こえたので、多くの人が裏口に回ったが、そこで自動小銃を持った男が乱入してきて無差別に撃ち始めた」と証言。ロビーは逃げまどう客の叫び声が響き、パニック状態に陥った。同議員は地下のレストランに逃げ込み、内側から入り口をバリケードでふさいで身を守ったという。
 また、現場一帯では、外国人に人気の観光スポット「レオポルドカフェ」もテロに狙われた。銃撃で負傷したオーストラリアの男子学生が同通信に語ったところによると、「爆竹のような音がして人々が叫び始めた」という。一緒にいた女性が足を撃たれ、血が飛び散る床の上をはいずりながら逃げだそうとした。
 ムンバイでは27日、商店や会社が臨時休業し、普段は渋滞の激しい大通りも車の通行が減って静まりかえり、ゴーストタウンと化している。近所の女子大に通うディバンシさん(19)は「銃を持ったテロリストが町中にまだ潜んでいるかと思うと怖い」とおびえていた。

◎87人死亡200人超負傷、高級ホテルで立て籠もり(2008年11月27日、産経新聞)
 【シンガポール=宮野弘之】インド西部の中心都市ムンバイ中心部で26日夜、ライフルや手投げ弾を持った武装集団が駅や高級ホテルなど十数カ所を一斉に襲撃する同時テロが発生し、米CNNテレビによると、銃撃や爆発でこれまでに日本人1人を含む87人が死亡した。負傷者は200人から350人に上っている。死亡した日本人は三井丸紅液化ガス社員、津田尚志さん(38)。同僚男性1人も負傷した。犯行グループは、特に英米人を標的に襲撃したとみられている。
 PTI通信などによると、武装集団は、タージマハルホテルやオベロイホテルで外国人を含む人質をとって立てこもった。タージマハルホテルでは45人前後が捕らえられているもよう。インドの治安部隊がホテルを包囲し、時折激しい銃撃戦が展開される中、タージマハルホテルでは火災が発生した。建物内には人質以外にも取り残された宿泊客がいるもようで、被害者はさらに増える可能性もある。
 犯行について、「デカン・ムジャヒディン」を名乗る組織が各メディアに犯行声明を電子メールで送った。イスラム過激派とみられるが、これまで同組織の名前は知られておらず、背後関係などは不明だ。
 タージマハルホテルから逃れた宿泊客は英BBC放送に対し、犯人は、米国と英国のパスポートを持っている客を探していたと話した。犯人らはジーンズとTシャツを着た若者だった。オベロイホテルでは、犯人は、客の1人がイタリア人とわかると、危害を加えなかったという。
 最初の襲撃は26日午後10時半すぎ、ムンバイの主要駅であるチャトラパティ・シバジ駅構内に、数人の男が乗降客に向かってライフル銃を無差別に発砲、さらに手投げ弾を爆発させ、少なくとも10人が死亡した。男たちはAK−47ライフルを持っており、これまでに計4人が警察に射殺され、9人が拘束された。高級ホテルのトライデントヒルトンホテルも襲撃を受け、病院やタクシーでも爆発があった。
 ムンバイはインド有数の金融・商業都市で、海外からのビジネス客も多い。人質の中には欧州議会のメンバーも含まれているとみられる。ムンバイでは2006年7月、列車7本の客車内で同時爆弾テロが発生し、約200人が死亡した。

◎日本人1人死亡を確認、武装勢力が犯行声明(2008年11月27日、産経新聞)
 インド西部ムンバイで起きた同時テロ事件で、外務省は27日、産経新聞に対して、現地の日本人が銃撃戦に巻き込まれ、1人が死亡、1人が負傷したことを明らかにした。
 ムンバイの病院関係者は、産経新聞の電話取材に対し「亡くなったのは41歳の男性で、“ツダ・ヒサシ”氏」と話した。
 在ムンバイ総領事館で、ほかに事件が巻き込まれている邦人がいないかどうか、安否確認を急いでいる。ムンバイ市内には約300人の邦人が暮らしているという。
 現地メディアによると、「デカン・ムジャヒディン」を名乗る組織が同日、犯行声明を出した。武装集団の一部は、ムンバイ市内の高級ホテルに、米国人ら数人の人質をとって立てこもっており、治安部隊との銃撃戦が続いている。
 ホテルの建物からは出火しており、さらに被害者の数が増える恐れが出ている。
 一方、インド警察当局は、実行犯4人を射殺、9人を拘束したと述べた。

◎インドで同時テロ、日本人1人含む80人死亡(2008年11月27日、朝日新聞)
 【ニューデリー=小暮哲夫】インド西部の商都ムンバイで26日深夜から27日未明にかけ、市中心部の高級ホテルや鉄道駅など少なくとも7カ所で武装集団による銃撃や爆破が相次いで起き、PTI通信によると少なくとも80人が死亡、200人が負傷した。外務省によると、邦人1人がこの事件に巻き込まれて死亡、1人が負傷した。
 ホテル2カ所では、外国人を含む宿泊客を人質にとっている模様だ。
 事件が起きたのは26日午後10時ごろ。自動小銃と手投げ弾を持った武装集団が、市内の人気の観光地インド門のすぐ近くにあるタージマハルホテルやトライデント(旧オベロイ)ホテル、中心駅のチャトラパティ・シバジ・ターミナス(CST)駅、州議会議事堂前などムンバイの都心各地で無差別に発砲し、手投げ弾を投げつけた。

◎インドの繊維産業50万人が失業か、衣料品輸出大幅減で(2008年11月24日、朝日新聞)
 【ニューデリー=高野弦】インド政府は、09年3月までに繊維産業で働く約50万人が失業するおそれがあるとの見通しを明らかにした。欧米の消費低迷で、衣料品などの輸出が大幅に落ち込んでいるためだ。繊維はインドの主な輸出産業で、3千万人以上が従事している。ピライ商工省次官の話として、インドの有力各紙が22日伝えた。
 インドの繊維産業は、国内総生産(GDP)の8〜9%を占める主要産業で、半分が輸出され、そのうちの約6割が日米欧などの先進国に向けられているという。世界的な景気低迷の影響で、繊維を含む10月のインドの輸出額は前年同月比で約12%落ち込んだ。政府は近く輸出業者への支援策を打ち出す方針。

◎インドの少年、身分違う少女にラブレター書き殺害される(2008年11月21日、産経新聞)
 [パトナ(インド) 20日 ロイター] 自分よりも下級カーストに属する少女にラブレターを書いたインドの少年が、髪を刈られて通りを引き回された上、列車に投げ込まれて殺害されるという事件が起きた。ビハール州の警察が20日に明らかにした。
 警察によると、登校途中に相手のカーストメンバーに拉致されたManish Kumar君(15)は、髪を刈られた上、母親が慈悲を懇願する中、列車に投げ込まれた。
 この事件でこれまでに、1人の男が逮捕され、警察官1人が停職処分となっている。

◎インドが北朝鮮機の領空通過を拒否、8月、目的地はイランか(2008年11月3日、産経新新聞)
 米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は2日までに、インド政府が今年8月、イランに向かっていた北朝鮮の高麗航空機の領空通過を米政府の要請に基づいて拒否したと報じた。
 高麗航空機は8月7日に経由地のミャンマー中部マンダレーに到着。同機はインド航空当局に領空通過の許可を求めたが、インド当局は拒否した。拒否は、大量破壊兵器の移転阻止を目指す拡散防止構想(PSI)に基づく措置。PSIの措置は、航空機が核物質や長距離ミサイルの部品などを積載している疑いがある場合に限りとられるという。
 米政府は北朝鮮がイランやシリアにミサイル関連技術を提供しているとして非難を続けてきた。

◎代理出産女児が日本入国、インドから祖母と(2008年11月2日、日本経済新聞)
 西日本在住の40代の日本人男性がインドで依頼した代理出産で生まれ、無国籍のまま出国できなくなっていた女児が、祖母にあたる男性の母親に連れられてインドを出発し、2日昼すぎ、関西空港に到着した。
 女児は7月下旬に誕生したが、インド、日本いずれの国籍も取得できず、約3カ月間インドを出国できずにいた。日本政府が人道的観点から1年間の滞在を認める査証(ビザ)を発給し、ようやく日本への入国が実現した。
 男性側は今後の対応について明らかにしていない。法務省などによると、認知か養子縁組によって女児との親子関係を確定させた上で、帰化手続きをして女児の日本国籍を取得するなどの手段が考えられるという。
 女児は、この男性の精子と匿名の外国人女性の卵子を体外受精させ、インド人代理母の子宮に移植する方法で生まれた。卵子提供者が匿名で、出生証明書に父親名しかないことが、国籍が取得できない理由だった。

◎インド、政策金利7.5%に、0.5%引き下げ発表(2008年11月2日、朝日新聞)
 【ニューデリー=高野弦】インド中央銀行(RBI)は1日、政策金利のレポ金利を0.5%引き下げ、7.5%にすると発表した。実施は3日から。10月に1%引き下げたのに続く措置。現金準備率も1%引き下げ、5.5%にする。金融危機で銀行間取引の金利が急上昇し、10月31日は翌日物で21%に達した。貸し渋りも深刻化しており、さらなる金融緩和に踏み切る。

◎インド、政策金利7.5%に 0.5%引き下げ発表(2008年11月1日、朝日新聞)
 【ニューデリー=高野弦】インド中央銀行(RBI)は1日、政策金利のレポ金利を0.5%引き下げ、7.5%にすると発表した。実施は3日から。10月に1%引き下げたのに続く措置。現金準備率も1%引き下げ、5.5%にする。金融危機で銀行間取引の金利が急上昇し、10月31日は翌日物で21%に達した。貸し渋りも深刻化しており、さらなる金融緩和に踏み切る。

◎イスラム組織が犯行声明、インド連続爆発で(2008年11月1日、産経新聞)
 1日付のインド紙ヒンズーなどによると、北東部アッサム州で10月30日に起きた連続爆弾テロとみられる爆発に関し、「イスラム治安部隊・インディアン・ムジャヒディン」を名乗るグループが爆弾テロ翌日に地元メディアに犯行声明を送っていたことが明らかになった。
 同グループの実態は不明。インド各地で今年5月から連続して起きた爆弾テロで犯行声明を出したイスラム過激派「インディアン・ムジャヒディン(IM)」との関係の有無も分かっていない。
 治安当局は、同州の分離独立を目指す反政府組織アッサム統一解放戦線(ULFA)などが関与した可能性を指摘していた。
 AP通信によると、爆発での死者は31日までに77人に上った。(共同)

◎インド・アッサム州内で連続爆発、65人死亡、335人負傷(2008年10月31日、読売新聞)
 【ニューデリー=永田和男】インド北東部アッサム州のグワハティなど州内4都市で30日、十数回の爆発が連続して発生し、ロイター通信によると、少なくとも合計で65人が死亡、335人が負傷した。
 アッサム州内では、インドからの分離・独立を主張する非合法組織「アッサム統一解放戦線」によるテロ事件が頻発しているが、同組織は30日の事件への関与を否定する声明を電子メールで発表した。同組織による過去の事件では比較的小規模な爆発が多いのに対して、今回はかなり殺傷力の強い爆弾が使われ、同州では前例のない規模の被害となっており、隣接するバングラデシュが拠点のアル・カーイダ系組織「イスラム聖戦運動」の関与も取りざたされている。
 現場はいずれも市中心部の市場やオフィス地区で、地元テレビは焼けただれて跡形もなくなった自動車などの映像を映しており、爆発の強さを物語っている。
 州最大都市のグワハティでは、連続爆発の直後から、興奮した群衆が投石したり、車両に放火するなど混乱が発生している。

◎インド「ルピー」、最安値更新、インフレ懸念深まる(2008年10月25日、朝日新聞)
 【ニューデリー=高野弦】インドの通貨ルピーは24日午前の取引で一時、1ドル=50.03ルピーまで売られ、史上最安値を更新した。株式市場で外国人投資家による売りが止まらず、ドル買いの動きが加速しているためだ。主要株価指数の終値は前日比10.96%安で、年初からの下落幅は約6割、ルピーはドルに対し約2割減価した。輸入物価の上昇を通じたインフレの再燃を懸念する声が出ている。

◎日印貿易の9割、関税撤廃へ、EPA交渉で一致(2008年10月10日、朝日新聞)
 日本とインドのモノやサービスなどの自由化を目指す経済連携協定(EPA)交渉で、両国政府は9日、10年以内に貿易額の約93%の関税を撤廃することで一致した。医薬品の認可手続きの簡素化など複数の項目で、両国の主張にはまだ隔たりがあるが、22日の日印首脳会談で大筋合意を目指す。
 6〜9日に東京で開かれた第10回交渉でまとまった。交渉筋によると、EPAの中核となる貿易自由化分野で、日本側はこれまでにインドからの輸入額の約96%の関税撤廃を提示。インド側は、日本からの輸入額の約90%を撤廃対象とする考えを示し、両国の貿易額全体で約93%を無税にすることで歩み寄った。無税範囲の拡大に向けてさらに調整する。
 インドは日本からの輸入額の9割以上が関税の対象で、乗用車(2千〜3千cc)に100%、鉄鋼は10%など税率も高い。EPAが発効すれば、無税範囲が大幅に広がり、日本の貿易額全体の0.7%にとどまっていた対インド貿易の起爆剤になりそうだ。
 農業分野では、日本側はエビなどの関税を撤廃するものの、コメは関税削減の対象外とする。日本企業の直接投資を保護する投資分野の交渉もほぼまとまった。
 しかし、現地生産する日系メーカーの期待が高い自動車部品など部品・素材分野については、インド側が自前の自動車産業の育成を優先する意向を示しているため、関税の撤廃・削減は限定的になる可能性がある。
 特許切れの成分を使った後発医薬品(ジェネリック医薬品)の対日輸出拡大を目指すインド側は、日本国内での認可手続きの簡素化を要望。インド人医師や看護師、建築士らを日本でも有資格者として認めることも求めており、両国で合意できるかどうかが今後の焦点になる。
 インドとの交渉がまとまれば、大筋合意済みのEPAは計12カ国・地域となる。(村山祐介、ニューデリー=高野弦)

◎インド・「ナノ」計画頓挫、海外からの投資へ悪影響(2008年10月5日、朝日新聞)
 【ニューデリー=高野弦】インド西ベンガル州でタタ・モーターズが計画していた「ナノ」の工場建設が、農民らの反対運動で頓挫し、経済発展で一歩先を行く中国との投資環境の「違い」が露呈した。世界的な注目を集めていたプロジェクトだけに、海外からの直接投資に与える影響を懸念する声も上がっている。
 「善しあしは別として、中国の国家的なプロジェクトでは、あり得ないことだ」。中国やベトナムで工業団地の開発に携わってきた日本の大手商社マンは、こう話す。
 共産党が強い力を持つ中国では、住民の反対運動があってもプロジェクトそのものが中止に追い込まれることはないという。やはり一党独裁のベトナムでは、政府と住民、企業が話し合いの場を持ち、合意形成をはかることが義務づけられている。時間はかかるが、手続きの透明性が確保されているという。
 インドの場合、土地収用のための合意形成に関する決まりがない一方で、多党制民主主義が発展している。現行の土地収用法は英国植民地時代につくられたもので、「公の目的」のためであれば、政府が一方的に収用できると定めている。しかし来年5月に迫った総選挙を前に、地元世論に支えられた反対派を、州政府は抑えることができなかった。
 インドでの工業団地建設は緒に就いたばかり。法的なインフラ整備に加えて、強い政治意識を持つ農民とどう折り合いをつけるかも課題だ。インドの経済団体の関係者は「中国と違って、経済発展はゆっくりとしか進まないだろう」と話す。

◎インド:4カ所で爆弾爆発、2人死亡50人以上負傷(2008年10月2日、毎日新聞)
 【ニューデリー栗田慎一】インド東部トリプラ州の州都アガルタラで1日夜、市場のゴミ箱などに仕掛けられた爆弾が約40分の間に次々と爆発。現地警察によると、4カ所で爆発が確認され、少なくとも2人が死亡、50人以上が負傷した。死者は増える見込み。同国では夏以降、爆弾テロが多発する異常事態が続き、政府は、イスラム教徒とヒンズー教徒の対立をあおる狙いが事件の背後にあるとみて、情報機関などに本格調査を命じた。
 現場はバングラデシュ国境で、住人のほとんどはイスラム教徒。2日にはイスラム教の断食月(ラマダン)明けの祝賀祭(イード)が始まり、市場は食事や買い物を楽しむ人々でにぎわっていた。
 使われた爆弾は威力の小さい手製で、乾電池を動力源とした時限装置が使われていた。これは昨年11月以降、都市部で続く爆弾テロと同じ手口だ。うち▽ウッタルプラデシュ州▽ジャイプール州▽バンガロール▽グジャラート州▽ニューデリーで起きた計5事件は、被害者のほとんどがヒンズー教徒で、バングラデシュなどを拠点とするイスラム過激派組織の連絡団体「インディアン・ムジャヒディン」(IM)が犯行声明を出した。
 しかし、9月以降、今度はイスラム教徒を狙ったとみられる爆破テロ事件が増加。これらはいずれも犯行声明が出ていない。
 治安当局には、これらについても、緊張関係にある多数派ヒンズー教徒と少数派イスラム教徒の対立をあおるためIMが起こしたとの見方が一部にある。ただ、IMは組織の実態が不明で、捜査は難航している。

【ことば】インドの宗教対立
 政教分離のインドは、ヒンズー教が人口約11億人の8割を占め、残りがイスラム教(14%)▽キリスト教(2.5%)▽シーク教(2%)▽仏教(1%)−−などとなっている。特にヒンズー教とイスラム教の国内2大宗教は、インド国内のヒンズー原理主義政党、インドからの分離独立勢力、隣国パキスタンなどの関与で、信徒間の暴力的対立があおられてきた歴史がある。

◎インド:爆発で5人死亡80人負傷、市場やホテルで(2008年9月30日、毎日新聞)
 PTI通信によると、インド西部のグジャラート州とマハラシュトラ州で29日夜、爆発が起き、少なくとも計5人が死亡、計80人が負傷した。テロの可能性がある。爆発が起きたのはいずれもイスラム教徒が多く住む地域だが、関連は不明。
 インドでは首都ニューデリー南部の市場で27日、1人が死亡、約20人が負傷する爆発があったばかり。
 警察当局によると、グジャラート州モダサの市場では、バイクに仕掛けられた爆弾が爆発し、少年が死亡、10人が負傷した。2人組の男が爆弾入りの袋を仕掛けたとみられる。
 マハラシュトラ州マレガオンでは、モスク(イスラム教礼拝所)近くのホテルの敷地内で爆発が起き、4人が死亡、70人以上が負傷した。同様にバイクに爆弾が仕掛けられた可能性がある。
 モダサの市場は爆発が起きた時間帯、断食を終えた人々で混雑していた。
 マレガオンでは2006年9月、少なくとも37人が死亡、100人以上が負傷する爆弾テロが起きた。ヒンズー教徒とイスラム教徒の宗教対立が背景にあるとみられている。(共同)

◎インド爆弾テロ、内なるイスラムに懸念(2008年9月29日、産経新聞)
 【シンガポール=宮野弘之】インドの首都ニューデリーで27日に起きた爆弾テロ事件に関連し、警察当局は新たに10数人の容疑者を拘束した。首都でのテロは13日に続くもので警戒を強めていただけに、治安強化を求める声は一段と強まっている。一方、すでに逮捕された容疑者はインド国外からのテロリストではなく、国内の、しかも比較的裕福なイスラム教徒の学生が多いことがわかった。治安当局はこうした過激思想を持つ学生が国内の大学で着実に増えていることに衝撃を受けている。
 インド国内では、今年に入って5月にジャイプール、7月にはバンガロールやアーメダバードで爆弾テロが相次ぎ、それぞれ200人以上が死傷。そして9月13日と27日にニューデリーの市場で爆弾テロが起きた。
 27日のテロについての犯行声明は出ていないが、それ以前のテロでは、いずれもイスラム過激派組織の「インディアン・ムジャヒディン」が犯行声明を出している。
 地元紙タイムズ・オブ・インディアによると、一連の事件の首謀者とされるバシールことアティク・アミーン(24)は、治安当局がニューデリーのアジトを急襲した際に射殺されたが、IT(情報技術)の学位を持ち、2001年に非合法組織でイスラム過激派との関係が指摘される「インド学生イスラム運動(SIMI)」に参加。事件当時はイスラム系大学、ジャミア・ミリア・イスラミア大学の修士課程に在籍していた。
 容疑者の中には、ほかにもコンピューターの学位を持ち、同大学で経済学を学ぶ者や、政治家の父親を持つ比較的裕福な学生が含まれていた。また、アティクと一緒に摘発の際、射殺された少年(17)は、今年7月に同大学に入ったばかりで、爆弾を仕掛ける役目だったという。
 これまでの捜査では、彼らはこうした知識を使い、爆弾を作り、さらに無線LANに不正アクセスし、犯行声明をマスコミ各社に送るなどしていた。 
 ただ、組織の実態はわかっていない。アティクが事件後、5万ルピー(約12万円)を受け取っていたとされるが出所は不明だ。
 一方、これまでの捜査で容疑者の多くがウッタルプラデシュ州やマハラシュトラ州などの出身であることがわかった。2001年から07年までこれらの州ではヒンズー教徒とイスラム教徒の間の宗教抗争が頻発。02年にはグジャラート州などで多数のイスラム教徒が殺害された。先のテロの犯行声明も一連の事件に言及している。
 国内からは対テロ組織の新設を含め治安強化を求める声があがるのに現在のシン政権が今一つ及び腰なのも、対応を間違えれば、国内の1億4000万人といわれるイスラム教徒の反発を招く懸念があるからだ。
 実際、イスラム教徒団体の一つは、警察の対テロ部隊は3分の1をイスラム教徒にしないと、信頼は得られないだろうと忠告する。

◎爆発で1人死亡、18人負傷、ニューデリー南部の市場(2008年9月28日、産経新聞)
 PTI通信によると、インドの首都ニューデリー南部の市場で27日午後、テロとみられる爆発があり、少なくとも1人が死亡、18人が負傷した。死傷者数はさらに増える可能性がある。
 ニューデリーでは今月13日、約20人が死亡、約100人が負傷する連続爆弾テロが起きたばかり。
 警察によると、バイクに乗った若い2人組が、爆弾が入ったとみられる黒いポリ袋を市場に置いて走り去り、近くにいた子供が袋を拾い上げたところ、爆発が起きた。
 13日のニューデリーでのテロをはじめ、今年5月からインド各地で連続して起きた爆弾テロなどでは、イスラム過激派組織と関連があるとみられる「インディアン・ムジャヒディン(IM)」を名乗るグループが犯行声明を出したが、27日の爆発では犯行声明は出されていない。現場から半径500メートル−1キロには、観光名所にもなっているイスラム王朝の塔、クトゥブ・ミナールのほか、日本人学校がある。

◎エア・インディア機、飛行中金属片落下か、国交省調査へ(2008年9月23日、読売新聞)
 国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は22日、21日に成田空港上空を飛行中のエア・インディア機でエンジン内のタービンブレードの大規模な損傷が確認されたため、事故につながる恐れのあるトラブル(重大インシデント)として調査すると発表した。
 23日に調査官を派遣する。
 同省航空局によると、エア・インディア307便(ボーイング747―300型機、乗員乗客182人)は21日午後0時29分、同空港を離陸。約6分後、空港の南東約20キロの上空を飛行中、右側エンジンで異音が発生したため、エンジンを止めて同空港に引き返した。けが人はなかった。
 同省成田空港事務所によると、同空港の南にある千葉県山武市で21日午後1時過ぎと22日夕、金属片が乗用車のガラスを突き破って車内に落ちているのが相次いで見つかった。いずれも金属片の大きさは縦8センチ横5センチ厚さ2センチで、航空機の部品とみられることから、エア・インディア機から落下した可能性もある。

◎連続テロで過激派潜伏先を警察が急襲、2人射殺、インド(2008年9月20日、読売新聞)
 【ニューデリー=永田和男】インドのニューデリー市警は19日、同市で13日起きた連続爆弾テロ事件に関与したと見られるイスラム過激派のメンバーらが潜伏する同市南部の住宅を急襲し、銃撃戦の末2人を射殺、1人を逮捕した。
 別の2人は逃走した。銃撃戦のあった住宅は、イスラム教徒の多く住む地域にあり、同市警は、7月に同国西部アーメダバードで起きた連続爆弾テロ事件を捜査する当局からの情報で潜伏先を特定した。

◎ニューデリーで過激派と警察が銃撃戦、3人死亡(2008年9月20日、朝日新聞)
 【ニューデリー=小暮哲夫】ニューデリーで19日、警察とイスラム過激派グループの間で銃撃戦が起き、過激派2人、警官1人が死亡した。同市内で13日に起きた連続爆破テロの捜査で警察が過激派の拠点を捜索しようとして銃撃戦になった。
 現場は、イスラム教徒の多い市南東部のジャミア・ナガール地区にある4階建て住宅。近隣住民の話では、若い男数人が、1、2カ月前から4階に住んでいたという。
 PTI通信によると、警察は爆破テロに関連して、7月の西部アーメダバードで起きた連続爆破テロで逮捕された容疑者の男に事情聴取。男がこの場所を供述した。

◎代理出産の女児、日本へ、インド政府一転容認(2008年9月16日、朝日新聞)
 【ニューデリー=小暮哲夫】日本人男性がインドの代理母に依頼して生まれた女児が出国できなくなっている問題で、インド政府は15日、女児に渡航許可証を発行し、日本への出国を認める方針を明らかにした。日本政府も女児の入国を基本的に認める方針を示している。
 インド最高裁で同日、この代理出産を巡る訴訟の弁論があり、インド政府の代理人が「政府としては1週間以内に(日本への)渡航許可証の申請書類が提出されれば、許可を出すことに何の問題もない」と述べた。
 西日本に住む40代の日本人男性が第三者の卵子提供を受け、インド人の代理母に出産を依頼。7月25日にインド西部のアナンドで女児が生まれた。だが、インドの法律ではインド国籍が取得できないため無国籍状態となり、旅券も得られず、日本に連れて帰れない状況が続いていた。
 今回インド政府は旅券のない女児に対し特別に、無国籍状態のまま出国を認める方針を示した。男性側が女児を日本で育てる意思が明確で、女児の今後を考えた人道的な観点からの判断とみられる。
 女児の代理人の弁護士は15日、朝日新聞に「2日以内に書類を出したい」と述べ、「最高裁は近く、4週間以内に許可を出すよう政府に命令を出す」との見通しを示した。インド政府から渡航許可証を得た後に、在ニューデリーの日本大使館に日本への入国許可を申請するという。

◎米金融不安でアジア株急落、インド市場で一時5%超(2008年9月15日、読売新聞)
 【シンガポール=実森出】15日のアジアの株式市場は、米金融不安を背景に、主要株価指数が大幅に下落した。
 台湾市場が前週末終値比4.1%安と約2年10か月ぶり、シンガポール市場も3.3%安と約2年ぶりの安値水準で取引を終えた。
 インド市場の下落率は一時、5%を超えたが、3.4%安で終了した。
 香港、韓国、中国は祝日のため休場。

◎インド連続爆弾テロの死者、21人に(2008年9月14日、読売新聞)
 【ニューデリー=永田和男】インドPTI通信によると、同国首都ニューデリーで13日夕発生した連続爆発事件による死者数は21人に達した。
 警察当局は、今年5月と7月の連続爆弾テロに続いて今回も犯行声明を出し、さらなるテロ攻撃を予告する過激派組織「インディアン・ムジャヒディン(イスラム聖戦士)」の全容解明を急ぐ方針だ。

◎「テロの国産化」に危機感、インド連続爆破テロ(2008年9月14日、朝日新聞)
 【ニューデリー=小暮哲夫】ニューデリーで13日に起きた連続爆破テロは、これまでインド国内のテロが敵対関係にある隣国パキスタンの主導とみられてきた中で、インド人のイスラム過激派が主体となって実行したとの見方が強まっている。犯行声明を出した「インディアン・ムジャヒディン(IM)」は、最近起きた複数のテロを実行した疑いも持たれており、テロリストの「国産化」に政府は危機感を強めている。
 PTI通信によると、このテロによる死者は21人、負傷者は約100人になった。
 IMは13日夜、地元報道機関に電子メールで犯行声明を送り、テロの理由を「国中にあるイスラム教徒への不公平と抑圧が招いた悲惨な結果」と説明し、首都に続く標的は商都ムンバイ(ボンベイ)と明言した。
 インドでは昨年11月に、北部ウッタルプラデシュ州の3都市の裁判所前で連続爆破テロがあり十数人が死亡。今年に入ってもテロが続き、5月に西部ジャイプールで約60人、7月に西部アーメダバードで約50人が死亡した。いずれのテロでも声明を出したのがIMだ。そして今回、首都にもその手が及んだ。
 インドでは従来、テロはパキスタンによる関与が指摘されてきた。印パはカシミール地方の領有権を巡って対立しているが、軍事力で劣るパキスタンが情報機関を使って過激派を養成。インド国内を混乱させるためにテロを起こしているとの見立てだ。約200人の死者が出た06年のムンバイの列車爆破テロでも、警察は「パキスタンの情報機関が首謀した」と断定した。
 だが、7月のアーメダバードのテロ事件で警察が逮捕した容疑者19人は、全員がインド人。警察は、イスラム教徒の組織「インド学生イスラム運動(SIMI)」の強硬派がIMと名乗って計画、実行したとしており、パキスタン側の関与は裏付けられていない。昨年来のテロは、いずれもこのグループの犯行との見方が強まっている。
 SIMIは、イスラム復興を目的に77年にできた。地元報道によると近年、過激な行動も辞さない強硬派が穏健派から分離した。これがIMとみられ、警察によると昨年から今年前半にかけ、インド各地で爆発物の扱いなどの訓練キャンプを実施し、若者50人以上が参加した。
 IMの実態ははっきりしない部分が多く、「パキスタンから支援を受けないと、効果的なテロはできないはず」との声もあるが、実行者も爆発物も国内らという傾向は明らかになりつつある。ムンバイ列車テロの捜査を指揮したムンバイ警察幹部も「インド人のテロ関与が増えていることは疑いない」と認める。
 インドのイスラム組織が過激化した背景には、イラクなどの状況を「西側社会によるイスラム支配」とみる国際的な風潮の広がりがある。インド国内でも今年に入り、独立を求めるイスラム団体のデモに治安部隊が発砲して死者が出ており、強硬派が「イスラム教徒迫害」への報復心をかき立てていると見ることもできる。
 「テロの国産化」がこのまま進めば、海外からの投資の減少など成長する経済への影響も懸念され、政府に厳しい視線が注がれ始めた。厳格なテロ対策法の制定を求める声も出ているが、紛争管理研究所(ニューデリー)のアジャイ・サーニ氏は「中央政府や州警察の情報組織の人員を充実させ、捜査能力を高めることが先決」と指摘。抜本的な対策には、まだ時間がかかりそうだ。

◎ネズミ食用を奨励へ、食料高騰でインド東部州(2008年9月13日、産経新聞)
 食料価格高騰が深刻化する中、インド東部ビハール州政府は備蓄したコメなどの穀物を食べ荒らすネズミを減らすため、住民にネズミの肉を食べるよう奨励することを検討し始めた。
 州当局者は「ネズミの肉は健康によい」とし、政府系レストランでネズミ料理を出すことも検討。ただ、土地を持たない小作農民らが多いビハール州ではネズミを捕獲して食用にする人々がいたが、「不潔で食用に適さない」とやめさせた経緯がある。
 州当局者は「ネズミの肉を売れば、貧困層にとって新たな収入源にもなる」と指摘、ネズミ食用奨励策の実施を真剣に考えている。

◎インドで「安全な性行為を促す」携帯着信音が人気(2008年9月12日、産経新聞)
 インドの携帯電話利用者の間で「コンドーム」と連呼する着信ボイスが人気となっている。これは、BBCワールドサービストラストが安全な性行為を奨励するため立ち上げたキャンペーンの一環。
 先月に配信を開始して以来、これまで27万回を超えるダウンロードがあったという。
 この着信ボイスは、インド人デュオによるもので、メロディーに乗せて「コンドーム」と繰り返し歌うというもの。
 今回のキャンペーンは、現時点で推定2億5000万人以上であり、増加傾向にあるインド国内の携帯電話ユーザーをターゲットに立ち上げられた。

◎インド:州が農民と土地返還で合意、タタの工場建設再開へ(2008年9月8日、毎日新聞)
 インドの自動車大手タタ自動車の超低価格車「ナノ」の製造が農民の抗議で停止している問題で、工場誘致を推進する西ベンガル州当局は7日、工場用地収用に関し補償を受け取っていない農民に工場内の一部の土地を返還することなどで農民側と合意した。PTI通信などが報じた。
 合意を受けて農民の抗議デモは中止され、工場建設が再開されることになる。だが、ナノの本格販売開始が予定通り10月に間に合うかどうかは依然不透明だ。タタは合意に関し、コメントしていない。
 タタは06年に西ベンガル州コルカタ郊外シングールに工場用地を選び、州政府が約400ヘクタールを収用。このうち約160ヘクタールについて、地元農民が「補償金を受け取っていない」などと主張、抗議行動を続け、工場は8月28日から稼働を停止、工場の建設自体も中断していた。(共同)

◎印タタ自、世界最安車工場の建設中断、10月発売先送りへ(2008年9月3日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=小谷洋司】インドのタタ自動車は2日、世界最安とされる10万ルピー(約25万円)の超低価格車「ナノ」の専用工場の建設工事を中断すると発表した。工場用地の収用を巡る地元農民らとの対立が激化したため。同社は生産移転の検討も始めた。世界の自動車業界が注目する新型車の発売は目標の10月から先送りされる可能性が大きくなった。
 問題が起きているのはインド東部の西ベンガル州シングール。タタ自は州政府が収用した用地を借り受ける形で2007年1月に工場の建設に着手したが、その用地の一部について地元農民が「収用に同意していない」などと主張。同州の野党勢力が工場周辺でのデモなど抗議行動の前面に出たことで政治問題に発展した。

◎インド・タタ、工場建設を中断、農民が反対運動(2008年9月3日、朝日新聞)
 【ニューデリー=高野弦】世界最安の1台10万ルピー(約25万円)の乗用車「ナノ」生産計画を進めているタタ・モーターズは2日夜、生産のための工場建設を中断したことを明らかにした。土地収用に抵抗する農民の反対運動が激化しているため。同社のラタン・タタ代表は工場撤退も辞さない意向で、当初予定していた10月からの販売開始は難しくなってきた。
 同社は西ベンガル州東部のシングール地区にナノ生産のための新工場を建設中で、すでに150億ルピー(約375億円)を投資した。工場用地は約1千エーカー(約4平方キロ)。州政府が農民から収用し、同社と賃貸契約を結んだ。州政府は農民に補償金を支払う方針だが、約400エーカーを所有していた約2200人の農民は収用に反対、補償金受け取りを拒否している。

◎インドで大洪水、被災者300万人、2週間水引かず(2008年9月3日、朝日新聞)
 【ニューデリー=小暮哲夫】インド東部ビハール州のコシ川が、上流のネパール側の堤防決壊で氾濫(はんらん)し、周辺地域の300万人が洪水の被害を受けている。氾濫から2週間たった2日も水は引かず、政府は軍を動員して被災地域の救援活動を続けている。
 州政府の発表などによると、同州の38県中16県で洪水の被害が出た。AFP通信は洪水による死者が100人近くに達したと伝えた。

◎インド洪水の被災者300万人に、海軍救助船が出動(2008年9月1日、CNN)
 インド東部プールニヤー(CNN) インド東部ビハール州を襲ったモンスーンによる洪水の被災者は、1日までに300万人に達した。被害が特に大きかった当地には同日、救命胴衣や飲料水を積んだ海軍の救助船15隻が到着。屋根の上などで2週間近く身動きが取れなくなっていた住民らの救出作業を開始した。
 8月18日に起きた隣国ネパールの堤防決壊ではんらんしたコシ川は、両側に並んだ数千の村を飲み込み、今は別の場所を流れている。当局によれば、ネパール側でも10万人が避難。同じモンスーンによる豪雨で、バングラデシュ北部では少なくとも2万人が被災している。気象当局は、この地域一帯を流れる川の水位が今後数日間でさらに上昇する恐れもあるとして、警戒を呼び掛けている。
 インド当局は1日までに182カ所に避難所を設け、11万4000人を収容したと発表した。ただ、避難所では食糧不足や衛生状態の悪化が懸念されている。
 この日、現地入りした海軍船の周りを多数の住民が取り囲み、自宅に残された家族らの遺体の収容作業を求めた。生存者の救出に向かわなければならない、と説明する乗員の声は、住民らの怒声にかき消された。

◎インド:GDP成長率が7.9%に鈍化、4〜6月(2008年8月31日、毎日新聞)
 インド中央統計機構は29日、今年4〜6月期の国内総生産(GDP)成長率は前年同期比7.9%だったと発表した。前年同期は9.2%、今年1〜3月期は8.8%で、インド経済の減速傾向が鮮明になりつつある。
 燃料や食料の価格高騰でインフレが進行、当局による金融引き締め強化が影響したとみられる。
 チダムバラム財務相は本年度の成長率は8%前後になるとの見通しを示した。

◎カシミールのイスラム教徒にインド警察が発砲、5人死亡(2008年8月12日、読売新聞)
 【ニューデリー支局】インドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方で11日、反インドデモを行っていたパキスタン側イスラム教徒住民にインド警察が発砲、AFP通信によると、5人が死亡、約200人が負傷した。
 事件を受け、カシミール地方最大の都市スリナガルに外出禁止令が出された。
 事件は、両国実効支配線付近で起きた。デモは、インド側が、パキスタン実効支配地域につながる道路の封鎖など、経済封鎖を続けていることに抗議するもの。AP通信は、デモ参加者は10万人にのぼったとしている。

◎第3世代携帯、インドが導入へ本格始動、年内にも免許入札(2008年8月11日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=小谷洋司】携帯電話市場の規模が世界第2位のインドで、データ通信を高速にできる第三世代(3G)サービスの導入に向けた動きが本格化する。政府が事業免許の入札を年内にも実施する方針を固めた。米AT&Tなど有力外資も参入をうかがう。インドで存在感の小さかった日本の電話機や通信インフラ機器のメーカーにも商機が広がりそうだ。
 入札資格があるのは国内の既存の携帯サービス事業者と海外で3Gサービスの提供実績を持つ企業。印携帯市場に関心があるとされてきたAT&Tやドイツテレコムなどに正式に参入機会が巡ってくる。ラジャ通信・情報技術相は「事業者選定の入札で3000億〜4000億ルピー(約7500億〜1兆円)の収入がありそうだ」と見込む。事業免許の争奪戦で落札価格が高騰するとみるためだ。
 毎月800万〜900万件もの猛烈な勢いで加入者が増え続ける成長市場の魅力は大きい。加入者数は今年4月までに米国を抜き、中国に次ぐ世界2位に躍り出た。8月中にも3億件に達する見通し。

◎インド代理出産:女児問題、元妻が反論、「代理出産には不同意」(2008年8月10日、毎日新聞)
 日本人の男性医師がインドで代理出産を依頼し生まれた女児が日本に帰国できなくなっている問題で、男性医師の元妻が毎日新聞の取材に応じ「代理出産に同意していなかった」などと話した。
 元妻によると、インドで代理出産の書類に署名させられたが、読む時間を与えられないまま署名を迫られ、後で同意書と知らされた。その後、子供が男性医師と自分との子であるよう装う出生証明書の偽装のため再渡航を求められたが断ったという。元妻は離婚の際「代理出産は私の意思とは無関係」と医師に書面で誓約させたと話している。【石原聖】

◎代理出産:女児は無国籍児、出生届の母親欄が「不明」に(2008年8月9日、毎日新聞)
 今年7月にインド人女性の代理出産で生まれた女児が日本に帰国できなくなっている問題で、代理出産を依頼した愛媛県内の40代の男性医師が毎日新聞の取材に応じ、出生届の母親欄が「Unknown(不明)」と記載され、女児が日本とインドのどちらにも属さない無国籍児となっていることを明らかにした。男性は「このままでは『孤児』のような状態になってしまう。一刻も早く帰国させたい」と話した。
 男性は昨秋、関東の医師仲間の紹介で、インドにいるインド人実業家を通じて現地の病院に「第三者の卵子提供で代理出産をする」ことを依頼。男性は取材に、代理出産を頼んだ理由について「男として子どもが欲しかった」と説明した。その前にはインターネットなどで代理出産について調べ、米国の病院に「独身でも代理出産を頼めないか」と問い合わせたこともあったが、断られたという。
 代理出産の費用は一部を既に支払っており、医療費や渡航費を含めた総額は400万〜500万円かかりそうだと述べた。代理母の20代後半のインド人女性には約20万ルピー(約56万円)が支払われたと聞いたという。
 インドにいる弁護士からの連絡によると、出生届の父親欄がこの男性になっているため、男性は女児を引き取るための養子縁組ができなかった。また、母親が不明となっているため、インド国籍も取得できない状態になっているという。このため、男性は現地の弁護士に相談するとともに、女児の帰国について日本の法務省に対応を要請している。
 女児は健康状態があまり良くなく、一時は集中治療室にいたが、現在は男性の実母がインドに渡って病院で女児の世話をしている。
 男性は交際していた女性がおり、代理出産についても伝えた上で結婚。しかし、女性はインド人女性が産む子どもを受け入れることについて悩み、2人は女児が生まれる前の今年7月に離婚した。【後藤直義】

◎中小製造業、新興国市場を開拓、原材料高、安定成長狙う(2008年8月9日、日本経済新聞)
 中小製造業が急成長が見込める新興国市場の開拓を加速させている。糖分分析計大手のアタゴ(東京・板橋、雨宮秀行社長)がインドの販売網拡充に乗り出したほか、自動車用ナット大手のフセラシ(大阪府東大阪市、嶋田守社長)はアジア市場開拓の拠点をタイに新設する。原材料高騰で収益悪化が懸念されるなか、国内や欧米市場に続く成長市場を開拓することで安定成長を目指す。
 アタゴはこのほどインド南部の都市チェンナイに3カ所目となる販売拠点を設けた。今年2月にニューデリーに2カ所目の拠点を設けたばかりだが、現地の食品産業から果物や調味料などの甘さを測定する糖分分析計の需要が急拡大しているため、インド全土に販売網を広げる。

◎インドで代理出産の赤ちゃん、夫婦離婚し帰国困難に(2008年8月7日、朝日新聞)
 日本人夫婦が、代理出産が認められているインドで、契約を結んだインド人代理母から女の赤ちゃんを得たが、帰国が難しくなっていることが7日わかった。出産前に夫婦が離婚をしており、赤ちゃんがパスポートの取得ができずにいるためだ。このトラブルを現地や海外のメディアが報じている。
 代理出産については、日本学術会議が、日本人夫婦による海外での代理出産には子どもの福祉からも、代理母の福祉からも問題があると指摘。今年4月に国内での実施も含め、代理出産の原則禁止をうたった報告書をまとめている。
 現在、赤ちゃんがいる西部ジャイプールの病院などによると、愛媛県の40代の男性医師と妻はインド人女性と代理出産契約を結び、インドの不妊治療クリニックから第三者の卵子提供を受けて7月25日に女児が生まれた。夫婦は子どもが誕生する前の6月に離婚しており、元妻は女児の引き取りを拒否しているという。
 男性医師は赤ちゃんを引き取る意向で、女児はインドのパスポートを取得する方向で検討を始めた。女児は、男性の母親が現地で世話をしているという。
 男性医師によると、すでに代理母を母とする出生届をもらっている。日本大使館からインドでの養子縁組を求められたが、養子縁組を求める自分の名が出生届の父親欄にあるため、養子縁組は難しいと現地で言われたという。
 さらに、養子縁組については、インドでは独身男性は女子を養子にむかえられないという。ただ、病院側は「生物学的な父親なので、本来は養子縁組をする必要はない。インドで生まれたので、市民権を得て、インドのパスポートを取れるはず」と話す。
 インドでは04年に代理出産が認められ、海外からの依頼が急増していると言われる。代理母には多額の報酬が支払われる。経済的理由で貧しい女性が引き受ける場合が多いなどと問題視する声もある。
 女児の場合、かりにインドの市民権、パスポートを得て出国できても、すぐに日本国籍が得られるわけではない。インド人の代理母を母とする出生届を日本で出すだけでなく、父親が認知のための裁判手続きもする必要があるとみられる。

◎インド、3G携帯入札を外資に開放、最低価格500億円(2008年8月3日、朝日新聞)
 【ニューデリー=高野弦】インド政府は近くサービスを始める第3世代(3G)携帯電話について、海外の通信会社も事業免許の入札へ参加させる方針を正式に発表した。当初は国内で第2世代(2G)を提供している事業者に限る案も出たが、国の歳入増を図るため参加を認めた。
 全国でサービスを提供する場合の最低入札価格は202億ルピー(約500億円)。新たにインドで事業を始める外資企業は、別途165億ルピー(約410億円)を支払う。
 当面は3Gで利用できる電波が限られ、大きな需要が見込めるデリーやムンバイでもサービス提供は2社程度に絞られそうだ。地元メディアは、NTTドコモやAT&T、ドイツテレコムなどが興味を示している、と伝えている。入札を経た一般企業のサービス開始は09年半ばの見通し。国営通信2社は入札組より早く年内に3Gを始める。
 政府は一連の入札で3千億〜4千億ルピー(約7500億〜1兆円)を調達する方針だが、欧州では過去、ドイツなどで落札価格が1兆円に達し、コスト負担から普及が遅れた経緯がある。
 現在の2Gサービスはボーダフォンなど一部を除き、国内企業が提供している。

◎インド:テロの死者29人に、犯行声明出され全土で警戒(2008年7月27日、毎日新聞)
 インドのPTI通信によると、インド西部グジャラート州当局者は26日夜、同州アーメダバードで同日起きたテロの死者が29人に、負傷者が100人以上に上ったと発表した。
 インドの複数のテレビ局は、イスラム過激派組織と関連があるとみられる「インディアン・ムジャヒディン」を名乗るグループから電子メールで犯行声明が届いたと伝えた。犯行声明の信ぴょう性は不明。
 警察当局は州境をはじめ空港や鉄道の駅など全土で警戒態勢を強化するとともに、25日の南部のカルナタカ州バンガロールでの爆弾テロとの関連を調べている。27日には緊急対策会議を開催。
 アーメダバードでのテロでは、2カ所の病院敷地内でも爆発が起きた。
 「インディアン・ムジャヒディン」を名乗る犯行声明は、昨年11月に北部ウッタルプラデシュ州のヒンズー教聖地バラナシなどで起きた爆弾テロの際に出された。さらに今年5月に西部ラジャスタン州ジャイプールで起きた爆弾テロでも犯行を認めている。組織の実態は分かっていない。
 アーメダバードのあるグジャラート州とバンガロールのあるカルナタカ州は、いずれも今月22日のシン内閣に対する信任投票で反対票を投じた最大野党のインド人民党(BJP)が州議会の多数派を握っており、テロの動機として何らかの政治的背景を指摘する声もある。(ダッカ共同)

◎インド西部で連続テロ爆発、12人死亡30人けが(2008年7月27日、朝日新聞)
 【ニューデリー=小暮哲夫】PTI通信によると、インド西部アーメダバードで26日夕、連続して15カ所で爆発があり、少なくとも12人が死亡、30人が負傷した。過激派によるテロとみられる。
 爆発は午後6時45分から1時間半の間に、市場や路線バスの車内などで次々と発生。負傷者が運ばれた病院でも爆発があった。シン首相はテロを非難し、人々に平静を保つように呼びかけた。
 インドでは25日にも、南部バンガロールで2人が死亡する連続爆破テロがあり、治安当局はイスラム過激派による犯行との見方を示していた。このようなテロはヒンドゥー、イスラム両教徒の対立をあおる狙いがあるとされる。

◎7カ所連続爆発、2人死亡、インド・バンガロール(2008年7月25日、朝日新聞)
 【ニューデリー=小暮哲夫】インドのテレビ各局によると、インド南部の情報技術(IT)の中心都市バンガロールで25日、7カ所で連続して爆発があり、2人が死亡、約15人がけがをした。過激派による爆破テロとみられる。
 爆発は、市南部のバス停の近くなどで午後1時半前後に次々と起きた。警察は時限装置付きの爆弾が使われたとしている。爆発の規模はいずれも小さかった。
 インドでは、5月に観光都市ジャイプールの連続爆発で60人以上が死亡するなど、イスラム過激派によるとされるテロがたびたび起きている。

◎シン政権信任、経済界は歓迎、野党は街頭デモで抗議(2008年7月24日、産経新聞)
 【シンガポール=藤本欣也】インドのシン政権が下院の信任投票で勝利してから一夜明けた23日、ムンバイ株式市場の株価指数が急騰するなど、経済界はシン首相の続投を歓迎している。これに対し、予想以上の大差で敗れた野党勢力は造反議員を除名する一方、「与党は金銭をばらまいて投票に勝った」との批判を強め、街頭デモを展開していく方針を決めた。
 シン首相は22日夜の信任後の記者会見で、「この結果はインドが健全であるとのメッセージを世界に示すものだ」と、笑みを浮かべながら語った。チダムバラム財務相も「われわれは過半数を制した。改革プロセスを進めていく必要がある」と経済改革の加速を表明した。
 23日のムンバイ株式市場はシン政権の勝利を好感、平均株価(SENSEX)指数が前日終値比約6%高となった。有力紙、タイムズ・オブ・インディアも社説で、「もはや左翼政党の意向に左右されることはなくなった。政府はこれまでの後れを取り戻し、小売市場の開放など諸改革を推進しなければならない」とシン政権に期待感を示した。
 ただ、下院は来年5月に任期満了を迎えるため、総選挙の実施まで残り1年を切っており、今後、国内産業に痛みを強いるような市場開放は現実的ではないとの見方も与党内にはある。
 今回の信任投票は、米印原子力協力協定の発効手続きに反対する左派共産党など左翼4党が閣外協力を解消し、連立与党が過半数割れに追い込まれたのを受けて実施された。
 当初、小差の勝負になるとみられていたが、結果は「賛成275、反対256、棄権10」と意外な大差が付いた。最大野党、インド人民党(BJP)は「与党が金銭で票を買った」と主張、23日、与党に投票した造反議員と、棄権した議員の計8人を除名処分にした。
 実際に、BJPの議員が「棄権するように与党から金銭を渡された」と証言していることを受け、24日から抗議デモを組織し、全国に拡大していく闘争方針も決定した。

◎シン内閣信任投票、僅差で可決、インド(2008年7月23日、産経新聞)
 【シンガポール=藤本欣也】インドの国民会議派主導のマンモハン・シン連立政権に対する信任投票が22日、同国下院(定数545、欠員2)で行われ、賛成275、反対256で可決された。シン政権は存続し、来年5月に任期満了を迎える下院の早期解散・総選挙は当面回避されることになった。核拡散防止条約(NPT)未加盟のインドに対し、原子力発電用の核燃料や原子炉の供給を可能にする米印原子力協力協定も、早期発効に向けて大きく前進した。
 信任投票は、米印原子力協力協定の発効手続きに反対する左派共産党など左翼4党(計59議席)が閣外協力を解消し、連立与党が過半数割れに追い込まれたのを受けて実施された。
 国民会議派を中心とする連立与党は信任投票を前に野党勢力への多数派工作を展開したが、燃料価格と物価の高騰で有権者の不満が高まる中、与党支持をためらう議員が相次ぐなど、与党勢力の過半数確保は微妙な情勢だった。
 21日に招集された下院本会議では、シン首相が「国民、国家の利益に基づいてすべての政策を行ってきたことに自信をもっている」と強調。最終的に野党の社会党(39議席)や少数政党の支持を取り付け、シン内閣は信任された。
 今回、「経済成長を支えるエネルギーを確保するためには、原子力協力協定の発効が必要」として断固とした姿勢を貫いたシン首相に対し、「インドの国益を考え、すばらしいリーダーシップを発揮した」(国民会議派のラフル・ガンジー幹事長)などと評価が高まっている。
 今後、米印原子力協力協定が発効するためには、(1)インドが民生用核施設に対する国際原子力機関(IAEA)の査察を認め、査察協定を締結すること(2)原子力供給国グループ(NSG)の対印輸出規制の撤廃(3)米議会の承認−が必要となる。まず、8月1日にはIAEA理事会が開かれ、査察協定が討議される。
 NSGに参加する日本はこれまで、NPT未加盟のインドを特別扱いすることについて態度を保留してきたが、近く対応を迫られることになる。
 ただし今回、与党支持に回り勝利に貢献した社会党は、物価高騰を招いた責任者として、チダムバラム財務相とデオラ石油相の罷免を要求している。これに対し、与党内には反対意見も多い。最大野党、インド人民党は与党を揺さぶるため、内閣不信任動議提出の構えをみせるなど、火種はなお残っている。

◎インドの将校、高給の民間に流れ11000人欠員(2008年7月17日、朝日新聞)
 【ニューデリー=小暮哲夫】インド陸軍で将校の定員の4分の1にあたる1万1千人の欠員が出ている。中級将校が4年半で1900人も中途退職。多くが経済成長で給料が高騰する民間企業に再就職したとみられている。国境問題も抱え、戦力低下を心配する声が上がる。
 インディアン・エクスプレス紙によると、04年から4年半で少尉以上の将校1900人が中途で依願退職。うち1千人は歩兵隊や装甲車両部隊など主力部隊に属していた。戦場で指揮をとる大佐や中佐など中堅幹部が多く、部隊の将校数が半減したという。
 毎年、定年退職者が出る一方で、幹部候補生を養成する士官学校に人が集まらず、欠員が増加する傾向は以前から続いていたが、中途退職者の急増がそれに拍車をかけた。
 インドは、パキスタンや中国との間で未画定の国境問題を抱え、軍事衝突を繰り返してきた。近年は両国との関係は改善しているものの、国境を挟んだ緊張は続いている。
 欠員の原因について、陸軍広報官は「企業の待遇の良さが、将校の進路選択の理由の一つ」と認めた。
 今年3月の中央給与委員会の給与引き上げ勧告では、大佐の月の基本給は、2万5千〜4万3360ルピー(約6万2千〜10万8千円)。これに対して、一般企業に移ると月給10万ルピー前後を得られるとの報道もある。軍将校は厳しい環境で勤務した経験があり、知識や組織の統率にもたけているとして一般企業が管理職に迎える例が増えている。
 一方、100万以上いる下士官や兵に欠員はない。高等教育を受ける機会の少ない地方の貧困層の主要な就職先となっているためとみられる。

◎インド、IT売上高2割増、今期予想(2008年7月10日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=小谷洋司】インドのIT(情報技術)企業でつくる印ソフトウエア・サービス業協会(NASSCOM)は9日、2009年3月期の業界売上高が前期比約2割多い620億〜640億ドルに拡大する見通しだと発表した。欧米金融業界からの受注は減速するが、製造業や医療関連のIT投資が堅調とみている。
 前期の売上高は520億ドルで1年前に比べて31.3%増えた。うち主力の海外向け売り上げ(輸出額)は同29%増の404億ドルだった。今期は500億ドルに膨らむ。業界の就業人数(直接雇用分)は約40万人増え、200万人に達した。

◎インドが輸出統制を拡大、インフレ対策、国際価格に影響も(2008年7月6日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=小谷洋司】インド政府が輸出統制を拡大している。鉄鋼メーカーに鋼板の母材となる圧延コイルなどの輸出抑制を求め、トウモロコシの輸出は禁止した。麦、コメ、食用油などの輸出禁止に続く措置。国内での供給を増やすことで13年ぶりの年率11%超に達した国内のインフレを抑え込む狙いだが、国際価格に影響を与える可能性もある。
 鉄鋼省がメーカー首脳との会合で輸出抑制を要請した。同時に一部製品について最大10%の値下げで合意した。インドでは鉄鋼製品が5月までの1年間で約5割値上がりし、インフレに拍車をかけているとの“悪玉論”が台頭していた。

◎インドと通貨交換協定、相互に最大30億ドルを融通(2008年6月30日、産経新聞)
 財務省は30日、インドと通貨交換協定を締結したと発表した。国内から資金が一斉に流出するような緊急時に最大30億ドルを融通し合い、通貨危機を防止する。昨年8月に安倍晋三首相(当時)がインドを訪問した際、シン首相との間で締結に基本合意していた。東南アジア諸国連合と日中韓(ASEANプラス3)は、2国間の通貨交換協定網を多国間協定に衣替えする作業を進めている。インドも将来的に、ASEANプラス3の枠組みに加わる可能性がある。

◎インド企業の前期、3割増益、主要20社、通信・素材伸びる(2008年6月30日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=小谷洋司】インド有力上場20社の2008年3月期決算が出そろい、純利益は前の期比3割増となったことが分かった。1年前の4割増益からは緩やかに減速したが、年率9%超の経済成長を背景に通信や素材などの業界が収益を大きく伸ばした。ただ、原材料・資源の高騰や物価抑制のための高金利政策が自動車業界などの成長に影を落とし始めており、警戒感から株価も低迷している。
 ムンバイ証券取引所の代表的な株価指数SENSEXを構成する主要30社中、金融を除く3月期決算企業の業績を集計した。売上高は前の期比23.5%増の約5兆8200億ルピー(1ルピー=約2.5円)、純利益は同28.6%増の約9650億ルピーに拡大した。

◎インドの物価上昇率、11%台に 13年ぶりの高水準(2008年6月20日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=長沢倫一郎】インド政府が20日発表した6月7日時点の卸売物価指数は235.2(速報値)となり、前年同期に比べて11.05%上昇した。物価上昇率が11%台に乗るのは1995年5月以来。中央銀行のインド準備銀行は11日に政策金利を引き上げたばかりだが、市場では追加の引き締め策を予想する声が広がっている。
 最近の物価上昇は、政府が4日に実施したガソリンやディーゼルなど石油関連製品の統制価格の引き上げが主因。株式市場では統計発表を受けて売りが加速し、ムンバイ証券取引所の主要30社株価指数SENSEXは一時、前日終値に比べ4%近く下落。8営業日ぶりに1万5000を割り込んで取引を終えた。建設や不動産など内需関連銘柄の下落が目立った。

◎インド、政策金利引き上げ8%に(2008年6月12日、朝日新聞)
 【クアラルンプール=高野弦】インド中央銀行は11日、政策金利のレポ金利(市中銀行に貸し出す翌日物の貸し出しレート)を0.25%幅引き上げて8%にすると発表した。足元の卸売物価指数の上昇率が8.2%と4年ぶりの高水準にあり、4日のガソリン価格引き上げでさらなる上昇が見込まれるため。レポ金利引き上げは07年3月以来。今年に入って現金準備率の引き上げで物価上昇に対応していたが、本格的な利上げ局面に入る。

◎インド与党、南部の州議会選でまた敗北・物価高に不満(2008年5月26日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=長沢倫一郎】1年以内に行われるインド総選挙の前哨戦として注目されていた南部カルナタカ州議会選挙が25日開票された。最大野党インド人民党(BJP)が定数224議席の過半数に迫る110議席を獲得。与党国民会議派は80議席にとどまり、昨年12月のグジャラート州に続いて主要州の議会選で敗北を喫した。最近の急激な物価上昇に対する不満が有権者の与党離れにつながったとみられる。
 カルナタカ州は、インフォシスなどIT(情報技術)企業の集積地で“インドのシリコンバレー”と呼ばれるバンガロールが州都。国民会議派は経済成長の実績を訴えたが、政府のインフレ対策批判を展開したBJPが貧困層を中心に支持を集めて勝利した。

◎インドのIT都市に新空港、経済成長で整備急ピッチ(2008年5月26日、朝日新聞)
 【ニューデリー=高野弦】IT産業の世界的な拠点として知られるインドのバンガロールで24日、新たな空港が開港した。インドでは3月に南部の主要都市ハイデラバードでも新空港がオープンするなど、空のインフラ整備が急ピッチで進んでいる。
 新空港は年間1200万人が利用できる設計で、30キロほど離れたところにある旧空港の3倍以上に拡大された。4千メートルの滑走路を持ち、駐車場も倍の2千台を収容できる。24日未明、最初の便となるシンガポール行きエア・インディア機が離陸した。旧空港は今後、空軍などが利用する。
 経済成長と海外企業の進出に伴って、インドの空港利用者は急増。電機や自動車など100社近い日系企業が進出しているバンガロールでは昨年度、旧空港を約750万人が利用した。設計時点での想定(360万人利用)を大幅に上回り、パンク状態だった。新空港は、直前に管制機能の強化の必要性が指摘され、予定より2カ月遅れでのスタートとなった。

◎印西部でテロ、80人死亡、20分間に爆発7回(2008年5月14日、読売新聞)
 【ニューデリー=永田和男】インド西部ラジャスタン州の観光都市ジャイプールで13日夜、爆弾テロと見られる爆発が連続7回あり、州政府によると、少なくとも80人が死亡した。
 PTI通信は、負傷者は約200人に達したと報じている。
 警察はテロと断定して捜査を開始し、州政府高官は容疑者1人を逮捕したことを記者団に明らかにしたが、詳しい背景などは不明。
 爆発は、買い物客でにぎわう市場など市中心部の各地で約20分の間に相次いで発生。現場付近では最初の爆発直後から、人々が将棋倒しになるなど、大混乱に陥った。

◎インド西部で連続爆破、60人死亡、100人けが(2008年5月14日、朝日新聞)
 【ニューデリー=小暮哲夫】インド西部ラジャスタン州ジャイプールの中心部で13日夜、少なくとも5カ所で連続して爆発が起き、地元州当局によると60人が死亡、100人がけがをした。AFP通信が伝えた。治安当局は連続爆破テロとみて調べている。
 爆発は午後7時半ごろ、人々でにぎわう市内中心部の市場やヒンドゥー教寺院などで、20分程度の間に立て続けに起きた。ジャイプールは建物の壁の色がピンク色で統一された旧市街が「ピンクシティー」として知られ、外国人にも人気の観光地。
 インドでは昨年8月に南部ハイデラバードでの連続爆破で40人が死亡するなど、イスラム過激派によるとみられるテロがたびたび起きている。

◎インド、成長重視から金融引き締めへ、中国に続き(2008年4月29日、朝日新聞)
 【バンコク=高野弦】インドが金融引き締めを加速し、経済成長重視からインフレ抑制優先へかじを切っている。中国に続く政策の変更だ。景気後退の瀬戸際にある米経済を補う役回りが期待される新興国だが、足元は成長率が鈍り、インド経済も昨年までの8〜9%成長から今年は7%台に落ち込む見通しだ。
 インド中央銀行(RBI)は29日、金融機関の預金の一定割合を無利子でRBIに預けさせる現金準備率を、5月24日から0.25%幅引き上げて8.25%にすると発表した。今月17日に2回に分けて計0.5%幅の引き上げを発表したばかりで、ほぼ7年ぶりの水準だ。
 RBIは現金準備率を段階的に引き上げてきたが、景気が減速傾向をみせ始めた昨年11月以降はすえ置いていた。RBIが市中の銀行に貸し出す際に適用する政策金利(レポ金利)も、7.75%と6年ぶりの高水準にある。
 「インフレ抑制のためなら政府は何でもやる」。シン首相は4月に入ってこう宣言し、インフレ抑制を最優先課題にすえた。インドでは人口の過半を占める農村の住民や貧困層の不満が高まれば政権が不安定になりかねず、「目先の物価安定が優先されがち」(大手証券会社エコノミスト)という。
 金融引き締めの影響は既に出始めている。二輪車の販売台数は昨年、16年ぶりに前年割れし、鉱工業生産指数の伸び率も昨年9月以降は大幅に鈍化、06年4月〜07年3月に9.6%を記録した国内総生産(GDP)伸び率は低下が必至だ。今年の成長率は国際通貨基金(IMF)が7.9%と予想するなど、7%台に落ち込むとの見方が多い。
 「これ以上の引き締めは産業界に大きな打撃を与える」(インド商工会議所)との危機感が広がるなか、RBIが再び金融引き締めを急ぎ始めたのは、商品市況の国際的な高騰で物価が再び上昇局面に入ったからだ。3月中旬以降の卸売物価指数の上昇率は7%を超え、3年ぶりの水準に達した。政府は一部輸入品の関税撤廃や穀物の輸出禁止などに乗り出したが物価上昇は収まる気配をみせない。

◎ヤクルト本社、インドで本格販売(2008年4月29日、日本経済新聞)
 ヤクルト本社は主力製品の乳酸菌飲料「ヤクルト」でインド市場の開拓を本格化する。デリー市郊外の工場を拠点に今後5年間で、ムンバイなど主要7都市に販売地域を広げる。65ミリリットル容器で日本の販売量の3分の1に当たる1日100万本を目指す。将来はサウジアラビアなど中東への輸出も検討する。経済成長や原油価格高騰を背景に所得水準が上昇するインド・中東で、健康志向に対応した飲料の需要が増えると判断した。
 筆頭株主である仏食品大手ダノングループとのインドの合弁会社が運営する工場から、65ミリリットル容器のヤクルトを供給する。今年1月にデリー市とその周辺で発売したが、年内にムンバイとバンガロールでも販売する。その後はコルカタやチェンナイにも進出する。営業拠点を設け、訪問販売なども視野に展開する方針だ。

◎インド携帯加入が世界2位、2億6千万台、米を抜く(2008年4月27日、朝日新聞)
 【ニューデリー=高野弦】インドの携帯電話の加入台数が3月末に2億6100万台に達し、米国を抜いて中国に次ぐ世界2位に浮上した。インド電気通信監理局の統計で明らかになった。インド政府は2010年までに5億人の加入を見込んでいる。
 05年の加入台数は5千万台あまりだったが、年8〜9%の経済成長とともに急速に増えた。通話料金が1分1ルピー(約2.5円)程度と、世界で最も安い水準にあることも、普及を後押ししている。
 米業界団体のCTIAによると、米国の加入台数は3月末で約2億5700万台。中国は5億台を超えている。

◎インド、輸出支援を強化・ルピー高受け補助金拡充(2008年4月26日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=長沢倫一郎】インド政府が製造業の輸出促進策の強化に乗り出した。通貨ルピーの対ドル相場上昇で競争力が低下した企業への補助金を上積みし、輸出のてこ入れを目指す。これまで高成長をけん引してきた個人消費が高金利や物価上昇で一時の勢いを失い、米国景気の悪化でIT(情報技術)業界の減速も鮮明になってきたため、製造業に成長の下支えを期待する。
 ルピーは昨年3月ごろまでは1ドル44ルピー台をつけていたが、最近は40ルピー前後にまで上昇。通貨高による輸出価格の上昇で、国際的な競争力が低下している。

◎印・バングラデシュ間列車43年ぶり再開、貿易拡大へ(2008年4月15日、朝日新聞)
 【ニューデリー=小暮哲夫】インドとバングラデシュを結ぶ旅客列車が14日、43年ぶりに運行を再開した。バングラデシュが東パキスタンだった65年に第2次印パ戦争が起き、運行が中断していた。
 インド東部コルカタ(カルカッタ)とダッカ間の約400キロを、双方から週2回、片道約12時間で結ぶ。列車の通るベンガル地方は、47年のインドとパキスタンの独立時に分断された。
 インドは71年のバングラデシュの独立を支援したが、その後、両国は国境間の往来には慎重な姿勢に。バングラデシュからインドへの住民の越境を巡り、国境治安部隊間で発砲事件も発生していた。ただ、近年、貿易拡大への期待が高まり、関係改善の一環として再開を決めた。

◎印バングラデシュ間に43年ぶり鉄道運行(2008年4月14日、産経新聞)
 インド東部コルカタとバングラデシュの首都ダッカを結ぶ旅客鉄道が14日、運行を再開した。鉄道は1965年の第2次印パ戦争以来途絶えており、43年ぶりの運行となった。バングラデシュは71年にパキスタンから独立した。
 この国際列車は「マイトリー(友好)特急」。両国は国境を挟んだ武装組織の活動や移民問題などを抱え外交関係はぎくしゃくしており、人の交流を増やし関係を改善するのが狙い。このためコルカタとダッカを含むベンガル地方の正月に当たる同日を開通日に選んだ。
 同路線は約540キロの区間で運行。14日は特別運行で、通常は毎週土曜日にダッカ、コルカタをそれぞれ出発、片道13〜15時間かかる。

◎インドで爆弾テロ7件、1人死亡24人重軽傷(2008年3月9日、読売新聞)
 【ニューデリー=永田和男】AFP通信によると、インド北東部アッサム州とマニプール州で8日、計7件の爆弾テロがあり、少なくとも1人が死亡、24人が重軽傷を負った。
 当局は、いずれもアッサム地方の分離・独立を主張する「アッサム統一解放戦線」など過激派組織の犯行とみて捜査している。

◎インド軍事費、前年度比10%増、装備近代化急ぐ(2008年3月2日、読売新聞)
 【ニューデリー=永田和男】インド政府は29日、2008年度(08年4月〜09年3月)予算案を発表した。
 印PTI通信によると、軍事費は歳出総額の14%に当たる1兆560億ルピー(約2兆7530億円)で、前年度比10%の大幅増となった。
 インド軍は、冷戦期に主として旧ソ連から購入した装備が更新時期に来ており、総額100億ドル(約1兆400億円)以上とされる戦闘機126機を新規購入する計画のほか、12年までに総額300億ドルの兵器と関連物資購入を予定するなど、装備近代化を急いでいる。

◎スズキ、インド西部に専用港・年20万台輸出に備え(2008年2月21日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=小谷洋司】スズキはインド西部に輸出向け四輪車の積み出し専用拠点を設けることで現地民間港湾会社と合意した。最大約9500台を収容できる駐車スペースを併設し、年内に運用を始める。2010年までにインドからの完成車輸出を現在の4倍の年20万台に増やすのに向け、独自に港を確保する。
 拠点を設けるのはグジャラート州ムンドラ。スズキの現地子会社であるマルチ・スズキが港湾経営のアダニグループと合意書を交わした。同グループが6億ルピー(約16億円)を投資して専用ターミナルを整備し、マルチは4億ルピー(約11億円)を投じて車両検査施設を建設する。
 マルチは従来ムンバイ港から年5万台程度を輸出してきたが、拡大余地は乏しかった。スズキは今秋からマルチで量産する1000ccの新小型車「Aスター(仮称)」を欧州などに輸出する計画で、積み出し施設の確保が課題になっていた。

◎インド、外資規制を一部緩和・航空機整備など開放(2008年2月1日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=小谷洋司】インド政府は外資規制の一部緩和を決めた。航空機の整備事業やヘリコプターによる航空サービスなどを外資100%の企業に開放する。欧米から市場開放要求が続く小売り分野の規制緩和は盛り込まなかった。
 航空分野ではパイロットと整備士の教育訓練業務も100%外資の参入を解禁する。不定期旅客便と貨物便を運航する航空会社について、外資比率の上限を49%から74%に引き上げた。ただ海外の航空会社による出資は貨物便会社を除いて引き続き認めない。
 金融分野では信用情報会社への出資を49%を上限に解禁する。商品取引所への出資も49%まで認める。国営の石油精製会社への出資上限は従来の26%から49%に引き上げた。

◎インド、バングラデシュで鳥インフルエンザ拡大、人への感染も懸念(2008年1月26日、産経新聞)
 インド東部の西ベンガル州と隣のバングラデシュで、鶏の鳥インフルエンザが急拡大している。人にも感染のおそれがある高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1による流行で、感染範囲は農村部から拡大、1400万の都市圏人口を持つ州都コルカタにも迫る勢いを見せている。インド政府は鶏などの家禽210万羽以上の殺処分を進めているが、個人で鶏を飼う農家などの拒否反応は強く、処分作業は難航しているという。
 インドからの報道によると、西ベンガル州の鶏の大量死は今月4日ごろからスタートしたが、インド政府が報告を受けたのは1週間後の11日、H5N1型鳥インフルエンザと確認されたのは15日だったという。
 一方、フランス通信(AFP)によると、バングラデシュでは昨年2月からH5N1型鳥インフルエンザによる鶏の大量死が各地で散発的に発生していることから、国連食糧農業機関(FAO)は西ベンガル州の流行がバングラデシュから国境を越えて広がったとみている。
 西ベンガル州ではすでに19県のうち12県で流行が発生しており、この12県を中心に家禽210万羽以上を殺処分にする予定だが、この1週間の処分は43万羽にとどまっている。農家が大切な収入源である鶏の供出を拒んでいることや豪雨による中断などが作業を困難にしているようだ。
 インド、バングラデシュ両国政府ともこれまでのところ、人への感染は起きていないとしているが、現地では通常のインフルエンザシーズンとも重なり、発熱などの症状を訴えて不安になった住民多数が診療所に押しかけているという。
 鳥の流行の拡大が止まらず、死んだ鶏を池や川に捨てたり、調理して食べるといった報告もあることから、鳥から人への感染のリスクは依然、否定できず、インド保健省はタミフル10万カプセル(1万人分)、マスク2500人分などを現地には支給した。また、西ベンガル州政府に対し、無作為抽出で人のH5N1感染の検査を行うよう要請するなど、感染の早期発見と封じ込めの体制を急いでいる。
 こうした対応にもかかわらず、鳥の感染はすでにコルカタの郊外30キロにまで接近していると伝えられ、1400万人の都市圏人口を持つ巨大都市への流行の拡大も強く懸念されている。
 コルカタには養鶏場は1カ所しかないが、個人的に裏庭などで鶏を飼う家も少なくないことから殺処分の徹底は困難だという。また、鶏肉を取引する市場では警戒態勢がとられているものの、道端で個人的に店を出しているところまで感染防止策を徹底させるのは難しいと懸念されている。
 州政府は流行地域からの家禽や鶏肉などのコルカタへの搬入を禁止し、道路を封鎖して監視しているが、監視の目をかいくぐって持ち込むケースもかなりあるようだ。

◎中国がインドの最大の貿易パートナーに(2008年1月17日、日本経済新聞)
 インドにとって最大の貿易パートナーはアメリカだった。しかし昨年、長い間トップの座を保ってきたアメリカを、ついに中国が抜いた。インドの政府関係者によると、2007年の対中国の貿易額は386億ドル。一方の対アメリカ貿易額は346億ドルであった。
 インドと中国間の貿易額は2006年、前年よりも一気に137億ドル増加し、249億ドルとなった。53%以上の増加である。両国首相は、2010年までに両国間の貿易高を400億ドルにする目標を、600億ドルに上方修正した。
 インドがアメリカから購入したボーイング機の代金を払い始めれば、中国の地位が揺らぐだろう、という指摘もある。しかし、インド政府関係者は、「中国がインド最大の貿易パートナーの地位を失うとは考えにくい。シン首相の中国訪問で、両国首脳の間で実りのある話し合いがもたれれば、インドと中国の貿易はいっそう成長していくだろう」と語る。
 また、インドのカマル・ナート商工相は、「中国はタバコの巨大市場だ。中国は世界中からタバコを購入しているが、インドは高品質のタバコを他国より安く提供できるだろう。私は、インドが中国のタバコ市場で大きな地位を占めることを確信している」と語る。
 インドの対中国、対アメリカ貿易の大きな違いは、対アメリカ貿易の場合、インドは黒字だが、対中国の場合、赤字になるということだ。
 対アメリカでは、2006〜07年度に70億ドルの黒字を記録した。一方、対中国では、96億ドルの赤字を記録している。

◎インド、中国人へのビザ発給を増加(2008年1月7日、日本経済新聞)
 インドは、中国からの訪問者に対して、ドアを開放しつつある。中国内のビザ発給施設を従来よりも大幅に増やすことで、中国人に対してのビザの発給を増やす狙いだ。インド政府は、中国政府から、ビザを現在より多数発行するように要請を受けていた。
 今回のビザ発給施設の増設は、中国政府からの要請を受けたもの。13日から予定されているシン首相の中国訪問より先に、北京では新たなビザ・センターが機能し始める見込み。インド大使館は、ビザ申請の受付業務を民間企業に外部委託し、受付数を増加させる。

◎インド:タタ自動車が29万円激安車生産へ、スズキを追撃(2007年12月24日、毎日新聞)
 インドの財閥系タタ自動車は24日、10万ルビー(約29万円)の低価格車を来月10日、ニューデリーで開かれる自動車ショー「オートエキスポ」で発表すると明らかにした。
 タタ自動車は西ベンガル州に建設中の工場で今年後半にも、この低価格車の生産を開始する方針。スズキが圧倒的にリードするインドの乗用車市場で販売を拡大し、スズキを追撃する。
 インドなど新興市場で急速に増える中間所得者層をターゲットにした有力各メーカーの販売競争は激化しそうだ。
 インドを舞台にした低価格車としては、日産自動車とフランスのルノーの社長を兼務するカルロス・ゴーン氏が3000ドル(約34万円)の激安車を現地メーカーとの提携で2010年までに生産する方針を明らかにしている。(バンコク・共同)

◎インドIT大躍進,成長率上位500に82社(2007年12月23日、産経新聞)
・5割増、軸足は中小にシフト
 スイス法令に基づく国際的な連合組織体で会計事務所のデロイト・トウシュ・トーマツが公表した市場調査で、インドのIT(情報産業)関連企業が世界的に見ても急成長を遂げていることが明らかになった。海外からのソフトウエア受託開発などオフショア(外部委託)業務を中心にインドの8%近い経済成長に寄与するIT業界が、従来の大手中心から中小のITベンチャーに成長の軸足をシフト。先行するライバルの台湾や韓国に迫る勢いとなっている。(坂本一之)
 この調査は、アジア太平洋地域でメディア、通信産業、ハイテクで過去3年間の売上高で成長率の上位500社をまとめた「アジア太平洋地域テクノロジー・ファスト500」。2007年版の500社に選ばれたインド企業は、前年調査の54社から5割増となる82社に達し、国・地域別では99社の台湾に続き2位と前年の5位から躍進した。04年に比べると、同500社に名を連ねたインドの企業数は倍増している。

・ソフト受注急拡大
 インドはランクインした82社のうち過半数の48社がソフトウエア関連企業。日米欧などの大手企業からコスト削減のため人件費の安いインドに発注するオフショア需要が拡大。インフォシス・テクノロジーズやタタ・コンサルタンシー・サービシズなど大手以外に、中小のITベンチャーが成長し裾野が広がった。
 オフショア業務ではソフト技術の先進性と、英語教育が浸透しているインドが有利。官民挙げて産業を育成している。
 同500社で国・地域別では、上位常連の韓国が82社でインドと同着の2位。4位は日本の63社のほか、小差でオーストラリアの62社が5位、さらに中国の53社と続いている。この中で中国は成長率でトップ10社のうち4社を占め、IT産業の急成長を印象づけるものの、ランクイン社数では04年の90社から下降傾向にあるという。
 その理由として、デロイト・トウシュ・トーマツの日本メンバー、監査法人トーマツは、「インターネット分野で中国のランクイン企業数が急減している」と指摘している。ネット普及が進んだ結果、IT企業の成長も一段落したもようだ。ただ、中国紙の人民日報によると、中国の経営者へのアンケート調査で、投資を今後増加させるとの回答が65%に達していることから、IT産業においても現段階は踊り場状態との見方も可能だ。

・中国、再加速に期待
 中国の携帯電話最大手の中国移動(チャイナモバイル)は今月6日、企業向けにケータイを活用した情報サービスの提供を全国展開すると発表するなど、中国の携帯関連ビジネスは拡大中だ。
 13億人の人口を抱える中国の携帯利用者数はすでに5億人を突破し、メールやネット利用も普及し始めており、中国のIT関連企業の成長が再加速することが期待されている。インドが国際的な受注産業を伸ばしている一方、中国は巨大な国内マーケットに目を向けた成長に注目している。

◎インド、デリー北部でメガタウン計画。190万人が住む夢の町に(2007年12月20日、日本経済新聞)
 首都デリーの北部で、地球に優しく、住みやすい夢の町づくりが始まっている。デリー開発局(Delhi Development Authority:DDA)が19日に明かしたところによると、190万人が住む住宅エリア、アミューズメント・パーク、6ヶ所のピクニック広場、ゴルフ・コースや公園などが建設される予定だ。
 DDAのメンバーであるジレー・シン・チョーハーン氏がヒンドゥスターン・タイムズに伝えたところによると、「北はハリヤーナー、東はヤムナー、西は国道1号線、南は外郭環状道路に囲まれる8194ヘクタールの土地が開発の対象となり、そのうち1924ヘクタールは緑地として確保される」そうだ。
 都市公園には、博物館、美術館、図書館、コンサート会場や映画館として使える多目的ホールも建設される。ヒンドゥスターン・タイムズが入手した草案のコピーによると、国際フェアの開催が可能な大型展示場の建設も予定されているようだ。交通の便も考慮し、地下鉄網の増設案や、幅100m級の道路の建設も計画されている。その他、大学、病院、ナレッジパーク、ITパーク、スポーツセンターなども計画に盛り込まれている。
 「この地区計画により、デリー北部は間違いなく注目スポットになるはずだ。官・民の協力のもと、開発は順調に進んでいくだろう」とチョーハーン氏は語る。
 面白いことに、イギリス政府もかつて、レーズン・ヒルズ(現在の首相官邸付近)に首都を移す前に、この地域に首都を移す計画を立てていた。もっとも、この時には低地であるという理由で、計画はなくなったが。

◎「親の老後、面倒見ないと懲役」、インドで法案可決(2007年12月8日、朝日新聞)
 インド上下院は7日までに、年老いた親の面倒を見ない子供に懲役を科す「親と高齢者の扶養と福祉法案」を可決した。「多世代が同居する家族が減り、家族に面倒を見てもらえない高齢者が多くいる」(クマール社会正義・認可相)問題の解消が狙いだという。
 法律によると、親の財産を相続したか相続予定の子供や孫、親類が、60歳以上の親の衣食住や医療の確保、介護を意図的に放棄した場合、最大で懲役3カ月、罰金5000ルピー(約1万4000円)を科すことができる。親は各県内に設ける専用の裁判所に訴えることになる。
 年金や高齢者福祉制度が充実していないインドでは、年老いた親は子供に老後の世話をしてもらうのが一般的。だが、生前に財産の相続を確約すると、その後は子が親の扶養を放棄してしまうケースも起こっている。
 そのため、法律では、親の意向に基づき、裁判所が、親の面倒を見ない子供に対して相続の無効を宣言できる条項も盛り込んだ。

◎インドの毛派が警察官襲撃、15人死亡、インド中部(2007年11月4日、朝日新聞)
 インド中部チャティスガル州で2日夕、インド共産党毛沢東主義派(毛派)の一団が巡回中の警察官を襲撃し、PTI通信によると、警察官15人が死亡した。毛派は武装闘争を通じて革命政府の樹立を目指す極左の過激派。10月27日にも隣接するジャルカンド州で村人ら18人を殺害した。

◎インド、輸出産業支援・ルピー、9年ぶり高値水準(2007年10月26日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インドの通貨ルピーが対米ドルで約9年ぶりの高値水準となり、同国政府は輸出産業などの支援に乗り出した。零細経営が多い繊維業界などが大きな打撃を受けているためで、同国経済のけん引役であるハイテク産業への波及を防ぐ狙いもある。ただ輸出競争力の低下に歯止めをかけるまでには至っておらず、今年度の経済成長は小幅に鈍化するとの見方が強まっている。
 印ルピーの対ドル相場は10月中旬、1ドル=39.31ルピーと9年半ぶりの高値となり、過去1年間の上昇率は約13%に達した。証券投資や製造業などへの海外直接投資で大量の外貨が流入していることが主な要因。印商工省は「ルピー高は1ドル=38ルピー前後まで進行する」(ピライ次官)と予測。今年度(2008年3月期)の輸出目標を1600億ドル(約18兆2000億円)から1400億ドルに下方修正した

◎サルの群れ襲撃、ニューデリー副市長が転落死(2007年10月22日、読売新聞)
 【ニューデリー=永田和男】インドPTI通信によると、首都ニューデリーのS・S・バジワ副市長(52)が20日、市内の自宅2階ベランダで、襲いかかるサルの群れを追い払おうとしてバランスを崩して庭に転落、頭を強く打って、収容先の病院で21日死亡した。
 副市長を襲ったのは、近所のヒンズー教寺院に住みつくサルの一群と見られる。ニューデリーでは、これまでもサルの襲撃による死亡事故が発生。国会議事堂や官庁が集中する市中心部でも野生のサルが我が物顔で走り回り、建物に侵入して業務の妨げになっているとして、裁判所は何度も市衛生当局に対策を講じるよう命じていた。
 しかし、ヒンズー教で神聖視されるサルを殺すことはできず、市では、動物捕獲業者が生け捕りにしてきたサルを買い取って郊外で放している以外、抜本的な対策を取れないでいた。

◎インドの携帯電話加入者、2億件を突破(2007年9月22日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インド電気通信監理局(TRAI)が発表した電話加入者統計によると、同国の携帯電話加入者は8月に約831万件増加し、計約2億129万件と初めて2億件を突破した。前年同月からは約63%の大幅増で、月間平均では約650万件に達した。固定電話を合わせた加入者の合計は約2億4102万件となった。
 インドの携帯電話加入者は2006年5月に1億人を突破。今春には中国、米国に続く世界第3位の「携帯電話大国」に躍り出ていた。

◎インドに技術拠点を新設、日産とルノー(2007年9月7日、産経新聞)
 日産自動車と仏ルノーは6日、インド南東部のチェンナイ市に、世界的な技術拠点となる合弁会社「ルノー 日産 テクノロジー&ビジネスセンター インディア」を、折半出資で設立すると発表した。
 センターは2008年初頭にオープン。車両設計や購買、デザインなど幅広い業務を手掛ける。10年には人員1500人規模を配置する。
 インドで両社は、同市に現地自動車メーカーと共同で、小型乗用車などを生産する工場を建設することを決めている。

◎インドと通貨交換協定、首脳会談で基本合意(2007年8月23日、産経新聞)
 安倍晋三首相とインドのシン首相は22日の首脳会談で、通貨危機への備えとして、日本とインドの両国が2国間の通貨交換協定を締結することで基本合意した。インドの通貨ルピーを安定させることで、経済成長の原動力となる外国からの投資を促すとともに、日本とインドの関係を強化して経済交流を拡大するのが主な狙いだ。
 協定は、国内から外国の資金が一斉に引き揚げて通貨が急落する事態に備え、両国の外貨準備から資金を融通し合う内容。相互に最大30億ドル、計最大60億ドルの枠を設定する。年内の発効を目指す。
 1997年からのアジア通貨危機を受けて、東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓(プラス3)の13カ国は、今回と同様の2国間協定の締結を進めてきた。13カ国は支援資金を1カ所にプールし、1本の多国間協定に衣替えすることで合意し、具体的な検討に入っている。将来的にインドも、この枠組みに加わる可能性がある。

◎インドに自動車ガラス工場建設、日本板硝子(2007年8月21日、産経新聞)
 日本板硝子は21日、昨年買収して子会社化した英ガラス大手のピルキントンが、インド東部のビシャカパトナム市に自動車用ガラスの工場を建設すると発表した。日本板硝子グループのインド進出は初めてで、来年夏ごろに生産を始める。建設費は約1500万ユーロ(約23億円)。
 インドは経済成長に伴って自動車市場が拡大しており、現地で自動車用ガラス最大手の旭硝子グループなどを追撃する。フロントガラスの生産能力は年約50万枚で、欧米への輸出を手掛ける。従業員は約350人の予定。

◎日本板硝子、インドに新工場・ピルキントンと車用ガラス生産(2007年8月21日、日本経済新聞)
 日本板硝子は傘下の英ガラス大手ピルキントンを通じてインドで自動車用ガラスの生産に乗り出す。まず補修用ガラスの生産拠点を2008年夏に建設、将来は新車用ガラスを生産する。経済成長が続くインドでは自動車需要が急増、日系メーカーも現地生産を拡大している。日本板硝子はピルキントン買収で獲得した製造販売網を活用して成長市場を開拓、最大手の旭硝子を追撃する。
 新工場はインド東岸部のアンドラプラデシュ州に建設する。まず補修用ガラスの加工設備を導入し、フロントガラスを年間50万枚生産する。一部は欧米に輸出する。ピルキントンが工場の運営にあたり、日系自動車メーカーへの販売などで日本板硝子が協力する。初期投資額は数十億円とみられ、インド国内で認知度を高めたうえで新車用ガラスの生産も検討する。

◎インドのパソコン市場、日本の半分に・06年度634万台(2007年7月26日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=小谷洋司】インドの2006年度のパソコン出荷台数は前年度比26%増の634万台となった。インド情報技術工業会(MAIT)によると、市場の9割近くを占めるデスクトップ型が2割近く伸びたうえ、低価格化が進んだノート型は倍増した。法人向け、家庭向けともに需要は急増しており、同工業会は07年度の市場規模が800万台に達すると予測している。
 インド市場は成熟化して伸びが鈍化した日本市場(約1300万台、MM総研調べ)の半分の規模に迫った。デスクトップ型では米ヒューレット・パッカード(HP)など外資のブランド品とノーブランド品がともにシェアで4割弱ずつを占めている。

◎インド大統領選、パティル氏が当選、初の女性大統領に(2007年7月21日、読売新聞)
 【ニューデリー=永田和男】インド大統領選挙(国会、州議会議員による間接選挙)は21日開票され、連立与党が推すプラティバ・パティル前ラジャスタン州知事(72)が、インド人民党など野党連合候補のバイロン・シン・シェカワット副大統領(83)を破り当選した。
 インド初の女性大統領となるパティル氏は25日に正式就任する。任期は5年。
 選挙は、アブドル・カラム大統領(75)の任期満了に伴い、19日に投票が行われた。「ミサイルの父」と呼ばれる科学者のカラム氏は国民的人気が高く、再選を望む世論もあったが、連立与党はソニア・ガンジー国民会議派総裁と親密なパティル氏を擁立した。
 この決定には、2009年総選挙が接戦になるのを見越して、首相任命の権限をもつ大統領に与党寄りの人物を据えておく狙いが明白だとして、野党側が反発。大統領選では異例の激しい選挙戦となったが、国会と州議会を合わせた数の力で勝る連立与党候補パティル氏が制した。
 パティル氏は政界で目立った実績がなく、候補擁立後には、身内の犯罪もみ消しなどの疑惑が次々と浮上し、野党の攻撃も浴びた。

◎インド・ムンバイでビル崩壊、22人死亡(2007年7月19日、朝日新聞)
 AP通信によると、インド西部のムンバイで18日深夜(日本時間19日午前)、7階建てのビルが崩壊して、少なくとも22人が死亡し、9人以上が負傷した。崩壊の原因は現時点で不明。地元当局がビルの居住者などの救助活動を進めている。

◎インド、今年度9%成長見通し・経済諮問委が発表(2007年7月17日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インド首相府の経済諮問委員会(ランガラジャン議長)は16日発表した経済見通しで、今年度(2007年4月〜08年3月)の経済成長率が前年度(9.4%)をわずかに下回る9.0%になると予測した。また石油製品価格の沈静化などにより、インフレ率は年度内に4%以下に収まると見方を示した。
 だが、対印直接投資や証券市場への資金流入などで通貨ルピーが急騰しているため、同諮問委では今年度の輸出額が政府目標の1600億ドル(約19兆5000億円)を下回る1470億ドル程度にとどまる、と予測している。
 印中銀(RBI)、印産業連盟(CII)、一部外銀などは、高金利やルピー高が経済成長に与える影響を考慮し、今年度の成長率見通しを8.0〜8.5%程度としている。諮問委の見方は最近のインフレ沈静化などを背景とした政府の楽観論を裏付けた。

◎ウェストベンガル州、コルカタをIT都市へ(2007年7月10日、日本経済新聞)
 KPO(知的処理アウトソーシング)産業の市場規模が2010年までに170億ドルに到達するという専門家の予測を受けて、ウェストベンガル州は州都コルカタをIT産業新興都市として、海外投資家から注目される都市にしようと躍起になっている。
 それにあたって、海外企業からはいくつかのアドバイスが出ている。インド商工会議所(ICC)が主催したカンファレンス「ITCon-destination East」において、アメリカに本社をおくIT企業ソロンのヴィヌー・B・カルター氏は「ウェストベンガル州はコルカタをIT都市として世界に発信していくべきだと語った。
 同氏によると、ウェストベンガル州をはじめとするインド東部の州には、IT産業を発展させるにあたって5つのマイナス面があるという。それらは、インフラの不整備、高いビジネスリスク、貧困層の割合の多さ、ビジネス環境、ブランドイメージだ。
 しかし、これらの州にはプラス面も兼ね備えている。カルター氏は「ウェストベンガル州をはじめ、インドの東部の州、たとえばオリッサ州のブバネーシュワルには費用効果でのプラス面があり、優秀な人材が豊富である。今後は、これまであまり重点を置かなかったブランド構築の重要性を認識していくべきだ」と語った。
 また大手IT企業、ファーストソースのビジネストランスフォーメーション担当、アビシェーク・アーナンド・バガート氏は「今後、東部の州は、国内企業のアウトソーシングのハブとして発展し、数年の内にこの業界での雇用が50-70万人ほどに増えるだろう」と語っている。

◎薄型テレビ、インド事業拡大・松下やソニー、韓国勢に対抗(2007年7月2日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=小谷洋司】日韓の電機大手がインドで薄型テレビ事業の拡大に動き始めた。松下電器産業は5月に現地生産を始め、市場に本格参入した。ソニーは自社ブランド専門店を2007年度末までに前年度末比1割強多い230店以上に増やして拡販する。インドの今年度の薄型テレビ市場は40万〜50万台と前年度の3倍前後に急成長する見通し。離陸期を迎えた新市場でシェア争いが本格化する。
 インドのテレビ市場は年900万台規模とみられ、大半を低価格のブラウン管テレビが占める。日本勢は韓国勢や現地メーカーに比べシェアが低かったが、薄型テレビの普及を機にインド市場で攻勢を強める。

◎変貌するインドの結婚(2007年6月26日、日本経済新聞)
 結婚は天国で決められるものだと言われているが、インターネットの結婚サイトでは、ワンクリックで天国を地上に持って来ることができる。今や縁結びのおばさんは過去のものとなり、インターネットによって結婚相手を探す時代がやってきた。
 インド・インターネット携帯電話協会(IAMAI)の調査によると、インドではインターネットが縁結びに革命を起こした。
 ヴィヴェークとパッラヴィーは、shaadIComを通して出会ったカップルで、今ではインターネットを感謝して止まない。ヴィヴェークは、「私はshaadIComの有料会員で、大規模な花嫁データベースにアクセスすることができた」と語っている。ヴィヴェークとパッラヴィーは「身体障害者」のカテゴリーにいた。身体障害者にとって、パートナーを見つけるのは困難になってきている。結婚情報サイトは、すべてのカテゴリーの花婿花嫁が閲覧可能な巨大なデータベースを擁しており、結婚相手探しを容易にする。
 インターネットはビジネスとしての結婚情報斡旋を一変させ、手頃で便利な縁結びを可能とした。かつて結婚相手探しは新聞や結婚斡旋所の牙城であったが、この業界は男女の結婚を「オンラインとオフライン」で支援するウェブサイトの登場により、大きく進歩した。インターネットは、カースト、言語、距離を越えた生涯のパートナー探しを容易にした。より相性のよい相手を見つけるため、検索力を拡大し、ツールを改良し、使い勝手を向上させた。多数のパラメータを指定することでデータベースを簡単に検索することができるため、柔軟に正しいパートナーを探し出すことができる。サービスは迅速、便利かつ包括的だ。
 IAMAIは最近、結婚相手検索サイトの利用調査を行った。それによると、2004〜05年の利用者数が400万人だったのに対し、2005〜06年には550万人に増加した。2006〜07年には700万人にまで増加すると推定されている。過去1年間の急成長の理由は、インターネットによる結婚相手探しが社会に受け入れられつつあることだと考えられている。

・インターネット利用者のための「e結婚」
 最近の若者は、家柄やカーストではなく、価値観や趣味、好き嫌いを見ており、決断を下す前に質的な適合性を確保することを望む。インターネットを利用する多くのインド人の若者たちは、すでにネットをチャットの道具として、デートの日にちを決める手段として、また古い友人たちと連絡を保つソーシャル・ネットワークのツールとして利用している。だから、たとえ両親が新聞に結婚相手探しの広告を掲載したり、自分の息子や娘のために適切な候補を家族の縁結び役に頼んだりしていたとしても、彼らが生涯のパートナー探しに最も信頼に足る手段であるインターネットに走ることは何もおかしなことではない。
 結婚情報サイトでは、写真や、好き嫌いや興味などのプロフィールを掲載する十分なスペースが提供される。すべては検索可能で、パラメータを特定することにより、ユーザーは興味のあるプロフィールのみを見ることができる。ShaadICom、BharatMatrimony.com、JeevansaathICom、Rediff Matchmaker、Sify.comのような人気サイトの多くでは、ユーザーは無料でプロフィールを投稿でき、自分のプロフィールから将来のパートナー候補を選択することもできる。リストアップされた人と連絡を取りたいときだけ、利用料を支払えばいい。3ヶ月有効の会員で800ルピーから1,000ルピーほどである。
 結婚情報サイトの急増を見れば、このアイデアがどれだけ普及したかが分かる。およそ1,500のウェブサイトが、信頼あるオンライン結婚相手検索サイトとしての地位を築くために熾烈な競争を繰り広げている。まずは世界中のあらゆるコミュニティーにサービスを提供している大手サイトがトップに君臨している。その次に、ひとつのコミュニティーに特化したニッチなサイトが手堅く地盤を固めている。グジャラート人コミュニティーのためのGujratimilan.comや、イスラーム教徒のための結婚情報サイト、Nikah.comなどがその例である。ShaadIComを運営するピープル・グループのアヌパム・ミッタルCMDは、「オンライン結婚情報サービスのビジネスは、強固なインド人移民を基盤として、過去数年間顕著な成長を見せている。今後2年間で我々はこのセグメントが50%成長すると見ている。その原動力となるのは、便利な結婚相手探しへの需要、インドにおけるインターネット普及率の増加や、35歳以下の人口が全人口の65%を占めるというインドの人口構成などである」と述べている。

・結婚情報に留まらない、さらなる特典サービス
 結婚相手探しをしている人は、新聞に広告を出すよりも安上がりのため、インターネットの利用を好む。結婚相手探しの新聞広告は4行で約1,200ルピーかかるが、インターネットでは同じ額で3ヶ月間、写真と共に詳しいプロフィールを掲載することができる。これらのサイトでは、携帯電話アラート、各種インド言語によるホロスコープ、NRIの花婿花嫁の参照チェックなど、付加サービスも提供している。
 人気ウェブサイトではさらにプロフィール検査を行って信頼性を確保している他、デジタル・ホロスコープ、メッセンジャー、Eメール・サービスなどの便利なツールを提供している。また、データベースに登録された人々に定期的にファッション、ライフスタイル、ヘルス、フィットネスなどに関する豆知識を送ったりする、既存の結婚情報サービスの枠から外れたサービスも行っている。
 結婚は慣習であり、人生に一度だけの至福の出来事で、人として生まれたからには必ず通過しなければならないものだと言われていた。時代は変わり、今では人々は、人生は一人で過ごす価値のないものだと考えるようになった結果、結婚に対する信条を強めている。インターネットは社会的つながりを断ち切り、子供たちを両親から孤立させる大きな原因となっていると言われている。だが、インターネットは2つの魂を結びつけるのに役立つ道具だと言っていいだろう。

◎インド北東部の野菜市場でテロ、子供含む5人死亡(2007年6月24日、読売新聞)
 【ニューデリー=永田和男】インド北東部アッサム州の中心都市グワハティの野菜市場で23日朝、自転車に仕掛けた爆弾が炸裂(さくれつ)し、子供ら少なくとも5人が死亡、20人が負傷した。
 警察は、アッサム地方の分離・独立を主張する非合法組織「アッサム統一解放戦線」による犯行の可能性が高いとみて捜査している。

◎インドのタタ製鉄、ベトナムで製鉄所計画(2007年5月29日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=小谷洋司】インド製鉄最大手のタタ製鉄は29日、ベトナムでの製鉄所建設計画を明らかにした。国営ベトナム鉄鋼公社との合弁事業で年産能力450万トンを見込む。鋼材の大半を輸入に頼ってきたベトナムの経済発展をにらみ、鉄鋼大手の動きが加速してきた。
 両社首脳が同日にハノイで会い、採算性などを評価する調査を始めることで合意した。製鉄所はハノイの南方約300キロのハティン省に設ける計画で稼働時期は示していない。現地からの報道によると、ベトナム政府関係者は投資額が35億ドル(約4200億円)に達するとの見方を示した。建設予定地の近くには推定埋蔵量5億トンの鉄鉱石の鉱脈があり、タタはそこでの採掘事業にも携わる見通しだ。
 ベトナムでは韓国最大手のポスコが家電などに使う冷間圧延製品の工場建設計画を持ち、2009年末の完成を目指している。タタは大規模な投資が必要な製鉄所の建設に踏み込み、拡大する国内需要を取り込む。

◎インド中銀総裁「物価上昇率4%近くへ引き下げる」(2007年5月28日、日本経済新聞)
 インド準備銀行(中央銀行)のレディ総裁は28日の「インド経済シンポジウム」の講演で、年率8%前後の成長を続ける同国で景気過熱への懸念が出始めていることを踏まえたインフレ抑制の目標値を示した。現在、5%台半ばで推移している同国の物価上昇率を、最終的に「4%近く」へ引き下げるとした。
 インド経済の現状についてレディ総裁は「過去4年の成長率は平均8.6%で高成長期に入った」と分析。そのうえでインフレ抑制を2段階で進める考えを明らかにした。物価上昇率を「来年3月までに5%の線」に近づけ、次に「中期的に自律的な成長路線を維持するのに効果がある」水準として、4%程度に抑える必要があると指摘した。
 懸案の財政赤字を巡っては、政府や地方の債務残高の国内総生産(GDP)比が高いことは認めながらも「緩やかながら(財政収支は)改善している」と強調した。中でも「州レベルの経常赤字はゼロに近づいている」と述べた。

◎インド:中距離新型ミサイル実験成功、中国の一部、射程に(2007年4月13日、毎日新聞)
 【ニューデリー共同】インドは12日、核弾頭搭載可能な新型中距離弾道ミサイル「アグニ3」の発射実験を東部オリッサ州ウィーラー島の実験場で行った。同ミサイルの発射実験は昨年7月に失敗しているが、同国国防省は今回の実験は成功したと発表した。
 PTI通信によると、射程3000キロ。南アジア全域のほか中国の一部主要都市も射程に収める。

◎新日鉄:インドのタタ製鉄と合弁交渉、自動車用鋼板生産で(2007年3月27日、毎日新聞)
 新日本製鉄は27日、インドの鉄鋼大手・タタ製鉄と、現地で自動車用鋼板を合弁生産する交渉に入ったことを明らかにした。インドの06年の粗鋼生産は前年比7.7%増の4万4000トンで、中国や日本、米国などに次ぐ世界7位の鉄鋼市場。現地生産を拡大している日系の自動車メーカーに高級鋼材を供給する。
 インドへはスズキやホンダ、トヨタ自動車など日系自動車メーカーが相次いで進出。現地調達の需要が高まっていた。このため新日鉄は、欧州の鉄鋼大手コーラスの買収で世界6位に浮上したタタと協議入りすることで合意した。両社は02年から自動車用鋼板の分野で技術提携しており、新日鉄はタタの製鉄所建設にも協力している。
 鉄鋼業界は圧倒的な世界首位のアルセロール・ミタルの誕生を機に再編機運が高まっており、新日鉄も韓国のポスコやブラジルのウジミナスとの資本提携を強化するなど、対応を急いでいる。【上田宏明】

◎インド:極左武装組織が警察施設を襲撃、50人死亡(2007年3月15日、毎日新聞)
 【ニューデリー西尾英之】インド中部チャッティスガル州ビジャプール地区で15日、「ナクサライト」と呼ばれる毛沢東主義の極左武装組織が警察施設を襲撃。AFP通信によると、警官ら少なくとも50人が死亡した。
 事件があったのはナクサライトの勢力が強い森林地帯。数百人のゲリラが手投げ弾などで施設を襲い、放火して逃走した。地元治安担当者は同通信に「(ナクサライトによる)最悪の事件の一つとなった」と語った。
 ナクサライトは、少数部族や低位カースト住民の解放を掲げて反政府武装闘争を行う非合法の極左勢力の総称。40年前から武装闘争を開始し、武装ゲリラは現在、9000人から2万人程度とみられている。
 インド東部から中部、南部にかけての広い地域で政府機関襲撃や要人殺害、村落への襲撃などを繰り返し、地元人権団体によると、昨年1年間で住民285人を含む749人が死亡。シン印首相は昨年「国内の治安を脅かす最大の脅威だ」と述べ、掃討強化を打ち出している。

◎日本、長者数のアジア首位陥落、インドに抜かれる(2007年3月9日、朝日新聞)
 「日本はもはやアジア一の長者スポットではない」。米経済誌フォーブスが8日発表した07年版の世界長者番付で、日本はランク入りした資産家の数で急成長中のインドに抜かれ、87年に長者番付が始まって以来、初めてアジアトップの座から転落した。世界一は、コンピューターソフトウエア最大手マイクロソフトのビル・ゲイツ会長が560億ドル(約6兆5500億円)で、13年連続だった。
 10億ドル(約1170億円)以上の資産を持つ富豪は世界で計946人。このうち日本人は24人(合計の資産額は計640億ドル)だったのに対し、インドは36人(同1910億ドル)だった。国別では米国が415人と最も多かった。
 日本人のトップは、ソフトバンクの孫正義社長(資産額58億ドル)で全体の129位だった。2位は森トラストの森章社長・森家(同57億ドル)で全体の132位。87年には全体で首位に立ったこともある旧コクド元会長の堤義明氏は今回初めてランク外になった。
 インドは世界鉄鋼最大手のアルセロール・ミッタルを率いるラクシュミ・ミッタル氏が全体の5位。

◎世界長者番付にインド躍進、1位は13年連続ゲイツ氏(2007年3月9日、読売新聞)
 【ニューヨーク=小山守生】米経済誌フォーブスが8日発表した2007年版の世界長者番付によると、米マイクロソフトのビル・ゲイツ会長が資産560億ドル(約6兆5620億円)で13年連続で1位の資産家となった。
 資産10億ドル(約1171億円)を上回る富豪の数は946人で、このうち日本人は前年より3人少ない24人。経済成長が続くインドは前年の24人から36人に増え、日本を初めて抜いて「アジア首位」となった。また、中国(香港を除く)も前年の8人から20人に増えた。
 インド人の首位は世界最大の鉄鋼会社アルセロール・ミッタルの経営者ラクシュミ・ミッタル氏で、資産320億ドル(3兆7490億円)で世界5位に入った。日本人首位は孫正義・ソフトバンク社長で、58億ドル(約6800億円)で129位だった。
 世界2位は米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が520億ドル(約6兆930億円)。1987年に世界1位だった旧コクドの堤義明元会長は番付から外れた。

◎インドで列車が炎上、60人以上死亡 「テロの可能性」(2007年2月19日、朝日新聞)
 インド北部のパニパット近くで19日未明、特急列車が炎上し、60人以上が死亡、50人が負傷した模様だ。インドのテレビNDTVなどが伝えた。
 報道によると、ニューデリーからパキスタン国境まで行き、列車を乗り換えてラホールまで行く特急列車のうち、2両が炎上した。近くで爆発装置が発見されたとの情報もあり、インドのプラサド鉄道相は「テロの可能性が高い」との見方を示した。
 20日にはパキスタンのカスリ外相が訪印、ムカジー外相と会談する予定になっている。印パ間の和平交渉の進展を妨害するため、カシミール地方を拠点とするイスラム過激派などがテロを起こした可能性がある。

◎トヨタがインドに新工場、2010年めど低価格車を年10万台(2007年2月12日、日本経済新聞)
 【バンガロール(インド南部)=松井健】トヨタ自動車は2010年をめどにインド南部に小型車の組み立て工場を新設する。同国2カ所目の拠点で、稼働当初は年10万台を生産し、現地生産能力はほぼ2倍になる。投資額は400億―500億円。インドの乗用車市場は年率20%で拡大しており、世界の有力メーカーが大型投資に動いている。シェアが約4%にとどまるトヨタも低価格車を本格投入し、課題の新興国市場開拓を急ぐ。
 南部の都市バンガロールにある第一工場付近に建設する。生産車種は開発中の「エントリー・ファミリー・カー」。04年から東南アジアなどで販売するIMVシリーズに続く新興国向け戦略車で、IMVが排気量2リットル超のミニバンなどが中心なのに対し、1リットル級のコンパクトカーを主力とする予定だ。80万円程度に抑え、世界のトヨタ車のうち、もっとも安い価格帯とする見通し。

◎派遣技術者、インド・中国採用を拡大(2007年2月7日、日本経済新聞)
 技術者派遣各社がインドや中国など新興国の技術者の採用を拡大する。少子化や団塊世代の大量退職で日本国内の技術者不足が深刻化。景気拡大を背景にした製造業やIT(情報技術)企業からの需要増に対応するのが難しくなっているため。日本で“修業”した外国人技術者を派遣期間後に、海外拠点の幹部候補として採用する企業も増えるとみており、今後対象国を広げる動きが広がりそうだ。
 パソナテックは今夏、インドのIT技術者の採用を始める。理工系大学出身者から選抜した人材を対象に、日本語や日本の商慣習などについて約4カ月間の研修を実施。社員として採用したうえで、日本国内の自動車・電機メーカーやIT関連企業の開発拠点などに1−3年間派遣する。

◎スズキ、インドで2000億円追加投資(2007年2月7日、日本経済新聞)
 【マネサール(インド北部ハリヤナ州)=松井健】スズキは6日、インドで2010年までに2000億円の追加投資を計画していることを明らかにした。現地で本格稼働させた四輪車第2工場を増強するほか、四輪車用エンジン工場の生産能力も拡大。トランスミッション(変速機)の現地生産も検討する。10年にはインドから年15万台の輸出を目指す方針で、輸出関連設備なども整備する。インドでの拠点整備で攻勢をかけ現地販売と輸出の拡大を推進する。
 同日開いた四輪車第2工場であるマネサール工場の開所式で鈴木修会長は「インドの生産拠点に2010年までに2000億円の追加投資を計画している」と述べた。スズキは10年をめどにインドでは年100万台の生産を計画しているが、鈴木会長は「インドで生産した車両のうち15万台をインドから輸出する計画」も明らかにした。

◎スズキ、インド事業に2000億円追加投資、10年までに(2007年2月7日、産経新聞)
 【ニューデリー=小島清利】スズキの鈴木修会長は6日、インド乗用車事業子会社「マルチ・ウドヨク」の第2工場(ハリアナ州マネサール)の本格稼働を祝う開所式で、2010年までにインド事業に2000億円の追加投資を実施する計画を表明した。インドで小型車に集中している車種構成を中型車にも広げて販売台数拡大を図る一方、欧州を中心とした輸出基地にも活用する。
 スズキは1982年のインド進出以来、乗用車販売台数首位の座を守り続けている。鈴木会長は、「インドの自動車産業のリーダーとして、今後もインド経済の発展に貢献したい」と述べた。
 同日、本格稼働した乗用車の第2工場と、フィアットの技術供与を受けたディーゼルエンジン工場を合わせた3工場に、これまで1000億円を投資した実績を強調。さらに、10年までに第1工場の生産機能の強化や第2工場の拡張などに2000億円を追加投資する意向を表明した。
 マルチ社は6日、首都ニューデリーの南西約50キロにある乗用車生産の第2工場で開所式を行った。式にはハリアナ州のフッダ首相やスズキの鈴木修会長らが出席した。
 新工場は、「スイフト」のガソリン車とディーゼルエンジン車を年10万台生産する。生産能力を09年度までに3倍の30万台に引き上げる計画。

◎インド:100年以上続く水争いに裁定、騒動治まらず(2007年2月6日、毎日新聞)
 【ニューデリー西尾英之】インド南部カルナタカ州からタミルナド州を流れるカベリ川を巡って100年以上続く両州の水利権争いで、中央政府が設置した特別裁判所は5日、タミルナド州に多く水の利用を認める最終裁定を下した。これに対しカルナタカ州の農民らが強く反発。6日には州内の交通網を封鎖するなど激しい抗議行動を行い、IT(情報技術)産業の中心都市として知られる州都バンガロールでは多くの学校や商店が閉鎖された。
 両州はカベリ川の水を農業用水として利用している。水争いは、91年にはバンガロールで少数派タミル人18人が死亡する暴動に発展したことがある。90年に設置された特別裁は5日、タミルナド州にカルナタカ州の倍近い量の水の使用を認める裁定を下した。
 これに対しカルナタカ州の政治家や住民が激しく反発した。政治家は住民にタミルナド州への抗議行動を呼びかけ、タミル語テレビチャンネルは放送を中止。同州からタミルナド州へ向かうバスも運行を停止した。バンガロール市内では6日、警官隊が出動し、暴動の発生を警戒している。
 南インド最大のタミルナド州は、ニューデリーなど北インドに対抗する南インドの「盟主」的な意識が強い。一方カルナタカ州にはIT産業が集中し、インド経済の躍進をけん引しているとの自負がある。両州のライバル意識も今回の騒動の背景になっている。

◎インド、インフレ率が再び6%台に(2007年2月5日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インドのインフレ率が抑制目標を超える6%台に再び上昇した。政府と中央銀行は産業資材の関税減免や短期金利引き上げなどの対策を相次いで実施したが、大きな効果は出ていない。野党や左翼政党は石油製品の関税の即時引き下げを要求。国民の不満に直結するインフレの抑制は政治的にも緊急課題となっている。
 インド中銀はインフレの抑制目標を年率5.0〜5.5%としているが、指標となる卸売物価上昇率は1月20日までの週に前週比0.16ポイント上昇。同6.11%と約2年ぶりの高水準となった。穀物や青果物、金属素材などが軒並み値上がりしている。

◎インドの市場で爆弾テロ、2人死亡(2007年1月18日、読売新聞)
 PTI通信によると、インド北東部アッサム州の中心都市グワハティの市場で17日夕、野菜を運ぶ箱に隠された時限爆弾が破裂し、2人が死亡、27人が負傷した。
 警察は、非合法組織「アッサム統一解放戦線」(ULFA)によるテロの疑いが強いとみている。

◎インド・アッサム地方でテロ頻発、5日以降死者69人(2007年1月9日、読売新聞)
 【ニューデリー=永田和男】インド北東部アッサム州で、非合法組織「アッサム統一解放戦線」(ULFA)によるとみられる住民への襲撃や爆弾テロが相次いでおり、1月5日以降死者数は少なくとも69人に達した。
 インド政府は軍隊を出動させ、本格的に組織の掃討作戦に乗り出した。
 襲撃事件は、アッサム州北部のティンスキア、ディブルガル、シブサガル各市周辺で5日夜以降、ビハール州など他州から移って来た農民や労働者の集落を銃で武装した集団が襲っているもの。このほか、警官や公務員の車両を狙う爆弾テロも発生している。
 犯行声明などはないが、警察は他州から流入する住民を敵視するULFAの仕業と断定。アッサム州北部では軍隊約1万人も動員され、ULFAの拠点があるとみられる密林の捜索などに当たっている。
 ULFAは、「アッサム地方は元来インドの一部ではない」と主張し、分離・独立を掲げて1979年に結成、90年に非合法化された組織。インドに隣接するミャンマー北部に訓練施設を持ち、タイから武器弾薬を密輸しているとされる。
 インド政府は05年9月からアッサム地方の有力者を介してULFAとの対話を行ってきたが、06年に入り同組織の仕業とみられるテロ活動が頻発し、06年9月に対話は中断した。
 ULFA指導者のパレシュ・バルア司令官は12月末、「我々は最後まで戦い続ける」と述べ、テロ強化を示唆していた。
 アッサム州では近年、主に貧困州のビハールから職や土地を求める労働者、農民の流入が増加し、地元住民とのあつれきも続いていた。だが、ここ数日、新たな襲撃を恐れて故郷に逃げ帰ろうとする農民らが駅に殺到するなどパニックが起きているという。

◎【マーライオンの目】韓国人の“進出”(2007年1月8日、産経新聞)
 シンガポールの不動産市場が活況を呈している。事務所だけでなく高級マンションの売れ行きも好調だ。地元紙に興味深い記事が載っていた。1990年代、当地で不動産投資をする外国人のうち、隣国のインドネシアやマレーシア人以外で多かったのは、香港と中東出身者だったという。
 でも、その潮流が変わり、今ではインド人がトップらしい。香港人は投資先を上海など中国本土に移し、代わりに経済成長著しいインドのマネーが流入しているというわけだ。確かにビジネス街でエレベーターに乗ると、インド系ビジネスマンばかりで、「一体ここはどこの国だ?」と戸惑うことがしばしばある。
 そして、インド人の他に不動産投資が急増している外国人が韓国人なのだという。サムスンなど韓国企業の進出は目覚ましいものがある。子供に英語や中国語教育を受けさせるため、当地を選ぶ韓国人一家も少なくない。でもマンションを購入するとなると、ある程度の資金と覚悟が必要だろう。日本人の場合、なかなかそうはいかない。
 だが、韓国人は海外移住にそれほど抵抗感のない民族だ。韓国は今、政治が不安定で経済の先行きは不透明さを増している。北朝鮮の核問題もある。シンガポールに限らず、東南アジアに住居を構える韓国人が増えているとも聞く。マネーを持つ韓国人の“脱出”が始まっているのかもしれない。(藤本欣也)

◎インド北東部で武装集団が襲撃、48人死亡、独立派か(2007年1月7日、産経新聞)
 インド警察当局によると、同国北東部アッサム州で5日から6日未明にかけて、同州の分離独立を求める武装組織アッサム統一解放戦線(ULFA)とみられる武装グループによる襲撃が続発し、AP通信によると48人が死亡した。
 武装グループの襲撃は同州ディブルガル地区など計10カ所で連続して発生。アッサム住民以外を狙ったとみられ、被害者はれんが工場などで働く州外からの出稼ぎ労働者がほとんどだった。
 ULFAは最近、アッサム州からの州外者の退去を求めていた。治安当局は過去数カ月にわたり、アッサム州北方でULFA掃討作戦を続けており、警察当局者は今回の連続襲撃事件をメンバー殺害への報復とみている。

◎日産自動車、インド進出・年20万台の新工場(2007年1月1日、日本経済新聞)
 日産自動車はインドに進出する。2009年稼働を目指し、年産20万台規模の工場を建設する。取引先の部品メーカー約10社も一斉に現地生産を始め、グループの総投資額は1000億円規模に達する見込み。自動車各社は市場開拓と輸出をにらみインド拠点を拡充している。日産が進出に踏み切ることで市場争奪戦が激化。中国に続きインドも自動車生産基地としての役割を強める。
 日産は07年に工場建設に着手、09年後半に生産を始める。当面の投資額は500億〜600億円。主に排気量1000cc級の新型小型車を生産し、3割をインドで販売、7割を低コストを武器に欧州などに輸出する。段階的に車種を増やし、将来は年40万台に生産規模を拡大する方針だ。

◎ダイムラー、インドに第2工場(2006年11月25日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=小谷洋司】独ダイムラークライスラーはインドに2カ所目となる乗用車組み立て工場を新設する方針を明らかにした。印PTI通信が現地子会社首脳の発言として伝えた。高級車需要の増加を見込み、既存工場に近い西部のマハラシュトラ州プネー周辺に建設する。
 事業計画は「近く最終決定する」として、具体的な生産能力や投資額は明らかにしていない。生産車種は既に現地で生産している「Cクラス」と「Eクラス」が中心となる。ダイムラーはインドで今年4〜10月に前年同期比6%増の1031台を販売した。
 年明けには独BMWが初の現地組み立て工場を稼働させる予定で、今後、インド市場での高級車販売競争が激しくなりそうだ。

◎インドで列車爆発、5人死亡、50人以上負傷 テロか(2006年11月21日、朝日新聞)
 インド東部の西ベンガル州ジャルパイグリ県で20日午後6時すぎ、走行中の列車が爆発した。地元テレビによると、少なくとも5人が死亡、50人以上が負傷した。捜査当局は、インド北東部の過激派の爆破テロと見ている。
 報道によると、爆発は同州内を走るローカル列車内で発生した。地元テレビは、同州と隣接するアッサム州にまたがる少数民族の過激派組織で、両州から分離独立した「カムタプル州」の新設を求めるカムタプル解放機構(KLO)の犯行とする捜査当局の見方を伝えている。

◎インドがミサイル実験(2006年11月20日、産経新聞)
 ロイター通信によると、インド国防省当局者は19日、核弾頭を搭載可能な短距離ミサイル「プリトビ2」の発射実験を行い、成功したと述べた。ミサイルは東部オリッサ州沖の海上に着弾したという。隣国パキスタンが16日、核弾頭搭載可能な中距離弾道ミサイル「ハトフ5」(別名ガウリ、射程1300キロ)の発射演習をしていた。
 プリトビ2はこれまでに少なくとも10回、発射実験が行われており、通常、5分で150キロ先の目標まで到達するという。インド国防省当局者は「今月下旬、さらに実験が行われるだろう」と話している。

◎インド外相「アルナチャルはインド領」・中国に反論(2006年11月14日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】中国の孫玉璽・駐印大使が、インド東北部アルナチャル・プラデシュ州を「中国領」と発言したことについてムカジー印外相は14日、記者団に対し同州が「インドの不可分の領土である」とする見解を改めて強調した。20日からの胡錦濤・中国国家主席による訪印を控え、国境画定問題が改めて2国間の議題として浮上しそうだ。
 孫大使は13日、CNN―IBNテレビのインタビューで「我々は、アルナチャル・プラデシュ州全域が中国領だという立場を主張している」と語った。
 関係強化を進める印中両国は昨年4月、同州やジャム・カシミール州北部のアクサイ・チンなど未確定の国境問題を段階的に解決することで合意。中国政府は印東北部シッキム州を正式に「インド領」と認めた。

◎タタ製鉄:コーラス買収で合意(2006年10月21日、毎日新聞)
 【ロンドン藤好陽太郎】インドのタタ製鉄と英蘭系鉄鋼会社コーラスは20日、タタが提案したコーラス株の株式公開買い付け(TOB)による買収に合意したと発表した。買収総額は43億ポンド(約9600億円)。タタのラタン・タタ会長が、コーラス会長を兼務し、コーラスのジム・レン会長がタタとコーラスの副会長に就く見通し。
 タタ製鉄はインド2大財閥の一つタタ・グループ傘下。鉄鋼世界最大手のミタル・スチールと2位アルセロール合併の動きを受け、欧州市場への進出と製鉄技術獲得のため買収を提案していた。

◎インド:カルナタカ州が都市名を地元の発音に変更(2006年11月2日、毎日新聞)
 【ニューデリー西尾英之】インド南部カルナタカ州政府は1日、同日から州内主要11都市の名前を英語風のものから州の公用語であるカンナダ語の発音に変更すると発表した。インドIT(情報通信)産業の中心都市として知られる州都バンガロールは「ベンガルール」に変更された。
 インドでは90年代以降、各地で地名を地元の発音に戻す動きが進んでおり、ボンベイはムンバイ、マドラスはチェンナイ、カルカッタはコルカタに変更されている。

◎インドをソフト開発拠点に、富士通や日立など情報各社(2006年10月23日、日本経済新聞)
 情報各社がインドでソフトウエアの開発委託(オフショアリング)を本格化する。富士通は2009年度までに現地で2000人の技術者を雇用。日立製作所も今年度中に開発者を15%増やす。インドは米企業による開発委託が進み「世界のソフト開発拠点」になりつつある。日本勢は低コストの中国に開発を委託してきたが、国内の技術者不足が依然深刻。少子化に備えながら中国偏重リスクを軽減するため日中インドの三極分業に踏み出す。
 富士通は2月に買収した米情報会社ラピダイムのインド拠点で自社向けに2000人の技術者を新たに雇う。日本の金融機関の情報システムに使う業務ソフトなどの開発を任せる。インドでは現在、現地企業の技術者500人に開発を委託しているが、委託先が他社の開発も請け負い富士通の意向を反映しにくかった。自社雇用に切り替え品質管理や教育を徹底する。

◎インド政府、平均9%成長を目標・新5カ年計画の原案(2006年10月18日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インド政府の計画委員会(委員長マンモハン・シン首相)は18日、第11次5カ年計画(2007年4月〜2012年3月)の原案を発表した。期間中の経済成長率目標は平均9%。7000万人の新規雇用を創出し、10年間で1人当たり個人所得を現在の約700ドルから倍増させる目標も明記した。
 労働人口の約60%が従事する農業部門を特に重視。過去5年間で平均2%程度に低迷した農業部門の成長率を、平均4%へと引き上げる。
 一方、地方・農村部での教育・医療など公共サービスや、道路・港湾など経済成長に不可欠なインフラ建設などで、国内総生産(GDP)の9.7%に相当する資金が必要になると試算。財源確保のため、補助金削減や民間資金の積極的な導入も進める方針だ。
 新5カ年計画は閣議決定を経た後、主要閣僚や各州政府首相らでつくる国家開発委員会が来年3月の今年度末までに正式承認する。

◎EUとインド、FTA交渉入りで合意(2006年10月14日、日本経済新聞)
 【ブリュッセル=下田敏】欧州連合(EU)とインドは13日にヘルシンキで首脳会議を開き、貿易・投資の大幅な拡大に向けて自由貿易協定(FTA)交渉に入ることで合意した。サービスの市場開放やコピー商品の取り締まりなども盛り込んだ協定を2009年までに締結する。北朝鮮の核実験については共同声明で「深刻な懸念を表明する」と明記し、北朝鮮を強く非難した。
 記者会見でインドのシン首相はEUとのFTA交渉は「貿易や投資の大幅な拡大に向けた重要なステップになる」と語った。首脳会議にはバローゾ欧州委員長やEU議長国フィンランドのバンハネン首相らも出席。日米に対抗してアジア地域でFTA交渉を進める戦略などを説明し、07年初めからインドとの交渉に入る考えを示した。
 EUとインドの年間の貿易額は約400億ユーロ(約6兆円)。インドにとってEUは最大の貿易相手であり、インドの高成長を背景にEUからの輸出も昨年は前年比で24%増えた。EUは貿易拡大に向けて、関税など貿易障壁の大幅な撤廃を相互に進めるよう求めた。

◎デング熱:インド首都圏で感染拡大、シン首相の孫も入院(2006年10月5日、毎日新聞)
 インドの首都ニューデリーや周辺でデング熱の感染が広がっており、民放テレビNDTVが4日報じたところでは、マンモハン・シン首相の孫2人も感染、うち1人が入院した。PTI通信によると、デリー首都圏では同日までに約500人が感染し、少なくとも15人が死亡した。
 デング熱は蚊が媒介するウイルス性の感染症。デリー首都圏と周辺3州で感染が広がっており、5日に各州保健相が集まり緊急対策協議を開く予定。インド政府はまだ深刻な流行ではないとしているが、野党のインド人民党は実際の感染者はニューデリーなどで1000人を超えているとして政府の対応を批判している。(ムンバイ共同)

◎ルネサス、インドに半導体用ソフトの開発拠点(2006年10月4日、日本経済新聞)
 【バンガロール=小谷洋司】半導体大手のルネサステクノロジはインド企業と組み、日本を除くアジアで同社最大となる半導体用ソフトウエアの開発拠点を設ける。2009年3月までにルネサス専属の技術者を500人以上確保する。高性能化する携帯電話やデジタル家電向け半導体に欠かせないソフトの開発力を高め、競合する米テキサス・インスツルメンツ(TI)などに対抗する。
 ソフト受託開発のKPITカミンズ・インフォシステムズ(本社バンガロール)にルネサス向けソフト専用の開発センターを設ける。当初は100人規模で開き、段階的に増員する。日系半導体メーカーの開発委託先としてもインド最大規模になる見込みだ。

◎IBM、インド東部で3000人増員(2006年9月25日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=小谷洋司】米IBMはインド東部のコルカタで3000人を増員すると明らかにした。地域で4カ所目となる事業拠点を開設し、新規採用する。
 IBMは今後、3年間でインドに60億ドルを投資する方針を打ち出しており、オフショア開発などでのインドシフトを強めている。
 1年半程度かけて3000人を雇用する。コルカタ地区の従業員は7000人に膨らみ、インドでは南部のバンガロールに次ぐ規模になる。IBMのインド全体の従業員は6月末時点で4万3000人。

◎日印、ビザ発給を緩和・商用は有効期間5年(2006年9月24日、日本経済新聞)
 日本とインド両政府は人的交流の拡大に向けてビザ(査証)発給を緩和する。民間企業の出張者らが取得する商用ビザの有効期間を双方とも5年に延長し、観光ビザの発給手続きも簡素化する。12月に予定する日印首脳会談で合意し、「日印交流年」の2007年に順次実施する方針だ。日本政府はインドとの関係強化を打ち出しており、相互交流が加速する。
 商用ビザは現在、日本人がインドに行く場合は最長1年、日本がインド人を受け入れる場合は最長3年となっている。日本はアジア太平洋経済協力会議(APEC)加盟国には5年間有効の商用ビザを発給しており、インドも同様の扱いとする。インド側は日本への商用ビザの延長により、投資促進効果などを期待している。

◎印パ首脳、和平プロセス再開で合意、共同声明発表へ(2006年9月17日、読売新聞)
 【ハバナ=中島慎一郎】インドのシン首相とパキスタンのムシャラフ大統領は16日午前(日本時間同日深夜)、非同盟諸国会議の首脳会議が開催されているキューバの首都ハバナで1時間余り会談した。
 インドの会議筋によると、両首脳は会談に続いて発表する共同声明で、200人近い犠牲者を出した7月のムンバイ同時列車爆弾テロの余波で中断していた和平プロセスの再開で合意したことを明らかにする見通しだ。
 また、ムシャラフ大統領はシン首相に対し、延期されているパキスタン訪問を改めて要請、首相も検討する意向を伝えたという。
 7月のテロ事件ではパキスタンに本拠を置くテロ組織の関与が濃厚で、インド側は、2004年に和平プロセスが始まった際の前提条件である越境テロ防止を果たしていない、とパキスタンを非難。パキスタン側もこれに反発し、最大の懸案であるカシミール領有権問題解決に向けた実務的話し合いを行う外務次官級協議をはじめ、両政府間の包括対話がほとんど行われない状態が続いていた。
 今回の首脳会談では、シン首相がムシャラフ大統領に実効あるテロ対策を強く求め、大統領も「真剣な取り組み」を約束して和平プロセス再開の環境整備が図られた模様だ。

◎インド:金曜礼拝で爆発、信者ら37人犠牲、西部マハラシュトラ州(2006年9月9日、毎日新聞)
 【ニューデリー支局】インドのPTI通信によると、西部マハラシュトラ州のマレガオンで8日、3回の爆発が相次ぎ、37人が死亡、100人以上がけがをした。
 多数のイスラム教信者が金曜礼拝に集まっていたモスクの近くで起きたという。爆発物は自転車に設置されたとみられ、当局は夜間外出禁止令を出すとともに治安部隊を派遣した。
 マレガオンは経済の中心ムンバイの北東約260キロ。過去にもイスラム教とヒンズー教の信者同士の抗争があった。

◎フィリップス半導体新会社、インドに370億円投資(2006年9月5日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=小谷洋司】欧州総合電機大手のフィリップス(オランダ)から分離する半導体新会社、NXPセミコンダクターズ(10月1日にも正式発足)は、インドに今後5年間で2億5000万ユーロ(約370億円)を投資する計画を明らかにした。デジタルテレビや携帯電話向け半導体の研究開発(R&D)に充てる。
 南部のバンガロールにあるインド法人幹部の談話としてロイター通信が伝えた。欧米より割安に雇用できる技術者を先端半導体の開発に活用する。バンガロールの拠点は拡張し、現在700人いる技術者も増員する。
 今春以降だけで米IBM、モトローラ、独SAPなど欧米ハイテク大手が相次いでインド向けの大型投資を表明した。ソフトウエアの開発が中心だった各社のインド戦略は、最終製品の生産や半導体など中核部品のR&Dにすそ野が広がっている。

◎ホンダ、インドに2輪車新工場・グループで700万台体制に(2006年8月13日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=小谷洋司】ホンダはインド北部に年産能力150万台の二輪車工場を新設する。現地合弁企業などが2010年までに190億ルピー(約480億円)を投資。100%出資の二輪子会社分を加えたインドの年産能力を約5割多い700万台に引き上げ、現地メーカーなどに対する優位を確立する戦略。ホンダは四輪車の増産計画も進めており、市場拡大が続くインド事業の拡充に弾みがつく。
 新工場をつくるのはホンダが26%出資するヒーローホンダ。首都ニューデリーから約200キロ離れた北部のウッタランチャル州ハリドワールに進出する。敷地面積は110万平方メートル。第1期として07年5月までに30億ルピーを投じ、年産50万台で操業を始める。第2期以降は関連部品メーカーなどの投資も見込む。

◎ムンバイの列車テロ、印パ民間交流に影(2006年8月9日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】7月にインド西部ムンバイで起きた列車同時爆弾テロ事件でインドとパキスタンの関係が冷え込み、民間・ビジネス交流にも影響が広がっている。両国は和平交渉継続を表明しているが、5日には相互に外交官を追放するなど関係修復のめどは立っていない。
 パキスタンの民間研究所は6日、インドの文化人や学生らを招いて同日からラホールで開催する予定だった平和会議を延期したと発表。パキスタン商工会議所連盟も、先月末から予定していたインドへのビジネスミッション派遣を延期した。

◎第一生命、インド進出へ・日本の生保で初(2006年7月29日、日本経済新聞)
 第一生命保険はインドに進出する方針を固めた。2007年中にも現地の大手銀行と共同出資で新たな生命保険会社を設立する。第一生命の海外展開の第1弾となり、日本の生保がインドに進出するのも初めて。人口減で日本の生保市場の縮小は避けられず、約11億人の人口を抱えて高成長が続くインドを戦略市場と位置づける。
 新会社の当初の資本金は50億円前後の見通しで、業容拡大に応じて増資する。印大手銀バンク・オブ・インディア(BOI、ムンバイ市)が49%、第一生命は外国資本に認められている保険会社への上限出資比率である26%をそれぞれ出資する。残りは現地の有力地方銀行に割り当てることで調整している。

◎「首相のめい」で公邸入れた、爆弾テロ厳戒下のインド(2006年7月29日、読売新聞)
 【ニューデリー=永田和男】ニューデリー市警は28日、首相公邸に車で乗りつけて侵入を図ったインドの航空会社客室乗務員の女性2人と男友達の計3人を住居不法侵入などの容疑で逮捕した。
 3人は取り調べに「面白半分でやった」と語っているが、ムンバイの連続列車爆弾テロを受け厳戒態勢下のはずの首都で起きた警備当局の「手抜かり」に非難が集まっている。
 3人は27日夜、公邸に通じる最初の検問所で「シン首相のめいが会いに来た」などと言って通されたが、450メートル先の次の検問所では首相と面会約束がないことを見破られ、取り調べ後の28日に逮捕された。
 公邸には夜の臨時閣議を取材する記者団多数が詰めていたため、若い男女を乗せた車が公邸敷地内に入る様子は撮影され、テレビで繰り返し放送された。28日の議会でも警備当局に非難が浴びせられた。
 逮捕された客室乗務員2人は勤務態度不良で6月から停職中だったが、航空会社では事件を受けて2人の解雇を発表した。

◎インド列車テロで3人逮捕・当局「パキスタンの関与判明」(2006年7月21日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インド西部のムンバイで起きた列車同時爆破テロを捜査する警察当局は21日、インド人のイスラム教徒の男3人を殺人などの容疑で逮捕したと発表した。テロ対策特別チームのラグバンシ長官は記者団に、3人はネパールやバングラデシュのテロ組織と関係しパキスタンとのつながりも判明した、と述べた。
 逮捕されたのはムンバイ郊外に住むイスラム神学校教師マクブール・アフマド・チョウドリ容疑者(38)と、東部ビハール州在住の2人。うち1人の家から火薬約1.5キロが押収された。
 3人は、パキスタンに拠点を置くイスラム過激派ラシュカレトイバ(LeT)とのつながりが指摘される非合法組織インド学生イスラム運動(SIMI)との関係が疑われている。
 ラグバンシ長官は「テロが多くの組織による大規模な陰謀であることを示す決定的な証拠がある」としたが、詳細は語らなかった。

◎インド・ムンバイのテロ事件、容疑者3人を逮捕(2006年7月21日、朝日新聞)
 インド・ムンバイ(ボンベイ)の連続列車爆破テロで、捜査当局は20日夜、容疑者3人を逮捕した。テロでの逮捕は初めて。捜査幹部は21日、パキスタンにある組織の関与を改めて示唆した。死者はこれまでに185人になった。
 PTI通信などによると、カマル・アフメド(32)、カリド・アジズ(24)の両容疑者を東部ビハール州で、マムタズ・アフメド容疑者(38)をムンバイ近郊で逮捕した。
 当局は、パキスタンに拠点を置くイスラム過激派「ラシュカレトイバ」が事件にかかわっているとみてきた。ムンバイ警察テロ対策隊のラグバンシ隊長は21日、「3人はあるテロ集団のメンバーだ」とする一方、「テロには多くの人間が関与している。ネパール、バングラデシュを経由してパキスタンにつながる手がかりがある」と語った。

◎インド同時テロ:死者183人負傷700人、8件時間集中(2006年7月12日、毎日新聞)
【ムンバイ(インド西部)西尾英之】インド最大の商業都市ムンバイの鉄道施設連続爆破テロで、インドPTI通信は12日、警察当局の情報として183人が死亡、約700人以上が負傷したと伝えた。また、列車が大破したことから、内務省当局者は破壊力の強い「高性能爆発物を使った計画的犯行」と指摘。地元警察は12日、パキスタン側カシミールを拠点とするイスラム過激組織「ラシュカレトイバ」や地元ムンバイの「インド学生イスラム運動」(SIMI)などによる組織的テロとの見方を強め、本格的な捜査を始めた。
 現地からの報道によると、爆発は11日午後6時20分から約15分間に、ムンバイ西部を南北に走る国鉄西部線の駅と列車車両内で計8件あった。鉄道幹部によると、車両内の爆発は「いずれも1等車で起きた」という。
 死傷者の多くは頭や胸の負傷が目立ち、列車上部の荷台に置かれた荷物に爆弾が仕掛けられていた可能性が高い。爆発の規模の大きさなどから、警察当局は軍用プラスチック爆弾に使われるRDX(ヘキソーゲン)と呼ばれる高性能爆薬が使われた可能性があるとみている。
 ムンバイでは93年、インド航空ビルや証券市場などで連続爆破事件があり、RDXが使用され、「ラシュカレトイバ」支援者らの関与が指摘されている。

◇現場ルポ 血、カバン悲惨さ語る遺留品
 「爆発音で駆けつけると、列車の握り棒に乗客の手だけが残っていた」。190人が死亡したムンバイの鉄道施設連続爆破テロ。爆発現場の線路沿いには乗客の血やカバンなどの遺留品が生々しく残り、事件の悲惨さを物語る。電車が主な通勤の足であるムンバイで起きた無差別テロに、市民は恐怖と怒りをあらわにした。
 8件の爆破事件のうちでムンバイ中心部に最も近いマトゥンガ駅。「ものすごい爆音がして私と子供の体が宙に浮いた」と、線路沿いの小屋に住む主婦、ルパさん(30)。駆けつけると電車は屋根と側壁が吹き飛ばされ、付近には遺体の一部が散乱していた。「子供に遺体を見せないように、現場に行こうとするのを必死に止めた」
 事件の標的となった国鉄西部線は、長距離列車用の複線と、通勤電車用の複々線の計6本の線路が走る。マトゥンガ駅で爆破された電車は主要駅にしか停車しない快速の通勤電車。駅付近を通過中に爆発が置き、100メートルほど走った地点で停車した。
 「ほら、これを見て」。近所の子供が線路脇の溝を指さすと、血で黒く汚れ、折れ曲がったクレジットカードが落ちていた。ほかにも電車の定期券や財布、書類などが散乱し、事件が帰宅途中のサラリーマンを直撃したことを物語った。
 多くの遺体や負傷者が運び込まれた市内の病院には、事故後連絡がつかない肉親を気遣う家族が詰めかけた。病院内の一室は遺体確認所に充てられ、警官に付き添われて入室した家族の悲惨な叫び声が室外まで響いた。
 「夫が死んだ。私たちのために一人で家計を支えてきてくれたのに、なぜこんな目に遭わなければならないの」。30歳代の主婦は母親に肩を支えられながら、いつまでも泣き続けた。(西尾英之)

◎インド同時テロ:死者190人、客席上部の荷台に爆弾か(2006年7月12日、毎日新聞)
 【ムンバイ西尾英之】インド西部ムンバイ(ボンベイ)の鉄道施設連続爆破テロで、死傷者の多くが頭や胸に傷を負っていることから、客席上部の荷台に置かれた荷物に爆弾が仕掛けられていた可能性が高いことが警察の調べで分かった。AP通信が12日伝えた。爆発はいずれもムンバイ西部を南北に走る鉄道の同一路線の駅や列車で起きており、周到に仕組まれた組織的犯行の疑いが強まっている。
 インドPTI通信は12日、現地警察の情報として死者190人、負傷者625人に達したと報じた。爆発は11日午後6時20分から約15分間に集中。AP通信によると当初7件とされていた爆発は8件で、うち2件は同じ駅の2本の列車で起きた。PTI通信は鉄道幹部の話として、すべての爆発が1等車で起きたとしている。
 犯行への関与の可能性が指摘されるイスラム過激組織「ラシュカレトイバ」の報道官を名乗る人物は11日、事件への関与を否定した。同組織はパキスタン側カシミールを拠点とし、ムンバイの連続爆破テロと同じ日にインド北部スリナガルで起きた観光客らに対する襲撃事件への関与が疑われている。インドの警察当局は、ムンバイのテロにもかかわった可能性があるとみて捜査対象に挙げている。
 またムンバイでは9日、ヒンズー至上主義者が作る「シブ・セナ」党の支持者らがムンバイを中心とする各地で暴徒化し、バスなど約40台を放火、焼き打ちしたり、電車に投石して窓ガラスを割るなどして約500人が身柄を拘束される騒ぎが起きていた。列車同時爆破テロは、治安警察が厳戒態勢を敷いていた最中に起きただけに、暴徒化との関連性も視野に捜査が進むとみられる。
 在ムンバイ日本総領事館は、市内居住の届け出のある日本人駐在員や家族ら222人の無事を確認した。在留届の出ていない一時滞在者や旅行者が事故に巻き込まれていないか確認を続けているという。
 一方、パキスタン外務省は11日、ムシャラフ大統領とアジズ首相が事件を「卑劣なテロ行為」と非難し、犠牲者に弔意を表したとする声明を発表した。迅速な非難声明を出すことで、カシミールの分離・独立をめぐる長い対立からインドとの和解路線に転じたこれまでの姿勢を再確認したとみられる。
 ムンバイでは93年にもインド航空ビルや証券市場などで連続爆破事件があり、250人以上が死亡した。

◎インド同時テロ:「卑劣な行為」と非難、パキスタン政府(2006年7月12日、毎日新聞)
 【ニューデリー西尾英之】インド西部ムンバイの鉄道施設連続爆破テロで、隣国パキスタン外務省は11日、ムシャラフ大統領とアジズ首相が事件を「卑劣なテロ行為」と非難し、犠牲者に弔意を表したとする声明を発表した。事件にパキスタン側カシミールを拠点とするイスラム過激派が関与している可能性があり、パキスタン政府は迅速な非難声明を出すことで、カシミールの分離・独立をめぐる長い対立からインドとの和解路線に転じたこれまでの姿勢を再確認したとみられる。
 インドのPTI通信によると、声明でパキスタン政府は「卑劣なテロ行為の結果、多くの貴重な命が失われた」と指摘。さらに「テロは現代の災いであり、非難され、拒絶され、効果的、包括的に阻止されなければならない」と対決姿勢を明確にした。
 一方、同通信によると、パキスタンを拠点とするイスラム過激派「ラシュカレトイバ」の報道官を名乗る人物は11日、事件への関与を否定した。同組織は、ムンバイの連続爆破テロと同じ日にインド北部スリナガルで起きた観光客らに対する襲撃事件との関与が疑われており、インドの警察当局は、ムンバイのテロにもかかわった可能性があるとみて捜査対象に挙げている。
 「ラシュカレトイバ」はパキスタン側カシミールを拠点にインド側へ越境。90年代にはパキスタン政府から事実上の支援を受けていたが、01年の米国同時多発テロ事件以降、米国の圧力もあって支援を事実上打ち切られ孤立化し、無差別爆破テロなどさらに過激な傾向を強めている。
 01年12月のイスラム過激派によるインド国会襲撃事件では事件をきっかけにインドとパキスタンの間の緊張が一気に高まり、02年には両国関係は全面戦争一歩手前といわれるまでに悪化した。しかし、03年から両国間の緊張緩和の動きが始まり、ムシャラフ・パキスタン大統領は繰り返しイスラム過激派の取り締まり強化を表明している。
 一方、ムンバイでは9日、ヒンズー至上主義者が作る「シブ・セナ」党の支持者らがマハラシュトラ州内各地で暴徒化し、バスなど約40台を放火、焼き打ちしたり、電車に投石して窓ガラスを割るなどして約500人が身柄を拘束される騒ぎが起きていた。
 PTI通信によると、暴徒化の原因はムンバイにある党創設者の親族の胸像が何者かに泥を塗られ、これに怒った支持者らが抗議行動をするうちに暴徒化したという。
 今回の列車同時爆破テロは、治安警察が厳戒態勢を敷いていた最中に起きただけに、暴徒化との関連性も視野に捜査が進むとみられる。

◎インド連続爆破テロ:経済の心臓部狙う、通勤客、無差別に(2006年7月12日、毎日新聞)
 【バンコク西尾英之】インド西部ムンバイで11日起きた連続爆破テロは経済成長著しく、国際社会で発言力を拡大している同国の商業・経済の心臓部を直撃した。ムンバイはインドでも最も通勤鉄道網が発達した都市で、1日に約600万人が利用する。各地で爆弾テロが相次ぐインドでも通勤電車が標的になったことはなく、今回の事件は計画的に通勤客を狙った初の無差別テロ事件とみられる。
 インドでは昨年10月、首都ニューデリーでカシミール地方の分離・独立を求めるイスラム過激派による連続爆破テロ事件が起き、60人以上が死亡した。11日にはインド北部ジャム・カシミール州の州都スリナガルで観光バスが襲われ、観光客5人が死亡する事件があったばかり。今回の事件も、イスラム過激派が関係している可能性が強い。
 インドで活動するイスラム過激派は「ラシュカレトイバ」などパキスタン側カシミールを拠点にインド側へ越境。90年代にはパキスタン政府から事実上の支援を受けていたが、01年の米国同時多発テロ事件以降、米国の圧力もあり支援を事実上打ち切られ、無差別爆破テロなどさらに過激な傾向を強めている。
 01年12月のイスラム過激派によるインド国会襲撃事件では事件をきっかけにインドとパキスタンの間の緊張が一気に高まり02年には両国関係は全面戦争一歩手前といわれるまでに悪化した。
 しかし03年から両国間の緊張緩和の動きが始まり、ムシャラフ・パキスタン大統領は繰り返しイスラム過激派の取り締まり強化を表明した。

◇炎と破片、煙と悲鳴
 【ニューデリー支局】「一体、何が起きたのか」。インド西部の経済の中心地ムンバイで11日夕、混雑する駅に通勤客らの悲鳴が響いた。手すりが熱に溶けた客車、負傷した額に包帯を巻いた人、辺りに飛び散った爆発物の破片。人々は衣服や体を血で真っ赤に染めながら犠牲者を布にくるんで運び出した。
 関係者によると、同日午後6時20分過ぎから、市内西部を走る路線の複数の駅や列車で爆発が連続して7回起きた。ラッシュ時で満員だった車両が炎と煙に包まれたという。AFP通信によると、目撃者は「車両の一つは完全に破壊された」と恐怖を語った。

◇インドで起きたテロとみられる主な事件◇
93年 3月 ムンバイ市内の連続爆破事件で250人以上が死亡
01年 7月 北部ジャム・カシミール州で爆弾2個が爆発。警官ら12人が死亡
   10月 同州都スリナガルで車が爆発。30人以上が死亡
03年 8月 ムンバイ市内2カ所で爆発。52人が死亡
04年 5月 ジャム・カシミール州でバスが爆発。インド軍兵士ら33人が死亡
   10月 北東部ナガランド州などでテロ9件が連続発生。40人以上が死亡
   11月 北部ウッタルプラデシュ州で地雷が爆発。警官18人が死亡
05年 6月 ジャム・カシミール州でトラックが爆発。市民ら12人死亡
    9月 中部チャッティスガル州で地雷が爆発。兵士ら20人以上が死亡
   10月 ニューデリー市の連続爆破事件で60人以上が死亡

◎インドの自動車新事情:/下 富裕層狙い差別化(2006年7月12日、毎日新聞)
 ニューデリー市内のホンダ系販売会社リング・ロード・ホンダ。年4000台を売るホンダ最大級の販売店で、顧客は企業経営者や医師、法人が多い。ショールームで客の注目を集めているのが、ホンダがインド市場に投入したばかりの「シビック」だ。電線工事業を営む男性(52)は「日本車は性能がいい。ホンダは燃費が魅力」とさっそく、シビックの購入を申し込んだ。
 スズキに14年遅れ、97年から現地生産を始めたホンダのインド国内の販売台数は、約4万台(05年)。シェアは4%だが、急拡大するインド市場を「ブラジルと並び、最も成長が見込める重要戦略拠点」(福井威夫社長)と位置づけ、販売拡大のカギとして日本や北米での人気車種のシビックを投入した。
 シビックはインドでホンダが生産する3番目の車種。110万ルピー(約280万円)前後とスズキの人気車「スイフト」の倍もあり、インドでは高級車の水準だが、初年度1万4000台の販売を見込む。「富裕層の増加で需要増が見込める」(現地社員)ため、低価格のコンパクトカーを得意とするスズキなどと差別化を図った。
 「自動車の普及が進み、お客さんの目が肥えてきた」と、リング・ロードのヤドゥル・カプール社長。インドでは珍しく板金・修理工場を併設。交通量が増えたインドでは接触事故が多く、高級車には欠かせないサービスだ。1日100台以上が持ち込まれる。
 99年に現地生産を始めたトヨタ自動車も、ホンダ同様、増加する富裕層を主なターゲットにしている。「カローラ」とミニバン「イノーバ」を現地生産し、05年は計4万1000台を販売した。シェアはホンダと同じ約4%。「満足できる販売状況ではない」(広報部)と、拡大を目指す。
 他メーカーも指をくわえて見ているわけではない。日産自動車は、スズキのインド工場で日産車生産を始めることで合意。いすゞ自動車は現地メーカーと提携し、07年から中型バスを生産する。
 現地生産体制を整えた各社の次の焦点は、販売力の強化だ。経済が急成長するインドでは優秀な人材は多くの産業から引っ張りだこだ。転職は頻繁で「いかに人材を確保できるかが販売拡大のカギ」。ホンダやスズキの現地関係者は口をそろえた。【小川直樹】

◎インド、核弾頭搭載できる長距離ミサイル発射実験に成功(2006年7月9日、日本経済新聞)
 【ニューデリー9日共同】インド主要メディアによると、同国は9日、核弾頭搭載可能な長距離弾道ミサイル「アグニ3」の発射実験を東部オリッサ州で初めて実施、成功した。
 アグニ3は射程3000〜5000キロとされ、車両や鉄道による移動式で、中国が射程に入る。インドに向けた核ミサイルを配備している中国に対抗し「最低限の核抑止力」により軍事的に対等な立場に近づく狙いがある。
 インドと米国が合意した民生用原子力技術協力実現のため、米国では6月末に上下両院の外交委員会がインドとの原子力協力を可能にする法案をそれぞれ可決したばかり。しかし米議会内にはなお反対の声があり、今回の実験は米国でも反発を招く可能性がある。
 インド政府当局者は、米議会での法案審議中のアグニ3発射は「適切ではない」などとして実験を延期してきたが、米議会で賛成が得られるとの見通しが立ったとみられる。インドのメディアは米上下両院本会議で近く法案採決が行われると報じている。

◎インド:長距離ミサイル発射実験、中国が射程に(2006年7月9日、毎日新聞)
 PTI通信によると、インドは9日、東部オリッサ州で、中国を射程に入れる核弾頭搭載可能な長距離弾道ミサイル「アグニ3」の発射実験を初めて実施、成功した。
 インドとの民生用原子力技術協力の実現に向け、米上下両院の外交委員会が6月末にインドへの核技術供与を認める法案を可決したばかり。北朝鮮の長距離弾道ミサイル「テポドン2」などの発射に国際社会が非難を強める中、インドが核搭載可能な新型ミサイルを発射したことは米国などで反発を招く可能性もある。
 同通信によると、この日実験されたアグニ3は長さ16メートルの2段式で射程3500キロ。中国の一部主要都市が射程に入る。搭載量は1000キロ。インドに向けた核ミサイルを配備しているとされる中国に対し「最低限の核抑止力」として軍事的に対等な立場に近づく狙いがある。
 ムカジー国防相が見守る中、アグニ3は実験場の発射台からごう音とともにオレンジ色の炎と煙を吐き雲の中に。その後、ニコバル諸島付近の海上に着弾した。
 インド政府当局者は6月まで、米議会が米印原子力協力を審議中にアグニ3を発射することは「適切ではない」としていた。
 中国とインドは6日、中国チベット自治区とインド・シッキム州を結ぶ国境貿易を44年ぶりに再開し友好関係進展を演出したが、軍事的には警戒を解いていない。(共同)

◎インド:核弾頭搭載可能な長距離ミサイルの発射実験(2006年7月9日、毎日新聞)
 【ニューデリー支局】AP通信によると、インドは9日、東部オリッサ州のミサイル発射実験施設で、核弾頭の搭載が可能な新型長距離弾道ミサイル「アグニ3」(射程距離約3000キロ)の発射実験を行った。
 定例実験の一つで、パキスタンへの軍事的な威嚇行為ではないとみられている。

◎ホンダ、インド事業について会見、ニューデリー(2006年7月4日、産経新聞)
 【ニューデリー=小雲規生】ホンダの福井威夫社長は3日、インドのニューデリーでインド事業について記者会見し、インドでの四輪車の販売台数が現在の5万台規模から、2010年には15万台になるとの見通しを明らかにした。成長が続くインド市場に新型車を投入するなどして、さらなる事業強化を狙う。
 福井社長は会見で、「インド市場に新たな小型車を投入することを視野に入れている」と表明。2010年にホンダの全世界での四輪車販売が450万台になるころには、「現状の3倍の15万台以上にまで躍進を遂げると思っている」とした。
 新型車はインドにおけるホンダの主力ブランド「シティZX」(排気量1500cc、日本名フィット・アリア)より小型になる見通し。ただインドへの投入を前提に開発するものの、他地域での販売も重視し、低価格路線はとらずに最新の技術を盛り込んだ高い品質を目指す。ホンダは今後10年間でインド市場に350億円程度の投資を行う。
 また、福井社長はインドを「最も成長可能性の高い重要戦略拠点」と位置づけると表明。新たに部品事業会社を設立するなどして、48%のシェアを持つ二輪事業や発電機などの汎用製品も含めた事業戦略を、現地で策定する体制を整える方針を打ち出した。

◎インドへ原子炉提供、米印原子力協定を承認、米下院委(2006年6月29日、読売新聞)
 【ワシントン=貞広貴志】米下院国際関係委員会は27日、米国からインドへの原子炉提供などを内容とする米印民生用原子力協定を認める法案を賛成37、反対5で可決した。
 同協定については「核不拡散体制に抜け穴を開ける」などの批判もあったが、この日は民主党議員を含む予想外の賛成多数で可決され、来月にも本会議にかけられることになった。
 法案は、核拡散防止条約(NPT)に加入しないまま核兵器を保有するインドを「特別扱い」(国務省高官)し、米国などからの原子力技術や燃料の提供に道を開くもの。
 同時に、国際原子力機関(IAEA)による査察の確保など、不拡散上の保障措置強化も盛り込んでいる。

◎農民の自殺、6年間で10万人、借金苦か、インド(2006年6月13日、朝日新聞)
 インドで98〜03年の6年間に10万人の農民が自殺したとの統計結果が、このほど国会で明らかにされた。借金苦が原因とみられている。情報通信やバイオ産業などを中心に経済成長を続けるインドだが、国土の7割以上を占める農村では、貧困に苦しむ現状が浮き彫りになった。
 ヒンドゥスタン・タイムズ紙などによると、シャラド・パワル農相らが内務省の国家犯罪局などの統計を引いて説明した。
 6年間の農民の自殺者は10万248人。最多は02年の1万7971人で、自殺者全体の16%を占めた。
 農相は、農民が借金苦に至る典型的なパターンを示した。それによると、種や農薬の購入、電気代支払いなどのために銀行から融資を受ける。だが、降雨が少なくて収穫が伸び悩むと返済できず、消費者金融から20〜40%という高利で金を借りる。娘の結婚や家族の病気治療代などで借りた金を使い、行き詰まる例もある。
 インドの02年〜04年度の国内総生産(GDP)の伸びは各年度で3.8%、8.5%、7.5%のプラスだが、全体の2割を占める農業はマイナス6.9%、プラス10.0%、プラス0.7%と不安定だ。潅漑(かんがい)施設が不十分で、天候が収穫に大きく影響する。
 パワル農相は、融資制度の充実や潅漑施設の改善、収入を増やす作物の栽培奨励などを検討しているとした。同紙は、自殺者の多い西部マハラシュトラ州の現地担当者の「多くの対策をしてきたが、自殺を抑えることができない」との声も伝えている。

◎HIV感染、インドで570万人・国連報告書(2006年5月31日、日本経済新聞)
 【ニューヨーク=中前博之】エイズウイルス(HIV)感染者はインドが最多。国連合同エイズ計画(UNAIDS)が30日公表した報告書で、インドの感染者数が2005年末に570万人に達し、南アフリカの550万人を抜いたことが分かった。
 報告書は2年ごとに作成。今回、インドの感染者は03年から40万人増となった。ただ、10億超の人口を擁するインドの感染率(成人)は0.9%にとどまり、南アの18.8%を大幅に下回っている。
 世界全体の感染者は05年末で3860万人。うち同年の新規感染者は前回調査時の03年に比べ減少、410万人だった。啓発活動の広がりで「感染拡大のピークは過ぎた」(UNAIDS)。05年の死者は280万人で03年に比べ10万人減った。1981年のエイズウイルス確認後の感染者は累計で6500万人、死者は2500万人を突破した。
 地域別では、サハラ以南のアフリカ諸国が世界の3分の2弱、2位のアジアは5分の1強を占めた。中国は2年前から15万人増の65万人。米国が120万人、ロシアが約14万人で、日本は横ばいの1万7000人だった。

◎東洋エンジ、インドでエチレン大型プラントを受注(2006年5月30日、日本経済新聞)
 東洋エンジニアリングはインド大手機械メーカーのL&Tと共同で、国営インド石油(IOC)から石油化学の基礎材料となるエチレンの大型プラントを受注した。同国最大となる年産80万トンの設備で、2009年に完成。受注額は750億円で、東洋エンジグループの取り分は全体の6割にあたる約450億円にのぼる。今回の受注を機に、プラント建設が旺盛なインドでの事業拡大を目指す。
 インド北西部のハリアナ洲パニパットに建設する。東洋エンジなどは設計、資機材調達、建設、試運転までを一括して請け負った。隣接の製油所などから調達するナフサを原料にエチレンを製造する設備で、このエチレンは汎用合成樹脂のポリエチレンやポリプロピレンなどの原料となる。

◎日新製鋼、インド進出・ステンレス合弁生産へ(2006年5月26日、日本経済新聞)
 日新製鋼は日本の鉄鋼メーカーで初めてインドに進出する。スペインの鉄鋼大手アセリノックスと合弁で工場を建設、2008年からステンレスを生産して現地で自動車メーカー向けに販売する。総投資額は300億〜400億円の見通し。経済成長が続くインドでは鉄鋼需要が急増しており、鉄鋼世界最大手のオランダのミタル・スチールや四位の韓国ポスコも製鉄所建設を計画している。中国に続きインドでも、世界の鉄鋼大手による市場争奪戦が本格化する。
 近く事業化調査を始め07年にも合弁会社を設立する。出資比率は今後詰め、現地企業を加えることも検討する。工場の建設地はインド西部のムンバイ近郊が有力。腐食に強いステンレス板を生産、まず建設資材や厨房(ちゅうぼう)器具向けに出荷する。

◎インド医学生代表ら、抗議デモ続行へ(2006年5月22日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インド国内の医科大や工科大など有力大学で被差別階層子弟の優先入学枠を拡大する政府案に反発し、各地で抗議デモを実施している医学生や若手医師代表らは21日、政府が前日に示した入学定員増などの妥協案受け入れを拒否し、さらに抗議行動を続ける考えを表明した。印NDTVなどが伝えた。
 ムカジー印国防相ら閣僚グループは20日、各大学で全体の入学定員を段階的に増やし、一般枠入試を受ける学生が不利にならないよう配慮する妥協案を提示していた。

◎インドITの中心地バンガロール、現地語「ベンガルールウ」に変更(2006年5月22日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】国内外の大手情報技術(IT)関連企業が集まるインド南部・バンガロールの名称が、11月1日から現地語の「ベンガルールウ」(豆の町)に変更される。同市を州都とするカルナタカ州政府が正式決定した。インド各地では1990年代以降、民族主義の台頭などから英植民地時代に定着した英語風の都市名を現地語に置き換える動きが続いている。だが、世界的に有名となった「バンガロール」の名称変更は混乱や反発を招く可能性もある。
 インドでは西部の商都ボンベイがムンバイに改称され、南部の中心都市マドラスがチェンナイに、東部ベンガル地方最大の都市カルカッタもコルカタへと相次ぎ名前を変えた。紅茶の産地として知られる北東部のアッサム州政府も2月末、約180年続いた州名を本来の「アソム」に変更する方針を決めた。
 だが、都市名変更はビジネスマンや外国人にとってコスト増や手続きの複雑化につながる。各州政府などによる名称変更の動きは新たな論議を呼びそうだ。

◎インド最大のミステリー、ボース台北事故死の定説覆す(2006年5月20日、産経新聞)
 【シンガポール=藤本欣也】インドの独立運動の英雄、チャンドラ・ボース。第2次大戦終戦直後に台湾で飛行機事故死したことになっているが、同国の調査委員会はその定説を真っ向から否定する報告書をまとめた。日本で保管されている「遺骨」も「ボースのものではない」と結論付けている。ボースは死なずにどこに行ったのか。60年以上にわたり続くインド最大のミステリーに幕は下りそうもない。
 ボースは1945年8月18日、台北の松山空港で中国・大連に向かう際、搭乗機が離陸に失敗し炎上、全身火だるまになって病院で48歳の生涯を終えたとされる。遺体は台北で荼毘(だび)に付され、遺骨は日本に移送されたというのが定説だ。
 これに対し、1999年に組織された政府の調査委員会は今月17日、報告書を公表。(1)ボースは台北の飛行機事故で死亡しなかった(2)よって日本に保管されている遺骨はボースのものではない−と結論付けた。
 その理由として調査委員会は「しっかりとした状況証拠がある」と説明する。事故があったとされる45年8月18日とその前後に、台北で飛行機事故が発生した記録がないというものだ。調査委員長を務めたムケルジ元最高裁判事は、「台北市長(馬英九氏)と台湾の外交部(外務省)が確認した」とインドのメディアに語っている。
 これまでにも、政府の調査委員会が56年と70年に組織されたが、いずれも医師や事故の生存者の証言をもとに「ボースは台北の飛行機事故で死亡した」と結論付けている。初めて定説を否定した今回の報告書についてインド政府は、「細かく吟味したが、その結論には同意できない」とする異例の意見書を付けて、報告書とともに国会に提出した。今後、国会で論議を呼ぶ可能性もある。

◎インドIT企業に減速感・大手3社利益率低下(2006年5月10日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=小谷洋司】インドの高度成長を象徴してきたIT(情報技術)ソフトウエア大手の利益率の伸びが鈍化する兆しが出てきた。国内に不足気味の技術者争奪が激化、人件費の上昇が頭打ち要因となった格好だ。中国企業などの猛追も目立つ中、割安な労働力を武器に急伸してきた印IT業界は今後、業務の効率化や自前の人材育成など新たな競争力向上策への取り組みを迫られそうだ。
 タタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)、ウィプロ、インフォシス・テクノロジーズの大手3社はともに、2006年3月期決算で連結売上高営業利益率が0.2―1.2ポイントの減少に転じた。依然2割を超える高い水準ではあるが、人件費の増大により利益が伸び悩んだ格好だ。

◎トヨタ、80万円切る新興国専用車・まずインドで発売へ(2006年5月9日、日本経済新聞)
 トヨタ自動車は新興国市場向けに80万円を切る乗用車を開発、2010年前後にまずインドで発売する。現在同社が販売するもっとも安い車を10万円以上下回る。トヨタは米欧や中国での拡販をテコに10年までに世界で1000万台を販売する計画だが、インドなど成長市場ではスズキや韓国・現代自動車などの低価格車に押されている。成長を持続するために新興国に的を絞った戦略車を投入する。
 新たに開発する新興国専用車は排気量1000cc級の小型乗用車で、エンジンなどの部品の素材段階から原価低減を進める。子会社で軽自動車が得意のダイハツ工業の技術を活用し、日本の研究開発拠点で設計。原則、インドなど現地で生産し、部品の現地調達も進める。円換算で80万円を切る低価格車を目指す。

◎インド主要都市のホテル料金、平均31%の急上昇(2006年5月8日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インド主要都市のホテル宿泊料金が急騰している。ホテル業界向けコンサルタント、HVSインターナショナルの調査によると、ニューデリー、ムンバイ、バンガロールなど主要8都市の4つ星以上のホテル料金は昨年度(2005年4月〜06年3月)、前年度比31%上昇して平均5859ルピー(約1万5200円)となった。
 都市別ではIT(情報技術)産業の中心地としてビジネス客が急増した南部バンガロールが平均1万1100ルピー(約2万8800円)で、同41%の大幅上昇。首都ニューデリーと最大の商都ムンバイでもそれぞれ前年度より36%、30%値上がりした。
 平均客室稼働率も、南部の新興IT産業都市ハイデラバードで前年度比約4ポイント増の82%、ニューデリーでも同1ポイント増の80%と軒並み高率となった。昨年11月〜今年2月の観光シーズンには「常にキャンセル待ち」(ニューデリーの5つ星ホテル)という。経済成長を背景に急増するビジネス・観光向け需要に、客室の供給が追いつかないホテル事情が鮮明になっている。

◎対インド投資、3年で18億ドルに・財務相(2006年5月6日、日本経済新聞)
 【ハイデラバード(インド南部)=馬場燃】インドを訪問中の谷垣禎一財務相は5日、チダムバラム印財務相と会談し、「日本からインドへの投資ブームが加速する」と述べた。谷垣氏は日本の対印投資は今後3年で18億ドルと過去最高になるとの見通しを示した。また、谷垣氏は会談に先立つ4日の記者会見で為替相場について「過度な動きがあり、強い関心を持って市場を見ていく」と語った。
 谷垣氏は印財務相との会談後の会見で「インドが投資環境や租税条約の見直しを進めて、日本も実務的な検討を進めるべきだ」と強調。日本とインドは自由貿易協定(FTA)締結に向けた研究を始めており、今後もさらに経済連携を深めていく構えだ。

◎船井電機がインドに販社、地元大手と提携・テレビなど本格販売(2006年5月2日、日本経済新聞)
 船井電機はインドで家電販売に参入する。6月をめどに販売会社を新設し、現地資本の小売りチェーン大手を通じてブラウン管テレビなどを拡販する。船井電機はタイに工場を持つ。2004年にタイ・インド間で自由貿易協定(FTA)が発効し、テレビなどが無関税になったのを機に成長が見込めるインド市場に攻勢をかける。
 販売会社は船井電機の全額出資で、ニューデリーに設立する。資本金など詳細は今後詰める。インド全土に販売店を持つ小売りチェーンと提携し、船井電機のタイ工場で生産したブラウン管テレビなどを独占的に供給する。小売りチェーンの具体的な社名は明らかにしていないが、06年度の売り上げは10億〜20億円の見込み。2年後には200億円まで伸ばす計画だ。

◎ヒンドゥー教徒35人殺される、インド・カシミール(2006年5月1日、朝日新聞)
 インド北部のジャム・カシミール州ドダ郡で1日午前2時ごろ、イスラム教過激派とみられる武装グループがヒンドゥー教住民が住む集落を襲い22人が死亡、5人が負傷した。同州では別の場所で武装勢力に誘拐されていたヒンドゥー教住民13人が、1日までに遺体で見つかった。
 同州ではヒンドゥー教徒は少数派。犯行声明は出ていないが、分離独立を求めるイスラム教過激派の犯行とみられる。インドとパキスタンは03年、カシミールを分断する実効支配線に沿って停戦が成立したが、停戦以来、武装勢力による最悪の流血の事態になった。
 地元の報道によると、イスラム教過激派によるヒンドゥー教徒への襲撃は90年代半ばから断続的に続いたが、ここ数年は大規模な襲撃事件は起きていなかった。
 3日には、シン首相と同州の独立派の政党連合「ハリヤット」のリーダーとの会談が予定されている。インド当局はこの会談に向けて武装グループの攻撃に警戒を強めていた。

◎武装集団、ヒンズー教徒ら26人射殺、カシミール(2006年5月1日、読売新聞)
 【イスラマバード=佐藤昌宏】インド北部ジャム・カシミール州からの報道によると、同州ドタ地区で30日夜、山間部の村が十数人の武装集団に襲われ、ヒンズー教徒の住民20人が射殺され、けがを負った2人がその後死亡した。
 同日午前には、近くの別地区で15人が誘拐される事件があり、うち4人が射殺された。さらに8人の遺体が確認されたとの報道もある。
 犯行声明などは出ていないが、地元警察は、カシミール地方の分離独立闘争を続けるイスラム過激派の犯行とみて調べている。

◎印タタ、バングラの事業の投資額を30億ドルに引き上げ(2006年5月1日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インドの有力財閥タタ・グループはバングラデシュで計画している製鉄所、発電所建設などの大規模事業について、総投資額を25億ドルから30億ドルに引き上げる一方、同国政府が10%出資する修正案を提出したと発表した。タタは7月末までに政府との正式調印にこぎ着けたい考え。
 年間生産能力240万トンの製鉄所と、同100万トンの肥料工場、出力千メガワットのガス火力発電所などを建設する計画。バングラデシュへの海外直接投資としては過去最大となる。

◎インド自動車販売、8.2%増・2005年度(2006年5月1日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=小谷洋司】インド自動車工業会によると、同国の2005年度(05年4月〜06年3月)国内自動車販売は前年度比8.2%増の149万3000台に達した。アジアでは日本、中国に続く第3の市場で、世界でも11位の水準になっている。
 原油高の影響で伸び率は鈍ったが、国内販売の増加は4年連続。1年前にほぼ並んでいたロシア(05年1〜12月の国内販売は135万5000台=日本自動車工業会調べ)を引き離し、世界10位のカナダ(同163万台)を追っている。

◎禁止の出生前性別検査実施、医師らに懲役判決、インド(2006年4月2日、朝日新聞)
 出生前の性別検査が法律で禁じられているインドで3月末、検査をした医師とその助手に、懲役刑を科す初の判決が言い渡された。インドでは、娘の結婚時に多額の持参金が必要とされるヒンドゥー教上の慣習などから、男児の誕生を望む傾向が強い。そのため、胎児が女子とわかると中絶する悪習が後を絶たず、地元紙は「画期的な判決」と報じている。
 インディアン・エクスプレス紙によると、判決を出したのは、インド北部のハリヤナ州パルワルの地裁。胎児への超音波検査をした医師と助手が懲役2年、罰金5000ルピー(約1万3000円)の判決を受けた。
 96年に施行された出生前診断技術規制法によると、胎児の性別検査をした場合、最大で5年の懲役と罰金が科せられる。ただ、通常は妊婦も医師も認めないため、立件は困難だ。この医師は01年、おとりの妊婦を派遣した捜査当局によって摘発された。裁判では、おとり捜査で記録したビデオと録音テープが有罪の決め手となった。
 ただ、医師は今年3月28日に判決を言い渡されるまで違法な検査を続けていた。診療所はいつも診察待ちの女性でいっぱいだったという。
 01年の国勢調査によると、インドの男女別の人口比は男性1000人に対して、女性は933人と少ない。農村地域が多く、伝統的な慣習が色濃く残るハリヤナ州では、男性1000人に対して女性は861人と数字の偏りが顕著で、中絶が大きな理由との見方が強い。

◎インド、05年度輸出額が1000億ドル突破へ・商工相見通し(2006年3月27日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インドのカマル・ナート商工相は22日、同国の2005年度(05年4月―06年3月)の総輸出額が、政府目標の920億ドルを上回り、初めて1000億ドルを突破するとの見通しを明らかにした。
 商工省によると、昨年4月から今年2月まで11カ月の輸出額は欧米向けなどを中心に前年度比約26%増の887億6000万ドルに達している。前年度通年の実績が約800億ドルであることから、商工相は「1000億ドル突破はほぼ確実」としている。
 インド政府は、08年度までに年間輸出額を1500億ドルへと拡大する目標を掲げている。

◎インド、経済特区続々・外資導入の切り札に(2006年3月27日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インドで進出企業に幅広い優遇措置を与える経済特区の開設計画が相次いでいる。商工省は今月中旬、財閥最大手リライアンス・グループなどによる148件の特区開設申請を受理し、月内にもこのうち約60件を正式認可する予定。政府は特区を外資導入の切り札と位置づけている。
 インド国内では現在、首都デリー郊外のノイダや南部チェンナイなど14カ所の経済特区が開設されている。認可済みの117カ所を加えると、今後数年で約300カ所が開設される見通し。

◎インド財務相、外為規制緩和計画を「数日内に発表」(2006年3月20日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インドのチダムバラム財務相は20日、ニューデリーで開いた経済団体の会合で講演し、同国政府と中央銀行(RBI)が数日以内に通貨ルピーの外貨交換性拡大など外為規制の緩和計画を発表すると述べた。これによってインドの企業は対外借り入れなど資金調達の自由度が広がり、国外投資も容易となる。同国政府が最も重視する対印直接投資の誘致にも弾みがつく見通しだ。
 RBIは、モノやサービス貿易に伴う為替取引を原則自由化しているが、資本勘定については1997年のアジア通貨危機を教訓に慎重な為替管理制度を続けている。一般企業の対外商業借り入れは年間5億ドルまでで、使途も産業・インフラ投資などに限られ、それ以外の場合にはRBIの個別認可が必要となる。
 インドの外貨準備高は3月第一週末現在、13カ月分の輸入代金に相当する約1430億ドルと、前年同期比約4%増えている。印政府はこうした状況を踏まえ、外為規制の緩和を進める環境が整ったと判断した。

◎ロシア、インド原発への核燃料供給で合意(2006年3月15日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インド外務省のサルナ報道官は14日の記者会見で、ロシアが印西部・タラプール原子力発電所への核燃料供給で合意した、と述べた。フラドコフ・ロシア首相が今週後半に訪印し、正式合意するとみられる。米国やフランスも民生用原子力開発への対印協力で相次いで合意しているが、ロシアは核燃料供給によって一歩先行しそうだ。
 報道官は「核燃料が不足すればタラプール原発の安全稼働に支障が出る可能性があり、ロシアに供給を要請した」と説明。ウラン供給は「限られた量にとどまる」と述べた。PTI通信は、核燃料の輸出量が約60トンに達すると伝えた。
 ロシアは自らも加盟する原子力供給国グループ(NSG)に対し「安全上の例外措置としてインドに核燃料を供与する」と報告したという。
 タラプール原発(1、2号機)は1969年に運転を開始したインド初の原発で米ゼネラル・エレクトリック(GE)社製。最大出力は各160メガ(メガは100万)ワット。国際原子力機関(IAEA)の査察を受けている。

◎ヒンズー教聖地での連続爆発、死者20人に・インド(2006年3月8日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インド北部にあるヒンズー教の聖地バラナシの寺院と鉄道駅を狙った7日夕の連続爆発事件で、同日夜までに少なくとも20人の死亡が確認され、負傷者も55人以上に達した。PTI通信が伝えた。パテル内相は同日深夜に現地入りし、現場検証や捜査の陣頭指揮に当たった。
 事件では強力なRDX爆薬が使用された可能性があることから、地元ウッタルプラデシュ州警察本部では、連続爆弾テロとの見方を強めて情報収集を進めている。
 インドでは15日にヒンズー教の祭礼「ホーリー」を控えている。イスラム過激派の関与が濃厚な昨年10月末のニューデリーでの連続爆弾テロもヒンズー教の大祭「ディワリ」の直前に起きており、7日の事件と同派との関連を指摘する見方も出ている。一方、ヒンズー教団体などを有力支持母体とする最大野党インド人民党(BJP)のスポークスマンは7日夜の声明で、「事件が起きたのはテロに対する政府の甘い対応が原因」と批判した。

◎印パ両国で反米デモ相次ぐ・米印急接近に警戒感(2006年3月3日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=小谷洋司】ブッシュ米大統領が訪問中のインドや次の訪問予定地であるパキスタンで2日、反米デモや爆弾テロ事件が相次いだ。大統領とマンモハン・シン印首相との首脳会談で打ち出した原子力協力など米印両国の急接近ぶりへの警戒感やイスラム教徒らの反米感情が表面化した格好だ。
 インドではニューデリーなど主要都市で、左翼政党などが数千人規模の反米デモを実施。参加者は「ブッシュは帰れ」などと叫んだ。左翼政党議員らは国会議場から退席し、大統領訪印に抗議する姿勢を示した。北部のジャム・カシミール地方では、デモ隊に治安部隊が発砲し、6人が負傷した。
 大統領が3日に訪問するIT(情報技術)産業の集積都市、南部ハイデラバードではイスラム教徒ら約100人が公園に集まり、反米スローガンを唱えた。同市の人口の約4割はイスラム教徒が占めるといわれる。同じくITで知られる南部バンガロールでも数百人規模の抗議デモが発生した。

◎インドにF16戦闘機など売却用意、米国防総省が発表(2006年3月3日、読売新聞)
 【ワシントン=五十嵐文】米国防総省は2日、インドに対し、「戦闘機、ヘリコプター、偵察機、艦船」などについて武器取引を行う予定があると発表した。
 具体的にはF16戦闘機やF18戦闘機の売却の用意があるとしている。同日の米印首脳会談で原子力協力で合意したことを受け軍事面での協力強化を目指すものだ。

◎インドにウラン輸出せず、豪外相(2006年3月3日、読売新聞)
 【シドニー=樋口郁子】オーストラリアのダウナー外相は3日、米国とインドがインドの原子力エネルギー開発の協力で合意したことを受け「豪州は、インドが核拡散防止条約(NPT)に加盟しない限り、インドにウランを輸出しない」と述べた。
 豪州のウラン埋蔵量は世界の40%を占め、最大を誇る。豪州は、ウラン輸出相手国に対しNPT加盟を条件づけている。
 一方で同外相は、今回の米印合意でインドの民間原子力部門への国際原子力機関(IAEA)の査察が可能となることについては歓迎した。

◎紅茶の名前も当然変わる?「アソム州」に州名を変更(2006年2月28日、共同通信社)
 PTI通信などによると、インド北東部アッサム州は27日、州名を「アソム州」と変更することを決定した。最終決定には中央政府の承認が必要。
 「アッサム」は英植民地時代の呼び方で、本来の名称に戻すのが目的。インドではボンベイをムンバイに変更するなど、植民地時代の名称を変える動きが続いている。
 歴史学者は「歴史的にはアソムが正しい。アッサム紅茶が有名になったため(英国の)統治者は州名を訂正しなかった」と説明している。(共同)

◎インド西部、また鳥インフルエンザウイルス検出(2006年2月25日、読売新聞)
 インド西部グジャラート州スラト地区にある養鶏場で死んだ2羽のニワトリから、鳥インフルエンザウイルスが検出された。25日のPTI通信などが伝えた。
 養鶏場は、インドで18日に初の感染例が発見された西部マハラシュトラ州ナンドゥルバル地区に近い。ウイルスが検出されたニワトリは、13日に検査に持ち込まれたものだという。
 養鶏場で飼育されていたニワトリは、18日に政府が開始した鳥インフルエンザ拡大防止策の一環として、すべて処分されている。(ニューデリー支局)

◎鳥インフル、インドで初の死者か、養鶏業の男性、感染疑い(2006年2月19日、産経新聞)
 PTI通信によると、インド西部グジャラート州で18日、隣接のマハラシュトラ州から来ていた養鶏業の男性(27)が、高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染した疑いで死亡したことが分かった。グジャラート州政府当局者が明らかにした。
 同州は男性の検体を中央政府の研究所に送り分析している。感染が確認されればインドで鳥インフルエンザによる初の死者となる。
 マハラシュトラ州は、鶏が5万羽以上死に、検体から18日に鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)が確認された。この男性はウイルスが確認された同州ナンドルバルに住んでいた。
 インド政府はマハラシュトラ州内で体の不調を訴えた8人について感染の有無を検査、さらに子供3人を含む4人の経過を観察しているが、死亡した男性がこの8人に含まれていたかは不明。
 マハラシュトラ州では19日、感染拡大を防ぐためウイルス確認地点から半径3キロの養鶏場で鶏の処分を開始した。約80万羽を処分し20万羽にワクチンを接種する。(共同)

◎インドで初の鳥インフルエンザ(2006年2月19日、朝日新聞)
 インド西部マハラシュトラ州政府は18日、同州北部の農家の鶏からでH5N1型の鳥インフルエンザウイルスを検出した、と明らかにした。インドPTI通信などが報じた。インドで鳥インフルエンザが確認されたのは初めて。
 この数日間に複数の養鶏農家で計約5万羽が死んだため、中央政府の研究所が調査していた。
 州政府は市民に対して養鶏農家に近づかないよう呼びかけると同時に、一帯の鶏の大量処分を検討している。

◎「バレンタインは物まね」抗議行動で70人拘束、インド(2006年2月15日、産経新聞)
 インド各地で14日、バレンタインデーは「西洋文化の物まねだ」とするヒンズー至上主義者らによる抗議行動が相次ぎ、カップルに嫌がらせをしたりバレンタイン関連商品を売る店を襲うなどした70人以上が警察当局に拘束された。PTI通信が伝えた。
 インドでも欧米の影響を受け、数年前からプレゼントの交換をしたり一緒に食事をする若いカップルが増えているが、ヒンズー至上主義団体などが反発しており、若者が集まるディスコやホテルは襲撃を警戒、私服警官も導入し厳重な警備が敷かれた。
 ニューデリー中心部では、ヒンズー至上主義政党シブ・セナの活動家らがバレンタインデーのカードを破ったりしたほか、大学のキャンパスなどで自由恋愛に反対するスローガンを叫びながらデモ行進。一部はバレンタインデー用のプレゼントを売る商店を襲撃し商品を燃やした。
 北部ジャム・カシミール州スリナガルではイスラム教の女性団体の150人以上がホテルに乱入しカードを焼却。ハリヤナ州では、ヒンズー教団体活動家らが「低俗な身ぶり」をしたとして男女を捕まえ、説教するなどの嫌がらせをした。

◎毛派が襲撃、兵士8人殺害、インド中部(2006年2月10日、産経新聞)
 PTI通信によると、インド中部チャッティスガル州で10日未明、極左組織インド共産党毛沢東主義派の武装集団が国営鉱物開発会社の爆発物収納倉庫を襲撃し、兵士8人を殺害、9人を負傷させた。
 武装集団は爆弾を爆発させた上、銃を乱射し警備の兵士を殺傷、倉庫内にあった鉱物採掘用の爆発物や兵士の銃器を強奪した。
 インドでは、東部から中南部にかけて毛派の活動が活発化しており、治安部隊への攻撃を繰り返している。

◎インド、05年度8.1%成長率見通し(2006年2月8日、日本経済新聞)
 【カトマンズ=山田剛】インド中央統計局(CSO)は7日、同国の2005年度(05年4月〜06年3月)の国内総生産(GDP)成長率が8.1%に達するとの見通しを発表した。製造業やサービス業で高い伸び率を予測。04年度に伸び悩んだ農林水産業でも、昨年7〜9月の雨期に豊富な降水量に恵まれたことから伸び率回復を見込んでいる。
 産業別の成長率予測は、GDPの約4分の1を占める「製造業」が前年度比1.3ポイント増の9.4%、「金融・保険・不動産・ビジネスサービス業」が同0.3ポイント増の9.5%。「建設業」と「貿易・ホテル・輸送・通信業」はともに2ケタ成長を維持するという。
 IT(情報技術)関連産業を中心とした所得増加で、乗用車や家電などの販売は引き続き好調。個人向けローンの拡大や、インフラ、商業施設などへの投資増を背景に金融、建設業でも同様に好業績を維持している。

◎インド:最貧民100日雇用を保障、貧困改善計画スタート(2006年2月6日、毎日新聞)
 【イスラマバード西尾英之】年8%近い経済成長の陰で11億人の人口の約3分の1が1日1ドル未満の貧しい生活を送るとされるインドで、農村部の最貧困層を対象に政府が年100日間の雇用を保障する貧困改善計画がスタートした。シン首相は「歴史的な出来事となる」と強調したが、国家財政悪化への懸念も強く、経済学者出身の首相の手腕が問われそうだ。
 ロイター通信などによると、計画は農村部で道路工事や森林開発、水利などの公共事業を実施して最貧層住民を雇用。最低でも1日60ルピー(約160円)の賃金を支払う。住民に対しては年100日の雇用が保障される。
 政府は今月から南部アンドラプラデシュ州アナンタプール地区でこの計画を導入。さらに全国へ広げていく方針だ。年間の経費は90億ドル(約1兆620億円)に上る。
 シン首相の国民会議派は04年の総選挙で「人間の顔をした経済改革」を訴え、経済成長の恩恵を受けられない貧困層の支持を集めて、比較的豊かな層が支持したインド人民党から政権を奪回した。
 今回のプランは会議派の貧困対策の切り札だが、政府の財政赤字は国内総生産比9%台と高い水準が続き、財政改革が急務。専門家からはプランが赤字をさらに悪化させるとの懸念が指摘されている。

◎自動車各社、インドからの輸出拡大・低コスト拠点活用(2006年2月5日、日本経済新聞)
 自動車各社がインドからの対外輸出を拡大する。インド国内シェア首位のスズキは2007年にもディーゼルエンジンの欧州向け輸出を始める。現代自動車は07年に輸出台数を04年比2割増の10万台に増やす計画だ。各社はコストが安いインドの生産拠点を世界展開に生かす考えで、今後、中国などと並ぶ自動車・自動車部品の輸出基地として存在感を高めそうだ。
 スズキは今年6月に海外初のディーゼルエンジン工場をインドで稼働させる。07年にも欧州の主要拠点であるハンガリー工場に供給を始め、完成車に搭載する予定だ。

◎インド首相「近い将来に9〜10%成長を達成」(2006年2月2日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インドのマンモハン・シン首相は1日、ニューデリーで内外報道機関と会見し、若年労働者の拡大による貯蓄率増加と、国内企業の競争力向上などで近い将来に年率9〜10%の経済成長を達成できる、との見通しを示した。また同首相は「インド企業には競争力があり、技術や資本市場へのアクセスによって成功を収めるだろう」と述べ、各国との自由貿易協定(FTA)締結後も好業績を維持できる、との見方を示した。
 シン首相は、3月にブッシュ米大統領の訪印を控えた対米関係について「民生用原子力開発だけでなく、国防や科学技術から農業まで幅広い協力を目指す」として引き続き重視する考えを示した。だが、「インドはあくまで国益に従って政策を決定する」と述べ、対イラン協力に対する米国などからの圧力には屈しない考えを強調した。
 現政権に閣外協力する左翼政党は、民営化や市場開放などに依然反対しているが、同首相は「(左翼との)合意形成は十分可能であり、政権は5年の任期を全うできる」との自信を示した。

◎イラン核開発:米国、インドに働きかけ強める(2006年2月2日、毎日新聞)
 【ワシントン笠原敏彦】イラン核開発問題を審議する2日からの国際原子力機関(IAEA)緊急理事会を控え、米国はブッシュ大統領が3月に訪問するインドの動向に注目、働きかけを強めている。米国はインドを「世界最大の民主主義国」と評価し急接近しているが、インドにとりイランは伝統的な友好国。インドはイラン核問題の国連安保理付託を求める決議案についての態度を明らかにしていない。
 ムルフォード駐インド米大使は先週、インドが安保理付託に賛成しなければ米印両首脳が昨年7月に基本合意した米国からインドへの民生用原発の技術供与は無効になると警告した。あからさまな「圧力」と受け止めたインド側が反発、摩擦が尾を引いている。
 核拡散防止条約(NPT)未加盟の核保有国インドに原発技術を提供する政策転換には米議会で慎重論が強い。マコーマック米国務省報道官は1日の定例会見で、大使発言について「大使は連邦議会の政治的現実を分析しただけだ。我々はインドに付託に賛成してほしいと伝えているが、投票はインドが決めることだ」と語った。
 インドは昨年9月、イランが保障措置協定に違反したと断定するIAEA決議案に賛成し、関係者を驚かせた。ニューデリーからの報道によると、シン・インド首相は1日、緊急理事会での投票について「国益を考えて考慮する」と語り、明確な態度表明を控えた。
 高度経済成長でエネルギー需要が高まるインドは米国からの原発技術供与計画の一方、イランとの間ではパキスタン経由の天然ガス・パイプライン構想を抱えている。インドは唯一の超大国・米国と石油大国イランの間で厳しい選択を迫られている。

◎インド、小売業を外資に部分開放・有名ブランド対象(2006年1月30日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インド政府は外国企業に対し初めて小売業界への直接投資を認めることを閣議決定した。単一の自社ブランドを販売する業態に限って51%までの外資を認可する。インドでは経済成長を背景に有名ブランド品への需要が急増中。外資への部分開放はインド進出に強い意欲を示す外国企業に配慮した形だ。
 部分開放の対象は衣料品や靴、バッグなど海外の有名ブランドに限っており、政府は国内業界への影響が少ないと判断した。スーパーなど大規模な小売業への外資導入はなお検討中としている。だが、閣外協力する左翼政党の幹部らは25日、この決定に反発し、全国規模の抗議デモやストライキも辞さない考えを表明した。
 インドにはすでに海外有名ブランドが多数上陸しているが、いずれも国内企業によるフランチャイズ方式で店舗展開している。ナート商工相は今回の決定について「(規制緩和は)リーボックやノキア、アディダスなど世界的な商品を扱う企業に適用される」と述べた。

◎自動車各社、インド事業拡大・スズキ子会社など(2006年1月23日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】自動車・部品メーカーが相次いでインドでの事業拡大や新型車投入などに動き出した。スズキの子会社でインド最大の乗用車メーカー、マルチ・ウドヨグは約6億ドルの投資計画を発表。地元財閥系タタ自動車も伊フィアットとの販売提携を表明した。BRICsの一角として自動車市場の急成長が見込まれており、主導権争いが激しさを増しそうだ。
 マルチのカッタル社長はこのほど、「今後3年間で新型車投入や研究・開発部門などに約270億ルピー(1ルピー=約2.6円)を投資する」と述べた。昨年、完成車やディーゼルエンジン工場などに総額300億ルピー以上の投資を決めたばかりだが、2倍近くに拡大する

◎バスが転落、50人以上死亡、インド北部(2006年1月20日、産経新聞)
 インド北部ジャム・カシミール州の警察当局によると、同州の冬の州都ジャムの北方約160キロにあるラジュリ地区で20日、路線バスが約100メートル下の谷底に転落し、少なくとも53人が死亡、約20人が負傷した。
 バスには70人以上が乗っており、ほぼ満員の状態だったとみられる。現場近くは雪が積もっていないものの、同日は雨が降り続いており、山道のカーブでスリップしたのが原因とみられる。(

◎シェル、インド国営石油と包括提携・原油増産など協力(2006年1月20日、日本経済新聞)
 【ロンドン=佐藤紀泰】英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルは19日、インド国営のインド石油ガス公社(ONGC)と包括提携することで合意した。インド国内や海外での新規油田の開発や、製油所や石油化学プラント施設の建設など幅広い分野で協力する。シェルは原油や天然ガスの需要が急増するインドでの事業拡大につなげる。
 今回の提携で、両社はインドの既存油田での生産拡大に取り組むとみられる。ONGCはインド国内で、全体の8割に相当する日量70万バレル程度を生産しているが、主力油田の老朽化が目立ち、シェルの技術を活用して供給を増やす。ONGCは最近、イランやシリアなどで相次ぎ油田権益を獲得している。シェルは海外での鉱区の共同入札で協力する考えだ。
 下流事業ではインドでの製油所の合弁のほか、シェルが世界的に技術開発で先行する石炭のガス化プラントの建設も検討していく。シェルはインドを中国と並ぶ戦略市場とみている。特に同社が世界最大手である液化天然ガス(LNG)の売り込みを急いでおり、インド最大のエネルギー企業であるONGCとの提携は重要だった。

◎トヨタ、インドの合弁工場を一時閉鎖・スト拡大で(2006年1月10日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インド南部バンガロール郊外にあるトヨタ自動車の現地合弁企業「トヨタ・キルロスカ・モーター(TKM)」で、解雇された従業員の職場復帰を要求するストライキが拡大。同社は職員らの安全を確保するためとして、9日までに工場の操業停止に踏み切った。
 TKMは、重大な就業規則違反があったとして従業員3人を解雇したが、同工場で働く約300人がこれに反発して6日からストに入っていた。
 同社では、ストの平和的な解決を目指して交渉を続ける一方、「解雇に際しては十分に事情を聴いた。安全や品質管理には職場の規律維持が最も重要であり、(事前通告なしの)違法なストには妥協しない」(広報担当マネジャー)との立場を強調している。これに対し、従業員側は地元メディアに対して「活発な組合運動が解雇の理由であり、聞き取りも十分に実施されていない」と反発。州政府などの仲介を求めていく考えを表明している。

◎北インドに寒波、凍死100人超す(2006年1月10日、朝日新聞)
 インド北部で厳しい冷え込みが続いている。首都ニューデリーでは8日早朝に0.2度まで下がり、観測史上2番目の寒さを記録した(最低記録は35年の零下0.6度)。路上生活者らは寒波の直撃を受け、ニューデリーを含む北部一帯では、昨年12月から100人以上が凍死など寒さが原因で死亡している。
 インド気象庁によると、今年はヒマラヤの降雪が例年より多く、そこに北西からの強い風が重なって北部の気温を下げているという。ラジャスタン州やウッタルプラデシュ州の一部では最低気温は零下になった。
 8日早朝は駐車してある車の窓にうっすらと霜がおり、「雪みたい」と喜ぶ子供たちの姿が見られた。市当局は9日から小学校を3日間休校にすることを決めた。

◎インド首都70年ぶりの寒さ、北部中心に死者100人超(2006年1月9日、産経新聞)
 ヒマラヤ山脈からの強い寒気の影響で、インドの首都ニューデリーは8日、過去70年で最も低い気温0.2度を観測した。昨年12月以降、寒さによる死者は北部を中心に100人以上に上っている。ロイター通信などが伝えた。
 インド気象庁によると、ニューデリーのこの時期の平均気温は7度。8日は1935年に氷点下0.6度を記録して以来の厳しい冷え込みで、同庁は「これ以上、下がることはないと思うが、とにかく異常だ」としている。デリー首都圏政府は9日からすべての小学校を3日間休校にすることを決めた。
 インドでは北部を中心に今後、公園や鉄道の駅などに暮らす路上生活者の凍死者が増える恐れも出ており、関係当局が警戒を強めている。(共同)

◎南アジア貿易圏が発足、インド中心に結束強化(2006年1月2日、産経新聞)
 南アジア地域の7カ国が関税削減を通じて経済統合を目指す南アジア自由貿易圏(SAFTA)が1日、発足した。2015年末までに関税を0〜5%まで引き下げる。人口14億人以上の地域が急成長するインドをけん引力に結束し、域内貿易を活発化させ国際競争力を高める。
 だが、パキスタンとスリランカは年末までにSAFTA協定を批准せず、早くも混乱が生じた。インド商工省は両国が未批准でも同協定に法的影響はないと説明。一方、パキスタン商業省は「協定発効はまだ。関税引き下げ開始は7月から」と主張、見解が食い違う。
 未批准の両国には、インド経済にのみ込まれることへの強い警戒感があるとみられ、SAFTAは「実効性はなく、形だけのスタート」(外交筋)といえそうだ。
 SAFTA協定は各国の経済格差に配慮し、バングラデシュなど後発発展途上国の関税引き下げ率や期限を緩やかに設定。また各国に産業保護のため関税引き下げの除外品目を多数認めた。インドだけでも約800品目に上る。
 南アジア各国の貿易相手は大半が域外国で、域内の貿易額は地域全体のわずか約5%。SAFTAは「緩やかな貿易協力」の性格が強い。インドにとっては、中国経済の浸透に対する防波堤の意味もある。SAFTA協定は2004年1月の南アジア地域協力連合(SAARC)首脳会議で調印された。(共同)

◎外相、インドに「戦略対話」提案へ・中国けん制狙う(2005年12月31日、日本経済新聞)
 麻生太郎外相は1月3日からのインド訪問で、外相級の「戦略対話」の新設や防衛担当閣僚の定期的な相互訪問を提案する。外交・安保分野での連携を深め、軍事費の増大などによりアジアでの発言力を強めつつある中国をけん制する狙いだ。
 麻生外相は滞在中、カラム大統領、シン首相兼外相、アハメド外務担当国務相らと会談。戦略対話は両国の国連安全保障理事会常任理事国入りや東アジア共同体構想、アジアの軍事情勢など外交・安保全般について意見交換する場としたい考えだ。

◎インドの大学で武装グループが銃乱射、1人死亡(2005年12月30日、産経新聞)
 インドの主要メディアによると、情報技術(IT)関連企業が集まり同国のシリコンバレーと呼ばれる南部バンガロールのインド科学大学院大で28日、武装グループが国際会議の会場に乱入して自動小銃を乱射、会議に出席していたインド工科大名誉教授1人が死亡、少なくとも5人が負傷した。
 4、5人の武装グループは車で学内に入り、講堂で開かれていた会議を襲撃。PTI通信によると、同大はイスラム過激派ラシュカレトイバなどの襲撃リストに入っていたが、犯罪組織が関与した可能性もありグループの背後関係は不明。現場から手りゅう弾も発見された。
 インド科学大学院大は、同国トップクラスの科学者を輩出した総合大学院大で、ITなどの科学産業発展を支えてきた。

◎三菱ケミカルHD、インドに合繊原料工場(2005年12月20日、朝日新聞)
 総合化学最大手の三菱ケミカルホールディングスは19日、合成繊維ポリエステルの原料「高純度テレフタル酸」を生産する工場を、インドに新設する方針を明らかにした。年産能力は80万トンと世界最大級という。事業費は約400億円で、08年をめどに操業開始する。合繊原料はインドの繊維産業の伸びで市場が拡大しており、現地生産の増強を図る。
 建設地はインド東部の西ベンガル州。同社としてはインドで二つ目の工場となり、フル稼働が続いている既存工場(00年操業、年産能力47万トン)の近くに建てる。
 日本化学繊維協会の統計によると、高純度テレフタル酸のインド全体の年産能力は150万トン(04年)と日本と同水準だが、06年には200万トン超に増える見込みで、中国に次ぐ高い伸びが予想されている。
 三菱ケミカルホールディングスは、韓国とインドネシアで高純度テレフタル酸を現地生産し、中国の浙江省寧波市でも06年稼働を目指して新工場を建設中。アジアでの原料の供給体制を整え、世界最大手の英BPを追い上げる考えだ。

◎インド南部で洪水被災者が支援物資に殺到、45人死亡(2005年12月18日、読売新聞)
 【ニューデリー=林英彰】インド南部タミルナドゥ州チェンナイで18日、洪水被災者の支援センターに集まった市民が折り重なって倒れ、AFP通信によると、少なくとも45人が死亡、50人以上が負傷した。多くは女性という。
 支援センターが設置された学校の前には支援物資を求めて約4千人が集まっていたが、強い雨が降り出したため、大勢が門に押し寄せ、前方にいた人々が倒れたという。
 チェンナイでは、10月下旬に降った大雨により市内各地で洪水が発生し、多くの市民が家や家財道具を失った。11月にも市内の別の支援センターで同じ事故が発生し、6人が死亡した。

◎インド:イメージアップ狙い、客室乗務員らに減量指令(2005年12月18日、毎日新聞)
 インドの航空会社エア・インディアは、パイロットや客室乗務員約1600人に対し、2カ月以内に減量しなければ配置転換するとの指令を発した。インドでは航空会社間の競争が激化し、顧客に広がった「だるそう、テキパキしていない」といった乗務員のイメージ解消が目的。「乗務員がシートベルトを締められないようでは、飛行機を飛ばせない」というのが同社の弁。(AP共同)

◎インド:食糧援助配給に殺到、被災者ら43人圧死(2005年12月18日、毎日新聞)
 【イスラマバード支局】ロイター通信によると、インド南部タミルナド州の州都チェンナイで18日朝、食糧援助を受けようとしていた洪水被災者らが突然の豪雨で避難所内に殺到し転倒、少なくとも43人が死亡、40人以上が負傷した。当時、避難所前では5000人以上が行列を作っていたという。タミルナド州は過去数週間、豪雨に見舞われ、沿岸部の村落が浸水、数千人が住宅を失った。

◎インド首相、10%成長めざす・対日関係強化に意欲(2005年11月24日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インドのマンモハン・シン首相は23日、ニューデリーの首相公邸で日本経済新聞社の杉田亮毅社長と会見した。首相は日本の民間企業による電気通信や輸送、エネルギーなどのインフラ分野への投資に強い期待を表明。「インドは植民地支配や戦争などによる反日感情や不信感はない」と述べ、投資・貿易を通じた対日関係強化に意欲を示した。今年度に実質年7%台を見込む経済成長について、早期に「10%成長に引き上げたい」と明言した。
 シン首相は「国内のインフラ整備は最優先の課題」と指摘。2002年12月から部分開業した日本の政府開発援助(ODA)によるデリー高速都市鉄道「デリーメトロ」に関して「インドのインフラ近代化に大きなメッセージを伝えた」と成功を歓迎。日本が協力を表明している高速貨物鉄道建設計画に関しても「(インフラ整備の)新たな輝かしい成果になり得る」とし、民間投資だけではなく、政府間協力にも期待感を示した。
 首相はまた、インドの労働力が低コストで優秀であることを強調。

◎印同時テロの計画者逮捕、実行犯に資金援助か(2005年11月14日、産経新聞)
 インドの警察当局は13日、ニューデリーで先月29日に起きた同時爆弾テロを計画したとして、イスラム過激派ラシュカレトイバのメンバー1人を逮捕、ほかに実行犯を含めた7人の行方を追っていることを明らかにした。AP通信が伝えた。
 今月10日に逮捕されたのはタリク・アハマド・ダー容疑者。調べでは、同容疑者はインド北部ジャム・カシミール州のスリナガルの製薬会社で働きながら、テロ計画を立案する上で中心的な役割を果たしたほか、実行犯への資金援助など調整役を担っていたとみられる。
 ダー容疑者は事件当日はニューデリーにはいなかったが、10月初旬に犯行現場を下見。事件の数日後には同容疑者の銀行口座に50万ルピー(約129万円)が国外から振り込まれていたという。
 ラシュカレトイバはパキスタンを拠点とする過激派で、インドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方の分離独立を目指し、武装闘争を展開。警察当局は同時テロを首謀した「黒幕」とみている。(共同)

◎インド:62人死亡の連続爆破事件で重要容疑者を逮捕(2005年11月13日、毎日新聞)
 【バンコク西尾英之】インド・ニューデリーの警察当局は13日、62人が死亡した10月29日の連続爆破事件に関連してパキスタンを拠点とするイスラム武装組織「ラシュカレトイバ」の資金調達役とみられる製薬会社のセールスマン、タリク容疑者を10日にインド側カシミール地方で逮捕したと発表した。同事件で重要容疑者が逮捕されたのは初めて。当局はタリク容疑者が実行犯を使って3カ所での爆破テロを実行させたとみている。

◎停戦ライン開放、インド「まず1カ所」(2005年11月6日、産経新聞)
 インド外務省は5日、パキスタンと領有権を争うカシミール地方で、パキスタン地震により被災した住民を救援するための実効支配線(停戦ライン)開放について、7日に5カ所を開放するとのパキスタンとの合意事項を変更、同日は1カ所にすると発表した。7日にプーンチ、9日にウリ、10日にティトワルを順次開放するとしている。
 パキスタン外務省報道官は「インドから正式に連絡はない。5カ所とも予定通り7日に開放できる」としており、どの地点をいつ開放するかについては、まだ曲折がありそうだ。
 両国は5カ所を開放することで10月末に合意していた。しかしインド軍当局者が4日、2カ所は「需要が少ない」との理由で当面開放しない方針を表明。軍当局によると、停戦ライン開放に向けた地雷除去や土砂崩れした道路の復旧作業が難航していることも原因という。残るプーンチなど3カ所はすべて7日に開放するとしていた。
 インド外務省によると、3カ所では救援物資を運び込むことができ、住民は両国の通行許可が得られ次第、すぐに越境できる。同省は「(土砂崩れなどにより)インフラが使えなかったり損害を受けているため越境は徒歩のみとする」とした。(共同)

◎中部電、インドで水力発電、地球温暖化ガス削減狙う(2005年11月3日、産経新聞)
 中部電力は3日、二酸化炭素など地球温暖化ガス排出削減を狙い、北海道電力、沖縄電力、三菱商事などとともに米系投資ファンド(基金)を通じ、インド南部で水力発電所建設を進めていることを明らかにした。
 中部電によると、アジア地域に特化し、エネルギー効率化事業に投資する初のファンドで、インドの水力発電所は最初の投資案件。
 ファンド名はFEクリーン・エナジー・ファンドで総額約5000万ドル(約57億6000万円)。手掛けるのはほかに、太陽光発電や省エネ型街路灯設置、工場などの設備改善など。エネルギー利用の効率化を保証し光熱費削減分から収益を受け取る事業を展開する。インドのほかフィリピン、タイ、マレーシアなどに投資する。
 ファンドは、インド企業への出資により情報技術(IT)企業集積地として知られるカルナタカ州バンガロールから北西に約350キロ離れた同州シモガの川に出力1万1000キロワット2基の水力発電所を建設中。06年6月の完成を目指す。
 中部電など電力各社は、使用電力量1キロワット時当たりのCO2排出量を2010年までに1990年実績と比べ20%削減する目標を掲げている。
 中部電は、インドでの水力発電などを通じた海外での地球温暖化ガス排出量削減分を、同社が国内で減らしたとみなして削減目標達成に使える京都議定書のクリーン開発メカニズム(CDM)を活用して目標達成に役立てる考え。(共同)

◎シン首相、パキスタン過激派の関与示唆、インド爆弾テロ(2005年11月1日、朝日新聞)
 インドのシン首相は31日、パキスタンのムシャラフ大統領と電話会談し、ニューデリーでの連続爆弾テロ事件に関して「(捜査は)国外のテロ組織の犯行であることを示している」と、パキスタンのイスラム過激派の関与を示唆。同大統領に過激派によるテロ活動の封じ込めを求めた。インド政府が事件の背後関係に言及したのは初めて。
 インド外務省によると、電話は31日夜ムシャラフ大統領からかかり、爆弾テロ事件と、同じ29日にインド南部で起きた列車事故の犠牲者に対する弔意が伝えられた。その際シン首相は、爆弾テロに対するインド国民の怒りが高まっているとしたうえで、「パキスタンがテロ活動と対決することを期待している」と要望した。
 インドでは、テロ事件はパキスタンに拠点を持つイスラム過激派「ラシュカレトイバ」による犯行の可能性が高いとの報道が続いている。しかし、インド外務省は、電話会談では特定の組織名には言及がなかったとしている。

◎インドテロ、容疑者25人を聴取、ヒンドゥー大祭へ厳戒(2005年10月31日、朝日新聞)
 ニューデリーの連続爆弾テロ事件で、警察当局は31日までに事件への関与が疑われる25人から聴取する一方、事件当時の現場付近の携帯電話通話の分析を始めるなど、捜査を本格化させた。犯人逮捕につながる情報に対して10万ルピー(約26万円)の報賞金を出すことも決めた。ヒンドゥー教最大のディワリ祭を1日に控え、治安当局は厳戒態勢を敷いている。
 3カ所の現場に置かれた爆弾はいずれも同じような黒いかばんに入れられ、時限装置が付いていたことが判明。捜査当局は数人のグループによる犯行との見方を強め、3カ所の現場の犯行前後の携帯電話通話を分析している。
 30日に犯行声明を出したカシミール地方のイスラム過激派「インキラブ」は96年の設立後、休眠状態だった。このため、捜査筋は同組織とつながりがあり、パキスタンに拠点を置くイスラム過激派「ラシュカレトイバ」が犯行の主体である可能性が高いとみている、とインド各紙は報じている。
 パティル内相は30日、「情報が集まり始め、捜査は正しい方向に進んでいる」と語った。だが、犯人像についてのコメントは避けた。
 ディワリに備えて、ニューデリーには厳戒態勢が敷かれた。当日は、ヒンドゥー教神の像や家を飾るためのろうそくを買い求める人びとで商店街はごった返す。PTI通信などによると、さらなるテロを防ぐため、デリー警察や中央警察予備隊など約8000人を市内各地に動員。主要な商店街や地下鉄、路線バスに武装警官を配置した。

◎インド同時テロ、主要都市で厳戒態勢(2005年10月31日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インド政府は首都ニューデリーの大規模商店街3カ所で29日起きた連続爆弾テロを受け、各主要都市などに厳戒態勢を敷いて新たなテロの阻止に全力を挙げている。デリー市をはじめ多くの日本企業が進出している北部ハリヤナ州、最大の商都ムンバイを抱えるマハラシュトラ州など各地の警察はホテルの宿泊客のチェックや自動車の検問を実施している。
 治安部門の最高責任者であるパテル内相は30日、記者団に「我々は多くの情報を得ており、捜査は順調に進んでいる」と述べ、犯行グループの特定に自信を示した。デリー警察本部は犯人逮捕に結びつく情報の提供者に10万ルピー(約25万円)の報奨金を提供すると発表した。
 事件現場となったサロジニナガールなどの有力商店街では同日、多くの店が営業を再開したが、客足は普段の3割程度に落ち込んだという。外国人観光客向けのホテルなどではキャンセルが相次いでいる。

◎インド同時テロ:大祭を前に、一瞬でせい惨な現場に(2005年10月30日、毎日新聞)
 【イスラマバード西尾英之】「爆弾だ。警察に届けよう」−−。混雑した商店街に残された黒い不審なカバン。中を開いた店員が叫んだ途端にカバンは爆発し、店員は全身を吹き飛ばされた。29日、インドの首都ニューデリーで起きた連続爆破テロ事件。年に1度の大祭を前に商店街は1年で最も込み合う季節。家族連れでごった返した通りは一瞬でせい惨な現場へと変わった。
 43人の死亡が確認されたサロジニナガルの商店街。30日朝、爆発があった地点から10軒ほど離れた場所でタオル店を営むラームさん(45)が、毎日新聞助手に事件当時の状況を生々しく語った。
 29日午後6時(日本時間同9時半)ごろ、揚げ物店の店員が店先に黒いカバンがあるのを見つけた。カバンは重く、不審に思った店員が開けたところ、中には圧力鍋と電気配線のようなケーブルが見えた。
 「爆弾だ」。店員が叫び、周囲の買い物客らが一斉に逃げ出した瞬間に爆発が起きた。衝撃で現場付近にあったプロパンガスボンベに次々に引火し、商店街は火に包まれた。「時限装置か、持ち上げたら爆破する仕掛けかは分からないが、あと5分早く見つけて避難させていれば、これほど犠牲者は出なかった」。ラームさんは悔やんだ。
 一方、サロジニナガルから8キロほど離れたオカラ地区ではこれより10分ほど前、走行中のバスで同様の黒いカバンが見つかった。不審に思った車掌が乗客を降ろしてカバンを車外へ放り出した直後に爆発。運転手と車掌が重体となった。
 今回の連続爆破の特徴は、外国人や上流階級といった特定階層を狙ったものではない無差別テロという点だ。ニューデリー駅前にあるパハルガンジの繁華街は安い商店やホテルが密集し、庶民や予算が少ない外国人旅行者が集まるエリア。サロジニナガルは日本などの大使館が集まる地域からも近く、中流階級以上のショッピングゾーンだ。
 犯行にかかわった可能性が指摘されている「ラシュカレトイバ」はカシミール地方のインドからの分離独立を求めるイスラム教過激派。パキスタン側カシミールに拠点を置きインド側に潜入。インド軍やインド寄りとみられる住民に対するテロを続けてきた。01年12月にはインド国会襲撃事件を起こし、印パ緊張激化のきっかけを作った。
 翌年春からの両国緊張緩和でカシミール問題解決へ向けた機運が高まり、同組織などの武装組織は孤立感を深めている。カシミールを直撃したパキスタン地震でさらに両国の協力進展の可能性が高まっていることに反発を強め、両国関係に冷や水を浴びせるために犯行に及んだ可能性はある。

◎死者61人に、ニューデリー爆発、22人を拘束(2005年10月30日、朝日新聞)
 ニューデリーで29日に起きた連続爆発事件は30日までに死者は61人、負傷者は200人近くにのぼった。現地の警察は22人を拘束し、治安当局はイスラム過激派がかかわった疑いもあるとして調べている。爆発があった3カ所だけでなく、ニューデリー旧市街にも爆弾が仕掛けられており、大がかりなテロを企てていた可能性があるという。
 新たに発見された爆弾は旧市街のチャンディチョークにあった。警察が処理して爆発を防いだという。インド政府は「テロ攻撃」と断定しているが、「犯人の背後関係を指摘する段階ではない」(パティル内相)としている。治安当局者の見方を一斉に伝えたインドのメディアは30日、パキスタンに拠点があるイスラム過激派「ラシュカレトイバ(高潔な軍隊)」の犯行の可能性を指摘した。
 インドとパキスタンはこのところ急速に緊張を解き、領有権を争っているカシミール地方でも相互交流を始めるなど、関係改善がめだつ。それを嫌う過激派がテロを本格化させており、両国の関係を再び不安定にさせようとしている、との見方もある。
 30日はカシミール地方で活動する「インキラブ(革命)」という過激派グループが犯行声明を出した。ほとんど知られていない組織だが、同地方での両国の協力を阻もうとした可能性が指摘されている。事件があった29日、両国政府はパキスタン北部地震の被災者を救援するため、カシミール地方での協力を話し合う初の公式協議をしていた。

◎インド同時テロ50人死亡、市場など3カ所爆発(2005年10月30日、産経新聞)
 インドの首都ニューデリーの中心部などにある市場2カ所とバスの近くで29日午後5時40分(日本時間同9時10分)ごろ、ほぼ同時に爆弾を使ったとみられるテロがあった。PTI通信によると、50人が死亡、少なくとも70人が病院に搬送された。死者はさらに増える恐れがある。ニューデリーの日本大使館によると、同日夜の段階で日本人が被害に遭ったとの情報はない。
 インドのシン首相はテロと断定した。治安当局は、ラシュカレトイバなどカシミールの分離独立を求めパキスタンなどを拠点に活動するイスラム過激派の犯行の可能性があるとみて捜査を開始。昨年来、対話路線が定着しつつあった両国関係に悪影響を与えることは確実だ。
 両国政府は同日、パキスタン地震の被災者救援のため、パキスタンのイスラマバードで外務省局長級協議を開き、カシミール地方を分断する実効支配線(停戦ライン)を挟んだ越境救援を協議していた。
 最初の爆発は、中心部コンノートプレイスの北に隣接するパハルガンジ市場で起きた。その数分後、南部のサロジニナガル市場、南東部ゴビンドプリで爆発が続いた。最初の爆発は市場に駐車したバイクかオート三輪に仕掛けられたとみられ、3カ所目の爆発はバスの近くで起きた。治安当局は高性能爆薬RDX(ヘキソーゲン)が使われたとみている。
 PTI通信は、テロに関連して治安当局が市内の駅などで10人を拘束したと報じた。
 市場は土曜日の夕方だったことに加え、ヒンズー教の重要な祭り「ディワリ」を数日後に控え、女性を中心に多くの客が巻き込まれた。パハルガンジ市場付近には、安価なホテルも集中しており、外国人旅行客もいた可能性がある。治安当局は現場一帯の道路を封鎖。警察は緊急事態を宣言し、すべての市場を閉鎖した。
 ニューデリーでは2001年12月、国会議事堂でイスラム過激派が銃を発砲し、十数人が死亡。インドは当時、イスラム過激派の犯行と主張しパキスタンを批判。両国関係が急速に悪化した。
 混乱の中で逃げ惑う女性や子供。ひどいやけどを負った人を警官が運び出す。インドの首都ニューデリーで29日夕、ほぼ同時に発生した爆弾テロは、ヒンズー教の大きな祭り「ディワリ」を控えにぎわう市場に繰り出していた多数の買い物客らを襲った。
 「大勢の人々が逃げ惑っていた」。最初の爆発が起きた中心部パハルガンジ市場。現場から約20メートルの場所で商店を営む男性は、地元メディアに興奮気味に話した。別の商店経営の男性は「すぐ後ろにいた息子が頭にけがをしたが、最初は煙でどこにいるかも分からなかった」と振り返った。
 南部サロジニナガルの市場では、爆発の直後に発生した火災でも死傷者が。商店主の1人は「市場は少しも身動きが取れないほど込み合っていた。目の前で10人があっという間に死んでしまった」とぼうぜんとした様子。
 病院に到着した救急車から次々とけが人が運び出される。担架に乗せられた若い女性はぐったりとして、目もうつろだ。別の少女は恐怖のあまり表情がこわばっている。
 無残に崩れ落ちた建物の壁、黒焦げになったバイクが爆発の威力を物語る。商店内部の鉄骨もぐちゃぐちゃだ。現場周辺には多数の警官が出動して厳戒態勢を敷き、日が暮れた後も救助作業が続いた。(共同)

◎停戦ライン開放、印パ合意、地震被災地越境救援(2005年10月30日、産経新聞)
 インド、パキスタン両国政府は30日未明(日本時間同日午前)、イスラマバードでの局長級協議で、パキスタン地震で被害が集中したカシミール地方での救援活動のため、実効支配線(停戦ライン)の5カ所の地点を開放し、双方のカシミール住民の越境を認めることで合意した。
 両国が領有権を争う同地方で停戦ラインにより分断されている家族が面会、救援物資の提供を受け渡しすることが可能になり、両国の和平機運が高まりそうだ。
 しかし29日にニューデリーで発生した同時テロではパキスタンを拠点とするイスラム過激派の関与が指摘されており、両国関係がこれで一気に好転するとまでいうのは難しそうだ。
 パキスタン外務省が発表した共同声明によると、両国はチャコティ(パキスタン)−ウリ(インド)など5つの往来ルートを設定。分断状態の家族を優先し、11月7日から越境を可能とする。救援物資は停戦ラインの往来地点5カ所でのみ州政府当局が受け渡しできるようにする。
 停戦ライン開放をめぐっては、インド側がパキスタンからイスラム過激派の侵入を警戒、パキスタン側が提案した住民の自由な往来に難色を示していたが、最終的に合意した。
 今回の協議は、パキスタンのムシャラフ大統領が18日、停戦ラインを越えてインド側住民を受け入れると表明したことがきっかけで、29日から行われていた。(共同)

◎日立、インドに受託事業の拠点を開設へ(2005年10月30日、日本経済新聞)
 日立製作所はインドにソフトウエア開発や保守サービスなど受託事業(アウトソーシング)の拠点を開設する。現地の情報技術(IT)企業と提携、2年後には1000人規模の技術者を確保し、欧米の客先に派遣する。受託事業を海外戦略の柱の一つと位置づけ、2007年までに情報・通信分野売上高の4割を海外で稼ぐ方針だ。
 インドのIT大手、サティアム(セコンダラバード市)と、米国に本社を置くインド系企業のインテリグループ(ニュージャージー州)と業務提携した。両社の事業拠点であるバンガロールとハイデラバードの2カ所に日立がオフィスを開設、当初200人程度の技術者を集める。

◎インド首都で連続爆発、50人が死亡・不審者10人拘束(2005年10月30日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インドの首都ニューデリー市内3カ所で29日夕、同時爆弾テロが発生した。地元通信社などによると、爆発はいずれも主要商店街で起き、少なくとも50人が死亡、70人以上が負傷した。商店街は11月1日のヒンズー教最大の祭礼行事を控えて買い物客らでにぎわっており、死傷者数はさらに増える可能性がある。シン首相は爆発はテロとの声明を発表し、犯行を強く非難した。
 ニューデリーの日本大使館などには日本人の被害者の情報は入っていない。地元報道では治安当局が不審者約10人を拘束し、テロとの関連を調査している。最初の爆発は29日午後5時半(日本時間同日午後9時)過ぎ、バックパッカー向けの安宿や商店などが密集する国鉄ニューデリー駅近くのパハールガンジ・マーケットで起きた。目撃した現場近くの旅行会社社員は「犠牲者はここだけで50人を超えるのではないか」と話した。
 午後6時過ぎにはデリー南部のサロジニ・ナガール、南東部のゴビンドプーリの計2カ所でも爆発が発生。いずれも商店や飲食店など数百軒がひしめき、ヒンズー教の年末年始にあたる祭り「ディワリ」の贈り物などを探して多くの買い物客が詰めかけていた。
 地元テレビニュース局NDTVは「少なくとも1カ所で強力なプラスチック爆弾が使われた」と伝えた。
 犯行声明などは出ていないが、インドとパキスタンは同日、イスラマバードで、カシミール地方の大地震被災者救援のため、停戦ライン開放を巡る協議を開始し、関係改善に動いていた。「印パ関係改善の妨害を狙ったイスラム過激派などの犯行」との見方がある。
 ただ、11月4日にはイスラム教徒で重要なラマダン(断食月)明けの大祭も控えている。爆発は一般市民を狙った無差別テロ。被害者はイスラム教徒らも含まれているもようで、犯行の狙いは不透明だ。

◎インド同時テロ:関与の疑いで10人拘束、死者は65人に(2005年10月30日、毎日新聞)
 ニューデリーの同時爆弾テロで、インド治安当局は29日夜までに、爆発現場に近いニューデリー駅など数カ所で、テロに関与した疑いで少なくとも10人を拘束、イスラム過激派などテロ組織と関連がないか本格的な取り調べを始めた。治安当局は首都を中心に主要施設、交通機関などで厳戒態勢を敷いている。
 PTI通信によると、30日までに警察当局が確認した死者は55人、負傷者は155人。インドの民放NDTVは少なくとも65人と死亡したと報じた。重体者も複数おり死者数は増える恐れがある。また負傷者には外国人も含まれているもようだが、日本人が被害にあったとの情報はない。
 政府は29日夜、パティル内相らによる危機管理グループの緊急会議を招集、首都警備の強化や遺族への見舞金拠出を決めた。会議後、内相は「どのグループが犯行にかかわったか現段階では言えない」と述べた。
 PTI通信は、最初の爆発があったパハルガンジ市場では爆弾が仕掛けられたとの情報に基づき警察当局が爆弾を捜索中だったと報じた。同通信は外国人の1遺体を見たとの目撃者の話を伝えたが、警察当局は確認していない。サロジニナガル市場ではガスボンベの販売店近くで爆弾が爆発したため、ガスボンベに次々に引火して爆発、被害が拡大した。(ニューデリー共同)

◎インド:連続爆発事件、買い物客でにぎわう商店街を直撃(2005年10月30日、毎日新聞)
 【イスラマバード西尾英之】飛び散ったガラス片。散乱する子供や女性の靴。29日夕、インドの首都ニューデリーで起きた連続爆発事件は、ヒンズー教とイスラム教の大祭前の買い物客でにぎわう商店街を直撃した。犯人像は現時点では不明だが、パキスタンとインドの緊張緩和に反感を持つカシミールのイスラム系武装組織や、ヒンズー教徒とイスラム教徒の対立をあおる両宗教の過激派などの可能性がある。
 最初に爆発が起きたとみられるニューデリー駅前の繁華街パハルガンジの現場に入った毎日新聞助手によると、爆発物は薬局の店先に駐車していたスクーターに仕掛けてあったという。
 11月上旬にほぼ同時に訪れるヒンズー教の「ディワリ」とイスラム教の「イード」という大祭を前に、繁華街は1年でも最も込み合う時期。さらに夕方の買い物客のピークだった。爆発時、約200メートル離れた路上にいた男性(25)は「大きな爆発音がして付近がほこりで真っ白になった。買い物客の女性や子供たちが何人も倒れており、必死に救急車に運んだ」と興奮して語った。
 今回の事件は首都の中心部で起きたが、外国人が集まるホテルなどを狙ったものではなく、各国で相次いでいるアルカイダなど国際テロ組織の直接の関与の可能性は低いとみられる。
 カシミールの分離独立をめざすイスラム武装組織は01年12月にインド国会襲撃事件を起こし、印パ緊張激化のきっかけを作った。その後も03年のムンバイでの爆破事件に関与。一方で同年春からの両国緊張緩和でカシミール問題解決へ向けた機運が高まり、武装組織は孤立感を深めている。カシミールを直撃したパキスタン地震でさらに両国協力伸展の可能性が高まっていることに反発を強め、両国関係に冷水を浴びせるために犯行に出た可能性はある。
 また、92年にニューデリーで起きたイスラム武装組織によるテロ事件容疑者の判決が31日に予定されており、現地メディアはこれを妨害する狙いとの見方も伝えている。
 一方、いまはヒンズー教徒、イスラム教徒ともに大祭を前に1年で最も宗教心が高まる季節。首都でこの時期にテロ事件が起きれば、両教徒ともに自分の宗教が狙われたと感じ相手に対する反感を募らす。このため、両宗教の対立をあおるどちらかの過激派が、この時期を選んで犯行に出たとの見方もある。

◎インド:ニューデリーで爆発、51人死亡、連続爆破テロか(2005年10月29日、毎日新聞)
 【イスラマバード西尾英之】インドの首都ニューデリー中心部の商店街など計3カ所で29日夕、大規模な爆発が4回、相次いだ。政府高官らによると少なくとも51人が死亡、60人以上が負傷した。現場は、イスラム教やヒンズー教の宗教的行事を前にした買い物客でにぎわっていた。死傷者はさらに拡大する可能性が高い。警察当局は市民らを狙った連続爆弾テロとみて捜査を始めた。
 現地の日本大使館によると、日本人が巻き込まれたという情報はない。シン首相は「インドはテロと断固戦う」との声明を発表し、連続テロとの見方を示した。
 最初の爆発は午後5時半(日本時間同9時)ごろ、ニューデリー駅前のホテルや商店が密集したパハルガンジ地区であり、商店の柱や路上のバイクなどが吹き飛んだ。その数分後、サロジニナガル地区の市場でも爆発があり、さらに別の市場で爆発が2回起きた。地元テレビによると、サロジニナガル地区では、少なくとも39人の死亡が確認された。
 インドでは、11月上旬のヒンズー教の「ディワリ」とイスラム教の断食月(ラマダン)明けの「イード」の両大祭を前に、現場は多くの買い物客などでごったがえしていた。
 インドでは03年8月、西部の都市ムンバイでイスラム武装組織による爆破テロ事件があり52人が死亡するなど、テロ事件が相次いでいる。
 10月8日のパキスタン地震では、インド、パキスタン両国が領有を争うカシミール地方が大きな被害を受けた。被災者支援で両国が協力姿勢を示したことに、イスラム武装組織は反発を強めている。29日にはイスラマバードでパキスタン地震支援協力をめぐり両国政府の会合が持たれていた。

◎列車が脱線し川に、死者100人、さらに拡大か、インド(2005年10月30日、朝日新聞)


 インド南部アンドラプラデシュ州で29日早朝、走行中の旅客列車が脱線し、一部が線路わきの川に転落した。PTI通信によると、少なくとも100人が死亡。川に落ちた車両にはまだ乗客が閉じこめられており、ロイター通信は地元当局者の話として、死者が150人に達する可能性があると伝えている。
 事故が起きたのは州都ハイデラバードの東約80キロ。14両中8両が脱線し、うち5両が川に落ちたという。転落した車両にはそれぞれ数十人の乗客が乗っている模様。同地域は集中豪雨が続き、事故当時線路が冠水していたとの情報がある。
 鉄道省は軍に救援を要請したが、雨で道路も水につかっており、救助作業が難航している。



◎みずほコーポレート銀、インド事業を大幅強化へ(2005年10月23日、読売新聞)
 みずほコーポレート銀行は22日、インドの政府系開発金融会社IDFCが運営する社会基盤開発向けファンドに約35億円を出資し、インド事業を大幅強化する方針を明らかにした。
 インド政府は、社会基盤の開発を急ぐため、国内外から同ファンドへ総額450億円程度の資金を募っており、みずほコーポレート銀は最大の出資者となる。みずほコーポレート銀は、出資を通じてインド国内での事業のノウハウを蓄積し、急成長が見込まれる同国市場での競争力を高めたい考えだ。
 インド経済は電力や道路、港湾など社会基盤の老朽化や不足が著しく、社会基盤の整備促進が今後の成長に向けての課題となっている。
 みずほコーポレート銀はファンドを通じて社会基盤開発を手がける企業に投資し、配当や値上がりした株式の売却益のほか、開発企業への融資拡大に期待を寄せる。
 ファンドには当初、インド国内外の金融機関計10社程度が出資するが、みずほコーポ銀は海外投資家として唯一、事業への投資の可否を判断する投資委員会のメンバーに加わる。

◎パキスタン地震:死者数5万1300人に、軍少将(2005年10月21日、毎日新聞)
 【イスラマバード山科武司】パキスタン軍のアフマド・ハーン少将は21日、地震で確認された死者数は5万1300人に達したと発表した。前日発表より1500人近く増えた。インドでの死者数は約1300人で、両国あわせての死者数は約5万2600人に達した。

◎米シスコ、インドで11億ドル投資・研究開発やリースを強化(2005年10月20日、日本経済新聞)
 【シリコンバレー=村山恵一】ネットワーク機器最大手、米シスコシステムズは19日、インドでの研究開発やリース事業拡大のため今後3年間に11億ドル(約1270億円)を投資すると発表した。同国政府が進める電子政府計画にも協力する。規制緩和などで成長が見込める通信機器市場の開拓を加速する。
 投資の内訳は、研究開発に7億5000万ドル、機器販売を促すリースなど金融事業に1億5000万ドル、ベンチャー企業支援に1億ドルなど。電子政府に関連し国営電話会社が手がける通信網整備などにも投資する。「インド企業は国際競争に備え、IT(情報技術)投資を重視している」(ジョン・チェンバース社長)とみて需要拡大に対応する。
 シスコはインドに研究開発拠点などを持ち、1400人を雇用している。国別の売上高は明らかにしていないが、インドでの5〜7月期の製品受注は前年同期比75%増えたという。

◎米国務次官:米インド関係、「歴史的かつ戦略的な転換」(2005年10月19日、毎日新聞)
 【ワシントン笠原敏彦】バーンズ米国務次官は18日、ニューヨークでインド政策の基調講演を行い、米国が今年7月に核拡散防止条約(NPT)未加盟の核保有国インドと民生用原発の技術供与で合意したことについて、「国際社会の利益」につながると指摘した。また、安全保障や経済など各分野で急接近する米インド関係の現状を「歴史的かつ戦略的な転換」と位置づけた。
 原発技術供与は7月に両国の首脳会談で合意された。この合意には、北朝鮮やイランの「核の平和利用」に厳しい姿勢を取るブッシュ政権の二重基準だとの批判が出ている。
 バーンズ次官はこうした批判に反論。今回の合意により、▽インドが初めて国際原子力機関(IAEA)の抜き打ち査察など国際的な不拡散体制の義務を受け入れる▽人口大国インドの原発開発が促進されることでエネルギー市場の負担が軽減される−−などの利点を強調した。
 バーンズ次官は、インドが先のIAEA理事会でイラン核開発疑惑の国連安保理付託の可能性に言及する決議に賛成したことを称賛した上で、「インドは核物質や核技術の不拡散に強く関与している。(合意により)インドの孤立を終わらせることは国際社会の利益である」と訴えた。
 米国が実際に原発技術をインドに輸出するには議会での関連法改正などが必要。バーンズ次官は、06年初めに予定されるブッシュ大統領のインド訪問までに合意履行への一連の手続きを完了させたい意向を表明した。

◎インド軍ヘリ提供は決裂、パキスタン地震(2005年10月18日、産経新聞)
 パキスタン地震で最大の被害を受けた同国アザド・カシミール特別州での救援活動をめぐり、同国はカシミール地方の領有権を争うインドから軍用ヘリコプター提供の申し入れを受けたものの、協議は18日までに決裂した。
 カシミール地方は、パキスタンの同州とインドのジャム・カシミール州に実効支配線(停戦ライン)で分断されている。パキスタン側の被災地は、土砂崩れなどで道路が寸断され、ヘリでしかたどり着けない場所があり、「ヘリがあればあるだけ助かる状況」(政府当局者)。日本の自衛隊や米軍などのヘリは受け入れた。
 インドは停戦ライン上に設定された飛行禁止空域をパキスタン軍のヘリが飛行することを原則許可。さらにインド軍ヘリの提供も申し入れた。これに対しパキスタン側は17日、「(インド軍の)パイロットと要員なしの、ヘリ機体だけなら受け入れる」と回答した。
 このためインドのサラン外務次官は「軍のヘリを要員なしで提供するのは不可能」と述べ、ヘリ提供の断念を発表した。(共同)

◎インド:州政府の教育相ら3人殺害、武装グループ(2005年10月18日、毎日新聞)
 【イスラマバード支局】ロイター通信によると、インドのジャム・カシミール州スリナガルで18日、同州政府の教育相宅が武装グループの襲撃を受け、教育相ら3人が殺害され、3人が負傷した。武装グループの1人も警官に射殺された。パキスタン側カシミール地方に拠点を置くイスラム武装組織「イスラム戦線」が地元報道機関に犯行を認める声明を出した。
 警察の調べでは、武装グループは同日朝、教育相宅の壁をのぼって侵入し、教育相を銃撃。さら手りゅう弾で警備の警官2人を殺害した。
 カシミールのイスラム武装勢力には、地震の被災者救援活動などによって、印パ間の関係改善がさらに進むことを妨げる狙いがあるとみられる。

◎米とインドが科学技術協定調印、知的財産権盛り込む(2005年10月18日、朝日新聞)
 米国のライス国務長官とインドのシバル科学技術相は17日、ワシントンで両国間の包括的な科学技術協定に調印した。知的財産権の取り扱いに関する取り決めが盛り込まれており、協定締結により共同研究など科学技術協力の進展が見込まれるという。
 シバル科学技術相は記者団に対し、「生命科学、自然災害、エネルギーなどの分野での協力を進めたいと考えている」と述べた。米印両国は93年にも同様の協定締結を目指したが、当時は知的財産権をめぐる合意ができなかった。
 米印はこのところ急速に結びつきを強めており、7月の首脳会談ではブッシュ大統領が原子力の分野も含めた協力の推進を表明。イランの核問題では、9月の国際原子力機関(IAEA)理事会で米国が後押しする対イラン非難決議案にインドが土壇場で賛成に回り、米国を喜ばせた。

◎インド、パキスタンに援助物資(2005年10月12日、産経新聞)
 インド政府は12日、地震で被災したパキスタンに対する緊急人道支援物資をインド空軍機で空路イスラマバードに輸送した。PTI通信によると、インドの救援目的の航空機がパキスタンに乗り入れるのは1971年以来。
 物資はテント50張、毛布1万5000枚のほか、プラスチックシート、マットレス、食料や医薬品などで計約25トン。
 パキスタンは、両国が領有権を争うカシミールの実効支配線(停戦ライン)を越えての支援については、今のところ受け入れを拒否している。(共同)

◎パキスタン地震、死者1万9000人超・被害さらに拡大も(2005年10月10日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】パキスタン北東部で8日朝発生した大地震は、捜索活動の進展とともに各地の被害状況が判明。同国のシェルパオ内相は9日、1万9000人以上が死亡、約4万2000人が負傷したと述べた。インド側カシミール地方でも約600人以上が死亡。全体の犠牲者は3万人を超えるとの見方もでている。
 パキスタン内務省によると同国カシミール地方では、震源に近いムザファラバード、ラワラコットなどを中心に約1万7400人の死亡を確認。隣接する北西辺境州のバラコットでは授業中の学校2棟が倒壊し、生き埋めとなった児童ら約850人が絶望視されている。
 遠隔地の村や町では電話回線や道路が寸断され、被害状況の把握は遅れているが、軍報道官は「多くの村が壊滅状態」としている。地元アザド・カシミール州幹部は死者数が3万人以上に達する可能性があると語った。
 インド側カシミール地方では、停戦ラインに近接するウリで、駐留兵士約40人を含む200人以上が死亡。バラムーラ、クプワラなどでも数百人が行方不明になっている。

◎インド:急行列車が脱線し10人死亡、150人以上が負傷(2005年10月3日、毎日新聞)
 インドの民放テレビNDTVによると、同国中部マディヤプラデシュ州で3日、急行列車が脱線し少なくとも10人が死亡、150人以上が負傷した。
 列車は北部ウッタルプラデシュ州バラナシからマディヤプラデシュ州グワリオルに向かっており、前部の6両が脱線したもよう。原因などは分かっていない。(ニューデリー共同)

◎OBARA、インドで合弁・工場建設、保守や消耗品製造も(2005年9月27日、日本経済新聞)
 自動車製造用の抵抗溶接装置大手のOBARAは年内にインドで合弁会社を設立する。インドには内外の自動車メーカー15社が進出し、自動車生産台数が急増している。2年後をメドに工場を建設し、装置販売に加え保守点検や消耗品の製造も手がけ、インド向け売上高を2005年9月期の推定2億円から5年後をメドに10億円に引き上げる。
 12月までにインド南西部の都市、プネーに現地法人を設立する。資本金は250万円で、9割以上をOBARAが出資し、残りを現地採用の役員が出資する。役員2人と従業員7人の体制でスタートする。

◎サイクロン被害、インド、バングラデシュで56人死亡(2005年9月22日、朝日新聞)
 ベンガル湾で発生したサイクロンによる豪雨と高潮で、21日までにインド南部やバングラデシュ沿岸で多数が死亡し、行方不明になった。
 インドのアンドラプラデシュ州では40人が犠牲になり、行方不明は約1000人とロイター通信は伝えた。AP通信によると、バングラデシュでは「16人が死亡、約3000人が行方不明」と地元メディアが報道した。
 19日からの豪雨で、アンドラプラデシュ州ではゴダバリ川とクリシュナ川の河口近くの低地で洪水が起きた。バングラデシュでは高潮で多くの漁船が転覆した模様だ。家の倒壊や浸水で避難した住民は両国で数万人にのぼるとみられる。
 これまで同地域では9月から10月にかけて、サイクロンで数百人単位の死者が出ている。

◎10月に露印が軍事演習、インド国内で実施へ(2005年9月16日、産経新聞)
 インタファクス通信によると、ロシア空挺(くうてい)部隊当局者は16日、ロシアとインドの合同軍事演習を10月10日から19日にインド国内で実施することを明らかにした。
 ロシアは8月に中国と大規模軍事演習を実施したばかり。中国とインドはロシアにとって武器の主要輸出国で、3国の軍事協力に米国が警戒を強めそうだ。
 当局者によると、演習にはロシア軍から120人以上が参加し、パラシュートの降下訓練などを行う。イリューシン76輸送機や装甲車両のほか、両国の海軍も参加する予定。(共同)

◎日本脳炎:インド北部で流行、死者600人以上に(2005年9月11日、毎日新聞)
 【イスラマバード支局】インド北部ウッタルプラデシュ州で日本脳炎が流行し、ロイター通信によると8日までに600人以上の死者が確認された。大部分は子供といわれ、子供に対する予防接種が完全に行われていないことが流行の大きな原因とされている。
 流行は7月下旬、同州東部から始まり、州都ラクノーに広がりつつあり、死者数も1000人を超える可能性もある。

◎インド北部で日本脳炎流行、500人以上の死亡確認(2005年9月8日、毎日新聞)
 【ニューデリー=林英彰】インド北部ウッタルプラデシュ州で日本脳炎が流行しており、7日までに514人の死亡が確認された。
 犠牲者はほぼ全員が子供で、ほかに2000人以上が入院している。多くは貧困層に属する。
 病気は7月下旬に同州東部ではやり始め、現在は同州70地区のうち25地区に拡大。確認作業が行われていない村もあり、州当局は死者が1000人を超えているとみている。同州と国境を接するネパールでも、これまでに400人以上の死亡が確認された。
 インドやネパールでは、子供に対する予防接種が徹底されておらず、被害拡大につながっている模様だ。

◎ホンダ、インドで二輪車生産増強・北部に新工場(2005年9月7日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=堀田隆文】ホンダは2010年にもインドでの二輪車の年間生産能力を05年の1.4倍にあたる550万台以上に引き上げる。現地企業との合弁会社、ヒーローホンダ(ニューデリー市)がインド北部で最大生産能力が年約180万台の新工場を06年に稼働させる。インドの二輪車需要は急拡大しており、同国シェア1位のホンダは生産体制の拡充で対応する。
 ホンダはインド二輪車市場で約50%のシェアを握る。二輪車生産では世界最大の年間330万台の生産能力を持つヒーローホンダ(ホンダ出資は26%)のほか、全額出資のホンダ・モーターサイクル・アンド・スクーター・インディア(ハリアナ州・年産能力約60万台)で生産している。

◎コマツ、インドに鉱山機械新工場・米キャタピラーに対抗(2005年9月3日、日本経済新聞)
 コマツはインドに鉱山機械の新工場を建設する。鉄鉱石運搬に使う大型ダンプトラックを生産する計画で、来秋の稼働を目指す。インドでは都市インフラの整備に伴い鋼材需要が急拡大しており、豊富な鉱山資源の開発も進みつつある。現地工場建設を機にインド市場開拓を本格化。外資企業で唯一、鉱山機械の現地工場を持つ米キャタピラーに対抗する。
 新工場はインドの東海岸沿いにあるチェンナイに建設する。エンジンや油圧機器など基幹部品は日本から供給するため、港に近い地域を選んだ。積載重量が70〜90トンのダンプトラックを年40〜50台生産する計画で、投資額など詳細は年内に決める。

◎新日鉄、インド鉄鋼大手の製鉄所建設に協力(2005年9月1日、日本経済新聞)
 新日本製鉄はインド鉄鋼大手、タタ製鉄がインド・オリッサ州で進める一貫製鉄所計画で技術協力する。タタ製鉄は年産600万トンの高炉からの一貫製鉄所建設に向け準備中。道路を含めた製鉄所全体の配置と生産品目の選定、主要な生産設備の構成など、製鉄所の基本構想を策定するうえで必要な協力をする。
 タタ製鉄はインド最大の民間鉄鋼会社で、2004年度の粗鋼生産量は約400万トン。新日鉄は1973年から技術供与している。

◎インド:シン首相がアフガン訪問、パキスタンけん制も狙う(2005年8月28日、毎日新聞)
 【イスラマバード西尾英之】インドのシン首相は28日、同国首相としては29年ぶりのアフガニスタン訪問のためカブールに到着した。シン首相はカルザイ・アフガン大統領らと会談し、アフガン復興に向けた5000万ドルの新たな経済支援を約束する。インドはエネルギー政策上も中央アジアにつながるアフガンを重視しており、両国関係の緊密化を改めて確認する見込みだ。
 アフガンはソ連軍侵攻の79年以降、イスラム武装勢力を支援するパキスタンとの関係を強め、インドとは疎遠になった。しかし01年の米軍による攻撃でタリバン政権が崩壊し、パキスタンのアフガンに対する影響力が低下した。
 カルザイ新政権はインドと近かった反タリバンの北部同盟系が主体で、カルザイ氏自身もインドで教育を受けるなど親インド的な色合いが濃い。インドは01年以降、カルザイ政権に対し5億ドルの復興支援資金を供与。警官や政府軍兵士の訓練、学校再建など幅広い分野でアフガン復興にかかわってきた。
 インドにとって、アフガンは戦略的な重要性を持つ。将来的には天然資源が豊富な中央アジアからアフガンを経由してインドに至る石油や天然ガスのパイプライン建設を視野に入れているほか、インドとの対抗上アフガンへの影響力強化を図ってきたパキスタンをけん制する狙いもある。
 しかしアフガンとインドの緊密化は、カルザイ政権と隣国パキスタンとの間の潜在的緊張をさらに高め、地域の不安定要因となる面もある。

◎インドに世界最大級の製鉄所、タタ、1兆4300億円を投資(2005年8月26日、フジ産経ビジネスI)
 インド鉄鋼2位のタタ・スチールは24日、同国西部に粗鋼生産で年間1000万トン規模の製鉄所を建設すると発表した。完成すれば日本のJFE西日本製鉄所の福山地区(1045万トン)などと並ぶ世界最大級の製鉄所となる。
 ブルームバーグなどによると、投資総額は130億ドル(約1兆4300億円)。インド最大の鉄鉱石埋蔵地域であるジャルカンド州内で建設地を選定し、4年以内の完成を目指す。完成後、4年間は年産500万トンで操業。その後フル生産に移すという。
 インドの鉄鋼需要は経済成長に伴い急増しており、現在の年間3000万トンから2012年ごろまでには倍増するとみられている。ジャルカンド州は鉄鉱石の採掘から製鉄まで一貫して行えるため、韓国の鉄鋼最大手ポスコなど海外メーカーの進出も相次いでいる。

◎マツダ、インドのトラック事業から事実上撤退(2005年8月25日、日本経済新聞)
 マツダがインドのトラック製造会社スワラジマツダの保有株式約15.6%を住友商事に売却したことが24日、明らかになった。住商は約41%を保有する筆頭株主となったもよう。マツダは事実上インドのトラック事業から撤退、同国では乗用車事業へ力点を移す。一方、住商はトラック事業を再構築する。
 スワラジマツダはマツダと住商、現地のトラックメーカーのパンジャブトラクターなどが共同で1985年に設立。マツダが日本から部品を輸出して中型トラック「タイタン」を生産していた。インドは2010年に排ガス規制を強化する予定だが、タイタンの新規制への適応が難しいことから、マツダは商用車事業を見直す。当面、部品の供給は継続する。

◎インド西部で4階建てビル崩壊、10人死亡(2005年8月23日、朝日新聞)
 インド西部のムンバイで23日、4階建ての住居ビルが突然崩壊し、ビル内にいた10人が死亡、約30人が負傷した。インドPTI通信などが伝えた。地元報道ではまだがれきの中に20〜30人が閉じこめられている可能性がある。
 ビル崩壊が起きたのはムンバイ南部のナグパダ地区。築100年近い古いビルで、約20世帯が住んでいたほか、複数の商店が入っていた。住人が眠っている未明に崩壊したため、被害が大きくなったと捜査当局はみている。
 ムンバイでは毎年雨期になると古い建築物の崩壊が起きている。今年の雨量はかつてなく多く、7月に洪水や土砂崩れでムンバイを中心にマハラシュトラ州で1000人以上が死亡した。

◎インド:日本脳炎で子ども79人死亡(2005年8月19日、毎日新聞)
 AP通信によると、インド北部ウッタルプラデシュ州で日本脳炎が流行し、18日までに子ども79人が死亡した。地元の保健当局者が明らかにした。
 州都ラクノーから約250キロのゴラクプルを中心に感染が広がっており、これまでに少なくとも子ども182人が入院し、うち100人以上の症状が重い。ほとんどが貧しい家庭の子どもで、衛生状態が悪い環境にいたとみられる。
 同州では毎年、日本脳炎により数十人が死亡しており、過去25年で計約3500人が死亡したと推計されている。(ニューデリー共同)

◎インドの乗用車販売台数、2カ月連続で前年割れ(2005年8月16日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】好調を維持していたインドの国内自動車販売台数が、6、7月と2カ月連続で前年同月実績を下回った。天候不順や付加価値税(VAT)導入による負担増、自動車ローンの金利上昇などによる買い控えが主な背景。業界では販売落ち込みは一時的と見ているが、原油価格の上昇でガソリンなどの再値上げ観測が強まるなど、不安要因は少なくない。
 インド自動車工業会が発表した7月の国内乗用車販売台数(多目的車などを除く)は約6万3000台と、前年同月比10.6%の減少。4〜7月の累計でも約26万台と、前年同期に比べわずか3%の微増にとどまった。昨年度(2004年4月〜05年3月)の販売台数は約82万台と、前年度に比べ17.8%の大幅増を記録していた。
 6月の雨不足で農業生産への不安が高まった上、マハラシュトラ州などインド西部を襲った洪水の影響で農村部の購買意欲が減退。新車購入者の80%以上が利用する自動車ローンの金利上昇も売り上げに響いた。

◎インドのタタ自動車、25万円乗用車を発売へ・07〜08年にも(2005年8月11日、日本経済新聞)
インド有力財閥タタ・グループ傘下のタタ自動車は2007〜08年にも1台10万ルピー(約25万円)の乗用車を発売する。ラタン・タタ会長が明らかにした。現在インドで販売している最も安い乗用車の半額程度で、大企業サラリーマンの平均年収を下回る。格安乗用車が売り出されれば、現在0.7%程度の自動車普及率が上昇する可能性がある。
 格安乗用車は排気量600cc前後となる見通し。タタは「国民車」と位置づけて開発を進めている。鉄鋼価格が上昇すればプラスチック部品を多用したり、各地の整備工場などに組み立てを委託することでコスト削減を目指す考え。
 昨年度(04年4月〜05年3月)約100万台を販売したインドの乗用車市場ではスズキの子会社マルチ・ウドヨグが50%近いシェアで首位。タタ自動車は韓国の現代自動車と激しい2位争いをしている。(ニューデリー=山田剛)

◎インドの鉱工業指数、6月11.7%上昇・10年ぶりの高い伸び(2005年8月13日、日本経済新聞)
 インド中央統計局が12日発表した6月の鉱工業生産指数(速報値、1993年度=100)は、212.5と前年同月比11.7%上昇し、約10年ぶりの高い伸び率を記録した。指数の約80%の比重を占める製造業の伸び率は同12.5%に達した。また4〜6月期でも前年同期比10.3%上昇した。
 業種別では、米国向け輸出の拡大などで繊維産業が同37.6%と大きく伸びたのをはじめ、基礎化学品が20.2%、飲料・タバコ関連が19.2%とそれぞれ大幅に上昇した。(ニューデリー支局)

◎インド、ホンダ子会社の労使紛争が決着・州首相が仲介(2005年7月31日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】ホンダの全額出資子会社ホンダ・モーターサイクル・アンド・スクーター・インディア(HMSI、本社ハリヤナ州グルガオン)の労使紛争は7月30日までに解雇された従業員の職場復帰や賃上げなどで双方が合意し、約2カ月ぶりに決着した。交渉を仲介した同州のフーダ首相が記者会見で明らかにした。
 同州首相によると、HMSIは抗議デモやストに参加した従業員に対する懲戒処分などは行わないことを確認。PTI通信によると同社の従業員代表は30日、「今後1年間は会社側に対し新たな要求は行わない」と語った。
 解雇処分の撤回などを求めたHMSI従業員らの抗議デモは25日、警官隊と激しく衝突し双方に140人以上の負傷者を出した。これに関連して、連立政権を支える共産党など左翼政党や野党は国会で事件を強く非難。州首相や警察幹部の辞任を要求していた。

◎列車爆発、7人死亡、インド北部(2005年7月29日、産経新聞)
 AP通信によると、インド北部ウッタルプラデシュ州のジャウンプル近郊で列車が爆発、同国鉄道当局者によると、少なくとも7人が死亡、約50人が負傷した。爆弾が爆発したとの情報もあるが、詳しい原因は不明。
 ニューデリーの日本大使館がインド鉄道当局に確認したところによると、爆発は一般車両で起きた。死傷者の身元は確認されていないが、乗客に外国人が含まれているとの情報はないという。
 ロイター通信によると、列車は東部パトナから首都ニューデリーに向かっていた。(共同)

◎ホンダ、インド二輪車工場の労働争議で生産落ち込み(2005年7月27日、日本経済新聞)
 ホンダのインドの二輪車生産拠点が、労働争議による生産落ち込みに揺れている。従業員の組合設立の要求に端を発した争議は5月末にストライキに突入。25日にはホンダ従業員などによるデモ行進も発生した。インドは中国に次ぐ世界2位の二輪車市場で、ホンダは約5割のシェアを持つ最大手。生産減が長引けば影響が大きくなる。
 労働争議が起こったのは全額出資の現地法人、ホンダ・モーターサイクル・アンド・スクーター・インディア(HMSI)。HMSIが生産ライン停止などの影響を与えた4人の従業員を解雇、50人を出社停止処分としたことに一部従業員が抗議し、ストライキに突入したもようだ。争議とデモの関連についてはホンダは「事実関係は調査中」としている。

◎インドのホンダ子会社工場で衝突・数百人負傷(2005年7月26日、日本経済新聞)
 【イスラマバード26日共同】AP通信によると、インドの首都ニューデリー近郊のグルガウンにあるホンダの全額出資子会社のオートバイ工場で26日までに、同僚の解雇に反発した従業員約1000人のデモ隊と警官隊が衝突。インド北部ハリヤナ州当局者は「警官を含め、数百人が負傷した」としている。
 ホンダ広報部は「詳しいことは分からないが、労働争議があり、解決するべく従業員代表と話し合いをしていると聞いている」とコメントした。
 同当局者は、従業員が警官隊に投石、警察車両に放火するなど暴徒化したため、警官隊が鎮圧に乗り出したとしている。従業員側は警官がデモ隊を殴打したため、衝突に発展したと主張した。
 工場では、1カ月前に4人の従業員が解雇された後、多くの従業員がストを行っているという。

◎ホンダ系社員と警官隊衝突、インド、数十人負傷(2005年7月26日、朝日新聞)
 インド北部の工業都市グルガオンで25日、ホンダ全額出資のホンダ・モーターサイクル・アンド・スクーター・インディア(HMSI)の従業員ら約1000人が警官隊と衝突し、少なくとも数十人が負傷、多数が拘束された。PTI通信などが報じた。
 同通信によると、HMSIでは先月から労働争議があり、約50人の従業員が停職になった。他の従業員らは25日、停職者の救済を求めてハリヤナ州政府のグルガオン事務所に詰めかけ、抗議行動として首都ニューデリーとグルガオンを結ぶ幹線道路を封鎖した。労働者の一部が警官隊に対して投石などを始めたため、衝突した。労働者は近くにあった車に放火するなどした。
 地元政府関係者はHMSI従業員65人が負傷したと語った。負傷者は約100人と報じるテレビ報道もある。グルガオンはニューデリーの南約30キロの新興工業都市。
 HMSIは1日約2000台のオートバイやスクーターを生産しているが、労働争議でこの1カ月間、生産台数が半減していたという。

◎丸紅、インドで繊維製品一貫生産・人民元改革受け拠点分散(2005年7月24日、日本経済新聞)
 丸紅はインドで繊維製品の一貫生産に乗り出す。稼働中の紡績工場に続き、2006年中に現地の紡織大手と合弁でシャツなど衣料品の縫製工場を建設、製品は欧米に輸出する。産業界では中国人民元の切り上げを受けて、中国事業を拡充しながら製造拠点の分散を進める動きがある。丸紅も中国に工場を持つが、今後インドの輸出競争力が相対的に高まると判断した。
 インド紡織大手バルドマン(ルディアナ市)と共同で、従業員1000人弱の縫製工場を2つ建設する。それぞれワイシャツなどの織物製品とニットなど編み物製品を月産30万着の規模で製造する。場所はムンバイとニューデリーの中間辺りを予定。資本金や出資比率など詳細は年内に詰める。香港や日本の縫製メーカーにも参加を呼び掛ける。

◎世界遺産タージマハル所有権、イスラム団体主張で波紋(2005年7月15日、朝日新聞)
 インドの世界遺産、タージマハルについて、同国のイスラム教団体「スンニ派ワクフ委員会」が13日に「わが組織に所有権がある」と宣言し、波紋を広げている。現在タージマハルを管理している政府考古局は法的に対抗するとしている。
 ワクフ委はイスラム教の宗教施設の管理団体で全州にスンニ、シーア両派の委員会がある。6月下旬、タージマハルがあるウッタルプラデシュ州に住むイスラム教徒の男性が、州高裁にスンニ派ワクフ委員会の所有権を認めるように請願を出した。高裁は、イスラム教施設の所有・管理がワクフ委の管轄のため、ワクフ委に請願内容の適否の検討を指示。ワクフ委は「タージマハルは金曜礼拝にも使用されており、敷地内のモスク、廟(びょう)はすべてワクフ委の所有物」との結論を出した。
 これに対し考古局は「タージマハルは古代遺跡保護法に基づいて1920年に中央政府のものになった。ワクフ委では十分な管理はできない」と法的に争う方針を表明した。
 一方、シーア派ワクフ委員会も「タージマハルはペルシャのシーア派建築家が建てた。シーア派ワクフ委にも所有権がある」と主張し出した。
 同州では5日にヒンドゥー、イスラム両教徒が聖地と主張するアヨディヤで、ヒンドゥー教徒に破壊されたモスク跡地に武装グループが突入、ヒンドゥー教祭壇を破壊しようとする事件が起きた。与党・国民会議派は「タージマハルは愛の象徴。敵対の象徴にしてはならない」と呼びかけた。
 タージマハルは17世紀にムガール帝国皇帝が愛する妃の死を悼んで建てた壮大な大理石廟。

◎機械大手がインド生産拡大、ファナックNC2倍に(2005年7月13日、日本経済新聞)
 大手機械メーカーがインドで相次ぎ事業を拡大する。ファナックは来年までに工作機械用の数値制御(NC)システムの現地生産を現在の2倍に引き上げ、コマツは建設機械を増産、横河電機はプラント制御システムの設計人員を増やす。自動車生産の増加やインフラ整備に伴い機械関連の需要が高まっており、各社ともインドを中国に続く重要市場と位置づけ生産体制の増強を急ぐ。
 ファナックはインド子会社、ファナックインディア(バンガロール)で工作機械に組み込むためのNCシステムを月間400台生産している。既存工場をフル活用し、年内に同600台、来年中に同800台に増やす。自動車や二輪車、部品メーカーの生産拡大によって、需要増は続くと見込む。

◎インド:ニューデリー中心部の地下鉄開業、通勤客らで混雑(2005年7月4日、毎日新聞)
 【ニューデリー西尾英之】ニューデリーで建設中の地下鉄網のうち、中心部の繁華街コンノート・プレイスや政府の官庁街に乗り入れる延伸区間が3日、開業し、4日朝、都心部の各駅が通勤客らで混雑した。
 デリー首都圏は約1400万人の人口を抱えながら公共交通機関は極めて貧弱。地下鉄網はこの抜本的改善策として日本からの円借款約1500億円を投入して建設中だ。ステンレス製の銀色の車体、全面空調の駅構内など、経済成長を続ける「輝くインド」のシンボル的存在になっている。
 デリー地下鉄は02年に最初の区間が開業。今回の延伸は北部から都心部への約7キロで、12月にも第1期工事区間約65キロが全面開業の見込みだ。市民は「安全な地下鉄が利用できれば、女性一人での外出もさらに容易になる。市民の意識も近代化していく」と話した。

◎インド:モスク跡地襲撃の武装グループ6人射殺(2005年7月6日、毎日新聞)
 【イスラマバード西尾英之】インド北部ウッタルプラデシュ州アヨドヤにあるモスク(イスラム礼拝堂)跡地を5日、武装グループが襲撃。治安部隊と銃撃戦になりグループの6人全員が射殺された。現場はイスラム教徒とヒンズー教徒の宗教抗争の舞台で、襲撃はイスラム過激派の可能性が強い。ヒンズー教徒によるイスラム教徒への報復も予想されるため、治安当局はインド全土で警戒を強めている。
 地元テレビの報道などによると、6人は手りゅう弾や自動小銃で武装。車で現場に乗りつけ突入を図った。車にとどまっていた運転手は治安当局に拘束された。
 現場には数百年前に当時のムガール帝国によって建設されたモスクがあったが、ヒンズー教至上主義グループはモスクがヒンズー教寺院を破壊して建設されたと主張。92年にヒンズー教徒数千人がモスクを破壊し、全国で2000人以上が死亡する大規模な宗教抗争に発展した。その後もヒンズー教徒がモスク跡地にヒンズー教寺院の建設を計画したことから、両教徒間の宗教対立の大きな原因になってきた。
 武装グループの身元は不明だが、両教徒間の対立をあおるイスラム過激派の可能性が強い。複数の人数で射殺を覚悟で突入を図る手口から、インドとの関係改善に反発するパキスタン国内に拠点を置くイスラム過激派の関連を指摘する見方も出ている。

◎インドの宗教抗争跡地に車突入、12人死傷(2005年7月6日、朝日新聞)
 インド北部ウッタルプラデシュ州のアヨディヤで5日、92年にヒンドゥー、イスラム宗教抗争で破壊されたモスク(イスラム教の礼拝所)跡地に爆発物を積んだ車が突入して爆発、武装グループ6人が自動小銃を乱射しながら、跡地内のヒンドゥー教祭壇に向かって侵入した。跡地を警備していた警官隊と銃撃戦になり、武装グループ全員が射殺された。4人の警官と近くにいた市民2人が負傷した。
 PTI通信は、犯行グループはカシミール地方でテロ活動を展開しているイスラム過激派ラシュカレトイバに属していた可能性があると報じている。インド政府は、この事件を引き金に宗教対立が全国に広がらないよう治安当局に対して宗教施設などを中心に警備強化を指示した。
 跡地にあったのはムガール帝国時代に建造されたモスク。内部にラーマ神像もあり、ヒンドゥー教徒はヒンドゥー教の聖地だと主張していた。92年、ヒンドゥー至上主義者が大挙してモスクを破壊。全国に両教徒間の衝突が広がり2000人以上が死亡したとされている。モスク破壊後は警察が一帯を厳重に警備し、持ち物検査などを受けた者だけに、破壊後も残ったラーマ神祭壇の参拝を認めていた。

◎円借款で都心部に地下鉄、ニューデリーで開通式(2005年7月3日、産経新聞)
 総工費の6割以上を担う日本の円借款約1630億円を使ってインドのデリー首都圏に建設中の地下鉄で2日、初めて都心部へ乗り入れる延伸区間が開通し、式典が行われた。
 約1400万人を抱えるニューデリーの中心部にある中央官庁、商店街と国鉄駅を結び、高成長を続けるインドの首都交通網の要となる。
 今回開通したのは計6キロ余り、乗車時間にして約13分の区間で、既に開通している北部の路線とつながった。
 駅構内は空調が完備された快適な空間。最低運賃は6ルピー(約15円)、最高で14ルピーでバス料金と同程度。式典招待客の1人は「日本の協力でようやく国際水準の都市交通ができた」と話した。
 デリー地下鉄の1期工事は計約63キロ(地下は13キロ)で、年内にもほぼ全線開通の見通し。インド政府は2期工事でも日本政府に円借款供与を申し入れている。(共同)

◎沖電気、インドのバンガロールに半導体の営業拠点(2005年6月26日、日本経済新聞)
 沖電気は7月1日、インドのバンガロール市に半導体の営業拠点を新設する。シンガポールにある現地法人の支店として位置付け、携帯電話や家電、自動車向け半導体で、顧客への提案営業を担う。2004年度に4億円程度だったインド国内での売り上げを07年度には3倍に高める。
 携帯電話用では着信メロディー半導体の仕様を変え、インドの伝統楽器の音色を出せるようにする。同国の半導体市場は年間1000億円程度。家電製品や自動車の製造拠点として成長しており、需要増が期待できる。

◎「インド市場に供給優先」韓国ポスコ会長、製鉄所建設で会見(2005年6月23日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インド・オリッサ州で年間粗鋼生産能力1200万トンの一貫製鉄所建設を表明した韓国・ポスコの李亀沢会長は23日ニューデリーで記者会見し、新たな製鉄所からの製品はまずインド国内市場向けを優先させ、その後に輸出も検討する方針を明らかにした。
 同会長は「インド産の鉄鉱石はアルミナ分が多いため、生産効率を上げるには輸入鉄鉱石とブレンドする必要がある」と指摘。輸入分と等量の鉄鉱石を交換輸出する考えを示し、「優遇措置としての採掘権で得る鉄鉱石を輸出しようとしている」とした一部現地報道に反論した。
 地元経済への波及効果については「直接雇用で1万3000人、関連工事など間接雇用でも3万5000人に達する」と述べ、製鉄所建設がオリッサ州だけでなくインド全体の経済発展にも貢献すると強調した。

◎カシミールで自爆テロか、14人死亡100人負傷(2005年6月13日、朝日新聞)
 インド北部ジャム・カシミール州の町プルワマで13日午前、自動車に仕掛けられた爆発物が爆発し、少なくとも子供を含む14人が死亡し、約100人が負傷した。PTI通信などが伝えた。
 地元警察はイスラム過激派による自爆テロの可能性が高いとみている。中央予備警察隊基地や郵便局、学校がある人通りの多い所で爆発し、学校や商店、近くに駐車してあった自動車が損傷を受けた。プルワマは州都スリナガルの南約25キロ。

◎印首相がカシミール訪問・緊張緩和アピール(2005年6月13日、日本経済新聞)
 【ニューデリー12日共同】インドのマンモハン・シン首相は12日、パキスタンとの間で領有権を争うカシミール地方の標高約6000メートルにあるシアチェン氷河を訪れ、「世界で最も標高が高い戦場を平和な山に変える時がきた」と述べ、緊張緩和に向け努力する姿勢をあらためて示した。
 インド首相のシアチェン氷河訪問は初めて。両国軍は、2003年11月の停戦発効以後も部隊を配置しにらみ合っている。シアチェン氷河は実効支配線がない地域で、戦闘よりも過酷な自然環境の犠牲となる兵士が多いとされる。
 シン首相は一方で、国家の安全保障と威信にかけて「和平達成のために(パキスタンとの)境界線を引き直すことはできない」と言明し、カシミール地方の実効支配線を現行のまま維持する考えを示した。
 4月の印パ首脳会談は、部隊削減など緊張緩和に向けて双方が努力することで合意。5月に高級事務レベル協議が行われたが、部隊削減など具体的な合意には至らなかった。

◎インド向け04年度円借款1345億円、2年連続首位(2005年3月30日、産経新聞)
 政府は29日、インドに対する2004年度の円借款について、前年度比約7.6%増の総額1344億6600万円を限度に供与すると発表した。
 国別供与額は2年連続トップ。04年度の上位はインド、インドネシア、トルコ、中国、ベトナムの順になる。インド向け円借款は、インフラ整備、環境対策、貧困解消が3大基本方針で、04年度分でもインドの発展を確実なものにするための支援を行う。
 具体的にはデリーの地下鉄建設、東部のジャルカンド州の火力発電所建設を始めとする社会基盤整備を引き続き推進。環境対策としては、南部のカルナタカ州やタミールナド州で、地域住民を直接雇用する植林事業を通じて森林の拡大を図り、地域の貧困層の所得向上にも役立てる。
 北部のウッタル・プラデシュ州では、仏跡観光の促進に向けた道路整備なども行う。

◎インド政府、外資規制を緩和(2005年3月29日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インド政府が、経済改革の柱として国内産業に対する外国企業の直接投資規制を相次いで緩和している。電気通信や銀行などの主要分野で過半数の出資比率を認めたほか、外資単独による建設・不動産開発も解禁した。海外建設大手の進出が増えているほか、欧米銀行のリテール営業網拡大なども予想される。外資が活力を呼び込み、成長が加速する可能性もある。
 先月閣議承認した通信部門の外資規制緩和は、出資上限を49%から74%に引き上げるという内容。安全保障に配慮して役員の半数以上を国内在住インド人とすることなどの条件を付けた。携帯電話など通信サービスへの潜在的需要はなお大きく、外資系の本格進出や企業買収などが加速する見通し。
 現在は49%を上限としている民間銀行への出資規制の緩和は、2009年3月末までに外銀の既存支店網を100%子会社に切り替えることを解禁。それ以降は外資にインド民間銀行の株式を74%まで取得することを認めるという2段階。

◎カシミール:支配地結ぶバス運行、印パ合意(2005年2月16日、毎日新聞)
 【イスラマバード西尾英之】インドのナトワル・シン外相は16日、訪問先のパキスタンでムシャラフ大統領、カスリ外相らと相次いで会談し、両国が領有権を巡って争い、関係改善の焦点であるカシミール地方の両国支配地域間を結ぶ直通バスの運行を4月7日から開始することで合意した。03年から始まった両国対話で最大の成果といえ、今後両国はカシミール問題の解決へ向け本格的に動き出す可能性が強まった。
 シン、カスリ両外相が会談後の記者会見で共同声明を発表し、合意内容を明らかにした。
 両国はまた、偶発的な核兵器使用を防ぐための協議を開始することでも合意した。
 直通バスはインド側中心都市のスリナガルとパキスタン側中心都市のムザファラバードを結ぶ。双方の支配地をつなぐバス路線の開設は1947年の両国の分離独立後、初めて。両地域の一般住民が利用できる見込み。カシミールでは多くの家族や親類などが分かれて暮らしているが、徒歩などによる往来は57年ごろから途絶していた。
 印パ両国は98年に相次いで核兵器保有を宣言。01年12月のイスラム過激派によるインド国会襲撃事件で「核戦争の一歩手前」といわれるまで緊張が高まったが、03年4月に当時のバジパイ印首相の呼びかけで関係改善がスタートした。

◎印が短距離ミサイル「トリシュル」の発射実験(2005年1月20日、産経新聞)
 AP通信によると、インドは19日、東部オリッサ州で、短距離地対空ミサイル「トリシュル」の発射実験を行った。
 射程9.6キロで、重さ15キロまでの弾頭搭載が可能。トリシュルはインドが開発を進めている最新型ミサイルの一つで、定期的に発射実験している。
 インドは実験に先立ち、パキスタンが18日、一昨年11月に結んだ停戦合意を破って、インド側カシミールに迫撃弾を撃ち込んだとして非難していた。パキスタンは全面否定している。(共同)

◎インド洋津波:インド南部で原発が緊急停止(2005年1月9日、毎日新聞)
 【カルパカム(インド南部)田中洋之】スマトラ沖大地震でベンガル湾に面したインド南部カルパカムにある原子力発電所が大津波に襲われ、原子炉が緊急停止するなどの影響を受けた。政府当局は「放射能漏れや深刻な被害はなかった」としているが、周辺住民に不安を与えている。
 カルパカムは出力17万キロワットの加圧水型重水炉2基(84年と86年に運転開始)や実験炉1基、再処理工場を持つ核複合施設。09年の完成を目指し高速増殖炉の建設も進んでいる。
 今回の大津波で原発の冷却装置につながるポンプ室に大量の海水が流入し、稼働中だった原子炉1基が緊急停止した。もう1基は部品交換のため点検で停止中だった。作業員1人が死亡、2人が行方不明になったという情報もある。
 原発労働者と家族ら2万5000人が暮らす隣接の居住地区も津波の直撃を受け、計38人が死亡した。海沿いのアパート1階にいた原発職員のラビクマルさん(40)は「灰色の波が押し寄せ、首の高さまで海水につかった」と恐怖を語る。
 また近くの漁村プドゥパティナム・クッパムに住むサディーシュ・クマルさん(20)は「津波発生直後に原発から放射能が漏れたとのうわさが流れ、パニック状態になった」と話す。
 当局は放射能漏れを否定し、施設の安全性が確認されたとして津波から1週間後に原子炉の運転を再開した。これに対し、チェンナイ在住のジャーナリスト、シュリ・ラーマン氏は「インドの原発は今回のような大津波を想定した設計になっていない。一歩間違えれば原子炉が破壊され第二のチェルノブイリになる危険性があった」と指摘する。
 カルパカム原発は03年1月にインドで過去最悪とされる放射能漏れ事故を起こし、作業員6人が被ばくした。しかし、当局は半年近く事故を公表せず、「秘密主義」が批判されている。
 インドには現在、14基の原発があり、08年までにもう8基が加わる予定。

◎インドへの事業進出さらに加速、台湾・情報産業界(2004年12月29日、電子商情:台湾IT産業ニュース)
 台湾・情報産業界のインド進出が一段と活発化している。従来はソフトウエア分野が主体だったが、最近はハード分野でも進出が盛んになっており、2005年からは新たなインド進出ブームが見込まれる。
 台湾の情報・IT産業界のインド進出は90年代後半から始まり、現在までに5〜6社が現地企業との提携の形を含めて事業進出を実現している。その中心となってきたのはソフトウエア・プロダクツだったが、ここ数年はハード分野でも進出が増えているのが特徴だ。
 例えば友訊は、現地資本と合弁でインドに子会社を設立、2001年からマザーボードなどのOEM生産に入っている。精英も地元企業に委託し、自社製品のノックダウン生産を開始した。
 また 技はこのほど、インド企業と合弁でマザーボードなどを現地生産する計画を明らかにしている。さらに大手の鴻海精密も、インドに工場を建設する方向で検討に入っているという。
 加えてソフト分野でも、新たに大型進出計画が浮上した。明基はソフトウエア開発センターを近い将来インドに開設する計画を明らかにしており、2005年初めにも要員を派遣して具体的な準備に入る。
 こうしたインド進出志向は、従来から定評のあったソフト関係人材のレベルの高さのほかに、ハード面でも世界で中国に次ぐ人口を持つことから低コスト労働力が得られるだけでなく、将来の市場としての有望性にも基づいている。
 世界の情報・通信関係産業も、先にノキアがインドに世界で10番目の携帯電話機生産拠点の開設を発表するなど、インドへの関心を強めている。台湾企業の進出もこれと歩を一にしたもので、大陸・中国への過剰傾斜によるリスク対策も兼ねて、2005年以降進出がさらに本格化するのは確実な情勢だ。

◎インドのラオ元首相死去、経済自由化に尽力(2004年12月23日、朝日新聞)
 90年代にインド経済の自由化を進めたナラシマ・ラオ元首相が23日、ニューデリーの病院で心不全のため死去した。83歳だった。インドPTI通信が伝えた。
 91年、総選挙の遊説中に暗殺されたラジブ・ガンジー元首相の後任として急きょ国民会議派総裁に就き、選挙に勝利。首相に就任した。それまでの統制的な経済政策を大幅に見直し、自由化へと転換。危機的状況だった財政を立て直した。現在のインドの情報通信(IT)産業の隆盛はラオ首相時代に基盤ができた。
 5年の任期を最後までつとめた初の首相だったが、経済改革の恩恵が一部の富裕層に偏ったことから96年総選挙で大敗した。初の南インド出身の首相。また、国民会議派でネール一族出身ではない初めての首相だった。
 同通信によると、ラオ氏の死去を受けて政府は国葬を営むことを決めた。

◎インド石油大手、中東進出を加速(2004年12月21日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】中国、日本に次いでアジア第3位の石油消費国で、原油需要の約7割を輸入に依存するインドの大手石油会社が、中東産油国に相次ぎ進出している。エネルギー需要の急増を背景に、各社は同様の動きを見せる中国勢をにらんで油田・ガス田開発への参加や権益取得での活動を本格化させている。
 インド最大の高収益企業のインド石油ガス公社(ONGC)は子会社のONGCビデシュを通じてスーダンやリビアなどの油田開発利権を相次ぎ取得した。英BPと組んでクウェート北部の大規模油田開発にも参加を表明した。
 開発計画書はクウェート国会で審議中だが、同国のフォウダリ駐印大使は「国会ではBP案への関心が強い」と発言し同社が有利であることを示唆している。

◎インドの列車事故、死者31人に(2004年12月15日、産経新聞)
 インド北部パンジャブ州で14日に起きた列車同士の正面衝突事故で、AP通信によると15日までに、死者が31人、負傷者は少なくとも50人になった。鉄道省当局などが、負傷者の救出や死者の身元確認などを続けている。
 現場は単線で、近くの駅での信号ミスなどが事故原因とみられている。(共同)

◎インドで列車衝突、27人死亡(2004年12月14日、産経新聞)
 インド北部パンジャブ州ホシアルプルで14日、急行列車と普通列車が正面衝突、PTI通信などによると、少なくとも27人が死亡、50人が負傷した。
 同州のシン州首相は州議会に対し、50人が死亡、約150人が負傷したと報告しており、死傷者はさらに増えるとみられる。
 鉄道省当局者によると、現場付近は単線のため信号などのミスがあった可能性がある。
 衝突したのはジャムからアーメダバードへ向かっていた急行と、地元を走るディーゼル車両。(共同)

◎インドで米狙ったテロ情報、ムンバイでは領事業務停止(2004年11月23日、読売新聞)
 【ニューデリー=林英彰】当地の米国大使館は23日、インド国内の米国の権益拠点をテロリストが「近い将来」攻撃する計画があるとして、在留米国人に警戒を呼びかけるとともに、駐ムンバイ米国領事館での領事業務などを同日中止した。
 ニューデリーでの大使館業務は通常通り行われている。

◎インテル、インド政府とIT教育支援で覚書(2004年11月18日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】米インテルのクレイグ・バレット最高経営責任者(CEO)は18日ニューデリーで記者会見し、インド国内での情報技術(IT)教育支援やパソコンの普及拡大などへの協力を盛り込んだインド政府との覚書に調印したと発表した。
 覚書によるとインテルは、インド南部ケララ州やカルナタカ州など地方の学校を中心に、各州政府と協力して小・中学生や教師へのパソコン訓練などを実施するほか、州政府業務の電子化も支援する。総事業費は明らかにしていない。
 バレットCEOは覚書について「インドの経済成長を加速させるIT分野を支援し、大都市と地方の格差を縮小するのが目的」と述べ、すでにケララ州では児童・生徒1600人を対象に初級パソコン教育を実施するプログラムを開始したことを明らかにした。

◎インド軍が撤退開始、カシミール和平へ積極姿勢(2004年11月17日、産経新聞)
 インド軍は17日、パキスタンと領有権を争うカシミール地方の兵力の一部撤退を開始した。カシミール問題ではパキスタンに比べ、インドの消極さが目立っていただけに撤退開始は和平に向け大きな弾みとなる。
 インド軍は同日、約1000人の撤退を開始。段階的に撤退を進め、最終的に2万人に上る見通し。同地方のインド軍総兵力は40万人以上とされ、撤退の割合は小さいが、パキスタン外務省報道官は同日「(両国が)正しい方向に向かう良い措置だ」と歓迎した。
 両国は2月、和平に向けた包括対話を始めた。インドが同地方のパキスタン側からのイスラム過激派の越境テロを問題視、話し合いは難航したが、パキスタンのムシャラフ大統領が10月、非武装化や両国による共同統治などを柱とする新たな和平案を提示。これを受け、インドは越境テロの減少などを理由に、兵力削減を表明した。
 パキスタンのアジズ首相は23日からインドを訪問し、カシミール問題を協議。来月には包括対話が再開し、来年1月の南アジア地域協力連合(SAARC)首脳会議でも、両国の首脳会談が行われる予定だ。
 当面の焦点は、分断された両国カシミールを結ぶ直通バスの運行で合意できるかどうか。利用の際、査証(ビザ)を必要とするか、便宜的な許可証で代用するかの対立が解けていない。(共同)

◎タージマハルは傾いている? インドで論争再燃(2004年11月16日、朝日新聞)
 世界遺産のタージマハルが傾いている――インド国内で10月から、傾斜をめぐる論争が起きている。傾きはかねて指摘されていたが、「政府は対策をとっていない」という学者の主張が発端だ。建立350年の祝賀年ということもあり、背後を流れるヤムナ川の環境悪化と合わせて注目を集めている。地元州政府は委員会を設け、調査に乗り出した。
 傾いているとされるのは、タージマハルの四隅に立つ高さ約40メートルの尖塔(せんとう)。インド独立前の1942年、英国による調査でそれぞれ約5〜21センチ外向きに傾いていることが判明した。65年の調査でも、さらに最大1.3センチ傾斜。00年までの3〜4年ごとの政府測量で、2〜3ミリ程度の傾斜拡大が検知されたが、「測定誤差の範囲にとどまる。60年代以降、傾きは止まった」(考古局アグラ事務所のダヤラン所長)としていた。
 政府見解に反論したのが、65年の調査を担当した元ラジャスタン大教授のラム・ナート氏(71)。10月に「政府は対策を講じていない。今も傾き続けている」と有力紙で主張。環境団体や研究者らも「政府は構造の安全に関する情報を開示せよ」と声を上げ始めた。政府が今年を建立350年記念の年に定め、歴史的建造物として話題になる機会が増えたことが背景にある。
 傾斜の原因として指摘されるのが、ヤムナ川の水量減少だ。川べりのタージマハルは、建立当時の豊富な水量が構造的安定の前提とされる。上流に人口約1400万人のデリー首都圏を抱える同川は、汚濁と流量減が問題になっている。
 タージマハル裏で渡し舟のさおを差して30年というビジャイさん(40)は、「井戸水が減った。中州も10年前は珍しかったが、今は雨期以外はずっとある」と話す。「異変は起きていない」(タージマハルで大理石細工を修理するジャインさん)という見方もあるが、地元メディアなどの「タージは倒れるのか」との声にかき消されがちだ。
 事態を重視した地元ウッタルプラデシュ州政府は調査委員会を設置し、中央政府考古局も過去の調査報告書の再検討に乗り出した。
〈タージマハル〉 ムガール帝国の第5代皇帝シャー・ジャハーンが17世紀半ば、愛妃ムムターズ・マハルの死を悼んで建立した白大理石の大廟墓(びょうぼ)。56メートル四方の四角い基部の中心に廟堂がある。
 建立は1643年が有力。今年は正確には350周年ではないが、「建立350年を祝賀する年」とインド政府は位置づけ、さまざまな行事をする。なぜ今年なのか、詳しい説明はない。
 観光客は年間約185万人(03年)。約1割は外国人だ。大気汚染から守るため、周囲500メートル以内への自動車進入禁止や、160カ所にのぼる工場の閉鎖、移転などが最高裁命令で90年代に実施された。

◎インド、海軍用弾道ミサイル・ダヌシュの発射実験成功(2004年11月7日、読売新聞)
 【ニューデリー=林英彰】インドは7日、東部オリッサ州沖のベンガル湾で、核弾頭搭載可能な短距離弾道ミサイル「ダヌシュ」(射程250キロ)の発射実験を行い、成功した。
 ダヌシュは艦対艦ミサイルで、国産の地対地ミサイル「プリトビ」を海軍使用に改良したもの。ミサイルは哨戒艇から発射された。
 AFP通信によると、ダヌシュの発射実験は2000年4月、2001年9月に続き3回目。

◎インド北部で武装勢力と治安部隊衝突、15人死亡(2004年11月7日、読売新聞)
 【ニューデリー=林英彰】インド北部ジャム・カシミール州で6日、同国からの分離を求めるイスラム武装勢力と治安部隊の衝突などで計15人が死亡した。
 州西部プンチとウリで、治安部隊がパキスタン側から越境してきた武装勢力の計8人を射殺、別の銃撃戦でも2人を殺害した。また、夏の州都スリナガルと、その北西ソプルで武装勢力による治安部隊の駐屯地襲撃などで国軍兵士ら4人が死亡、北西部クプワラで警察への情報提供者1人が殺害された。

◎カシミールで14人死亡、治安当局と武装勢力交戦(2004年11月7日、産経新聞)
 AP通信などによると、インド北部ジャム・カシミール州で6日、国境警備隊がパキスタン側から侵入してきた武装勢力8人を殺害するなど、インド治安当局と武装勢力の交戦で計14人が死亡した。
 インドのパティル内相が同日、5月の就任後初めてカシミールを訪問。イスラム過激派が訪問に合わせ攻勢を強めた可能性がある。
 同州の主要都市スリナガルで兵士を乗せたトラックが襲撃され2人が死亡。またスリナガルの北約50キロのソポレで国境警備隊の施設が襲撃され銃撃戦となり、武装勢力1人と警備隊員1人が死亡した。(共同)

◎ロッテグループ、インドに本格進出(2004年10月16日、日本経済新聞)
 ロッテは韓国のグループ企業と共同でインドに本格進出する。韓国のロッテ製菓がこのほどインドのキャンデー大手を買収。日本のロッテはインドのたばこ大手と合弁でガムの製造・販売を開始する。約10億人の人口を抱えるうえ、BRICsの一角として経済成長を続けるインドでは今後、菓子市場が膨らむとみている。日韓で連携して市場開拓を進める。
 重光武雄ロッテ社長が会長職を務める韓国ロッテ製菓が買収したのは、食品、運輸などを幅広く手がけるムルガッパグループの企業でキャンデーの製造・販売を手掛ける上場企業のパリース(チェンナイ市)。韓国ロッテ製菓はパリースの発行済み株式の約60%をムルガッパから、20%を株式市場から株式公開買い付け(TOB)で取得し、計80%保有し、社名も「ロッテ・インディア」に変更した。買収金額は明らかにしていない。

◎英ロイター、インドに情報処理拠点(2004年10月10日、朝日新聞)
 世界の金融業界やメディアに情報提供する英ロイターグループが、インドに情報処理拠点を設けた。英国では「ジャーナリズムのアウトソーシング(海外委託)」と大きな話題になっている。
 ロイターによると、すでに米国の企業財務などのデータ収集・分析要員として340人を南部の都市バンガロールで雇っており、年内に400人に増やす。地元ジャーナリストを起用するニュース編集室も増員するが、軸は情報処理部門だ。
 英米企業は通信技術の発達を受け、顧客への電話対応や会計事務、調査部門などを、賃金も安く英語ができるスタッフがそろうインドに移す動きを加速させている。

◎インド北東部で銃乱射、12人死亡、分離派犯行か(2004年10月6日、読売新聞)
 【ニューデリー=林英彰】AFP通信などによると、インド北東部アッサム州ドゥブリ地区で5日夜、6人組の武装グループが、村の広場に集まっていた住民に向けて銃を乱射、少なくとも12人が死亡、7人が負傷した。犠牲者には子供や女性もいるという。
 地元警察は、少数民族ボド族居住区のインドからの独立を求めている武装組織「ボドランド民族民主戦線」の犯行とみている。
 同州内では、今月2日から、分離派組織による銃撃、爆弾事件が相次ぎ、50人以上が死亡している。

◎インド:連続テロでボド族の過激派組織が犯行声明(2004年10月4日、毎日新聞)
 【イスラマバード支局】インド北東部で2日から3日にかけて爆発が相次ぎ、多数の死傷者が出たテロ事件で、インドからの分離独立を求める少数民族、ボド族の過激派組織「ボドランド国民民主戦線」(NDFB)は3日、アッサム州での犯行を認める声明を出した。AFP通信が伝えた。
 アッサム州では、市場での無差別銃撃や相次ぐ爆破で計23人が死亡した。NDFBはアッサム州での一連の犯行を認めたうえで、「攻撃は我々の強さのあかしだ」などと主張した。
 AP通信によると、アサッム州やナガランド州で起きたテロ事件の死者は3日、新たに4人増え、全体で57人になった。負傷者は200人を超えている。ナガランド州の事件では犯行声明は出ていない。

◎爆発など相次ぎ7人死亡、インド、分離独立派テロか(2004年10月4日、産経新聞)
 インド北東部アッサム州で3日、市場や茶畑などで爆弾による爆発などが相次ぎ、7人が死亡、43人が負傷した。AP通信が伝えた。インドからの分離独立を目指す過激派のテロとみられるが、犯行声明は出ていない。
 同州や隣接するナガランド州では2日から、市場などを狙った爆弾テロが続発。3日までの死者は少なくとも計57人、負傷者は計100人以上に達した。
 AP通信によると、3日はアッサム州の中心都市ゴウハティの北約170キロの市場で爆弾が爆発し3人が死亡したほか、同市の西200キロの茶畑では作業員が殺害されるなどした。
 インド北東部では、分離独立を目指す反政府武装勢力「ナガランド国民社会主義評議会」など複数の過激派組織によるテロが起きており、今回の連続テロもこれら独立派が関与している可能性もある。(共同)

◎インドで駅と市場の連続爆破、28人死亡100人負傷(2004年10月3日、読売新聞)
 【ニューデリー=林英彰】インド北東部ナガランド州の商業都市ディマプルで2日午前、鉄道駅と市場でほぼ同時に爆弾が爆発し、英BBCテレビによると、少なくとも28人が死亡、約100人が負傷した。
 駅構内は爆発当時、列車を待つ客でごったがえしており、被害が拡大した。警察は、時限式プラスチック爆弾が使用されたと見ている。市場では2発の爆弾が爆発したとの情報もある。州内でこれだけの犠牲者が出た爆破事件は初めてと見られる。
 ナガランドは、インド独立時から分離・独立を求める運動が盛んで、現在も複数の分離派組織が活動。このうち最大組織「ナガランド民族社会主義評議会」は1997年に停戦に合意、話し合いによる解決を模索している。ニュース専門チャンネル「NDTV」は、州外の過激派組織が関与した可能性を指摘している。
 一方、隣接するアッサム州西部ドゥブリで同日夕、5人組の男が市場で銃を乱射して11人を殺害、逃走先でも4人を射殺した。別の市場では爆弾で2人が死亡した。少数民族ボド族武装組織の犯行と見られる。

◎爆発、銃乱射で44人死亡、インド、分離独立派らのテロか(2004年10月3日、産経新聞)
 インド北東部ナガランド州の商業都市ディマプルの駅と市場で2日、爆発が相次ぎ26人が死亡した。その数時間後には、隣接するアッサム州の計7カ所で武装集団が銃を乱射するなどし、18人が死亡した。
 ともに過激派組織によるテロとみられるが、犯行声明は出ておらず、両州の事件の関連性も不明だ。ナガランド州ではこれまでも、インドからの分離独立を目指す反政府武装勢力「ナガランド国民社会主義評議会」など複数の過激派組織による同様の事件が起きている。
 ナガランド州の事件では、市場で立て続けに2回爆発があり、駅で1回の爆発があった。市場は店が開き始める時間帯で比較的人が少なかったが、駅は列車が来る直前だったため、多くの待合客で混雑していた。同州はミャンマーとの国境沿い。
 アッサム州では、正体不明の武装集団が、買い物客でにぎわう市場などで銃を乱射した。(共同)

◎インドで爆発や銃の乱射相次ぐ、44人死亡(2004年10月3日、朝日新聞)
 AP通信によると、インド北東部のナガランド州とアッサム州で2日、爆弾の爆発や銃の乱射が相次ぎ、計44人が死亡した。過激派によるテロと見られるが、犯行声明は出ていない。
 ナガランド州の商業都市ディマプルでは、駅と市場の計2カ所で爆発があり、26人が死亡、84人が負傷した。また、隣接するアッサム州の村でも、武装した男たちが買い物客らに銃を乱射し、11人が死亡した。このほかにも爆発が相次ぎ、2州での事件は計9件に上ったという。
 この地域では、インドからの分離独立を目指す複数の反政府武装勢力が活動している。
 ナガランド州は人口約200万人。少数民族が住み、インドの英国からの独立(47年)後、インドからの独立闘争を展開。97年にインド政府と武装組織との間で休戦協定が成立し、対話が進められていた。

◎インド鉄鋼公社とBHPビリトン、鉄鉱石資源開発で提携(2004年9月30日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インドの製鉄最大手、インド鉄鋼公社と世界最大の鉱山会社である豪英系BHPビリトンは29日、インド国内外での鉄鉱石鉱山やコークス用石炭開発で協力を明記した提携文書に調印した。BHPはすでに韓国ポスコとインド東部オリッサ州で大規模な製鉄所建設計画を進めており、インド鉄鋼公社との提携でインドでの鉄鋼関連事業を拡大する。
 インド鉄鋼公社は、BHPが開発する炭鉱に共同出資し、生産する石炭を長期契約ベースで購入する。BHPはインド国内の鉄鉱石鉱山をインド鉄鋼公社と共同で開発し、探鉱や採掘、鉄鉱石処理などでインド側に最新技術を供与する。
 インドの鉄鋼生産の約3分の1を担うインド鉄鋼公社はコークス用石炭の70%近くを豪州などからの輸入に依存している。特に昨年からは中国などの需要増で製鉄用コークスの安定供給に不安が出ており、これがコークス用の石炭を長期・安定的に販売したいBHPの思惑と一致した。

◎インド国勢調査でイスラム教徒急増、排斥あおる声も(2004年9月30日、朝日新聞)
 インド政府が01年に実施した国勢調査の宗教別人口を今月上旬にまとめて発表したところ、イスラム教徒の人口の伸び率がヒンドゥー教徒を大きく上回っていたため、ヒンドゥー至上主義を掲げる前政権党のインド人民党(BJP)から「憂慮すべき現象だ」とイスラム教徒排斥をあおるような声が上がるなど騒動が起きた。
 政府は事情を調査する方針だが、前回調査(91年)の時にカシミール紛争の激化による治安悪化で、イスラム教徒が7割近くを占めるジャム・カシミール州約1000万人分の調査が行われなかったことを織り込まずに単純に比較したのが、「ムスリム急増」の原因のようだ。今年5月に政権に返り咲いた国民会議派から「何たるへま」(ソニア・ガンジー党総裁)と責任追及の声が上がっている。
 インドの国勢調査は10年に一度。最初の発表ではヒンドゥー教徒の人口比率は91年から01年の間に82%から80.5%に減少、一方イスラム教徒はこの間に12.1%から13.4%に増加した。人口増加率ではヒンドゥー教徒20.3%、イスラム教徒36%と大きな差になった。
 指摘を受けて国勢調査委員会は、同州人口を除いた「調整値」を発表。ヒンドゥー、イスラム両教徒の人口比率は81.4%、12.4%となだらかな変化になった。
 宗教別人口は毎回調査されているが、宗教に特化した統計報告書が出たのは初めて。宗教対立で多くの犠牲者を出してきた同国だけに、不手際だけでなく、報告書の意図をいぶかる声もある。

◎カシミール問題、平和的解決目指す、印パ首脳が声明(2004年9月25日、読売新聞)
 【ニューヨーク=勝田誠】ニューヨークで24日に会談したインドのシン首相とパキスタンのムシャラフ大統領は、両国が「あらゆる分野で信頼醸成を図る」ことで合意するとともに、最大の懸案であるカシミール問題の「交渉による平和的解決」を目指し、パキスタンからインドへの天然ガス・パイプライン建設計画についても歓迎するとの声明を発表した。
 カシミール問題では、インドがパキスタンからのイスラム過激派の越境テロに懸念を表明し、テロ取り締まりが不十分としてパキスタン政府を強く批判。パキスタン側は、インドによるイスラム教徒への人権侵害を非難し続けてきた。

◎東芝・NEC、インドで社員研修(2004年9月14日、日本経済新聞)
 東芝とNECはインドでの社員研修に力を入れ始めた。東芝は4カ月間の長期研修を来年度は年100人規模に拡大、NECも新入社員を対象とした研修を来年度も継続実施する。ソフトウエアを軸に情報技術(IT)産業が集中するインドに日本人社員を派遣。開発の手法や英語での説明方法などを学ばせ、今後の取引増加が見込まれる海外のソフト会社などとの交渉能力を高める。
 東芝は昨年12月、インド中西部にある学園都市のプネ市に、入社3年目までの若手社員7人を初めて研修で派遣した。ベンチャー企業のソフトブリッジ・ソリューションズ(東京・千代田、プラシャント・ジェイン社長)が仲介しており、9月末には第2弾としてグループ会社の社員を含む13人を派遣する。
 NECは6月、南部の港湾都市チェンナイ市で1カ月間の研修を実施した。対象は「ミドルウエア」と呼ばれるソフトの開発部門の新入社員37人。プログラミング言語「Java」を使った開発実習などを実施したが、研修効果が高いとみて来年度も継続する。

◎スズキ、インドに四輪車の第2工場建設(2004年9月13日、日本経済新聞)
 スズキは13日、インドに四輪車の第2工場を建設すると発表した。年産能力は25万台規模。稼働時期は2007年初頭の見通し。スズキはインドに子会社で同国最大の四輪車メーカー、マルチ・ウドヨグ社(ニューデリー市)を持つが、既存工場は年産規模が50万台に達し、拡張余地が少ない。同国市場の成長をにらみ、新たな工場建設に踏み切る。第2工場の運営会社として、マルチ社と合弁で新会社「スズキ・マルチ・インディア社」(仮称)を設立する。既にハリアナ州マネサールに工場建設用地を取得した。
 新工場は国内主力の湖西工場(静岡県湖西市)並みの自動化ラインとし、3〜4車種を混流生産する。テストコースも併設し、スズキの海外工場のモデル拠点と位置づける。設備投資額や生産車種などについては今後詰める。スズキはインド政府の国民車構想に沿う形で、1982年にマルチ社へ26%出資、乗用車生産を開始した。2002年には出資比率を54%にまで引き上げ、経営権を握った。マルチ社の昨年の販売台数は42万台で、同国の乗用車市場で過半のシェアを持つ。

◎パキスタン外相:インドを訪問、対話継続確認へ(2004年9月4日、毎日新聞)
 【イスラマバード西尾英之】パキスタンのカスリ外相は4日からニューデリーを訪問し、5日から2日間の日程で、シン印外相と会談する。両外相の公式会談は1月の両国首脳会談以降初めてで、これまで次官レベルや事務レベルで行われてきた両国関係改善協議を総括し、今後も対話を継続することを確認する見込みだ。カスリ外相は6日にはマンモハン・シン印首相とも初めて会談する予定だ。
 1月の首脳会談ではパキスタンが改めてインド側カシミールへの武装勢力の越境阻止などを約束する代わりに、これまでカシミール問題を国内問題としてきたインドが、同問題は両国間の重要な問題であることを認め、関係改善へ向けた協議が本格的にスタートした。しかし、両国の思惑が微妙に食い違い、対話開始後の半年間で大きな進展はないままだ。今回の外相会談でも同問題で大きな進展は望めないが、友好を確認し、協議継続で合意することになりそうだ。

◎インド新幹線への協力表明、訪印の中川経産相(2004年8月28日、朝日新聞)
 インド訪問中の中川経済産業相は27日に行われたマンモハン・シン首相との会談で、インドが研究中の高速鉄道について正式に協力を表明した。日本にとっては得意技術と円借款を生かせる経済協力の有力案件。9月には日本貿易振興機構(ジェトロ)が予備調査団を送り込む予定だ。
 シン首相は会談で「鉄道・道路の高速ネットワーク構築を重視している」と述べた。中川経産相は「日本の新幹線は40年の実績がある。高速化には電力の安定供給も必要」と述べ、電力網を含めた関連事業全般に日本が協力する意向を示した。
 輸送距離がアジア最長の「鉄道王国」インドでは、2年ほど前から鉄道省が高速鉄道の研究を進めている。商都ムンバイ(ボンベイ)と産業都市のアーメダバード間(約500キロ)などが候補に浮上している。
 日本企業は「夢の1兆円事業」(大手商社)と食指を動かし始めている。今回の経産相訪印には、日印経済委員会会長の大橋信夫・三井物産会長、辻亨・丸紅会長ら大企業の役員が20人近く「異例の同行」をした。7月には自民党の古賀誠・元幹事長ら建設・運輸族もJR関係者らを伴って訪印している。
 日本は、建設中のニューデリーの地下鉄に円借款を投じ、日本企業も受注した。9月に予定されるジェトロの調査は「おおまかなコスト試算や技術評価」が目的というが、事業本体の受注に先手を取る思惑は明らかだ。だが、中国が計画を進める高速鉄道建設と同様、フランスなど欧州企業との激しい競争が予想される。

◎バス連続爆発、4人死亡、インド北東部アッサム(2004年8月27日、産経新聞)
 PTI通信などによると、インド北東部アッサム州の州都ディスプールの西約250キロの町ゴッサイガオンで26日朝、バスの車内で爆発があり、少なくとも1人が死亡、約30人が負傷した。手荷物に爆弾が仕掛けられていたらしい。
 数時間後、約50キロ離れた同州西部の村サティパラで、国境警備隊兵士と家族が乗ったバスが爆破され、兵士2人と子供1人が死亡、6人が負傷した。爆弾が道路脇の溝に置かれていたもよう。
 犯行声明などは出ていない。治安当局は、アッサムの分離・独立を求める武装組織アッサム統一解放戦線(ULFA)の犯行とみている。(共同)

◎インド・アッサム州で爆弾テロ、6人死亡(2004年8月27日、朝日新聞)
 インド北東部のアッサム州で25日夜から26日にかけて7件の爆弾テロ事件が発生し、市民や治安部隊の計6人が死亡、60人以上が負傷した。アッサム州の分離独立を掲げる武装組織「アッサム統一解放戦線(ULFA)」の犯行とみられる。
 26日、同州西部のゴルパラ地区で治安部隊の車両が爆破され、乗っていた3人が死亡した。また、州西部のコクラジャ地区の市場に停車していたバスも爆破され、乗客2人が死亡、30人以上が負傷した。25日夜には州東部のディブルガル地区で映画館前に爆弾が投げ込まれ、観客1人が死亡した。

◎インドTCS、25日にも新規上場、史上最高の11.7億ドル調達(2004年8月10日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インド最大のソフトウエア輸出企業であるタタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)が今月下旬、ムンバイ(旧ボンベイ)証券取引所に株式を新規上場する。5日までの購入希望調査で株式の購入申し込みは公開株数の約10.3倍と過去最高を記録し、人気の高さを裏付けた。
 上場による資金調達額は11億7000万ドル(約1300億円)に上り、インド企業による新規株式公開としては史上最高となる見通しだ。上場日は25日から27日までの間で調整中という。
 好調な米国向けソフト輸出を背景に、インフォシス・テクノロジーズなどインドの有力な情報技術(IT)企業が軒並み好決算を発表したことがTCS株の人気を盛り上げた。130万人以上の投資家が購入を申し込んでおり、TCSは当初予定の5545万株に加えて830万株を追加放出する見通しだ。

◎雨期の死者2000人に、インド、バングラなど南アジア(2004年8月9日、産経新聞)
 インドやバングラデシュなど南アジアで6月から続く雨期の死者が9日までに2018人となった。洪水や土砂崩れなどの被害をAP通信がまとめた。
 インド東部のビハール州で新たに39人の遺体が見つかり、インド全体では同州や西部のグジャラート州などを中心に死者は計1195人。バングラデシュでは694人が死亡、食料や医薬品が不足し、下痢などの病気のまん延も深刻化している。
 ネパールでは124人、パキスタンでも5人が死亡した。(共同)

◎銃撃戦で10人死亡、インド北部カシミール(2004年8月5日、産経新聞)
 PTI通信などによると、インド北部ジャム・カシミール州スリナガルで4日夜、武装組織が治安部隊施設を襲撃、5日朝まで銃撃戦が断続的に続き、治安要員9人が死亡、10人が負傷した。武装組織側も1人死亡。イスラム過激派組織のアルマンスリアンとアルマディナが犯行声明を出した。
 武装組織は同施設に侵入、手りゅう弾を投げつけ銃を乱射、治安部隊が応戦した。約2時間の銃撃戦で12人が死傷。5日未明に銃撃戦が再発し死傷者が増えた。
 カシミール地方の領有を争うインドとパキスタンは実効支配線(停戦ライン)などで停戦を続けているが、パキスタン側から越境してきたとみられるイスラム過激派のテロは依然続いている。(共同)

◎世界見てある記:スリナガル(インド)、にぎわい戻るかハウスボート(2004年8月3日、毎日新聞)
 猛暑のニューデリーから飛行機で1時間で、ヒマラヤ山脈の盆地に広がるジャム・カシミール州の夏の州都、スリナガルの空港に到着する。インド平野部が40度を超える5月でも、スリナガルの気温が25度を超えることはまれだ。
 天然のクーラーともいえる自然条件を利用して、スリナガルはインド有数の避暑地として発展してきた。市街地の東側に広がるダル湖には、名物のボートを使った民宿「ハウスボート」が浮かび、土産物を売る商人がタライのような小さな船でハウスボートの間をのんびりと行き来する。
 ハウスボートはインドでもスリナガルにしかみられない、珍しい宿泊施設だ。もともとは英国支配時代に英国人が別荘を建設しようとしたものの地元藩王の許可が出ず、湖に浮かべたボートで代用したのが起源とされる。
 係留されたボートは居間、寝室、ダイニングを備え、ボートの中でシャワーを浴びることも可能。ベッドに寝そべって湖越しにヒマラヤの山並みを眺めるのは、スリナガルでしかできない体験だろう。
 ハウスボートを売り物に、世界各国からの観光客でにぎわっていたスリナガルの歴史が暗転したのは、1989年にイスラム武装組織がインドからの分離・独立をめざす武装闘争を開始してからだ。
 「89年からの数年間が最もひどかった。街角のどこに武装組織のメンバーが隠れているかわからない。ばったり出くわせばすぐ撃ってくる。日中でも外出できない状態だった」。ハウスボートを経営するハリリさん(33)は振り返る。
 90年代半ばから状況は徐々に好転。厳重を極めたインド軍による警備態勢も緩和されてきた。「この町は観光客が来ないとやっていけないんだ。カシミールの悪いニュースだけでなく、いい面を伝える記事も書いて」とハリリさんは笑う。
 スリナガルとはサンスクリット語で「吉祥(よい前兆)の町」との意味だ。「東京にも『吉祥寺』という町がある」と説明すると、地元記者の一人は「それじゃ『姉妹都市』だ」と大喜び。「州政府に言って、東京の吉祥寺で観光キャンペーンを張らないとな」。記者はまじめな顔で語った。【西尾英之】

・ひとこと
 スリナガルへの観光客数は、昨年春からの印パ関係改善の動きを受けて地元インド人を中心に急速に回復しつつある。しかし、観光客を狙った武装組織のテロ事件もまだ起きている。日本の外務省は7月現在、スリナガルには「渡航の延期をおすすめします」との危険情報を出している。

◎インドで日本人観光客ら一時足止め、イラクでの拉致に抗議(2004年7月30日、産経新聞)
 AP通信によると、イラクでインド人が拉致された事件に抗議して、インド北部で、インド人人質の故郷近くの村人が、日本人1人を含む外国人観光客37人を一時、人質に取ったが、30日午後(日本時間同日夜)解放し、観光客はニューデリーに向かった。警察当局者が明らかにした。
 イラクで相次ぐ外国人拉致事件をめぐり、拉致された外国人の出身国で過激な抗議行動が表面化したのは異例。
 村人らは、拉致されたインド人人質救出のため、政府が取り組みを強めるよう要求していた。
 村人らに人質に取られていたのは日本人のほか、英国人22人、韓国人2人、米国人、カナダ人各1人など。
 現場はニューデリーの北西約300キロ。観光客は29日夜、2台のバスに分乗、インド北部ダラムサラからニューデリーに向かう途中で停止させられ、寺に拘束。警察が周囲を取り囲んでいた。
 イラクでは21日、「黒い横断幕を持つ者たち」と名乗る武装勢力が、インド人3人やケニア人らを人質に取ったとする声明を出した。(共同)

◎インド東部、バングラの洪水で死者1000人超す(2004年7月28日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インド北東部やバングラデシュを襲った大規模な洪水による死者が27日までに1000人を超えた。犠牲者数は今後さらに増える見通しだ。バングラデシュではあふれ出した下水による伝染病が拡大し始めており、政府や援助機関などは食料・医薬品の配給や病気予防に全力を挙げている。
 国土の3分の2が海面下の高さにあるバングラデシュでは雨期にたびたび洪水被害に見舞われてきたが、過去3週間での死者は400人以上に達し約15年ぶりの大規模災害となった。
 インドでは東部ビハール州、北東部のアッサム州を中心に630人が死亡。家を失うなどの被災者は1200万人以上に達した。

◎大雨の死者1200人超、南アジア(2004年7月28日、産経新聞)
 インドやバングラデシュ、ネパールなど南アジアで断続的にモンスーン(雨期)の大雨が続き、AP通信のまとめによると、6月からの死者総数は28日までに約1240人に上った。各地で洪水や土砂崩れなどが発生、家屋の倒壊や下痢などの疾病の被害が拡大した。
 バングラデシュでは河川の堤防が決壊するなどして国土の約3分の2が冠水、約1300万人が避難を余儀なくされている。これまでに約400人が死亡し、特に子供を中心に汚水による下痢が深刻化している。
 インドでは北東部アッサム州や東部ビハール州を中心に各地で洪水が発生し約730人が死亡。アッサム州だけで約1200万人が家を失うなどしたほか、農作物や家畜などにも大きな被害が出ている。
 ネパールでも山間部の土砂崩れなどで約100人が死亡。パキスタンでも5人が死亡している。(共同)

◎豪雨で686人が死亡、インド(2004年7月27日、産経新聞)
 AP通信によると、インドでは26日までに、モンスーンによる豪雨で686人の死者が出た。特に被害が大きいのは東部ビハール州で、政府当局者によると同州だけで計485人が死亡した。(共同)

◎インド外相がパキスタン訪問、新政権発足後初めて(2004年7月21日、読売新聞)
 【イスラマバード=平本秀樹】インドのシン外相は、南アジア地域協力連合(SAARC)外相会議出席のため、5月の国民会議派の新政権発足後、閣僚として初めてパキスタンを訪問した。
 23日までの滞在中、カスリ外相のほか、ムシャラフ大統領らパキスタン政府要人と会談する予定。
 カシミール問題については外務次官級協議を進めた上で、8月25日の外相会談で進ちょく状況を話し合うことになっているが、6月末の外務次官級協議では成果はなかった。ただ、今月19日の次官級非公式会合後、パキスタン側が「いくつかの提案について話し合った」としていることから、信頼醸成分野で議論が進んだとみられている。

◎インド分離組織の会合襲撃、25人死亡、バングラデシュ(2004年7月18日、産経新聞)
 AP通信によると、バングラデシュの首都ダッカで18日、インドから分離独立を目指す組織の会合が襲撃され、25人が死亡した。インド警察当局者が明らかにした。
 同当局者は、襲撃されたのはアッサム統一解放戦線(ULFA)のメンバーとみているが、襲撃の背景などは明らかでない。
 ULFAはインド北東部などを拠点に反インド政府闘争を展開。インド政府は隣国バングラデシュにULFAの拠点があると主張し取り締まりを求めているが、バングラデシュ政府はそうした拠点の存在を否定している。(共同)

◎インド:南部タミルナド州で小学校火災、児童50人焼死(2004年7月16日、毎日新聞)
 PTI通信などによると、インド南部タミルナド州クンバコナムの小学校で16日、火災が発生、少なくとも50人の児童が焼死した。地元テレビは、約30人が負傷したと伝えた。
 AP通信によると、70人から100人が焼死したとの情報もある。
 調理室から出火したとの情報もあるが、確認されていない。煙に巻かれ、逃げ遅れたらしい。(ニューデリー共同

◎ヒョウが人間襲い、死者14人、インド西部の国立公園(2004年7月13日、朝日新聞)
 インド・ムンバイ郊外のサンジャイ・ガンジー国立公園にすむ野生のヒョウが、住民を襲う事件が続発している。今年になって19件発生し、14人の死者が出ている。
 この国立公園は、広さ約100平方キロ。広大な森に35頭前後のヒョウが生息している。マハラシュトラ州政府の森林局によると、犠牲者の多くは公園の中に不法に住み着いた住民というが、ヒョウが公園の外の住宅地に出没するケースもある。
 森林局は、ヒョウの餌としてブタやウサギなど500匹を公園に放す「緊急措置」を実施。触れると低電圧の電気が流れる塀を周囲に設けるなどの対応に追われている。

◎パキスタン:インド人女性医師に国外退去求める(2004年7月10日、毎日新聞)
 【イスラマバード西尾英之】私はパキスタン人になりたい−−。留学先でパキスタン人男性と恋に落ちて結婚、同国に移住したインド人女性医師、ハフサ・アマンさん(25)に対し、パキスタン政府は市民権授与を認めず国外退去を求めている。ヒンズーからイスラムに改宗してまで結婚したハフサさんへのパキスタン国内の同情心は高まる一方で、同国の裁判所は8日、政府に対し15日以内に市民権授与の可否とその理由を明らかにするよう命じた。
 ハフサさん(旧名ダヤバン・ダンさん)はインド南部ケララ州の出身。95年、留学先のウクライナで同じく留学中のパキスタン人医学生、アマン・ハーンさん(25)と知り合い昨年6月に結婚。ハーンさんの郷里のパキスタン北西部ペシャワル近郊へ移住した。
 夫のハーンさんはイスラム教徒。イスラムはキリスト教、ユダヤ教を除く他宗教との結婚を認めておらず、ハサフさんはヒンズーからイスラムに改宗。名前もアラビア語のものに改めた。
 ところが政府はビザの期限が切れた今年3月以降、ハフサさんの滞在を認めず国外退去を求め、応じない場合は拘束する姿勢を示した。パキスタンの法律ではパキスタン人男性と結婚した外国人女性にはパキスタンの市民権授与を認めている。関係改善が進んだとはいっても長年敵対関係にあったインド国籍であることが、滞在を認められない理由とみられる。
 ハフサさんは「私の郷里と彼の郷里は、宗教が違うだけで伝統も文化もとてもよく似ている。イスラムに改宗した私は、インドに戻れば保守的な父に殺される。パキスタン人として受け入れてほしい」と訴えている。

◎インド、国防費28%の大幅増、04年度予算案(2004年7月9日、産経新聞)
 インドのシン政権が8日に下院に提出した2004年度予算案で、国防予算は7700億ルピー(約1兆9000億円)と前年度の6030億ルピーから約28%の大幅増となった。
 隣国パキスタンとの関係改善が進んでいるが、シン首相は「国防費は過去3、4年無視されてきた」と軍事力近代化の必要性を指摘。事故が相次いでいるミグ21戦闘機の更新などを進めるものとみられる。
 インドのPTI通信は、今回の増額でも国内総生産(GDP)に占める国防費の割合は2.5%にすぎず、中国の6%、パキスタンの5.5%より、はるかに少ないとしている。(共同)

◎インドが中距離ミサイル「アグニ」の発射実験(2004年7月4日、日本経済新聞)
 【ニューデリー4日共同】PTI通信によると、インドは4日、東部オリッサ州で核弾頭搭載可能な地対地ミサイル「アグニ1」の発射実験を行い、成功した。
 同通信が国防省筋の話として報じたところによると、アグニ1は射程700キロで、可動式の発射台から海上に向け発射。液体燃料を使用し、今回の実験で時速約9000キロを達成したとしている。
 アグニ1は2002年1月25日に初めて発射実験に成功、03年1月にも実験を行った。

◎時速約9千キロ達成、印がミサイル「アグニ1」の発射実験(2004年7月4日、産経新聞)
 PTI通信によると、インドは4日、東部オリッサ州で核弾頭搭載可能な地対地ミサイル「アグニ1」の発射実験を行い、成功した。
 同通信が国防省筋の話として報じたところによると、アグニ1は射程700キロで、可動式の発射台から海上に向け発射。液体燃料を使用し、今回の実験で時速約9000キロを達成したとしている。
 アグニ1は2002年1月25日に初めて発射実験に成功、03年1月にも実験を行った。(共同)

◎インド外相、パキスタンARF加盟歓迎、予定外の発言(2004年7月2日、読売新聞)
 【ジャカルタ=吉形祐司】東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラムの冒頭で、新規加盟したパキスタンのカスリ外相が謝意を示した際、インドのシン外相が突然挙手して予定外の発言を求める一幕があった。シン外相の発言は、「パキスタンと共に、ARFの場で地域の平和と安定のために十分に協力していく用意がある」という、友好と歓迎を示したもの。対立してきた印パ両国は最近、外務次官級協議を開き、6月21日には中国の青島で外相会談を行うなど“雪解けムード”で、この日のハプニングもそんなムードを象徴した。

◎インド・パキスタン、核実験の停止継続で合意(2004年6月21日、読売新聞)
 【ニューデリー=林英彰】当地で開かれていたインドとパキスタンの核問題に関する専門家協議は、最終日の20日、両国外務次官の間に偶発的核戦争を回避するための専用ホットラインを設置することや、核実験停止の継続などで合意した。
 共同声明によると、両国間には現在、両国軍幹部の間に連絡体制が設置されているが、今回の協議では、新たに外務省高官をつなぐラインのほか、既存の連絡体制の機能向上を目指すことも合意された。現在は国軍幹部が週1回、定時意見交換を行う程度だ。また、今回の専門家協議は両国が1998年に核実験を行って以来初めてのものだったが、今後も協議継続することでも合意した。
 インド、パキスタン両国は核実験実施以後、国際社会から「核戦争の可能性が最も高い」との懸念を持たれてきた。今回の協議で、信頼醸成の上で一定の成果を上げたことは、国際社会に対して「偶発的核戦争の可能性が減った」ことをPRする形になった。両国は2002年、インド国会襲撃事件(2001年12月)をきっかけとして、互いに軍を国境沿いに集結させ、戦争の一歩手前の状況に陥るほど関係が悪化していた。
 また両国は、声明の中で、他の核保有国と「共有する懸念」についても、定期的な会合を行うよう提唱した。両国は現在、核拡散防止条約(NPT)に属しておらず、国際的核管理体制の外にある形だが、他の核保有国との協議要求には、核保有国としての認知を迫る意味もありそうだ。
 ただし、両国の核戦略などについては依然として隔たりが大きく、地元メディアによると、協議の中で、インドは核の先制不使用の方針をパキスタンにも求める一方、パキスタンは両国が必要最小限の核戦力の維持にとどめることを要求した。しかし、通常兵力ではインドに劣るパキスタン、中国を仮想敵国として核整備を進めているインドともに、相手の求めには応じられない立場だった。

◎印パ、核実験停止継続で合意(2004年6月21日、産経新聞)
 インドとパキスタンは20日、核兵器に関する信頼醸成措置を話し合う2日目の専門家協議(次官補級)をニューデリーで行い、核実験停止継続や2国間のホットラインの充実などで合意したとの共同声明を発表して協議を終了した。
 両国の専門家が核兵器について詳細に協議したのは初めて。カシミール問題などで対立する両国は今回の合意で、核兵器使用の危険性を減らすため、信頼関係の確立に向けて協力する方針をあらためて確認した。
 2002年に核戦争にも発展しかねない危機に直面した両国の関係改善は、南アジアの安定化に大きく寄与することは間違いない。
 共同声明では、双方が続けている核実験の一方的停止の継続、ミサイル発射実験の事前通告、双方の誤解を避けるため現在あるホットラインの性能や安全性を充実させる−ことなどをあらためて確認。今後も信頼醸成措置の拡充に向け、協議を続けることで合意した。
 両交渉団は協議内容を双方の外務省に報告、27、28両日にニューデリーで行われる外務次官協議でも引き続き核問題についての協議を重ねる。パキスタン交渉団はインドのシン外相とも会談した。
 今回の合意は1999年のバジパイ、シャリフ両国首相(当時)による合意を確認する内容だが、同年のカルギル紛争など厳しい対立を経て、双方が「非戦」に向け新たに協力を始めたことに意義がある。
 インドは核兵器の先制不使用を宣言したが、通常兵力で劣るパキスタンは核兵器による先制攻撃の可能性を否定していないなど、双方の核戦略には相違も大きい。(共同)
 インドとパキスタンの核兵器に関する専門家協議で発表された共同声明の要旨は次の通り。
 一、現在の軍当局レベルのホットラインの更新、拡充。外務次官間のホットライン新設。
 一、ミサイル発射実験の事前通告について最終合意に向け努力。
 一、核実験の一方的停止の再確認。
 一、1999年のラホールでの合意履行へ向け二国間協議を継続。
 一、すべての核兵器保有国による定例会合を要請。(共同)

◎印パ、核実験の凍結継続で合意、ホットラインの設置も(2004年6月21日、朝日新聞)
 19日から開かれていたインド、パキスタン両国の外務次官補級の信頼醸成協議は20日、双方が核実験停止措置を継続し、外務次官同士が緊急連絡をとる「ホットライン」を設置することなどを盛り込んだ共同声明を発表し終了した。対立から対話路線に歩み出していた両国が一層の緊張緩和を確認したものといえ、南アジア地域の安定化は一層進む兆しが出てきた。
 核実験について両国は98年5月、ともに実験を強行した後、「これ以上の実験は必要ない」として一方的な停止を表明。99年にラホールで行われた首脳会談でも確認していた。しかし、99年以降、パキスタンの軍事クーデターや印パ関係の悪化があり、核をめぐる対話が途絶えていただけに、今回の停止継続の再確認の意義は小さくない。
 ホットラインの設置はは、偶発的な核戦争や事故を避けるのが目的。従来は両国の陸軍で作戦を担当する幹部同士で、最低週1回連絡を取り合う体制があった。今回は、これを外務次官というより高いレベルに引き上げることになった。
 両国間では27、28日に外務次官、7月下旬には外相同士の協議がそれぞれ予定されており、今回合意された信頼醸成措置のほか、カシミール問題も含めた包括的な対話が進められる見通しだ。

◎印パで核の信頼醸成協議始まる、包括対話の進展に期待(2004年6月19日、朝日新聞)
 インドとパキスタンの核兵器をめぐる信頼醸成協議(外務次官補級)が、19日から2日間の日程でニューデリーで始まった。年初の首脳会談での合意に基づくもので、27、28日には外務次官、7月下旬に外相同士の協議が予定され、カシミール問題も含む包括的な対話の進展が期待される。
 核をめぐる印パ協議は99年のラホールでの首脳会談以来5年ぶり。偶発的な核戦争や事故を防ぐ信頼醸成の強化が最大の課題だ。99年には(1)ミサイル実験の事前通告(2)偶発を防ぐ連絡メカニズム確立(3)核実験の停止措置、などが合意されたが、さらに具体化し、徹底させることが求められる。
 パキスタン側は中長期的に核兵器を削減するため、保有数の開示を求める模様だ。しかし、インド側は、ナトワル・シン外相が「中国も含めた核ドクトリンが必要」と3国間協議を提唱し、パキスタンとの2国間交渉だけでは削減できないという姿勢を堅持している。むしろ、インドは自国が掲げる「核の先制不使用」の原則をパキスタンも採用するよう求めていくとみられる。

◎鉄橋で列車脱線、インド、12人死亡(2004年6月16日、産経新聞)
 インドからの報道によると、同国西部マハラシュトラ州で16日、ムンバイ行きの列車が川に架かる鉄橋の上で脱線し、少なくとも12人が死亡した。
 現場付近は豪雨が続いており、川を流れてきた大きな石が鉄橋の上に乗り上げていたといい、列車が石と衝突したとの報道もある。機関車は川に転落、客車2両も橋からぶら下がるような形になった。豪雨のため、救助作業は難航している。(共同)

◎インド核情報売却の疑いでドバイ在住の実業家逮捕(2004年6月14日、朝日新聞)
 インド各紙によると、アラブ首長国連邦(UAE)の警察当局が、インドの核技術の機密情報を売却しようとした疑いで、ドバイ在住のインド人実業家アフタル・フセイン容疑者(35)を逮捕した。12日、インド当局に身柄が引き渡された。
 UAE側の調べによると、同容疑者は核科学者である兄弟から情報を得て、ドバイで複数のアラブ諸国の外交官に売却しようとした疑い。
 ドバイは、パキスタンの核科学者カーン博士の側近だったスリランカ人実業家サイド・アブ・タヒール容疑者が核技術の闇取引の拠点にしていたことが明らかになっている。

◎インドが巡航ミサイル実験(2004年6月13日、日本経済新聞)
 【ニューデリー13日共同】PTI通信によると、インド東部オリッサ州の実験場で13日、インドがロシアと共同開発した超音速の巡航ミサイル「ブラモス」の発射実験が行われ、実験は成功した。
 同ミサイルは射程290キロで、通常弾頭を搭載。対艦ミサイルとして開発されたが、今回の実験では対地攻撃用の仕様について精度などが試された。

◎インド最大のソフト会社、新規上場を申請(2004年6月11日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インド最大のソフトウエア開発会社、タタ・コンサルタンシー・サービスズ(TCS)は10日、同国の証券取引監視委員会に対し新規株式上場を申請した。7月にもムンバイ証券取引所などに正式上場する予定。新規上場での資金調達額は史上最高となる見通し。
 ロイター通信によると、TCSの持ち株会社タタ・サンズによる売却分と公募増資を合わせた6300万株が新規上場の対象。上場後発行済み株式の10%強に達する。
 資金調達額は7億8000万〜8億9000万ドル程度と見られ、一度の株式売却としては今年3月に公募を実施したインド石油・天然ガス公社(ONGC)に次ぐ規模。新規上場では1993年に約6億9000万ドルを調達した新興財閥系の石油化学最大手リライアンス・インダストリーズを抜き過去最高額となる見込み。

◎インドのソフトウェア・関連サービス輸出、30%増(2004年6月7日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インドの情報技術(IT)関連企業でつくるインド・ソフトウェア・サービス業協会(NASSCOM)は、同国のソフトウェアと関連サービスの輸出額が昨年度(2003年4月〜04年3月)に、前年度比30.5%増の約125億ドルに達したとの統計を発表した。今年度は輸出額が163億ドルに拡大すると予測している。
 昨年度の輸出額内訳では、ソフト製作や関連サービスなどが同25%増の89億ドル、コールセンター業務受託など海外向けのビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)が同44%増で36億ドルに達した。また、売り上げの約70%を米国向けが占めた。
 同協会では「世界的なIT支出の伸び悩みや通貨ルピーの対ドル相場の上昇などの逆風にもかかわらず、インドのソフトウェア関連業界は成長力を維持している」と分析している。
 インドのソフト業界では最大手のタタ・コンサルタンシー・サービシズに続き、インフォシス・テクノロジーズとウィプロの2社が昨年度決算で初めて売り上げ10億ドルを達成した。

◎印パ外務次官級協議、6月27日から開催(2004年6月2日、読売新聞)
 インドのナトワル・シン外相は1日、記者会見し、カシミール地方の領有権問題などで対立するパキスタンとの間で、外務次官級協議を6月27、28の両日、ニューデリーで行うことで合意したと発表した。
 協議は、バジパイ前インド政権が、今年2月にパキスタン側と合意した日程に沿って行われるもの。5月に誕生した国民会議派主導のマンモハン・シン政権は、前政権が進めてきた和平プロセスに継続して取り組む方針を示していた。次官級協議では、カシミールや安全保障関連の問題を話し合う。(ニューデリー支局)

◎インドで初の国産機が飛行成功(2004年5月30日、産経新聞)

29日、インド南部バンガロールの飛行場に着陸する同国初の国産機「サラス」(AP)
 インド南部バンガロールで29日、同国が初めて独自に設計・開発した多目的機「サラス」(ヒンディー語で鶴の意)の飛行実験が行われ成功した。
 PTI通信などによると、同機は14人乗りの双発プロペラ機で米国製エンジンを搭載し、巡航速度は時速550キロ。旅客機や軍の偵察機などへの利用が見込まれている。実用化までに500時間の飛行が必要で、完了するのは2007年ごろとみられている。
 同機の開発は1991年に始まったが、98年のインドの核実験実施による米国の経済制裁で中断。制裁解除後の2000年に再開された。(共同)

◎インド新内閣の閣僚名簿発表、ベテラン起用目立つ(2004年5月24日、読売新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インドのマンモハン・シン新首相は23日夜、連立政権の閣僚名簿を発表した。最重要課題である経済改革を担う財務相に1990年代に商工担当国務相や財務相を歴任したP・チダンバラム氏(58)を任命した。外相には駐パキスタン大使などを務め、中国との関係も深い与党国民会議派長老のナトワール・シン氏(73)を指名した。
 治安維持の責任者である内相にはシブラジ・パテル元国会議長(68)が、国防相にはベテラン議員のプラナブ・ムケルジ元外相(68)がそれぞれ就任する。閣僚の数は無任所の国務大臣も含めて68人。主要ポストの多くは与党第一党の国民会議派が占めたが、他の連立政党党首らにも鉄道相、農業・食糧相、石炭・鉱物資源相などの重要ポストが割り振られた。閣僚人事では全般的に党長老やベテラン議員の起用が目立っている。カラム大統領は6月2日に新議会を招集。10日に新内閣の信任投票を実施する予定。

◎外相に元駐パキスタン大使、インド新内閣の閣僚発表(2004年5月24日、読売新聞)
 【ニューデリー=林英彰】インドのマンモハン・シン新首相は23日夜、大統領府を通じて28人の閣僚名簿を発表した。
 主要ポストを国民会議派のベテラン政治家で固めたのが特徴。外相にはナトワル・シン元駐パキスタン大使を起用。北京大学への留学経験もあり、会議派内でも有数の外交通として知られる。パキスタンと中国という、かつての戦争相手国に詳しいシン元大使の就任は、両国との関係を重視する新政権の姿勢を印象づける。
 また、財務相には、中道・左派政党などによる連立政権「統一戦線」(1996〜98年)でも同職を務めたP・チダムバラム元商業相が返り咲いた。
 国防相には会議派の重鎮であるプラナブ・ムカルジー元外相、内相にはシブラジ・パティル元下院議長が就任した。

◎インドのシン首相が主要閣僚人事発表、ベテラン中心に(2004年5月24日、朝日新聞)
 インドのマンモハン・シン首相は23日、主な閣僚人事を発表した。外相には元外務次官のナトワル・シン氏(73)、財務相にP・チダンバラム元財務相(58)、国防相にプラナブ・ムケルジー元外相(68)が選ばれ、ベテラン中心の布陣となった。
 ナトワル・シン外相は、外交官として米国や中国に駐在し、パキスタン大使も務めた。80年代後半にはラジブ・ガンジー政権で外務担当国務相を務め、中国との関係改善に努めた。外相としてもパキスタン、中国との対話と領土問題の解決が大きな課題となる。
 チダンバラム財務相は、90年代半ばのラオ政権で商業担当国務相を務め、当時は財務相だったシン首相とともに、経済改革路線を進めた重鎮。ムケルジー国防相もラオ政権で外相などを務めた。

◎印パ首脳が電話協議、関係改善評価、対話推進で一致(2004年5月24日、朝日新聞)
 PTI通信によると、22日に就任したインドのシン首相に、パキスタンのムシャラフ大統領が23日、電話をかけて就任を祝うメッセージを伝えた。両首脳は約20分間協議。今年1月の印パ首脳会談や、2月の外務次官級協議で関係改善が進んだことを評価し、今後、一層の対話を進めることで一致したという。
 また、シン首相はロシアのプーチン大統領から祝賀の電話を受け、両国間の「戦略的パートナーシップ」の強化について話し合ったほか、英国のブレア首相からも祝賀の電話を受けたという。

◎カシミールで地雷、バスの国境警備隊員ら33人死亡(2004年5月24日、読売新聞)
 インド北部ジャム・カシミール州の幹線道路で23日、同国の国境警備隊の輸送バスが通過中に、路上に仕掛けられた地雷が爆発し、隊員とその家族少なくとも33人が死亡した。
 同州のインドからの分離を求めるイスラム過激派組織「ヒズブル・ムジャヒディン」の報道官を名乗る人物が同日、地元メディアに対して犯行声明を出した。爆発が起きたのは、夏の州都スリナガルと冬の州都ジャムを結ぶ幹線道路上。
 インドでは22日に国民会議派主導の新政権が発足したばかり。過激派組織は声明の中で、組織の司令官が治安部隊に殺害されたことに対する報復とした。
 同州では、イスラム過激派によるパキスタンからの越境攻撃は減少しているが、州内には依然としてインドからの分離を求める過激派が潜伏している。(ニューデリー支局)

◎カシミールで地雷爆発、インド兵33人死亡、過激派声明(2004年5月24日、朝日新聞)
 PTI通信などによると23日午前、インド北部ジャム・カシミール州のスリナガルから約80キロ南の山中で、インド軍の車両が地雷を踏んで爆発、炎上した。乗っていた兵士とその家族ら計33人が死亡、十数人が負傷した。
 非番の兵士が妻子らと一緒にジャムの町に行く途中だった。犯行後、イスラム過激派のヒズブル・ムジャヒディンが犯行声明を出し、最近、インド軍に同グループの幹部が殺害されたことに対する報復だったと明らかにした。
 カシミールでは、5月10日に終わったインドの総選挙に絡み、過激派が投票所を襲うテロが散発的に起きていたが、これほど多くの兵士らが一度に殺害される事件は過去1年ほどの間、なかった。

◎バス爆破、兵士32人死亡、インド北部カシミール州(2004年5月23日、産経新聞)
 インド北部ジャム・カシミール州のスリナガルとジャムを結ぶ幹線道路で23日、国境警備隊のバスが地雷で爆破され、兵士とその家族少なくとも32人が死亡、十数人が負傷した。ロイター通信によると、イスラム過激派ヒズブル・ムジャヒディンが犯行声明を出した。
 カシミール地方の領有を主張するインドとパキスタンが今年1月に対話再開を合意して以来、最大規模の攻撃。インドのシン新政権が22日に発足したばかりで、政治的空白を突かれた形となった。
 爆発は、同州の夏の首都スリナガルの南約100キロにあるローアームンダ村の橋の近くで発生。
 カシミール地方のインドからの分離独立を求める武装組織は10以上あり、インドはパキスタンが支援していると批判してきた。両国の対話再開でカシミール問題の平和的解決へ向けた兆しが見えてきたが、イスラム過激派などは武装闘争の継続を言明。インド政府も武装組織の掃討作戦を続ける方針を示している。(共同)

◎インド新政権が発足、シン氏・シーク教徒初の首相(2004年5月23日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インドのマンモハン・シン元財務相(71)は22日、ニューデリーの大統領府で宣誓式を行い同国第13代首相に正式就任した。人口比2%の少数派シーク教徒として初の首相。総選挙で第一党となり8年ぶりに政権復帰した国民会議派主導の連立政権が発足し、経済改革の推進や貧困層対策、隣国パキスタンとの和平促進など多くの難題に挑む。任期は5年。
 式典ではシン新首相に続き閣僚内定者が担当省庁未定のまま相次ぎ宣誓した。新首相は同日中にも新閣僚の名簿を発表する予定。インド主要メディアによると、最重要ポストの財務相はシン首相の兼任が濃厚。外相には駐パキスタン大使や外務担当国務相などを歴任した会議派長老のナトワール・シン氏(73)、内相には同党ベテラン議員のプラナブ・ムケルジ元外相(68)がそれぞれ有力視されている。

◎インド首相にシン氏就任、少数派宗教出身者で初(2004年5月23日、朝日新聞)
 インドのマンモハン・シン元財務相は22日夕、大統領府で宣誓し、正式に首相に就任した。シン氏はシーク教徒。ヒンドゥー教徒以外の少数派宗教の出身者が首相になるのは初めて。国内の宗教対立の緩和や印パ関係の改善、経済改革の推進に期待がかかる。
 インド国内のシーク教徒は約2000万人。このうちパンジャブ州の分離独立を求める過激派が80年代に武装闘争を展開、84年に国民会議派のインディラ・ガンジー元首相を暗殺した。その会議派がシン氏を国政のトップに選んだことで「宗教紛争のひとつの終えんを象徴している」(UNI通信)との見方がある。
 また、シン新首相が分離独立前のパキスタン領出身であることから「隣国からの親しみと信頼を得やすい」との観測も出ている。パキスタンは外務省高官を24日に訪印させ、核管理をめぐる信頼醸成について協議をする予定で、前向きな対話姿勢を見せている。
 経済学者が首相に就くのも初めて。独立の英雄一族でもなく、宗教思想とも関係ない普通の知識人の登場であり、経済政策が最重要課題になったことを示している。

◎インド、新政権が発足(2004年5月22日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インド次期首相に指名されたマンモハン・シン元財務相(71)は22日、ニューデリーの大統領府で宣誓式を行い独立後14人目の首相に正式就任した。人口比で約2%の少数派シーク教徒としては初の首相。総選挙で第一党となり8年ぶりに政権復帰した国民会議派主導の連立政権が発足し、経済改革の推進や貧困層対策、隣国パキスタンとの和平促進など多くの難題に挑む。任期は5年。
 シン新首相は宣誓式の後、新政府の閣僚人事を発表する。インド主要メディアの報道によると、最重要ポストの財務相はシン首相の兼任が濃厚。外相には外交官出身で駐パキスタン大使の経験もある会議派長老のナトワール・シン氏(73)、内相には同党ベテラン議員のプラナブ・ムケルジ元外相(69)がそれぞれ有力視されている。会議派率いる連立与党は、各党の議席数に応じた閣僚ポスト配分で合意しており、大臣の数は無任所の国務大臣を含め約80人となる見通し。今回選挙で躍進し、計59議席を得た共産党などの左翼政党はすでに閣外協力を表明している。

◎インド・シン内閣が発足、23政党が参加・支持(2004年5月22日、読売新聞)
 【ニューデリー=林英彰】インド総選挙(下院、定数545)で第1党となった国民会議派のマンモハン・シン元財務相は22日夕、ニューデリーの大統領官邸で宣誓し、首相に就任した。同時に閣僚・準閣僚約67人も宣誓し、シン内閣が誕生した。
 シン氏はシーク教徒で、ヒンズー教徒以外の首相は、インド独立後初めて。
 新政権を担う与党連合「統一進歩連合」(UPA)には、閣外協力を表明した共産党勢力を含め20政党が参加。ほかに3政党が支持を表明している。
 シン氏は経済自由化を進める意向だが、改革に慎重な共産党勢力と、いかに折り合いをつけるかが課題となる。

◎インドのシン新首相就任、経済改革、和平が課題(2004年5月22日、産経新聞)
 インドのマンモハン・シン首相(71)が22日、就任宣誓を行い、新政権が発足した。8年ぶりに政権に復帰した国民会議派を中心に地方政党などによる連立政権で、農民や貧困層への配慮も欠かさない「人の顔をした経済改革」や、パキスタンとの和平推進などの課題に取り組む。
 シン首相はインド初のシーク教徒の首相。カラム大統領はイスラム教徒で、ヒンズー教徒が多数派の同国で少数派が両主要ポストを占めることになった。宗派や民族間の調和、政教分離の政権づくりも重要課題だ。
 左派共産党などが閣外支持に回ったため、政権自体は確定した539議席のうち会議派やドラビダ進歩同盟など計217議席の少数内閣となる。新与党連合は「統一進歩連合」と命名された。
 新内閣の全容は明らかになっていないが、シン首相は財務相を兼務、外相には会議派のナトワル・シン元外務担当国務相、内相にプラナブ・ムカジー元外相などが有力視されている。
 総選挙でバジパイ前政権の与党連合が敗北。第一党になった会議派のソニア・ガンジー総裁が首相就任を辞退し、シン氏を指名した。
 シン首相は1991年にラオ内閣の財務相に就任、経済自由化に踏み切り改革を進めたことで知られる。(共同)

◎「経済改革モデル示す」、インド新首相のシン氏が抱負(2004年5月20日、朝日新聞)
 インドの新首相に任命された国民会議派幹部のマンモハン・シン元財務相(71)は19日夜、大統領府で記者会見を行い、「社会経済の開発を進め、『21世紀をインドの世紀に』という故ラジブ・ガンジー元首相のビジョンを実現したい」と抱負を語った。
 また、農民らの間に貧富格差の拡大への不満が広がり、政権交代の背景になったことを意識し、「貧困層や抑圧された人々の声が開発に反映する経済改革モデルを示したい」と述べた。特に、農業対策や雇用拡大の大切さを強調した。
 同席した国民会議派のソニア・ガンジー総裁は「(自分の首相就任に)多くの圧力がかかったが、今、すべてが落ち着き、ハッピーだ」と笑顔を見せた。

◎インド:次期首相にシン元財務相、数日中に新政権発足(2004年5月20日、毎日新聞)
 【イスラマバード西尾英之】13日開票されたインド総選挙で第1党となった国民会議派は19日、首相就任を辞退したソニア・ガンジー総裁に代わる次期首相候補に、90年代の経済改革で国民の人気が高いマヌモハン・シン元財務相(71)を選出した。カラム大統領は同日夜、シン氏と会談し同氏による組閣を了承した。数日中にシン政権が発足する見通しとなった。
 大統領との会談後、シン氏は記者団に「(新政権は)経済改革を継続する」と述べ、政権交代で動揺している株式市場や投資家に「パニックになる必要はない」と呼びかけた。
 会議派は19日、改めてソニア総裁に首相就任を要請したが拒否された。ただ総裁は会議派の最高指導者である総裁にとどまる考えを示した。会議派が連立を組む地域政党や左派系政党の大部分が「会議派の選択を尊重する」として、シン氏の首相就任を受け入れている。
 シン氏はデリー大学経済学部の教授などを務めた後政界入りし、会議派政権時代の91年から5年間財務相を務めた。この間それまでの旧ソ連寄りの社会主義的な経済体制から親米、開放経済体制への転換を図った。
 シン氏は現在パキスタン領になっている西パンジャブ地方の生まれ。インドでは少数派のシーク教徒で、同国初の多数派ヒンズー教徒以外からの首相となる。

◎シン氏を首相候補に選出、インド会議派、組閣協議へ(2004年5月19日、産経新聞)
 インドの国民会議派は19日、両院議員総会を開き、前日の総会で首相就任を辞退したソニア・ガンジー総裁(57)に代わる首相候補にマンモハン・シン元財務相(71)を選出した。元財務相らは同日中にもカラム大統領を訪問、組閣について協議する。
 シン元財務相は、1990年代初めの経済自由化を進めたことで知られ、就任すれば初のシーク教徒の首相になる。
 ガンジー総裁は19日、同派への支持を表明している左派共産党や地域政党のドラビダ進歩同盟の指導者と相次いで会談。辞退について「決意は変わらない」と説明し、シン元財務相擁立に理解を求めた。また国民会議派の総裁にとどまる意向を明らかにし新首相への全面的な支持を要請した。
 19日付インド英字紙ヒンドゥスタン・タイムズは一面トップで、首相就任を辞退した総裁の決断を「アメージング・グレイス(驚くべき美しさ)」とたたえるなど、メディアには「政治的な混乱を避けるため自らを犠牲にした」(地元記者)決断への高い評価が目立った。
 ヒンディー語紙サハラは「ガンジー、ソニア」との見出しで、政治的ポストを求めなかったインド建国の父、マハトマ・ガンジーと並べて総裁を称賛した。(共同)

◎インド首相にシン元財務相任命(2004年5月20日、朝日新聞)
 インドのカラム大統領は19日夜、国民会議派幹部のマンモハン・シン元財務相(71)を首相に任命した。20日にも宣誓式を行い、正式に就任する予定。ソニア・ガンジー総裁が首相就任を辞退したことで混乱した政局は収拾に向かい、新政権が発足する。
 シン氏は敬虔(けいけん)なシーク教徒で、90年代に財務相として経済改革に着手したエコノミスト。シーク教徒の首相就任は初めて。
 会議派は総裁の辞退表明に対し、常任委員会の全員が抗議の辞表を提出し、19日も総裁の翻意を促した。しかし、同日午後、説得を断念。議員総会でシン氏擁立を決め、連立与党も合意した。
 シン氏は中央銀行総裁を経て、91〜96年に会議派のラオ政権で財務相を務めた。91年には旧ソ連崩壊と湾岸戦争の影響で起きた外貨危機の克服に手腕を発揮。経済改革を始めたことで国際的な知名度は高い。
 現在は間接選挙で選ばれた上院議員だが、政治家の経験は十分と言えず、ガンジー総裁に比べて党内の求心力は弱い。会議派としては、経済改革の推進を印象づけ、経済界の信任を得る狙いがある。これを受けて株式市場も反転した。

◎住友商事、インドで世界最大級の排出権取得事業(2004年5月19日、日本経済新聞)
 住友商事は英化学大手イネオス・フローなどと共同で、インドで世界最大級の温暖化ガス排出権取得事業を来年から始める。地球温暖化防止・京都議定書の規制対象で、温暖化効果が大きい代替フロンを破壊、二酸化炭素(CO2)換算で年間500万トンの排出権を獲得する。日本では従来の省エネルギー対策では京都議定書のCO2削減義務達成が難しくなっている。排出権取引の活用は不可欠とみられ、民間による海外からの排出権取得の動きが加速しそうだ。
 住商、イネオスは現地の化学会社グジャラート・フルオロケミカルズと共同で、グジャラート社のフロン工場に副産物として出てくる代替フロンを回収・破壊する装置を設置する。この代替フロンはオゾン層は破壊しないが、温室効果はCO2の1万1700倍。無害なため大気中に放出してきたが、加熱処理してCO2と蛍石に変換する。年間500万トンの排出権は1990年度の国内の産業部門のCO2排出量の約1%、日本全体の約0.4%に相当する。排出権価格を一トン500円とすれば売却益で年25億円の収入が見込める。

◎ガンジー総裁がインド首相就任辞退、伊出身反発に考慮(2004年5月19日、読売新聞)
 【ニューデリー=林英彰】インド総選挙で下院第一党となり、首相就任が確実視されていた国民会議派のソニア・ガンジー総裁(57)は18日、会議派の両院議員総会で演説し、首相就任を辞退すると述べた。
 地元テレビなどによると、会議派は同日中にもあらたな首相候補となる議員団長の選出作業に着手するという。候補には、マンモハン・シン元財務相らの名があがっている。
 ガンジー総裁は、首相就任辞退の理由について、「首相職は私の目的ではなく、内なる声に従った」とだけ述べたが、暗殺されたラジブ・ガンジー元首相の夫人だった総裁がイタリア生まれで、他党から「外国人出身者がインドの首相になるのはふさわしくない」と攻撃を受けていたことが背景にあると見られている。
 選挙で敗れた元与党インド人民党は、ガンジー総裁の首相就任に反発し、就任宣誓式をボイコットする方針を明らかにしていた。
 ガンジー総裁は、独立インドを支えてきた名門「ネール・ガンジー家」の一員としてのカリスマ性をてこに会議派を勝利に導いた。会議派議員や支持者の間には、あくまでも「ガンジー首相」の誕生を求める声も少なくない。会議派との連携を決めた政党の中にも、総裁の首相就任辞退を受け、連携関係の見直しを示唆する党もあり、新政権の行方も不透明となっている。

◎インド、国民会議派の連立工作が週内にも本格化へ(2004年5月14日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】13日開票のインド総選挙で勝利し政権復帰を確実にした最大野党・国民会議派(ソニア・ガンジー総裁)による組閣工作が週内にも本格化する見通しだ。会議派率いる野党連合は下院(545議席)で220議席近くを獲得するとみられるが、過半数の273議席には50議席以上も不足している。このため左派政党や有力地方政党との連立で安定多数の確保を目指す構えだ。
 ソニア総裁は13日夜、会議派幹部らによる選挙後初の会合を主宰し、連立構想を巡って協議した。総裁は会議後の記者会見で「数日以内に組閣作業が活発化するだろう」と述べた。同総裁の政策秘書は、会議派が14日に今回当選した党員らを含めた集会を開き、15日には野党連合に参加した他政党の指導者らとの合同会議に臨む予定だ、と語った。

◎ガンジー氏、翻意せず、混迷深まるインド首相選び(2004年5月19日、産経新聞)
 インド国民会議派のソニア・ガンジー総裁(57)が18日、同派の両院議員総会で首相就任を辞退したことに対し、議員総会は再考を求める決議を採択した。だが総裁は翻意せず、「世界最大の民主主義国家」の首相選びは混迷が深まっている。
 総裁は代わりの首相候補にマンモハン・シン元財務相を推し承認を求める意向だが、議員総会では協議に至らなかった。
 総会では所属議員らが次々に演壇に立ち「あなたの指導で選挙に勝てた」「全国民が期待している」などと翻意を促した。総裁はじっと耳を傾けていたが最後に発言、「あなた方が苦しんでいることは分かっている。でも、私を信頼してくれるなら、許してほしい」と決意が変わらないことを強調した。
 ニューデリーでは会議派本部や総裁公邸に集まった支持者が、総裁の首相就任に反対するインド人民党の事務所に押し掛け、双方の党員同士がにらみ合う場面もあった。
 AP通信によると、総裁の長男、ラフル氏は、総裁が少なくとも5日前に「首相にはならない」と述べていたと語った。(共同)

◎ガンジー氏、首相就任辞退 伊出身に攻撃、インド(2004年5月19日、産経新聞)
 インド総選挙で国民会議派を第一党に導き、首相就任が確実視されていた同派のソニア・ガンジー総裁(57)は18日、同派の両院議員総会を招集し「首相就任を辞退する」と表明した。
 総裁がイタリア出身であることに対し、総選挙で敗北したインド人民党を中心に攻撃が強まっており、総裁は国政混乱を避けるとともに、経済界の不安解消を狙ったとみられる。しかし、名門「ネール・ガンジー家」の総裁に対する人気が選挙勝利の要因だっただけに、新政権発足までには曲折も予想される。
 地元テレビによると、ガンジー総裁は新首相の候補にベテラン政治家、マンモハン・シン元財務相を指名、同総会で承認を求める見通し。
 総会は「ノー、ノー」と叫ぶ議員らで騒然となったが、総裁は「権力や地位は求めてこなかった」と心情を述べ「安定した政府をつくることが最優先」と理解を求めた。ニューデリー中心部の会議派事務所や総裁の自宅周辺には数百人の支持者が集まり、総裁の翻意を要求。短銃を額につけて自殺を図ろうとした人もいた。
 インド人民党は、外国生まれの首相は「国辱」(同党幹部)として就任宣誓式のボイコットを決めたほか、全国で「反ソニア運動」を展開すると表明。カラム大統領に対し、ガンジー総裁の首相就任反対を伝えていた。
 総裁は18日、大統領と次期政権について協議したが、大統領は支持政党の詳細などを求め、公式な組閣要請を行わなかった。
 会議派に閣外協力を決めている左派共産党の幹部は、総裁の長男、ラフル氏(33)ら「2人の子供が総裁の身の危険を案じて就任に反対している」と語った。
 総裁の夫、ラジブ・ガンジー元首相は1991年に暗殺され、総裁の義母、インディラ・ガンジー元首相も84年に暗殺されている。

 インド総選挙で国民会議派の「誰も予想しなかった」(インド人民党党首)勝利を導いたソニア・ガンジー総裁が18日、確実視された首相就任を辞退した。会議派の8年ぶり政権復帰と、3人の首相を輩出した名門「ネール・ガンジー王朝」の復活など周囲が沸き立つ中、総裁は安定政権確立を模索し混乱を避けるために冷静な判断を下したといえる。
 しかし支持者の失望は大きい。新たな首相候補とされるシン元財務相を中心に、会議派が今後想定される連立政権でどう求心力を維持するかが焦点となる。政治的な余波はまだ続きそうだ。
 総裁には「イタリア生まれ」「政治経験不足」などの弱点があった。10億の人口を抱え、最先端産業から最貧困層まで共存する複雑な大国を率いるのは容易ではない。
 高い経済成長も、バジパイ前首相の豊かな経験とバランス感覚からくる抜群の安定感があったからだ。株価の乱高下は経済界の不安を反映した。
 生命の危険にさらされる恐れも高まった。総裁は選挙戦中、既に何度かの「脅威」があったことを明らかにしている。
 夫の故ラジブ・ガンジー元首相ら一族が守った会議派の再興を目指し、今回選挙で目的を果たした。その政権安定のために身を引くことが望ましいと考えたとみられる。(共同)

◎ソニア・ガンジー氏が首相就任辞退を表明、インド(2004年5月18日、朝日新聞)
 インド総選挙に勝利した国民会議派のソニア・ガンジー総裁は18日、会議派の議員総会で声明を発表し、事実上決まっていた首相への就任を辞退することを表明した。総裁がイタリア生まれなのに対し、野党の攻撃が激化しており、政権の不安定要因になることを懸念したとみられる。代わりの首相候補に会議派幹部のマンモハン・シン元財務相の名前が浮上している。
 総裁は声明を読み上げ「首相になることが目的ではなかった。辞退させていただく」と述べた。出席者からは強い抗議の声が上がったが、「理解してほしい」と訴えた。
 総裁は同日午前、大統領府でカラム大統領に会見し、組閣の考えを説明したばかり。19日にも大統領府で首相任命と宣誓式があるとみられていた。
 しかしその後、会議派幹部に対して「国を分裂させることは出来ない。首相になりたくはない」と述べたらしい。17日夜にも就任をためらう発言をし、周囲が説得に努めたという。
 総裁は総選挙に勝利後、党内と主な連立与党の支持を得て、首相就任が事実上決定していた。しかし野党の人民党を中心に「外国人の首相就任は国辱だ」との攻撃が続いていた。

◎通信各社、インドでのサービス強化・需要増見込み(2004年5月18日、日本経済新聞)
 通信各社がインドでの日系企業向けサービス強化に乗り出した。NTTコミュニケーションズが現地の通信事業者と提携し、インターネットを利用した低料金のデータ通信サービスを始めるほか、KDDIは現地営業拠点の整備に着手した。経済成長が見込めるインドを中国に続く有力市場と位置付けて進出する日系製造業などが増えると判断、サービス体制を整えることにした。
 NTTコムはインドの国際通信最大手のVSNLと提携し、今月中に従来の専用線に比べ半額程度の国際データ通信サービスを開始する。NTTコムの持つ日印間のIP(インターネットプロトコル)ネットワークの一部を顧客企業の仮想専用線として利用。VSNL社内にNTTコムと同仕様の設備を設置するなどで日本国内と同等の通信品質とする。

◎インド自動車輸出、昨年度は8割増(2004年5月17日、日本経済新聞)
 インドの自動車各社による輸出が急増している。欧州やアフリカ、近隣の南アジア諸国向けがいずれも好調で、昨年度(2003年4月〜04年3月)の乗用車輸出は前年度比79.6%増の約12万9000台となった。年初以降続いていた通貨ルピー高傾向が緩和に向かっていることなどから、各社とも今年度はさらに輸出に重点を置く方針を鮮明にしている。
 日本のスズキが54.2%出資するインド最大の自動車メーカー、マルチ・ウドヨグ社は前年度比59.6%増の約5万1000台を輸出した。主力の小型車アルトが欧州市場で好評だ。インド現代自動車は前年度の4.7倍の約4万2000台を輸出。有力財閥傘下のタタ自動車も輸出が急伸した。インド自動車各社による乗用車販売台数は昨年度、輸出を含めて前年度比32%増の103万台に達し初めて100万台の大台に乗せた。各メーカーは今年度も内需拡大と海外需要の開拓で国内販売、輸出ともに二ケタ増を確実視している。(ニューデリー支局)

◎インド首相確実なガンジー氏、寄り合い政権で前途多難(2004年5月15日、読売新聞)
 【ニューデリー=林英彰】インド国民会議派のソニア・ガンジー総裁は15日、新首相への就任を確実にしたが、前途は多難だ。
 外国出身問題という第一関門は突破したものの、「バジパイ政権打倒」の思惑だけで結集した連携政党を束ねるのは容易ではない。政治経験も浅く、カシミール地方の領有問題で対立するパキスタンとの関係改善など、前政権から積み残された課題に手腕を発揮できるかも未知数だ。
 「我々は、連携諸政党を尊重し、密接な関係を保っていく」。ガンジー氏は15日、国民会議派の議員団長に選出された後、自党の当選議員らに向かって強調した。しかし、連携政党との話し合いでは、各党の利害衝突が早くも表面化し、政権の安定を不安視する声が強まっている。
 最大の不安材料は、共産党勢力の動向だ。政権与党が国会内で過半数を確保するには、共産党勢力の協力が不可欠。しかし、前政権を踏襲して経済の自由化を進めたい会議派に、「労働者の権利確保」を掲げる共産勢力が異論を唱える公算は大きい。このため国内では「産業合理化が進まなくなり、改革の速度が鈍る」(クルディップ・ナヤル元駐英印大使)との懸念が急速に拡大している。
 また、南部タミルナド州を席巻し、会議派勢力の躍進に貢献した「ドラビダ進歩同盟」(DMK)も、政権の「時限爆弾」となる可能性がある。「新首相」の夫、ラジブ・ガンジー元首相は、スリランカ紛争鎮圧のため、同国に平和維持軍を派兵。それが、当時DMKが支援していた独立派ゲリラ「タミル・イーラム解放のトラ」(LTTE)との戦闘に発展したため、LTTEが報復として元首相を暗殺した。両党の間に残る遺恨が、政権内の不協和音につながる恐れは十分にある。
 外交も、新首相にとっては未経験の分野だ。パキスタンとの和平プロセスは、「印パ和解」をライフワークに位置づけてきたバジパイ首相が、パキスタンのシャリフ元首相、ムシャラフ大統領らと個人的な信頼関係を築いたうえに前進させてきた。ガンジー氏は13日、記者団に対し、対パ関係で「バジパイ路線」を踏襲する意向を表明したが、ガンジー氏がパキスタンとすんなり信頼醸成を進められるかは、現時点で不透明だ。
 対米関係についても、米国との協調路線を打ち出したバジパイ政権時代よりも、若干距離を置くことになりそうだ。歴史的に「国連中心主義」「非同盟主義」を唱えてきた会議派は、バジパイ政権が米国からイラク派兵を求められた際に猛反対し、派兵を断念させた経緯がある。しかし対米関係を後退させれば、米国からの投資誘致にも悪く響くのは確実だ。

◎インド新首相にガンジー総裁決定、義母に次ぎ女性2人目(2004年5月15日、朝日新聞)
 インドの新首相に国民会議派のソニア・ガンジー総裁(57)の就任が15日、決まった。女性首相は義母の故インディラ・ガンジー元首相に次いで2人目。初の外国(イタリア)出身者となる。10億人を抱える国の政治・治安の安定と経済発展が課題だ。週明けにもカラム大統領の任命を受けて正式に就任する見通し。
 総選挙で第1党の座を獲得した会議派は同日、当選議員の総会を開き、首班にガンジー総裁を選んだ。会議派は十数政党で連立政権を構成、他の連立与党に強い異論はなく、首相就任が決定した。同総裁は総会で「他の連立与党と緊密に協力しながら、国民、農民のために働きたい」と抱負を述べた。
 ソニア氏は暗殺されたラジブ・ガンジー元首相の妻。保守層や野党の間には、外国出身を理由に首相就任に難色を示す声もあったが、すでにインド国籍を持ち、ヒンディー語も堪能。国民の人気も高い。劣勢の予想を覆して選挙に勝利し、党内で求心力を強めた。
 同総裁には野党党首としての政治経験しかなく、国政運営の手腕は未知数だ。連立与党の議席は過半数に満たず、政権基盤も弱い。現在、閣外協力も含めて左翼政党への多数派工作を進めているが、経済改革の推進には抵抗が予想される。野党に下ったインド人民党との攻防も激しくなりそうだ。
 新首相は、バジパイ前政権下で高度成長した経済をさらに発展させることが求められる。外交面では、パキスタンや中国との対話路線を継続し、「南アジアの大国」として地域協力に指導力を発揮できるかどうかが課題だ。内政では、人口の約10%を占めるイスラム教徒などとの融和を進めることが重要になる。
 会議派の政権復帰は96年以来、8年ぶり。

◎インド総選挙で勝利したガンジー氏、「数日内に組閣」へ(2004年5月14日、朝日新聞)
 インドの総選挙で勝利し、首相就任が確実視されている国民会議派のソニア・ガンジー総裁は13日夜、党本部で記者会見し、2、3日中に組閣を進める考えを表明。「第1党の党首として強靭(きょうじん)で安定した、政教分離の政権を組む指導力を示したい」と意欲を述べた。自らの首相就任については明言を避けたが、14日に会議派を支持する政党連合の指導者との会合があり、そこで主要人事が協議される見通しを示した。
 下院(定数545)の総選挙は13日深夜までに大半の開票が終了。地元テレビによると、会議派と政党連合の議席が計219、インド人民党など前政権の与党陣営が計188となっている。
 会議派と政党連合の議席は過半数には届かない見通しだが、インド共産党や地方政党の社会党など左翼政党を取り込む多数派工作の協議が水面下で進んでいる。
 一方、バジパイ前首相は13日夜、選挙の敗北を認め、カラム大統領に辞表を提出した。この後、テレビで演説し、「新政府の努力が国益に沿ったものである限り、私たちは協力の手を差し伸べる」と会議派にエールを送った。また、パキスタンや中国との対話路線については、「平和と協力、友好の新しい章が開かれることを祈っている」と述べた。

◎ガンジー総裁軸に連立協議、総選挙勝利の国民会議派(2004年5月14日、産経新聞)
 インド総選挙で勝利した国民会議派(ソニア・ガンジー総裁)は13日夜、幹部会議を開き、ガンジー総裁を首班とする政権発足を目指し連立協議に本格的に動きだした。ガンジー総裁は「安定し宗教色のない政権の成立を目指す」と述べ、会議派主導の新政権樹立に強い意欲を示した。
 これまでに左派共産党などが閣外協力を表明しているほか、社会党や大衆社会党も会議派を中心とした「世俗政党の結集」に協力する姿勢を見せている。
 しかしイタリア生まれのガンジー総裁の首相就任に反対論もあり、新政権発足には一定の時間がかかるとみられる。
 総選挙に敗北、辞任したバジパイ前首相(現首相代行)は声明で「思わぬ敗北。政権は渡すが国家への責任は変わらない」と述べ、次期政権に協力姿勢を示した。
 一方、選挙管理委員会は公式選挙結果を発表。議席数は会議派146、会議派支持勢力は合計217。閣外協力を約束している左派共産党を含めると、会議派中心の連合は既に過半数を確保した。
 これに対し人民党は139、同党を中心にした国民民主連合(NDA)は187だった。(共同)

◎インド総選挙、与党連合敗北 「貧者の反乱」大番狂わせ 貧富拡大、思惑裏目(2004年5月14日、産経新聞)
 【バンコク=鈴木真】十三日に開票されたインドの総選挙は与党連合の敗北という大番狂わせとなった。高度経済成長の実績を掲げ、予定を六カ月繰り上げて選挙にのぞんだ与党、インド人民党(BJP)の思惑は完全に裏目に出た。最大の敗因は、経済発展に取り残された農民や地方による「貧者の反乱」である。
 インドは六年にわたるバジパイ政権下で経済自由化と積極的な外資導入を進めた。これが功を奏し、二〇〇三年度(二〇〇三年四月−二〇〇四年三月)は約8%の高度成長を達成した。昨年第四・四半期に限れば前年同期比で10.4%増と中国を上回った。
 この実績を背に、BJPは自信満々で選挙にのぞみ、下馬評もバジパイ政権の続投を予想する見方が支配的だった。これに対し、国民会議派を中心とする野党勢力は経済成長の陰で貧富の格差が拡大しているとし、政府の政策を「弱者切り捨て」と攻撃した。
 結果的にこの主張が国民のより多くの支持を得たことになり、「世界最大の民主主義国家」インドは劇的な形で民主主義が機能していることを証明したといえる。
 その象徴は南部アンドラプラデシュ州での政権交代だ。同州はバンガロールを抱えるカルナタカ州とともにインドを代表するハイテク州だが、総選挙と同時に行われた州議会選でIT(情報技術)振興の旗を振った与党が惨敗した。
 圧勝した国民会議派は州政府の企業優先策が農民などの反発を招いたと分析している。インド全体では一日一ドル以下で暮らす貧困層がまだ約三億人いるといわれ、この層を中心に野党勢力に支持が流れたようだ。
 もう一つ、宗教的要因を挙げる見方もある。BJPは近年、穏健な性格を強めているが、本来、ヒンズー教至上主義の政党だ。国民会議派は「非宗教」が党是でありBJPの宗教的偏りを批判していた。
 西部のグジャラート州では一昨年、ヒンズー教徒とイスラム教徒の抗争が発生、千人近いイスラム教徒が殺された。同州はBJPの牙城だが、今回の総選挙では国民会議派が躍進し、BJP批判の高まりを示した。

≪国民会議派≫
 独立運動を率いたマハトマ・ガンジーや、後の初代首相となるネールらが1885年に創設した。1969年に左右に分裂。ネールの長女、インディラ・ガンジーは78年、ガンジー派国民会議派を結成したが、84年に暗殺された。同年の総選挙後、長男のラジブが首相に就任したが、89年の総選挙で大敗。91年、ラジブは遊説中に爆弾テロで死亡したが、国民会議派は総選挙で政権に復帰した。政権を引き継いだナラシマ・ラオ氏は、統制経済から自由化を目指したが、96年総選挙で敗北。2年後の総選挙でも、大差で敗北し、政権を少数連立内閣のバジパイ氏に譲った。

≪最近のインド政治の動き≫
 1998・3 インド人民党(BJP)の総選挙圧勝を受け、第二次バジパイ内閣発足。国民会議派総裁にソニア・ガンジー氏就任
    5 24年ぶりの地下核実験実施
  99・2 ラホールでバジパイ首相とシャリフ・パキスタン首相が会談
    10 総選挙でBJP主導の国民民主連合勝利、第三次バジパイ内閣発足
 2001・7 バジパイ首相がインド・アグラでムシャラフ・パキスタン大統領と会談
    12 ニューデリーの国会議事堂襲撃を受け、印パ関係が緊張。両国軍が展開
  02・2 西部グジャラート州でヒンズー教活動家を乗せた列車にイスラム教徒が放火、宗教抗争に発展
  04・1 バジパイ首相がイスラマバードを訪問し、ムシャラフ大統領と会談。カシミール問題などの協議開始で合意
    2 インド下院解散
    4 総選挙投票(5月まで)

◎野党国民会議派が勝利、インド総選挙(2004年5月13日、産経新聞)
 インド総選挙(下院、定数545)の開票が13日行われ、地元テレビの開票速報によると、国民会議派を中心とする野党連合が219議席を獲得、バジパイ首相率いるインド人民党主導の与党連合の188議席を抑え、勝利した。
 これにより、伝統政党の会議派が約8年ぶりに政権に復帰する見通しとなった。ソニア・ガンジー総裁が首相に就任する可能性が高い。ヒンズー主義政党の人民党は約6年維持した政権の座から去る。バジパイ首相は同日、与党連合の敗北を受け辞任した。カラム大統領は辞表を受理した上で、次期政権発足まで職務を代行するよう求めた。首相は同日夜、国民向けに声明を発表、「政権は離れるが、国家への責任は放棄しない」と述べた。
 会議派は147議席を獲得し第一党となったことから連立協議を開始。ただ野党連合は過半数には達しておらず、今後、左派共産党など左派系政党から閣外協力などを取り付ける多数派工作を行う見通しだ。ガンジー総裁がイタリア生まれであることなどから首相就任に反対意見もある。人民党は137議席。
 バジパイ首相は好調な経済などを背景に任期終了の半年前の2月に議会を解散。「2020年までに先進国入り」の目標を掲げ「輝くインド」キャンペーンを展開した。しかし約10億人の国民の約3割を占める成長から取り残された貧困層や、農村部の有権者が反発、国民会議派の支持に回ったとみられる。
 地域政党などその他の政党や無所属が132議席を占め、再投票などのため4選挙区は開票されない。2議席は大統領任命。
 投票は4月20日から5月10日まで5回に分けて行われた。初めて電子投票機約100万台を導入し投開票作業の効率化に効果を示した。(共同)

・国民会議派
 1885年に結成されたインドで最も歴史ある政党。マハトマ・ガンジー主導の下、独立運動を率いた有力者が結集した。69年に分裂。78年にインディラ・ガンジーがガンジー派国民会議派を結成、総選挙で勝利したが84年に暗殺され同年、息子のラジブ氏が首相に。経済状況の悪化などで89年総選挙で大敗。91年にラジブ氏が暗殺されたが総選挙で政権を奪還、ラオ氏が政権を担い、96年総選挙で大敗し下野した。2年後、ラジブ氏の妻でイタリア生まれのソニア・ガンジー氏が総裁に就任した。(共同)

・インド人民党
 1980年にヒンズー至上主義の旧ジャンサン(大衆連盟)党系が結成。89年総選挙で支持母体の民族義勇団(RSS)の協力やインド北部アヨーディアのモスク(イスラム教礼拝所)破壊事件につながったヒンズー意識の高揚などで躍進。96年の総選挙で第1党となり第1次バジパイ政権ができたが13日間で崩壊。98年総選挙で182議席を獲得し第2次バジパイ政権が発足。99年総選挙でも勝利し、経済成長や対中国、パキスタン関係改善などを実現した。(共同)

≪威力示した電子投票≫
 インド政府は今回の総選挙で、6億人を超す有権者がボタン一つで投票できる電子投票機を約100万台導入、迅速な開票作業を実現した。前回大統領選挙で混乱があった米国のほか、日本や欧州からも注目されている。
 投票機には候補者名と政党のマークが記され、ボタンを押して投票する仕組み。投票結果は各機に記録・保存され、開票所に集められ一斉に集計される。選挙準備で山間部の投票所に象を使って投票機を運ぶ様子が新聞などで報じられた。
 2002年9〜10月のジャム・カシミール州議会選挙でも使われ効果を示した。
 関係者によると、AP通信社では米国内の編集部が高い関心を示し「同投票機の詳しい情報を」と指示。各国外交団でも話題になっているほか、日本の民間コンサルタント会社も現地入りし、調査した。(共同)

≪最近のインド政治の動き≫
 最近のインド政治に関する主な動きは次の通り。
 ・1998年3月 国民会議派でガンジー総裁就任。総選挙でインド人民党が第1党、少数連立の第2次バジパイ政権発足
 ・5月 インドとパキスタンが核実験
 ・99年2月 ラホールでバジパイ首相とシャリフ・パキスタン首相が会談
 ・4月 インド下院で信任投票が否決され連立政権が崩壊、下院解散
 ・5〜7月 ジャム・カシミール州でインドとパキスタンが軍事衝突
 ・9〜10月 総選挙で人民党主導の国民民主連合が勝利、第3次バジパイ政権発足
 ・01年7月 バジパイ首相がインド・アグラでムシャラフ・パキスタン大統領と会談
 ・12月 武装グループがインド国会議事堂襲撃
 ・02年2〜3月 グジャラート州で宗教暴動
 ・04年1月 バジパイ首相がイスラマバードを訪問し、ムシャラフ大統領と会談。カシミール問題などの協議開始で合意
 ・2月 インド下院解散
 ・4−5月 総選挙投票
 ・5月13日 総選挙が開票。国民会議派など野党連合勝利
 (共同)

◎インド総選挙で与党が敗北、首相辞任、政権交代(2004年5月14日、朝日新聞)
 インド下院(定数545)の総選挙は13日、開票され、国民会議派を中心とする野党連合が、事前の予想を大きく上回って得票を伸ばし、96年以来8年ぶりに政権を奪回することになった。与党インド人民党(BJP)のバジパイ首相は同夜、敗北を認め辞任した。新首相には、イタリア生まれのソニア・ガンジー会議派総裁(57)の就任が確実視されている。
 午後9時半(日本時間14日午前1時)現在、議席の大半が確定し、地元テレビの速報によると国民会議派陣営が219、人民党陣営は188となっている。
 ガンジー総裁は91年に暗殺されたラジブ・ガンジー元首相の妻。核兵器を保有して対峙(たいじ)してきたパキスタンとの関係については、対話路線を継続すると語った。会議派は経済重視政策の継続を宣言しており、大きな変化はないとみられる。
 人民党政府は、パキスタンとの対話路線の道を開く一方、各種の規制緩和で経済の自由化を進め、高い成長を実現した。だが成長の果実は、多数の貧困層を底上げするまでには至らず、「弱者切り捨て」といった野党側の攻撃をかわしきれなかった。
 長く野党にとどまっていたため、ガンジー総裁らに政権運営の経験は乏しい。権力基盤が安定する保証はなく、連立を組む少数政党に振り回され、外交、経済政策でも十分な指導力が発揮できない恐れもある。外国生まれのガンジー総裁の首相就任に難色を示す勢力もありそうだ。
 人民党は「2020年の先進国入り」など大国への夢を訴えるスローガンを掲げ、選挙戦序盤では、過半数獲得に自信をみせていた。
 一方、会議派は、貧困層や農民、低カースト層、イスラム教徒など少数派住民の支持獲得に力を入れた。同時に総裁の長男ラフル氏(33)を初めて立候補、当選させ名門政党の「若返り」を演出して関心を高めた。
 選挙管理委員会によると、有権者は約6億7500万人だった。

◎インド総選挙、野党連合が優勢に(2004年5月13日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】4月20日から5回に分けて投票を実施したインド総選挙(下院定数545議席)は13日朝から一斉に開票が始まった。主要テレビ局などの同日午前までの開票速報によると、最大野党・国民会議派(ソニア・ガンジー総裁)率いる野党連合が解散時を69議席上回る220議席を獲得、同73議席減で198議席にとどまっている第一党のインド人民党(BJP)を中核とする与党・国民民主連合(NDA)をリードしている。
 高度経済成長を実現した経済改革の成果を強調し政権続投を訴えた与党連合に対し、野党側は経済開発に取り残された地方の農民など貧困層や少数派のイスラム教徒らの支持を集めて躍進。首都周辺の北西部や南部などの主要州で大幅に議席を増やした。
 与野党の議席数が小差となった場合、左派政党や地方政党などを巻き込んだ連立工作が活発化する見通し。いずれの政治勢力も全議席の過半数を獲得できないことがほぼ確実なため、これら小政党の発言力が増し議会運営が不安定化するとの懸念も強まっている。

◎インド総選挙は与野党逆転の勢い、会議派返り咲きか(2004年5月13日、読売新聞)
 【ニューデリー=林英彰】世界最大の民主選挙であるインド総選挙(下院、定数545、2議席は大統領が指名)の開票が13日午前8時(日本時間13日午前11時半)から、全国1200か所以上の開票所で一斉に始まり、最大野党の国民会議派勢力が、予想を上回る躍進を見せ、第1党に返り咲く勢いを見せている。
 地元テレビによる午前9時半(日本時間午後1時)現在の開票速報では、国民会議派勢力が171議席を確保。バジパイ首相が率いるインド人民党(BJP)主導の与党連合「国民民主同盟」は157議席にとどまり伸び悩んでいる。
 中央選管によると、選挙で決まる543議席中、開票が行われるのは539議席分。残りの4議席については不正投票の疑いが持ち上がったため、後日、再投票を行う。

◎インドで総選挙開票始まる、電子投票機107万台が活躍(2004年5月13日、朝日新聞)
 インド総選挙の開票が13日朝、全国約1200カ所の開票センターで始まった。今回からボタンひとつで投票できる「電子投票機」を全国で約107万台導入。前回選挙では3日かかった開票作業も大幅に短縮化され、13日夜にも大勢が判明する見通しだ。
 ニューデリーの開票センターでは、選挙管理委員会の職員が、投票機に蓄積された党派別の得票データを立会人の前で表示。中央政府の選管に集計を送る作業を進めた。
 日本で電子投票の準備をしている「電子投票普及協業組合」(東京)によると、すでに世界で約120カ国が電子投票の実用化や準備に着手。ブラジルは02年の大統領選で約40万台の電子投票機を導入したが、100万台以上の導入台数は「世界最大」という。
 有権者が6億人以上もいるインド総選挙の壮大な「実験」を見るため、日、米、欧、東南アジアなど約70カ国の視察団が開票センターを訪れたという。

◎インド総選挙で最終回投票、与党連合の過半数確保微妙?(2004年5月10日、朝日新聞)
 インド下院の総選挙(定数545、うち2議席は任命制)で10日、首都圏を含む16の州・連邦直轄地の182選挙区で5回目の投票があった。これで投票は全日程を終え、13日朝から開票、同夜に大勢が判明する見通しだ。各種の世論調査では、与党のインド人民党(BJP)が第1党の座を維持するとみられるが、終盤に入って野党が追い上げている。このため、人民党を軸にした与党勢力が過半数を確保するかどうか、微妙な情勢になってきた。
 主要メディア5グループが投票後の出口調査と世論調査による最新の議席予測を報じた。スターニュースは「与党勢力が263〜275議席を確保へ」と伝えたが、テレビ局「アージタク」は「248議席」で過半数ライン(272)に達しないとの予測を伝えている。
 与党勢力の解散前の議席は約280。当初は過半数維持との見方が強かったが、終盤から最大野党、国民会議派の善戦が伝えられた。
 人民党は選挙戦で「2020年の先進国入り」をスローガンに「大国インド」の夢を訴える作戦に出た。ところが、貧困層も多い有権者にはこれらの訴えでは不十分、との反省も党内には出ていた。後半戦から政権の実績や安定度を訴えるよう修正してきたという。
 10日の投票では、北部のパンジャブ、東部の西ベンガル各州で武装勢力の投票妨害などが発生し、2人が死亡した。

◎250万人が沐浴、インド中部で12年に一度の大祭(2004年5月7日、朝日新聞)
 インド中部のヒンドゥー教聖地ウッジャインで4日、12年に1度の大祭「クンブ・メーラー(水がめ祭)」があり、ヤムナ川支流の岸辺で約250万人の巡礼客らが水を浴び、身を清めた。
 沐浴(もくよく)ですべての罪が浄化されると信じられ、同日は気温40度以上の熱暑の中、男性は半裸で、女性もサリーのまま水につかった。大祭は四つの聖地で異なる年に行われ、「世界最大の祭り」とも言われている。

◎インドのハイテク州、農民自殺急増、州内で「明暗」(2004年5月5日、朝日新聞)
 情報技術(IT)産業が集積し、インドの経済発展のシンボルとなっている南部の都市バンガロールを州都とするカルナタカ州で、農村の苦境が総選挙の争点のひとつになっている。ハイテク産業の隆盛とは裏腹に、これまで州経済を支えてきた農業の不振で、借金苦による農民の自殺が急増。州内の「明暗」が、国全体の課題を浮き彫りにしている。
 国内一の先進都市と呼ばれるバンガロールには、モダンなビルがひしめき、外国企業も含めてIT関連の約1200社が拠点を構える。郊外にはトヨタの工場もある。建設現場などに労働者が農村から流入している。
 しかし、州都を除けば農村地帯が広がり、州人口5300万人の6割以上は農民だ。その地域が今、少雨に苦しむ。
 01年以降、年500ミリ程度の降雨しかなく、州内のダムの水位は満杯時の半分。1年のうち半分は潅漑(かんがい)用水が止まった状態という。
 州都の隣、マンディヤ郡に住むプタスワミ・ゴウダさん(当時45)は、8万ルピー(約21万円)の借金が返せず、昨年秋自殺した。00年に肥料購入や家の新築のために借りたが、干ばつで家族が食べる程度のコメしかとれず、収入は途絶えた。妻(40)は「返済に高利貸から借金を重ね、農地を取り上げると脅された」とうち明ける。
 州政府によると、昨年4月からの1年間に自殺した農民は696人。うち190人は借金苦が原因という。農民らによると、都市化で商品作物の需要が増えたが、作付けに以前より金がかかる。だが、公的な農村金融はなく、どうしても民間の高利貸に頼ってしまう。
 降雨に恵まれ、収穫があれば、まだいい。だが「半世紀ぶりの大干ばつ」が襲った。州政府は干ばつ被害に補償金を出し、自殺した農民の遺族に10万ルピー(約27万円)の見舞金を出している。だが、「見舞金ほしさで自殺がさらに増えた」(地元紙)との批判もある。
 インドでは、都市を基盤にする運輸・通信・貿易分野の成長率は97〜02年に平均7.9%だったが、労働力の半分以上を占める農業は2.0%と低迷。北部のパンジャブ州などでも農民の自殺が増えている。
 農民の地方政党、カルナタカ州農民協会の幹部、ナンジュンダスワミ氏は「農産物自由化でサトウキビやコーヒーなどの価格が下がり、農家を直撃していることも自殺増加の背景。急速な自由化を進めた政府に責任がある」と指摘した。
 野党の国民会議派は「政府与党のインド人民党が富裕層重視の政策をとってきた」と批判し、総選挙で「農民重視」を公約に掲げる。だが、カルナタカ州では、会議派は与党。農業政策にも責任を負う。同州では総選挙と同時に州議会選挙も行われ、5月13日の開票日に有権者の審判が明らかになる。

◎インド:総選挙集会に手りゅう弾、62人死傷、カシミール(2004年4月29日、毎日新聞)
 【ニューデリー西尾英之】インド北部ジャム・カシミール州で28日、インド国会総選挙の集会に手りゅう弾が投げ込まれ、爆発により住民2人と警官1人が死亡し、59人が負傷した。治安当局は総選挙を妨害しようとするイスラム武装組織の犯行とみている。集会には、約400人が参加していた。また、州内の警察署や政党指導者の車両への襲撃が相次ぎ、26人が負傷した。

◎インドで総選挙第1回投票、過激派の選挙妨害多発(2004年4月21日、読売新聞)
 【ニューデリー=林英彰】有権者6億7000万人を擁するインド総選挙の第1回投票が20日、16の州・連邦直轄地で行われた。選挙で決定する543議席のうち、今回投票の対象となったのは140議席分。
 警備の都合上、投票は5月10日までに5回に分けて行われ、同13日に一斉開票される。選挙期間中、200万人の治安要員が警戒にあたるが、初日には北部や東部などで選挙に反対する過激派による爆破事件などが相次ぎ、少なくとも16人が死亡した。

◎インドのインフォシス、03年度売上高10億ドル突破(2004年4月19日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インドのソフトウエア開発大手のインフォシス・テクノロジーズが発表した2004年3月期決算は、売上高が前の期に比べ31%増の476億ルピー(約1170億円)に達した。年間売上高の10億ドル突破は、上場している同国の情報技術(IT)企業で初めて。純利益は30%増の124億ルピーだった。
 欧米に比べ低賃金の技術者を活用し、米企業などからソフト開発業務の委託を受けて急成長している。1981年に設立。売上高は99年度に約1億2000万ドルになり、その後4年でさらに約九倍に急増した。
 ただ、通貨ルピーの対ドル相場急上昇に加え、競争激化による世界的なソフト技術者の賃金高騰、米国による「アウトソーシングによって雇用が奪われている」との批判などで、インドIT企業の業績伸び率は今後鈍化するとの見方が多い。

◎インド、2003年度輸出額は17%増(2004年4月19日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=山田剛】インド商工省が発表した昨年度(2003年4月―2004年3月)の貿易統計によると、輸出総額は618億4000万ドルで、前年度比17.3%の大幅増となり、政府が当初目標とした12%増を大きく上回った。通貨ルピーの対ドル相場はこの間急速に上昇したが、主力の繊維、化学製品、機械などの輸出がいずれも好調で、米国を中心とする世界経済の復調も寄与した。
 輸入総額は25.0%増の752億ドルで、このうち石油部門は14.3%増の約202億ドル。非石油部門は29.4%の大幅増で約550億ドルに達した。

◎インド総選挙20日に1回目の投票、与党勢力が優勢(2004年4月18日、読売新聞)
 【ニューデリー=林英彰】有権者6億7000万人を擁する世界最大の民主選挙、インド総選挙(下院、定数545、うち2議席は指名制)が、20日の第1回投票(140議席分)で幕を開ける。
 世論調査では、バジパイ首相率いるインド人民党(BJP)勢力が前回選挙に引き続き過半数を制しそうな状況だ。
 投票所の警備の都合上、全土での一斉投票は不可能で、5月10日まで5回に分けて行われる。5月13日に一斉開票され、同日夜にも大勢が判明する見通し。
 地元紙とニュース専門テレビが13日実施した合同世論調査によると、人民党とそれに同調する諸政党の勢力は300議席以上を確保した前回選挙(1999年)時には及ばないが、過半数前後の260―280議席を占める見通し。一方、最大野党・国民会議派(ソニア・ガンジー総裁)と同調諸政党の勢力は、前回より議席を増やすものの、165〜180議席にとどまるとみられている。
 大きな争点がない中、人民党勢力への支持は、バジパイ首相の指導力に負うところが大きい。首相は、20を超える政党を束ね安定政権を維持してきた手腕に加え、カシミール地方の領有権問題で対立する隣国パキスタンとの関係を改善し和平機運を高めたことが、国民に高く評価されている。各メディア調査でも、次期首相の適任者として他候補を大きく引き離し、「首相への支持がそのまま政党支持に直結している」(地元記者)。
 一方、ソニア総裁は、3人の首相を輩出した名門「ネール・ガンジー家」の一員として人気は高いが、1998年に政界入りしたばかりで経験不足は否めない。また、イタリア出身のため、BJPから「外国出身者は首相に不適格」と批判を受けている。
 会議派は、ヒンズー至上主義を掲げる人民党の台頭が、国是である世俗主義を脅かすと訴えたいところだが、バジパイ首相は宗教問題に深入りしないため議論は空回り状態。形勢ばん回の起爆剤として、故ラジブ・ガンジー首相とソニア総裁の長男ラフル・ガンジー氏を出馬させたものの、現時点での効果は限定的なものにとどまっている。

◎ガンジー家新世代が政界進出へ、長男は表明、長女も意欲(2004年3月29日、朝日新聞)
 4月下旬から投票が始まるインド下院選挙で、名門ガンジー家の新世代2人が注目の的だ。最大野党、国民会議派のソニア・ガンジー総裁の長男ラフル氏(33)がすでに立候補を表明し、長女プリヤンカ氏(32)も意欲をちらつかせている。低迷が目立つ会議派の復活に向けた「切り札」になるのを支援者は願う。
 2人は、曽祖父(そうそふ)ネール、祖母インディラ・ガンジー、父ラジブと首相3人を輩出した家系に生まれた。ソニア総裁は91年に夫ラジブ氏の死後、党を率いてきた。
 ラフル氏は29日朝、ガンジー家代々の地盤である北部ウッタルプラデシュ州の自分の選挙区に入った。米英で学んだ経済コンサルタントで、父ラジブ氏に似た端正な顔立ち。「カースト制や階級にとらわれない新しいインドを築きたい」と記者団に述べた。
 さらに期待を集めるのは妹プリヤンカ氏。2児を持つ主婦で、政治手腕は未知数なものの、勝ち気な性格や表情が祖母インディラ似で、人気は絶大だ。周囲からは「将来の宰相候補」と気の早い声も。本人は「政治は好きでないが、いずれ参加する」との言い方だ。
 会議派は96年の下院選挙でインド人民党に大敗。人民党は経済政策で実績をあげ、ヒンドゥー至上主義政党を脱皮しつつあり、会議派からの移籍も相次ぐ。ソニア総裁の「出身地」問題もある。イタリア出身で今はインド国籍だが、「インドの政治は分からない」と批判されてきた。会議派内には「党の求心力強化に新世代の登板が必要」との声が出ていた。
 もっとも、会議派に詳しい評論家インデル・マルホトラ氏が「いつまでもガンジー家のカリスマ性に頼るより、集団指導体制を築いていかなければ、党は生き残れない」と語るように、批判的な意見もある。

◎文学者タゴールのノーベル賞メダルなど盗難、インド(2004年3月26日、朝日新聞)
 26日付のインド各紙によると、東部コルカタ(カルカッタ)郊外の博物館から、インドの国民的英雄である文学者、ラビンドラナート・タゴール(1861〜1941)が受賞したノーベル文学賞のメダルなどが盗まれた。25日に発覚し、バジパイ首相らに緊急連絡された。各紙は「悲劇だ」と報じている。
 現場は、タゴールが活動拠点にしていたコルカタ郊外のシャンティニケタンにある記念博物館。メダルや賞状のほか、愛用のペン、時計や指輪などの遺品も盗まれた。
 警察の調べによると、博物館の窓が破られており、休館日にあたる水曜の24日から25日にかけて、何者かが侵入したとみられる。
 タゴールは英国留学時代に文学を学び、多くの詩や小説を発表して、インド独立運動の精神的支柱となった。ロマン・ロランやアインシュタインら世界の知識人とも交流。日本も数回訪れ、文学者らと交流し、当時の日本の軍国主義を批判したことでも知られる。

◎インド下院選挙、ガンジー一家の後継者が出馬(2004年3月23日、読売新聞)
 【ニューデリー=林英彰】インド最大野党・国民会議派は21日、4〜5月に行われる国会下院(定数545、2議席は大統領が指名)選挙に、独立インドを支えてきた名門ネール・ガンジー家の後継者であるラフル・ガンジー氏(33)が、会議派候補として出馬すると発表した。
 ラフル氏は、母親でイタリア出身のソニア・ガンジー会議派総裁の選挙区だった北部ウッタルプラデシュ州アメティ地区から出馬する。

◎印パ交流:クリケットファン、初戦を前に過熱(2004年3月11日、毎日新聞)
 【イスラマバード西尾英之】印パ緊張緩和の進展を受けて14年ぶりにパキスタンツアーを実施するインドのクリケット・ナショナルチームが10日、パキスタン入りした。約1カ月半にわたり各地を転戦してパキスタンチームと試合を行う。13日の初戦の前売りチケットはすべて売り切れ。両国ファンの熱気は過熱気味だ。
 両国のクリケット連盟が1月のバジパイ・ムシャラフ首脳会談に合わせて、ツアーの開催で合意した。単なるスポーツ交流の枠を超えて、両国関係改善の象徴としてとらえられている。もしテロなどがあれば両国関係に重大な影響を与えかねず、試合は治安当局の厳戒態勢下で行われる。
 一方でパキスタン政府はインドのファンのために観戦用ビザ発給を表明。期間中インドから大量のファンが観戦に訪れる見込みで、スタジアムでの草の根レベルの市民交流も期待されている。

◎クリケット:印のチームがパキスタン入り、緊張緩和受け(2004年3月10日、毎日新聞)
 【イスラマバード西尾英之】印パ緊張緩和の進展を受けて14年ぶりにパキスタンツアーを実施するインドのクリケット・ナショナルチームが10日、パキスタン入りした。約1カ月半にわたり各地を転戦してパキスタンチームと試合を行う。13日の初戦の前売りチケットはすべて売り切れ。両国ファンの熱気は過熱気味だ。
 両国のクリケット連盟が1月のバジパイ・ムシャラフ首脳会談に合わせて、ツアーの開催で合意した。単なるスポーツ交流の枠を超えて、両国関係改善の象徴としてとらえられている。もしテロなどがあれば両国関係に重大な影響を与えかねず、試合は治安当局の厳戒態勢下で行われる。
 一方でパキスタン政府はインドのファンのために観戦用ビザ発給を表明。期間中インドから大量のファンが観戦に訪れる見込みで、スタジアムでの草の根レベルの市民交流も期待されている。

◎インドがイスラエル製のAWACS導入へ(2004年3月6日、日本経済新聞)
 【ニューデリー6日共同】PTI通信などによると、インドとイスラエルの国防省当局者は5日、インド軍がイスラエル製の早期警戒管制レーダーシステム「ファルコン」を搭載した空中警戒管制機(AWACS)3機を導入することで最終合意、契約書に署名した。費用は約11億ドル(約1200億円)で、5年以内に引き渡される予定。
 同システムは、昼夜を問わず全天候下で低空や数百キロ離れた航空機の探知が可能。インド軍はパキスタン軍などの動向を把握する上で大きな効果があると期待しており、パキスタン側は警戒を強めていた。
 ロイター通信によると、イスラエルが数年前に中国に売却しようとして米国の反対で撤回したのと同じシステム。米国はインドへの売却には理解を示しているという。

◎空中警戒管制機:イスラエル製3機購入、インド軍が契約(2004年3月6日、毎日新聞)
 【エルサレム樋口直樹】イスラエルの航空機メーカーとインド軍は5日、ニューデリーで、イスラエル製空中警戒管制機(AWACS)「ファルコン」3機の売買契約を結んだ。売買額は計11億ドル(約1100億円)。イスラエルの武器輸出額としては過去最高を記録した。
 イスラエルのシャロン首相は昨年9月、12年前にインドと外交関係を樹立して以来初めて同国を公式訪問。パキスタンとの軍事的緊張を背景にAWACSの購入を望むインドと、インドとの関係強化を狙うイスラエルとの思惑が一致し、売買契約に道を開いた。
 AWACSの売買は、インドとパキスタンの軍事バランスが崩れることを恐れた米国の圧力などで先延ばしになってきた経緯がある。

◎インド総選挙、投票は4月20日から(2004年3月1日、読売新聞)
 インド選挙管理委員会はこのほど、2月6日に解散した国会下院(定数545、2議席は大統領が指名)の総選挙の日程を発表した。
 投票は4月20日、同26日、5月5日、同10日の4日間で、開票は1州をのぞき5月13日に行われる。有権者は全国で約6億7500万人。今回の選挙から電子投票機が大幅に導入される予定。(ニューデリー支局)

◎インド総選挙、4月20日から、投票は4回に分ける(2004年3月1日、朝日新聞)
 インドの選挙管理委員会は29日、下院(定数545)の総選挙の日程を発表した。4月20日から5月10日にかけて4回に分けて投票を実施し、5月13日に開票する予定。投票を4回に分けるのは、有権者が6億人以上もいるマンモス選挙であることに加え、テロへの厳重な警備が必要とされるためだ。
 投票率を高め、開票を効率化するため、電子投票を全面的に実施する予定で、ボタンひとつで投票できる端末機器を全国に約100万台設置するという。

◎インドで列車とトラック衝突、30人以上死亡(2004年2月28日、朝日新聞)
 インド東部の西ベンガル州で27日、旅客列車とトラックが衝突し、AFP通信などによると、トラックに乗って結婚式に向かう途中だった人たち30人以上が死亡した。列車の乗客に死者は出なかったという。トラックが無人の踏切を渡ろうとして列車と衝突したらしい。

◎クリケット観戦ビザ発給へ、パキスタン、インド人8千人に(2004年2月27日、産経新聞)
 パキスタン内務省は26日までに、約15年ぶりに同国を訪れるクリケットのインドチームとパキスタンチームとの試合観戦を希望するインド人ファンに、8250人分の査証(ビザ)を発給することを決めた。同日付のデーリー・タイムズが伝えた。
 両国でクリケットは非常に人気があるが、インドチームの訪問は1989年以来。パキスタン政府がこれほど多くのビザを、インド人向けに一度に発給することは異例で、昨年来の関係改善の動きの一環。
 試合は3月13日のカラチから4月17日まで、ペシャワル、ラホールなど数カ所で行われる。(共同)

◎インド軍戦闘機、民家に墜落、住民3人死亡(2004年2月21日、産経新聞)
 PTI通信などによると、インド西部グジャラート州で20日、インド空軍のミグ21戦闘機が民家に墜落し炎上、子供ら住民3人が死亡し、9人が負傷した。操縦士は脱出して無事だった。
 現場は首都ニューデリーの南西約900キロ付近。死亡したのは18歳の少年と子供2人で、飛び散った機体の破片が当たったもよう。周辺の数軒も延焼した。軍当局が墜落原因を調べている。
 インドではミグ戦闘機の墜落事故が相次いでおり、AP通信によると、過去6年間で100機以上が墜落、少なくとも乗員50人が死亡している。(共同)

◎印パ、カシミール問題など本格協議の枠組みで合意(2004年2月18日、読売新聞)
 【イスラマバード=林英彰】インドとパキスタン両外務省は17日夜、声明を発表し、2国間問題の本格協議を始めるにあたり、日程や話し合いの形式などについて、「幅広く合意に達した」ことを明らかにした。
 当地で16日から行われていた局長級協議でまとまった。18日に行われる外務次官級協議で、正式決定する見通し。
 声明は、協議項目や具体的な日程については触れていないが、パキスタン政府筋によると、両国は、1998年に協議項目として合意した<1>カシミール<2>平和と安全保障<3>テロリズムと麻薬の不正取引、など、8項目についての協議を進める模様。
 また、パキスタンの国営テレビは17日、両国が8項目のほかに、新たに2項目を協議対象とすることを検討していると報じた。

◎インド・パキスタンが2国間協議を開始(2004年2月16日、読売新聞)
 【イスラマバード=林英彰】インドとパキスタンの関係正常化を目指す協議が16日、イスラマバードで始まった。17日までは局長級で、最終日の18日にはインドのシャシャンク、パキスタンのコーカル両外務次官が協議を行う。
 両国が公式協議に臨むのは、インドのバジパイ首相とパキスタンのムシャラフ大統領が2001年7月にインドのアグラで会談して以来、約2年半ぶり。
 今回は最大の懸案であるカシミール領有権をはじめ安全保障、経済協力など8つの問題について、具体的な協議事項や今後の日程を決めるとみられる。

◎インド側カシミールで銃撃戦、18人が死亡(2004年2月7日、読売新聞)
 【ニューデリー=林英彰】インド北部ジャム・カシミール州南西部プンチ地区などで6日、イスラム武装勢力とインド国軍の間で銃撃戦が発生し、武装勢力メンバー8人、国軍兵士7人が死亡した。別に市民3人が死亡したとの情報もある。
 また、インド国軍は同日、同州スリナガルで、インドからの分離を求める武装組織ウマル・ムジャヒディンの司令官1人を射殺したほか、インドとパキスタンの実効支配線(事実上の国境)付近でもパキスタン側から侵入してきた武装勢力メンバー2人を射殺した。
 インド治安当局によると、インド、パキスタン両国軍が昨年11月に休戦に入ってからも武装勢力はインド側への侵入を試みている。しかし、パキスタン軍による「援護射撃」がないため、ほとんどが拘束または射殺されているという。

◎インド下院解散、総選挙へ(2004年2月6日、産経新聞)
 インドのカラム大統領は6日、下院(定数545)を解散した。好調な経済成長やパキスタンとの関係改善を追い風に、続投を目指すバジパイ首相(79)が支持基盤強化のため10月の任期満了を待たずに解散を決めた。内閣は1月27日、大統領に2月6日の下院解散を助言していた。
 選挙管理委員会が近く総選挙の日程を決める。早ければ3月末にも実施されるが、現地の報道では4月後半に3〜4回に分けて実施されることが有力視されている。
 有権者は約6億5000万人で、世界最大の選挙となる。
 1998年3月から連立政権を率いるバジパイ首相は、インド人民党(BJP)を中心とした約20政党による国民民主連合(NDA)の政権継続を目指す。首相は5日、5年間の政権運営で「政治的安定」をもたらし安全保障、外交面でも前進したと強調、選挙勝利に自信を示した。
 最大野党、国民会議派のソニア・ガンジー総裁(57)は96年以来の政権奪回を目指し、世俗政党の結集を呼び掛けた。「(ヒンズー至上主義の)BJP主導の政権で宗教コミュニティー間の対立が深まった」と攻撃を強めている。
 同総裁と故ラジブ・ガンジー元首相の夫婦の子である長男ラフル氏(33)と長女プリヤンカさん(32)の動向も注目され「祖母の故インディラ・ガンジー元首相の資質を受け継いだ」といわれるプリヤンカさんが立候補すれば、国民会議派の支持率に大きく影響するとみられている。(共同)

◎ネール・ガンジー家後継者、インド総選挙出馬する?(2004年2月6日、読売新聞)
 【ニューデリー=林英彰】今春にも行われるインド総選挙を前に、名門政党・国民会議派の復権のため、ネール初代首相のひ孫にあたるラフル氏(33)とプリヤンカさん(32)が出馬するのでは、とのうわさが国内を駆けめぐっている。独立インドを支えてきたネール・ガンジー家の“正統”な後継者である2人は、低迷する会議派にとり最後の「切り札」。最近、正式に党員登録を済ませたこともあり、最大与党・インド人民党(BJP)も2人の動向を気にしているようだ。
 先月21日、母親のソニア・ガンジー会議派総裁の選挙区であるウッタルプラデシュ州アメティを訪れた2人は、「ラフル、プリヤンカ、永遠なれ」と大勢の市民が歓呼の声を上げる中、出馬表明について「1週間後かも知れないし、3年後、10年後かもしれない」(プリヤンカさん)とメディアを煙に巻いた。
 3人の首相を輩出し、うち2人が暗殺されたネール・ガンジー家の栄光と悲劇の歴史は、米国のケネディ家とも比較される。会議派の不振にもかかわらず、国民の間では絶大な人気だ。
 2人は、ラジブ元首相と、イタリア出身で夫の暗殺後に会議派総裁となったソニア氏の間に生まれ、祖母のインディラ元首相や父親の活動を間近に見て育った。
 ラフル氏は、米ハーバード大学と英ケンブリッジ大学に学び、現在は、国内で銀行関連の仕事に従事しているという。穏やかな性格と顔つきが「父親の生まれ変わり」と評判だ。
 一方、プリヤンカさんはインド国内の大学で心理学を学んだ後、25歳で結婚、現在は2児を育てる主婦。強気な性格と美ぼうは祖母譲りで、兄よりも政治的野心が強いといわれ、20代のころから将来の首相候補と見なされてきた。
 政界入りが選挙の度に取りざたされる2人だが、祖母と父親の暗殺を目の当たりにしたことで、これまでちゅうちょしてきたとみられている。
 インド独立以来、45年も政権を担った会議派は、1996年以降野党に甘んじている。下院(定数545)の議席は108議席まで後退し、BJPに75議席も引き離されている。下院は6日にも解散される見通しだが、総選挙で会議派が政権に返り咲くのは難しいと見られている。
 インドは「世界最大の民主主義」を標榜(ひょうぼう)するが、地方政府でも世襲政権は多い。有権者が世襲の指導者を選ぶ理由について、民間調査研究機関、政策研究所のカシャップ研究員は「インド国民の多数を占める貧困層は教育水準や識字率が低く、政治家を政治的手腕より、名前や家柄で選ぶ傾向が強い」と指摘する。
 2人の動向には、BJPも過敏な反応を見せている。マハジャンBJP事務局長は先月、政界入りさえしていない2人を念頭に「両親がインド出身者である者だけが首相になるべきだ」と放言した。
 専門家の間では、「2人の出馬で会議派は勢いづき、議席が飛躍的に増える」(社会開発研究所・クマル研究員)との予測もある。会議派の夢を乗せ、2人の若者が政界への船出を決意するのか、当分は目を離せない状況が続きそうだ。

◆ネール・ガンジー家
 インド独立の父、マハトマ・ガンジー氏と共に民族運動を率いた初代首相(1947年〜1964年)ジャワハルラル・ネール氏以降、娘のインディラ・ガンジー氏、その長男ラジブ氏と3代にわたり首相を輩出。しかし、シーク過激派に対する強硬姿勢を取ったインディラ氏は84年10月、シーク教徒の警護警官により銃殺された。後を継いだラジブ氏も91年5月、遊説中に爆弾テロで殺害された。現在はラジブ氏の妻だった、イタリア出身のソニア氏が国民会議派を率いる。ガンジーの姓はインディラ氏の結婚相手、フェローズ・ガンジー氏の名字で、マハトマ・ガンジー氏とは無関係。

◎アフガン元国王、体調不良でインドの病院に搬送(2004年2月6日、読売新聞)
 AFP通信によると、アフガニスタンのザヒル・シャー元国王(89)が3日夜、アフガニスタンからインドのニューデリーの病院に搬送された。
 腸の不調を訴えているが、容体は安定しているという。アフガニスタンのカルザイ大統領の報道官は、元国王がここ数日、疲労気味で気分がすぐれなかったことを明らかにしたが、危険な状態ではないとしている。(ニューデリー支局)

◎インド・カシミールで銃撃、爆発、23人死亡(2004年2月6日、読売新聞)
 【ニューデリー=林英彰】インド北部ジャム・カシミール州で5日、少なくとも3か所で銃撃戦や爆発があり、計23人が死亡した。1日にこれだけの死者が出たのは、先月6日にインドとパキスタンが二国間問題の協議開始で合意して以来初めて。
 同州南西部アナントナグ地区では早朝、インド国軍兵士が乗ったバスの通過中に地雷が爆発、兵士4人が死亡した。同州のインドからの分離を求めるイスラム武装組織「ヒズブル・ムジャヒディン」が犯行声明を出した。
 北部クプワラ地区では武装勢力メンバー9人、国軍兵士1人が銃撃戦の末、死亡。地元警察によると、別の地区でも武装勢力メンバーや、銃撃戦に巻き込まれた市民ら計9人が死亡した。

◎カシミール:トラック爆破され、インド兵士4人死亡 (2004年2月5日、毎日新聞)
 【イスラマバード西尾英之】インドからの報道によると北部ジャム・カシミール州で5日、インド軍のトラックが爆破され兵士4人が死亡、7人が負傷した。カシミールのインドからの分離・独立をめざすイスラム武装組織のテロ攻撃とみられる。
 現場は同州の夏の州都スリナガルの南約65キロ付近で、トラックが通過する際、路上にしかけられた爆発物が爆発したらしい。インドとパキスタンは1月の両国首脳会談でカシミール領有問題に関する対話再開を決めているが、武装組織は対インド武装活動を続けると主張している。

◎インド、総選挙4月にも実施へ(2004年1月13日、日本経済新聞)
 【ニューデリー=吉野蔵一】インドのバジパイ首相は12日、最大与党のインド人民党(BJP)が開いた全国幹部大会で、今年4月末までに総選挙を実施したいと言明した。同国下院議員は10月に任期満了で、かねて総選挙の早期実施が取りざたされていたが、首相が時期を明言したのは初めて。
 同国では、政府から独立した選挙管理委員会が総選挙の期日を決める。首相は4月末の実施をにらみ、2月中に下院を解散する意向を示したとみられる。
 好調な国内景気やパキスタンとの緊張緩和外交の推進で、インド人民党の支持率は上昇傾向にある。首相は総選挙の早期実施で現在の多党連立から脱却し、政権基盤の強化を狙う。

◎サイクロンで11人死亡、インド南部(2004年1月13日、産経新聞)
 AP通信によると、インド南部アンドラプラデシュ州をサイクロンが襲い、16日、少なくとも11人が死亡した。
 当局者の話によると、サイクロンは時速100キロの暴風と雨を伴い、家屋倒壊などの被害も出ている。これまでに少なくとも数カ所の村落で2万人が避難した。
 インド南部や東部、バングラデシュなどでは毎年のようにサイクロンの被害が出ており、1999年には1万人以上の死者が出た。(共同)

◎味の素、家庭用うまみ調味料でインド進出(2004年1月12日、日本経済新聞)
 味の素はインド南部のチェンナイに現地法人を設立、インド市場でうまみ調味料「味の素」の販売に乗り出す。タイの現地法人で量産しているうまみ調味料の一部をインドに輸出し、新会社で包装して出荷する。うまみ調味料の世界生産量は現在、160万トンと推定され、味の素グループのシェアは33%に上る。インドの家庭や飲食店などを中心に需要開拓することでさらにシェアを拡大する。
 設立した現地法人「インド味の素」の資本金は4000万ルピー(約1億円)。味の素が全額出資するタイの現地法人、タイ味の素(バンコク)が90%出資し、残りの10%を味の素本体が出資した。代表権のある会長には三本侃治タイ味の素社長が兼任の形で就任した。

◎モスクで爆発1人死亡、インド北部ジャム(2004年1月9日、産経新聞)
 インド北部ジャム・カシミール州ジャムで9日、モスク(イスラム教礼拝所)に手投げ弾が投げつけられて爆発、1人が死亡、17人が重軽傷を負った。犯人は逃走した。
 現場周辺はイスラム教徒とヒンズー教徒が混在する地区。犯行声明などはないが、警察当局は、インドからの分離・独立を目指すイスラム過激派が両教徒間の関係悪化を狙った犯行とみている。
 モスクには金曜礼拝のため、州政府閣僚を含む多くのイスラム教徒が集まっていた。
 インドとパキスタンは6日、カシミールの帰属問題を含むすべての2国間問題について対話を再開すると発表したが、イスラム過激派は闘争継続を表明した。(共同)

◎駅で銃撃戦7人死亡、インド・カシミール(2004年1月3日、産経新聞)
 インド北部ジャム・カシミール州のジャム駅で2日、イスラム過激派とみられる数人の武装グループが銃を乱射して警官らと銃撃戦になり、国境警備隊員や警官ら5人と過激派側2人が死亡、市民ら9人が負傷した。
 目撃者によると、犯人は2、3人で軍兵士の服装をしていた。事件当時、駅は休暇のために任地を離れる国境警備隊員らで混雑していた。
 カシミール地方ではインドとパキスタンによる実効支配線(停戦ライン)での停戦が続いているが、同地方の独立などを求める過激派の一部はインドに対する闘争を続けると言明している。(共同)

◎2年ぶり航空路線再開、インド、パキスタン(2004年1月2日、産経新聞)
 インドとパキスタンを結ぶ航空路線が1日、約2年ぶりに再開し、パキスタン東部ラホール発のパキスタン航空機がニューデリーに到着した。カラチ−ムンバイ便なども順次運航が始まる。
 2001年12月のインド国会襲撃事件後、両国間の航空路線は閉鎖されていた。最後の便が飛んだのは2002年1月1日だった。
 昨年4月以降、両国は関係改善を進め、バス路線を再開したほか、領有を争うカシミール地方の実効支配線(停戦ライン)で停戦を発効させた。(AP)

◎印パ停戦合意後も12人死亡、インド側カシミール(2003年11月28日、朝日新聞)
 停戦ラインをはさんで14年ぶりに戦闘停止が成立したインドとパキスタンの係争地カシミールで27日、イスラム過激派と治安当局の間で衝突が相次ぎ、AP通信によると計12人が死亡した。
 事件が起きたのはいずれもインド側。カシミールの州都スリナガルの中心街では過激派とみられる集団が手榴弾(しゅりゅうだん)を投げ、商店主1人が死亡、通行人9人が負傷した。ほかにも同州内の4カ所で警察と武装勢力の間で戦闘があり、双方で計11人が死亡した。
 インドとパキスタンは26日からの停戦で合意していたが、インドからの分離を求めるイスラム過激派は武装闘争の継続を宣言。インド治安当局も停戦合意とは関係なく摘発を継続する方針を示していた。停戦に入ったインド・パキスタン両軍間の砲撃は報告されていない。

◎ロープウエー落下4人死亡、インド・ダージリンで(2003年10月20日、産経新聞)
 インド北東部ダージリンの観光地で19日、ロープウエーのゴンドラが落下し、約100メートル下の地面に激突、乗っていた4人が死亡、11人が負傷した。AP通信が20日伝えた。
 ほかに2台のゴンドラがワイヤからぶら下がったままになったが、取り残された10人以上の乗客は救助された。
 現地の警察によると、ワイヤの一部が切れたのが原因とみられる。(共同)

◎インド、高性能レーダー搭載機を購入か(2003年10月10日、産経新聞)
 インドとイスラエル、ロシアの各国政府は10日、イスラエル製の早期警戒管制レーダーシステム(ファルコン)を搭載したロシア製輸送機をインドに売却する契約を締結した。PTI通信などが伝えた。
 輸送機の数は不明だが、売却総額は約10億ドル(1100億円)。インド空軍の空中警戒管制システムの中核となる。
 カシミール地方の領有権などをめぐりインドと対立するパキスタンは、インドとイスラエルの軍事協力強化に懸念を表明している。パキスタンのラシッド情報メディア相は契約締結について「(地域の)軍事的均衡を崩す」と非難した。(共同)

◎インドの砲撃でパキスタン市民12人死亡(2003年10月6日、産経新聞)
 国営パキスタン・テレビは5日、同国とインドが領有権を争うカシミール地方の実効支配線(停戦ライン)越しに4日夜からインド軍が砲撃、5日までにパキスタン側のムザファラバード近郊で市民12人が死亡、19人が負傷したと伝えた。
 現地の当局者によると、パキスタン軍も反撃した。インド側の被害は不明。
 インドとパキスタンは関係正常化に向けた試みを始めているが、実効支配線を挟んだ砲撃や越境者の銃殺が散発的に続いている。(共同)

◎インド東部に隕石?1人死亡、20人負傷(2003年9月29日、朝日新聞)
 PTI通信などによると、インド東部オリッサ州のケンドラパラ地区などで27日午後6時半(日本時間同日午後10時)ごろ、隕石(いんせき)と思われる物体が空から落下し、農家などを直撃、数軒の家屋が焼けた模様だ。直撃を受けた家屋の男性(75)1人が運ばれた病院で28日に死亡したほか、約20人が負傷したという。
 現場はベンガル湾の海岸から西に30キロほどの農村部。目撃者談によると、いくつもの物体が瞬時のうちに火を放って落下し、一時は数百人がパニック状態に陥ったという。同地区からは重さ6キロほどの隕石とみられる物体が複数発見されたという。

◎イスラエル・インド首脳会談、テロ対策などで協議(2003年9月10日、読売新聞)
 【ニューデリー=林英彰】インドを訪問中のイスラエルのシャロン首相は9日、インドのバジパイ首相と首脳会談を行った。PTI通信によると、両首相は2国間関係のほか、パレスチナ情勢やテロ対策などについて協議した。
 両国は、環境保護、麻薬密輸防止、教育・文化など6つの分野での協力で合意した。

◎列車狙った起爆装置も、インドの連続爆発(2003年8月26日、産経新聞)
 インド西部ムンバイ(ボンベイ)で25日、連続して爆弾が爆発し、45人が死亡した事件を捜査しているインド警察当局は同日夜までに、ムンバイ郊外の鉄道に仕掛けられた起爆装置を発見した。ロイター通信が伝えた。
 この時期は巡礼のため多数のヒンズー教徒が列車を利用しており、ヒンズー教徒を狙ったテロの可能性が強い。警察当局は連続爆弾テロと併せ、イスラム過激派による組織的な犯行との見方を強めている。
 警察当局は、北部カシミール地方の分離・独立を求める過激派組織ラシュカレトイバと共闘するイスラム学生組織が、一連の事件に関与した疑いがあるとしている。警察当局者は「敵国によって放たれた組織がたくさんある」と述べ、パキスタンの関与に言及した。
 調べによると、起爆装置が発見された付近では複数の枕木が取り外され、線路をふさぐ格好で放置されていた。
 ムンバイでは今年3月に列車爆破事件があり、11人が死亡。警察当局はこの事件でもイスラム過激派が関与したとみて捜査している。(共同)

・米大統領、ムンバイのテロを強く非難
 ブッシュ米大統領は25日、インド西部ムンバイで起きた爆弾テロについて声明を発表し「罪のない多数の人々を殺害し負傷させた爆破を強く非難する」と述べた。
 大統領は「テロ行為は自由な人々に混乱と恐怖を植え付けることを狙ったものだ」と指摘。「犯人が速やかに特定され、裁かれることを望む」と述べた。
 パウエル国務長官は同日、インドのシンハ外相と電話会談し、市民を巻き込んだテロを非難するとともに、犠牲者への哀悼の意を伝えた。(共同)

◎ムンバイで連続爆弾テロ、45人死亡、インド西部(2003年8月25日、産経新聞)
 インド西部ムンバイ(ボンベイ)で25日、市内の2カ所で爆弾がほぼ同時に爆発し、PTI通信によると45人が死亡、150人以上が負傷した。
 警察当局者によると、いずれの現場でもタクシーの車内に仕掛けられた爆弾が遠隔操作で爆発しており、テロとみられる。
 ムンバイでは過去にイスラム教徒とヒンズー教徒の宗教対立を背景とした爆弾テロが発生しており、今回も宗教対立を背景に起きた可能性がある。
 在ムンバイ日本総領事館によると、日本人の被害情報は入っていない。
 爆発があったのはムンバイの観光名所「インド門」の駐車場と、市民らで混雑するバザール(市場)内の2カ所。一時は4カ所で爆発があったとの情報が流れたが、警察当局は否定した。
 インド門近くの現場では、タクシーが近くに止まっていた数台の車両とともに大破した。
 AP通信によると、警察当局はムンバイと首都ニューデリーで、新たな事件発生に備えて警備を強化、市民に警戒を呼び掛けている。
 爆発現場に居合わせたタクシー運転手はロイター通信に対し、遺体が散乱した現場の惨状を語った上で「奇跡的に助かった」と血まみれで話した。
 ムンバイは人口約1190万人でインド第2の都市。(共同)

◎ムンバイで爆発、6人死亡、インド(2003年8月25日、産経新聞)
 ニューデリーのテレビによると、インド西部ムンバイ(ボンベイ)で25日、ほぼ同時に4回の爆発があり6人が死亡、10人が負傷した。
 警察当局によると、爆発が起きたのはムンバイの有名な観光地「インド門」近くと、ムンバイ南部の警察署付近の2カ所。警察は2回の爆発しか確認していないという。爆発の原因は分かっていない。(AP)

◎警官装おうインドの詐欺師、日本人観光客の被害届で逮捕(2003年8月6日、読売新聞)
 警官を装って外国人観光客から現金などをだまし取っていたニューデリーの詐欺師グループが4日、逮捕された。被害にあった日本人女性が警察に届けたため御用となった。
 5日付のタイムズ・オブ・インディア紙などによると、一味は、観光ガイドなどと称して外国人に近づき、すきを見てカバンに違法な薬物を入れる。次に警官を装った仲間が現れて薬物を発見、所持品を没収してしまう手口。警官役は、「日本人を逮捕した」と携帯電話で連絡するふりをするなど、手が込んでいた。(ニューデリー支局)

◎インドが「医療外交」、パキスタンの子供20人治療招待(2003年8月4日、朝日新聞)
 インド政府がパキスタンの子どもを病気治療に招待する計画を打ち出した。パキスタンの2歳半の女児が先月、再開されたばかりの印パ直行路線バスでインド入りし、心臓手術を受け成功したのがきっかけ。インド各紙は「癒やしに国境はない」などとの見出しで、パキスタンとの関係改善を狙った政府の「医療外交」を評価している。
 計画は、シンハ外相が先月下旬、パキスタンのカーン駐インド大使との会談で打ち出した。インド政府が旅費、滞在費、治療費を負担し、当面は20人が対象だという。
 きっかけとなった女児ヌール・サジャドちゃんは1日、インドでの治療を終えて退院し、パキスタンに戻った。インドの新聞は今回の計画を「ヌールちゃん効果」と呼んでいる。
 インドはパキスタンより病院の数が多く、手術代も割安とされる。

◎IT大国インドで研修を、民間ベンチャーが今夏スタート(2003年7月15日、毎日新聞)
 近年、世界的にIT技術者を輩出する国として注目されているのがインド。しかし、欧米に比べて、日本とはあまり縁がないのが実情だった。ベンチャーのソフトブリッジ・ソリューションズ(本社・シンガポール)は今夏、インドの政府系IT教育機関で行われる講義に、日本人を送りこむパッケージツアーを実施する。近くて遠い国だったインドとの本格的なIT交流が始まるかどうか注目される。(柴沼 均)

・近くて遠い国インド
 インドはソフトウエア産業に力を入れており、輸出総額のうち10%をソフト関連が占める。人材が豊富なうえ、人件費などのコストが安くつくため、マイクロソフトやオラクルなど、世界的なIT企業がインドに拠点を置いている。だが、日本との関係はそれほどでなく、インドのソフトの輸出先の6割が米国なのに対し、日本はわずか4%しかない。
 ソフトブリッジのプラシャント・ジェインCEOは「文化、言語の違いがあり、これまで日本とインドはなかなか交流がなかった」と指摘する。英語圏のインドはシリコンバレーなど欧米に優秀な人材を送り込み、フォーチュン上位500社のうち23社にインド出身のCEOがいるといわれる。その成果がインドにフィードバックされるため、インドと米国は交流をどんどん深めている。
 それに対して、日本語という壁があるうえ、IT技術者といえども、アジアからの労働者受け入れに抵抗がある文化や複雑な法規制などから、日本での受け入れはなかなか進まなかった。それでも2000年に森喜朗・前首相がインドを訪れ、IT施設を見学したことなどから、インドで日本に対する関心は高まっている。

・講座は大学生から一線技術者まで
 ジェインCEOは日本、米国、インドの3カ国のIT関連企業で働いた経験があることから、世界第2の経済大国である日本とインドの橋渡しをすることでビジネスチャンスが生まれるとして、昨年、ソフトブリッジを立ち上げた。
 まず4月からインドで、インドのIT技術者に対する日本語と日本の企業文化などに関する講座を開設した。15人の受講者が5カ月間勉強し、卒業後は日系企業に就職する予定だ。
 次いで、8月に日本人向けツアーがスタートする。ツアーは大学生、新入社員、一線技術者などに分かれる。インドの政府系研究機関C-DAC(Center forDevelopment of Advanced Computing)と提携し、中南部のプネという町にある専門学校ACTS(Advanced Computing Training School)で講義を受ける。
 大学生向けは初心者向けのコンピューター基礎コースとJava、マイクロソフトの.NETなどのIT経験者向け講座があり、英語が苦手な人は英語の授業もついている。8月上旬から6週間で、現地での滞在費を含めた費用は30万円(インドまでの旅費は別)。
 新入社員向けコースは3カ月間。コンピューターの基礎からプログラミング言語についてのIT研修が324時間、英語研修が60時間に上る。費用は100万円(旅費、滞在費含む)。実務経験者向けは4〜6カ月の各コースがあり、月額25万円からとなっている。

・インドのIT業界との交流も
 徹底したIT教育と日本で実施する場合の半額近い低料金をセールスポイントにしているが、インドのIT業界との交流もインドで実施する理由の一つだ。学生向けと新入社員向けは日本人専用講座だが、実務者向けはインド人と同じ講座を受ける。また、米国の最新動向もインドに入れば伝わってきやすいのも魅力で、不況下の就職、転職に不可欠な技術を身につけることができる。
 ジェインCEOは「インドのIT産業はソフト中心、日本はハード中心であり、両国で相乗効果を発揮できる。プネに滞在し、インドの技術者と交流の機会も作る。インドを理解してもらうきっかけになればいい」と話す。
 IDCによると、インドのIT市場規模は2002年の100億ドルが2006年には400億ドルへと急成長が予測されている。日本では中国市場の急成長が話題の中心だが、同じアジアのIT国家、インドとの交流も重要な課題といえるだろう。

◎インドで魔女狩り、2人を火あぶり(2003年7月4日、東京新聞、夕刊)
 【バンコク3日、田内建一】インドからの報道によると同国東部ジャルカンド州で“魔女狩り”が行われ、2女性が火あぶりとなって焼死した。同州の警察当局がAFP通信などに明らかにした。
 火あぶりにされたのは州都ランチーの北約300キロの農村に住んでいた35歳と50歳の女性。警察によると、村の群衆が「別の女性を病気にさせた」として、2人を家から近くの野原に連れ出し、灯油をかけて殺害したという。
 インド東部や北東部の部族地帯では、部族宗教と黒魔術がつながり、村人が悪魔の呪(のろ)いなどの迷信を信じており、女性人権団体が抗議を続けているが、被害者の家族も警察も宗教的な行為として黙認しているという。

◎SARS感染の花嫁が挙式、出席者は式後に検査(2003年4月23日、朝日新聞)
インド西部の都市プネーのキリスト教会で21日、花嫁がSARSに感染しているのを承知のうえで、結婚式が行われた。式後、花婿や牧師ら出席者25人が検査を受けた。
 インド各紙の報道によると、感染源は花嫁の兄。式に出席するため、8日に勤務先の東南アジアから帰国した際、機内で感染したらしい。兄から花嫁と母親にも感染し、3人とも入院した。
 地元の保健当局は式の中止を求めたが、花嫁は症状が軽かったため、花婿らの希望で式を開催した。医師や当局の係官が立ち会い、花嫁はマスクをつけて指輪を交換後、すぐに救急車で病院に戻ったという。インドのSARS感染者は、この3人を含め、計4人になった。

◎イラク破壊兵器原料、インド企業から不正輸入か(2003年1月20日、日本経済新聞)
 【ロサンゼルス=長尾弘嗣】19日付の米ロサンゼルス・タイムズ紙は、イラクが2001年までの4年間にインド企業から大量破壊兵器やその運搬手段の開発・製造に必要な原材料などを不正に輸入していたと報じた。イラクが昨年12月に国連安全保障理事会に提出した申告書にはこの事実の記載はなく、国連決議への「重大な違反」に該当する可能性もある。
 この企業はニューデリーやムンバイで事業を展開する「NECエンジニアリング・プライベート」。日本企業のNECとは関係がない。
 同社は不正輸出の発覚を防ぐため、中東や欧州に設立したペーパーカンパニーを利用してイラクへの輸出品を調達していた。国連査察官は同社が輸出した原材料の一部が、バグダッド南方のミサイル燃料工場で使われたことを確認したという。
 輸出したのは大量破壊兵器の製造に使用される粉末状のアルミニウムやチタンの遠心ポンプなどの物資。約79万ドル(約9300万円)に相当し、1998年9月から2001年2月までの間にイラクに不正輸出したという。

◎インドで爆発、数人負傷(2002年11月22日、報知新聞)
インド南部ハイデラバードで21日、オニール米財務長官が訪問した直後、駐車場でバイクが爆発し、市民6〜10人が負傷した。同国警察当局が明らかにした。
 財務長官は爆発の数時間前、同市内のハイテク技術の施設を訪問した。

◎地雷でバス爆破、20人以上死亡(2002年11月20日、朝日新聞)
インドPTI通信によると、インド南部のアンドラプラデシュ州で18日夜、走行中の路線バスが地雷で爆破され、乗っていた地元住民ら20人以上が死亡した。極左武装組織「人民戦争グループ(PWG)」が警官の輸送車を狙って仕掛けたとみられている。
 同グループは貧農を基盤にし、毛沢東主義による武装闘争を掲げている。同州を拠点に警察や政治家への襲撃事件を繰り返している。ネパールの共産党毛沢東主義派と交流があり、インド国内で同派をかくまって軍事訓練や武器供与をしているとされる。現場は州都ハイデラバードの北東約200キロ。

◎ポリオ、インドで再び猛威 今年は患者数1000人超す(2002年11月19日、朝日新聞)
インドで撲滅しかけていたポリオが、子供の間で再び猛威をふるっている。過去2年、年200人台に減っていた感染患者数は今年、3年ぶりに1000人台に達し、34人の死者が出た。世界保健機関(WHO)と患者が集中している北部各州政府は予防接種の緊急キャンペーンを始めた。
 インドは世界最大のポリオ発生国。2001年には世界15カ国で報告された480人の患者のうち、インドは56%の268人を占めた。それでも毎年3000〜5000人だった以前に比べ、1998年以降は減少傾向が見られ、政府は2005年までに「撲滅宣言」をしたいと考えていた。
 ところが、今年は再び激増し、11月中旬までに患者は1005人に達した。その多くが0〜1歳児だ。特に北部のウッタルプラデシュ州が患者の70%以上を占める。
 WHO南東アジア地域事務所(ニューデリー)の地域アドバイザー、ブレント・ブルックホルダー氏によると、同州では定期予防接種率は20%と低いままだ。「州人口は1億8000万人を超え、月40万〜50万人の新生児が生まれるのに対し、人手が不足して接種が徹底されず、衛生環境の改善も追いつかない」と指摘する。
 気になるのはイスラム教徒の患者数の増加だ。全患者に占めるイスラム教徒の比率は今年同州内で74%に達し、2000年(61%)より増えた。もともと貧困家庭が多く、「予防接種で不妊症になる」といった誤った情報を信じ込み、接種を嫌がる家庭が多い。
 そのうえ州人口ではヒンドゥー教徒が約8割を占め、州政府で接種の活動を進める監督官や医務官でも多数派を占める。WHO職員の中には「最近強まっているイスラム・ヒンドゥー間の宗教対立も反映し、イスラム教徒の警戒心が接種活動を難しくしている面がある」との指摘もある。

◎インドでコカ・コーラ工場襲撃(2001年10月22日、朝日新聞)
 インド南東部のアンドラプラデシュ州にあるコカ・コーラ工場で21日早朝、建物の一部や車両が爆破された。けが人はいない。PTI通信などによると、極左武装組織ナクサライトが犯行声明を出した。現場に「米軍によるアフガニスタンへの報復攻撃に抗議する」との声明文が残されていたとの情報もある。